2015年9月30日水曜日

公文書の不存在は組織全体の連座制につながる

東京新聞:憲法解釈変更の検討経緯 法制局、公文書に残さず 集団的自衛権検証が困難に:政治(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092802000246.html

現時点で、非営利団体のインターネットアーカイブ(Internet Archive)が運営するウェブアーカイブ"Wayback Machine"に収録済みであることを確認したので、いずれは、下記リンクを参照されたい。

https://web.archive.org/web/20150928082155/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092802000246.html

現在、日本国の主権に対する隣国からの影響は、福島第一原子力発電所事故以後、結果として高まりつつある。その主たる理由は、一部国内の好戦派の言うように、隣国の活動だけに求められるのではなく、事故以降の自国政府の無策に求めることができる。福島第一原子力発電所事故は、首都を含め、国土の相当部分を汚染したにもかかわらず、除染作業は、ごく一部の限定的な地域に留まる※1。事故の収束作業と食品の生産・流通規制に関する政府の無策は、放射性物質の摂取を継続・促進し、国民の健康を大きく毀損しつづけている。対外関係は、彼我の力量を反映するのであり、わが国の実力が衰えれば、相対的に隣国からの影響が増すことは当然である。

※1 先の鬼怒川水害時の大雨により、福島県内で除染土のフレコンバッグが流出した事件に端的に示されるように、わが国のように水循環が活発な国土においては、除染作業自体、非効率的な作業となりかねない。国土をできるだけ保全するという観点からは、低汚染地域を重点的に除染すべきであったという考え方も、事故直後であれば成立しえたが、今となっては詮ないことである。

冒頭に示した東京新聞の記事は、主権を円滑に機能させるための官僚機構が破綻していることを端的に示すものである。法制局という立法機能の中枢を担う専門家が憲法もしくは公文書管理法等に規定された法の支配の下にないことを、この記事は暴露したのである。集団的自衛権の憲法解釈変更は、対外関係を不可逆に変更する作業である。権力が本格的に交代したとき、集団的自衛権の憲法解釈の変更について、政治家が結果責任を負うのは当然であろうが、その作業をサポートした官僚機構も専門家としての責任を問われる。そのときの権力は、果たして、国内の正当な手続きにより主権を有する国民により選択されたものであろうか。また、その法理論は、現在のわが国のものと同一のものであろうか。

ここで望むことは、集団的自衛権の憲法解釈変更に対して自身は消極的であったと信じる者が密かにメモを残していることである。そのメモは、現政権からの弾圧を招くが、近い将来は、その者自身の安全を担保し、真の「戦犯」を峻別する材料の一つになる。福島第一原子力発電所事故の後発的影響が出ないわけがなく、数年から数十年後の将来に日本国及び日本社会が存続しているという保証は、どこにもない。そのとき、集団的自衛権の憲法解釈変更という弥縫策に誰が賛成し、責任を持つのかが確定されていなければ、法制局の全員が連座するということも、東京裁判におけるB級及びC級戦犯の扱いに思いを致せば、十分にありうる事態なのである※2

※2 いわゆる東京裁判などの戦後処理における裁判が事後法であるという指摘は、わが国に根強く残る指摘ではあるが、私は、ここで法議論を行うつもりは、まったくない。権力と法との関係を根本から問うた場合、ロンドン国際軍事裁判所憲章に示された罪は、事後的であると指摘すること自体は可能であるものの、敗戦国の国民が受け入れざるを得ない「けじめ」である。

私自身は、今年(平成27年)を、最悪の場合※3、目に見える危機のない昭和20年だと考えており、今後、「戦後」処理が必要になると考えている※4 。ここ数日の国際的なニュースを英語で読む限り※4、第70回国連総会におけるオバマ大統領とプーチン大統領の演説は、「がっぷり四つに組んだ」ものであり、「平成27年のヤルタ会談」が穏やかなものではないという印象を受ける。 現在のイラク、リビア、シリアに対する各国の言及は、国家間の権力闘争が熾烈であることをうかがわせる。わが国を含めたアジアについては、アメリカと中国が南シナ海について言及しているだけのように見えるが、むしろ、日本人は、原発事故のために国力を大きく減じたわが国こそが俎上の鯉である、と心得るべきである。

