#以下、試験代わりに、記憶の残滓で記します。 人名については、正解を確認していますが、誤りがあれば、大変申し訳ありません。 読みたくなるような書評になっていない点についても、すみません。
バックミンスター・フラー氏の『クリティカル・パス』は、(人付き合いの悪い私にはえらく珍しく、)旧い友人※1と後輩の2名から、まったく別個に推薦されたという経歴を持つ書籍である。ローマ・クラブによる『成長の限界』に対する一賢人の洞察である。本書の射程は、広範囲に及ぶ上に、当時の状況について、(高校教育課程に必要とされていない)追加的な理解も必要とする。若年者であれば、最後に読む方が良いかもしれない。ただ、私は、フラー氏の洞察がいかなる背景を持つものかを得心するほどには、本書を読み込んでいないので、本書についての理解は、人(の読書体験等)によって、大きく変わるものかも知れないということをあらかじめ注意しておく。
※1 正確にはフラー氏のデザインの一部から転じたフラーレン構造について教えてもらったと言った方が良いかもしれない。
ナオミ・クライン氏の『ショック・ドクトリン』は、拷問や軍事力による恐怖から生じた社会の「空白(の石板)」(タブラ・ラサ)に、ミルトン・フリードマン氏の自由主義的経済理論を適用するという動きがアメリカにより各国に輸出されていることを指摘し、これを「惨事便乗型資本主義」と読んだ。その結果、富裕層と貧困層とが分断され、後者に対する搾取と抑圧が常態と化した。もっとも、今現在、南米諸国を始めとする諸国では、その苦い教訓を経て、社会が二分された状態からの脱却、つまり社会主義的民主主義への回帰が図られつつあるとされる(原著は、2007年)。クライン氏は、惨事便乗型資本主義の手口を知ることが、そのハードランディング型の制圧を防ぐことにつながると指摘している。
堤未果氏の『ルポ・貧困大国アメリカ』は、『ショック・ドクトリン』の前景を描くものとして位置づけられる。同書は、アメリカ合衆国の貧困を現象面から切り込むものであるが、『ショック・ドクトリン』の前後に執筆が進められたもののようであるだけに、住み分けが不十分なことが悔やまれる内容である。もっとも、日本語でいち早く類似の内容を紹介した、という前向きな理解を与えることも可能かも知れない。なお、同書の理論面は、明確な記述があったとは記憶してはいないが、アントニオ・ネグリ氏とマイケル・ハート氏の「帝国」概念に根差すものであるように感じられる。
ところで、陰謀論界隈は、「ショック・ドクトリン」が人口削減計画という主目的の下に実行されてきたかのように理解してきた。トマス・ロバート・マルサスやローマ・クラブのような当代の碩学による警告は、抑圧的な二極構造による人口調整が必要であるという結論として受け止められたのだというのである。とすると、フラー氏は、別のパスが解として存在しうることを示したと理解することもできる。もっとも、ハンス・ロスリン(Hans Rosling)氏の魅力的なプレゼンテーションは、暴力的なハードランディングではなく、ソフトランディング、持続可能な社会が可能であることを示唆するものである。
BBC Two - This World, Don't Panic - The Truth About Population
http://www.bbc.co.uk/programmes/b03h8r1j
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