※3 最良の場合であっても、ベラルーシ・ウクライナ・ロシアの三か国の人口統計を見る限り、今年は、昭和17年くらいに相当する。日本が太平洋戦争後の65年間、繁栄を享受できたのは人口ボーナスに過ぎない、というエマニュエル・トッド氏の主張もある。トッド氏の主張が正しいとすれば、正しい方向に政策を切り替えなければ、たとえ戦後を迎えたとしても、わが国の従来型の繁栄を「取り戻す」ことは難しいものと考える。
※4 いつそのような事態が生じるのか、どのような経路で生じるのかの予測、(犯罪予防に係る、というより正義の実現に係る)構想については、私自身の生来の怠惰もあり、遅々として作業が進まない。
※4 英語ジャーナリズムを参照しているわけではない。インターネットは、公式情報に直接アクセス可能であるという点で、わが国における自称有識者以上の手がかりを与えてくれる媒体である。

2015年9月25日金曜日

TPPが及ぼしうる可能性について(感想文)

TPPが成立すると、わが国の刑法分野には、次の4分野で検討すべき事態が生じる。
There are four criminological issues in Japan that would change the society when Trans-Pacific Partnership was in effect.
  1. 賭博 Gambling
  2. 麻薬(特に大麻) Drugs (especially cannabis)
  3. わいせつ物 Pornography
  4. 銃火器 Firearms
これらは、いずれも解禁された場合にわが国の(法)文化を変革する威力を有するものである。

これら四分野のビジネスの現況から推測すると、TPPは、暴力団の資金源の主要部分に不可逆の影響を及ぼしうる。酒類・たばこ類や証券取引についても、もちろん影響が生じることは間違いないし、各種の興行に対する規制も、加盟国で最も緩いところのものに合わせることになるであろう。この予想の根拠は、ISD条項の存在である。TPPにおいては、各国の規制が尊重されるとはいうものの、その規制には合理性がなければならない。上記四分野については、現に各国における規制の足並みはそろっておらず、わが国においてさえ、これら分野についての規制の合理性は、議論の対象になっているのである。

TPPが成立したときに犯罪学の分野で何が生じるのか、私は常々気になっていたのだが、調べてみても、研究として公にされたものとしては、一番近いところでは、ジェーン・ケルシーほか, (2011).『異常な契約―TPPの仮面を剥ぐ』, 農山漁村文化協会.の、ポール・G・ブキャナン(Paul G. Buchanan)氏の第5章「TPPと安全保障」が見られるだけである。ブキャナン氏の論文も、基本的には、各国の犯罪事情にいかなる影響が生じうるのか、という疑問に回答を与えてくれるものではない。交渉国が拡大する以前においても、治安に対していかなる影響がありうるかという検討が追究された様子はない。防犯設備産業に関連する規格が各国で異なる上、警備業も相当程度異なりうるにもかかわらず、である。もっとも、セキュリティ産業と規格に対するTPPの影響については、自分が不勉強であるだけという場合も、強く疑われる。万が一にではあるが、中立的な観点から詳しい検討が加えられたことがあるやもしれない。

なお、TPPに対する私の現在の考えは、一般の研究者に対して案文が公開されておらず、また契約締結までに十分な時間がない以上、検証しようがないものであるため、(法に代表される社会環境も環境だとみなして、)予防措置原則に基づき、締結すべきでない、というものである。政府の公式のウェブサイト等において、上掲の四分野に対する影響が十分に検討された形跡は、まったく見られない。また、リークされた案文にもとづき批判がなされるという現状は、健全な状態からはほど遠い。

#私の学問上の信条からすると、予防措置原則は、万能ではない研究者(科学者)が一つきりしかない地球環境に手を加える以上、守っておいた方が無難であるという点で、すぐれた方針である。学問上の信条という語法は、矛盾するかのようであるが、私の中では、現在の科学が時間を逆行できるだけの技術をもたらしていない以上、一応納得済みの語法である。

2015年10月16日10時45分追記

ISDS条項が正確な表記であるとする日本語文献はいくつか見られるが、実は、わざとISD条項と表記してあることに注意されたい。私の検索が不徹底なのかもしれないが(棒)、正確な用語を確認しようがないからである。条約であるならば、下記リンクから1リンク以内に条約の案文(の経過)を掲載して欲しかった。

TPP政府対策本部
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/

2015年9月23日水曜日

フォルクスワーゲン車の不正について(感想文)

不正発覚のフォルクスワーゲン株価大幅下落 NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20150922/k10010244221000.html

#以下の文章は、感想文に過ぎない。衆目に耐えうるものとするためには、せめて、わが国における耐震偽装、耐火性能の偽装や食品の産地偽装と併せて考える必要があるし、標準や規格の機能までに目配りする必要がある。アメリカにおける他国の自動車産業という(私にとってはまったく知らないとして良いほど濃ゆい)要素もある。
  1. フォルクスワーゲン社の不正は、世界各国の基準に対して図られた可能性が指摘されている。わが国に限定すると、同社が環境性能の優秀さをうたって自社製品を販売していたとすれば、その行為は、その行為に限れば、詐欺罪に該当するであろう。
  2. しかし、本事件は、企業犯罪として扱うよりも、まず最初に、国際関係によって説明されるべき事件であり、その検証なくして企業犯罪として扱うことは、より重要な論点を見落とす虞のある内容である。アメリカのNSAが不正な方法でドイツ首脳や主要企業を盗聴していたことが明るみに出され、これに対してドイツ(連邦)政府が抗議したという経緯がある。本事件は、この経緯から生じた可能性が高い。
  3. 今後、日本国民の財産を守る上では、不正の発見から公表に至るまでの関係者・経路を明らかにすること、直前までのVW社の株式の売買状況、の二点を確認すべきである。本事件は、不正な手段で入手した(=NSAの盗聴)不正に関する情報(=VW車への不正機能の実装)が、国内の刑事裁判において証拠採用できるものとはならずとも、全世界的に、無関係な民間人に経済的な損害を与えつつ、民事上の責任を不正な行為を犯した企業に対して与えることができることを示す実例である。本事件は、ある国(ここではアメリカ)における法の適正な執行(不正の公表)が他国民(ドイツやわが国)の利益を不当に損なう可能性を、現に示すものである。本事件において、仮に、本事件の発表が、アメリカ国民のみがVW株をいち早く売り抜ける上で有利な時間帯に行われたとすれば、それは、関係者が世界中にいる以上、公正さからは遠いこととなる。(この論点もあるために、私は、本事件を国際的な観点から検討されるべきことであり、一企業の犯罪として扱うことは不適当であると考える。)
  4. とはいえ、わが国政府は、本事件を不問に付さざるを得ないであろう。今になってみれば、本年3月中のメルケル首相の訪日は、福島第一原発事故を終息させるよう現政権に申し入れることが目的のひとつであったとも考えられるが、わが国政府は、まったく事故の収束に力を入れているように見えないためである。考えすぎかもしれないが、わが国政府がNSAの盗聴事件について不問に付したことは、日本企業に対する脅しを躱す狙いがあったのかもしれない。

2015年9月25日追記

日本国内では正規デーィラーが取り扱っていないとの報道もある(『読売新聞』2015年9月24日朝刊2面「VW不正 悪質な手口」サブ記事「日本への影響 限定的」)。タカタ社のエアバッグのリコールは、事故が先行しており、本件不正の発覚とは、経路が異なる。トヨタ社の運転席マット?に対する訴訟とも、経緯が異なる。ドイツ紙※1によるとBMW社の不正を発見した米NPOとは、ICCT※2のようだ。VW社の事件は、タカタ社の事件とは大きく異なり、またトヨタ社に対する訴訟が国内法に準じた形で進められたこととも異なり、米国内での厳正な捜査の結果が思わぬ余波をもたらしうるにもかかわらず、その発覚の端緒がアンフェアである可能性が高いという点で、ほかの事件と異なる。いち日本人から見て、タカタ社の事件は大いに追及してほしいし、トヨタ社の訴訟も法の枠内であるので許容されるのだが、VW社の本事件は、いろいろ納得いかないのである。仮に、日本企業が不正をしており、それを発見していたとするなら、それも同様に追及するのが筋の通った態度であり、米国の国益にも適うのではなかろうか、と私には見えるのである。本事件で選択的な行政機能が発揮されたものと仮定すると、米国のフェアネスに疑問が呈されることになるが、そのような事態は、私の目からすれば、長期的に見て割に合わないことである。

※1 AUTO BILD: Auch BMW-Diesel überschreitet Grenzwerte - autobild.de
※2 The International Council on Clean Transportation | ICCT

2015年9月25日8時27分追記

発覚の端緒は、本日の朝日新聞朝刊によると、欧州の非営利団体がウエストバージニア大学の研究チームに環境性能の計測を依頼したことによるという。非営利団体の名称と主な資金関係まで把握しなければ、納得して上記2.の記述を訂正することができないので、事態の全容が判明するまで、記述の訂正をしばらく保留したい。なお、前出のICCTは、ウェブサイトの説明から、Hewlett-Packard社の創業者たちの創立した財団と関係が深いことがうかがえた。ただ、私には知る由もないが、仮に、環境テストが実施された経緯がほかの米独二国間関連の活動とは無関係に実施され、その結果の公表までの経緯においてウィキリークスの暴露が引き起こした両国の緊張関係が考慮されなかったとするならば、国際関係は、案外簡単なものなのだな、とも思う。つまり、EPAによる公表までの段階において、二国間関係が考慮されないわけがないだろう、と私は考える。VW社に続いて、ドイツ生まれのBMW社まで不正に手を染めていたというマスメディアによる報道の流れは、米独関係に微妙なものがあり、VW社の不正の公表は、その関係にも利用されているという、私の見立てを補強するに足る材料である。

2015年9月28日7時58分追記

デイリーメイル紙によると、メルケル首相は(今)夏頃に不正を知らされていたのではと、(ドイツの)緑の党が追及を始めたという。発覚後の現在、本不正は、政治や国際関係まで影響するものになっている。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-3246844/Did-Merkel-cover-Volkswagen-scandal-car-maker-s-boss-quits-German-leader-accused-accepting-trickery-wink.html
事件の余波が国際関係に影響するということは、事件の態様や規模からして、ごく当然のことである。ドイツ連邦政府としても、わが国におけるダイエーやJALのように、"Too big to fail"ということがあるだろう。
他方、私が上の2.で主張したかったことは、不正がVW社の関係者以外に察知されたという経緯そのものに、国際関係上の不正や軋轢が存在していたのではないかという疑惑である。このため、依然として調べてもいないが、2.についての当否は依然として保留したい。

2015年9月18日金曜日

救急搬送者数(メモ代わり)

#以下、メモ代わりなので、整頓されていません。あしからずご了承ください。ただし、出典がすべて分かるように、リンクだけは用意してあります。英訳は、私訳であって定訳を確認していません。
# This article is just a note.  English translation is by the author: it is just a casual one and further confirmation is being required.

  1. 平成27年3月31日 総務省消防庁 報道資料『「平成26年の救急出動件数等(速報)」の公表
    Fire and Disaster Management Agency, 2015 Mar 31th, press release "Number of ambulance dispatch in 2014 etc. (bulletin)"

表2:救急出動件数及び前年比増減率の推移
Table 2: Number of ambulance dispatched and (percent) change from the previous year
年間件数
numbers dispatched in the year
前年比
change from the previous year
増減率
percent change from the previous year
平成15年 2003 4830813 274932 6.0%
平成16年 2004 5029108 198295 4.1%
平成17年 2005 5277936 248828 4.9%
平成18年 2006 5237716 -40220 -0.8%
平成19年 2007 5290236 52520 1.0%
平成20年 2008 5097094 -193142 -3.7%
平成21年 2009 5122226 25132 0.5%
平成22年 2010 5463682 341456 6.7%
平成23年 2011 5707655 243973 4.5%
平成24年 2012 5802455 94800 1.7%
平成25年 2013 5911281 108826 1.9%
平成26年(速報値) 2014 (value for this bulletin) 5982849 71568 1.2%





  1. 平成22年度 救急業務高度化推進検討会 報告書
    Preliminary Committee Report on promotion of development of ambulance tasks in FY 2010 
  2. 同上 第8章 救急搬送の将来推計 (消防救急業務高度化.indd - 8.pdf)
    Ibid., chapter 8, estimates of ambulance transpotation (消防救急業務高度化.indd - 8.pdf)

上記報告書の第8章170ページの図8-7の補足には、
人口総数の推測値は「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12月、社会保障・人口問題研究所)」を使用した。なお、2015年以降の将来推計は、救急搬送率と推計人口を用いて算出したものであり、今後の搬送率(救急車の利用率)の変化や社会情勢の変化等は考慮していない。
とある。




  1. 平成27年1月22日 東京消防庁 報道発表資料『平成26年中の救急出場件数が過去最多を更新~救急車の適正利用にご協力を!~』
    Tokyo Fire Department, 2015 Jan 22th, press release "Number dispatched in 2015 hit the max: we need your cooperation!"
  2. 統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103
    Portal Site of Official Statistics of Japan GL08020103
  3. 日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)|国立社会保障・人口問題研究所
    Estimate Population by Areas in Japan (Works in 2013 March), National Institute of Population and Social Security Research.
  4. 上掲推計人口より「男女・年齢(5歳)階級別の推計結果(都道府県)」
    Ibid., Result of estimation by gender and five-year cohorts (by prefectures)


以上の出典をまとめた表が以下。
The table below is excerption from sources [2] to [7].
全国人口(2010) total population in Census 2010, Japan(2010) 12719万人 127.19 million
全国出動件数(2010) total number of dispatched ambulance, Japan(2010) 5463682件
全国推計人口(2015) estimated total population by National Institute of Population and Social Security Research in 2013 Oct., Japan(2015) 12545万人 125.45 million
全国出動件数推定(2010年度に2015年次を推定) estimated total number of dispatched ambulance by a council at Fire and Disaster Management Agency in 2011 Mar., Japan(2015) 560.3万件 5.603 million
東京都推計人口(2010年国勢調査を元に2015年次を推定) estimated population in Tokyo by National Institute of Population and Social Security Research in 2013 Oct.(2015) 13349453人
東京都国勢調査人口(2010) total population in Census 2010, in Tokyo Prefecture(2010) 1315.9万人 13.159 million
東京都出動件数(2014) number of ambulance dispatched in Tokyo(2014) 757609
東京都出動件数(2013) number of ambulance dispatched in Tokyo(2013) 749032
東京都出動件数(2012) number of ambulance dispatched in Tokyo(2012) 741702
東京都出動件数(2011) number of ambulance dispatched in Tokyo(2011) 724436
東京都出動件数(2010) number of ambulance dispatched in Tokyo(2010) 700981
東京都出動件数(2009) number of ambulance dispatched in Tokyo(2009) 655631
東京都出動件数(2008) number of ambulance dispatched in Tokyo(2008) 653260





以上から、簡単に考えたことをとりとめなく記す。なお、報告書本体を性根を入れて読んでいないので、推計モデル等については(、研究者としてあるまじきことと承知しつつ)、何ら勉強していない。

  1. 全国の出動件数は、30万件以上、推定値よりも増加。
    • この点は、小学校二年生以上の日本人ならば、誰でも理解できるはずのことである。なので、この点に依拠して、救急患者が激増しているという結論に一足飛びに至る者が多いというのは、ありうることである。しかし、問題は、出動件数は、将来の人口にも、ひいては将来の出動件数にも影響を与える統計であるということである。
  2. 出動件数が増加することにより、次年度以降 、人口に正負いずれの方向の影響を与えるのかは、一概に決定することができない。「予想を超えて救急搬送数が増加しているという命題を検証するためには、病院で亡くなった患者数を把握した方が良い」というのが当座の結論。
    • 出動と患者の状態とは、関係があるはずではあるが、二元表を作成して検討すべき内容である。
    • 「出動したので救命できた事例」が増加すれば、将来の人口減少には歯止めをかけるはずであり、この効果が最も顕著なもののように思われる。
    • 「出動する前に急に亡くなる事例」は、明らかに将来の人口と搬送数の両方に負の影響を与える。
    • 出動件数の予想以上の増加が人口に負の影響を及ぼすと仮定することは、正の影響を及ぼすと仮定することに比べれば自然である。この仮定が正しければ、一時的な出動件数の増加は、後の出動件数を減少させるはずである。
    • しかしなお、出動件数の予想以上の増加が人口減少に歯止めをかけると考えることは、自然なことである。
  3. おそらく、報告書のモデルは、詳しく読んでいないのでどう推計したのか把握してないが、次の要素から成るはずである。これに対して知りたい命題は、近年の救急搬送者数が予想されたよりもヤバイことになっている、というものである。
      1. 年代別人口
      2. 2010年時点の、年代別救急搬送者数
      3. 2015年の年代別推計人口
  4. あるいは、ここで下手に難しいモデルを考えたことを捨てて、分析したい年までの間、たとえば、2014年を分析したいとして、2013年までは、「人口がすでに予想されたよりも減っている、あるいは異なった人口構成になっている」ことだけを検証した後、2014年については、2010年時点の搬送率と、2014年に推計された推計人口確定数(総務省統計局によるものを利用し、社人研のものは利用しない)によって推計するというのは、まあまあ良い考え方を提供できるかもしれない。社人研の人口予測よりも推計人口自体が減少していること、それにもかかわらず2010年の搬送率により推定される出動件数よりも大きな実数値を得ていることが示されれば、何かしらの問題が生じているものと指摘してかまわないように思われる。この点、定住人口の減少した福島県で救急搬送数が増加したという福島民報?の報道は、重く見るべきである。

Googleの鬼怒川水害における衛星写真提供に対する識者等のコメント等について

Abstract: There is a news wire by Nikkei Business Online (link below) that tells Google map satellite image beats the map provided by Japanese Government Crisis Management Team.  However, it seems to be desirable for Google to refrain from putting the article to the top of search results when searching words "Kinugawa flood" and "timeline", to make good relation with public sectors in Japan.  Japanese crisis management system may require update as the U.S. military services evolved on the concept 4CI.

#Googleサービス傘下のBloggerのブログ内で本件に言及するのは、中立性が保たれていないのではないかという懸念を読者に持たれる可能性があるのですが、本件について、ここに記された以上の含みを有するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。

下記、日経ビジネスオンラインの記事が人気のようです。

情報収集衛星、鬼怒川水害でグーグルにKO負け:日経ビジネスオンライン http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/091400001/

下記ニュースコメントサイトでは、堀江貴文氏が民間委託は世の流れだとか、オックスフォード大学で仕込まれた立命館の准教授の琴坂将広氏が似たようなことを述べていたりします。

情報収集衛星、鬼怒川水害でグーグルにKO負け
https://newspicks.com/news/1157364/

琴坂氏のコメントは次のとおりです。
これは良記事。
時代が変わり、情報通信衛星の意味や価値も大きく変わった。年間一千億円を投じるとしたら、未来に向けて違うカタチがありそうなのは間違いない。

しかし、彼らは危機管理の基本である一国自前主義(これは私の造語ですが、たとえば佐藤優氏のいう「インテリジェンスに友人なし」を指します。)という原則を知らないか、忘れているか、わざと無視しているかのいずれかです。宇宙産業に投資している商売人である堀江氏が民間委託を推奨するのは当然だし、どんどん主張してもらってかまわないのですが、琴坂氏がこのような発言になるのは、日本国民全体の利益を考慮すべき日本人(でないかもしれませんが)の有識者の本分から外れることであり、残念です。立命館大学は、政府の危機管理分野にも一部関与していますが、その人たちの努力に水を差す形になっていると思います。誰のために仕事をしているのか、社会に深く関わる学識経験者と呼ばれる者は、それなりに注意しつつ、発言することが求められるはずです。以上は、有識者等の意見に対する私の意見です。


私自身のGoogleのサービスと政府の公開状況に対する意見を以下に示します。大きく二点あります。まず、一つ目に、単に、高精度の衛星写真上に大量の情報を掲載し、それらの情報を快適な速度でユーザに配信できるGoogleのサービス水準は凄いなあ、と思います。この点こそが、Googleの強みであると思いますので、後ほど触れることにします。

二つ目の私の意見は、衛星写真の解像度は現場の指揮者にとってはそれほど問題ではなく、高解像度の映像と地理関係との対応関係を瞬時に確定できれば、むしろその方がどれだけありがたいことかと感じられるのではないかというものです。この二つ目の意見は、実用化に向けて研究開発が進められている技術のはずですから、今後に期待しているところです。

今現在(2015年9月)、Google(および提携先の情報ハード系企業)を危機管理上のソリューションとして採用することの強みは、Googleの伸長の原動力である検索サービスの優秀さよりも、安定して高速に大量の情報を取得・配信できるインフラにあると思います。本件に即して繰り返すと、衛星写真の解像度そのものではなく、高解像度の衛星写真を載せて数千万人が同時にアクセスしていても快適に大量の情報を送受信できているサーバ性能を確保できていることにこそあるのではないかと考えます。しかし、目下の危機管理における課題は、わが国では大量にスマホ経由で日本語情報が産出されることを期待できたとしても、それを集約し、情報の内容に優先順位を付け、消防・警察・自衛隊・自治体等のリソースを配分する段階にこそあります。軍事研究の本場のアメリカ合衆国で育まれたGoogleに対して指摘することは、大変おこがましいのですが、かつて米国の軍事ドクトリンは、4CIという語に示されるように、情報流通過程の再編(ネットワーク化)を視野に入れてグレードアップされたことを聞きます。わが国の災害対策における情報管理は、この経緯と同形のグレードアップが必要な状態にあると理解するのが適切です。もちろん、Googleのプラットフォームは、その実現を可能とする能力を備えてはいるものの、一般に開放されたGUI群を使う限りでは、具体的なAPIを構想・開発した上で提供していく必要があるように見受けます。


公共機関向けシステム開発では、開発側によるUIの押しつけが常態化していますが、危機管理を担当する消防・警察・自衛隊では、自身の業務に無限責任を負うという覚悟で仕事をする意識が十分に徹底されているように感じられます。そうしたところに、現在のソリューションよりもこちらの方が良いですよ...と押しつける形になることは、少なくともわが国における建前論上は、金と命が等価ではないので、金で攻めると(現場の職員の)命を理由に断られることにつながります。現在のソリューションで腹を切る覚悟ができている(はずの)担当者には、おいそれとGoogleマップを使えば良いと言うわけには参りません。外野がどう思おうとも、今のところ、現場を指揮する者の判断に任せるほかない、と思います。Googleジャパン社の官公庁担当としては、衛星写真解像度については、(私が調べようと思ったのは、「鬼怒川水害 タイムライン」ですが、この検索ワードでトップに日経のニュースが来てしまうような調整は行わず、)控えめな宣伝に留めておいた方が、将来、担当者側からの好意的なコンタクトを期待できるはずだと思います。

また、なおのこと、そうしたときに、日本国政府が自前で危機管理上のソリューションを用意することに対して、有識者たる者が、金額の大きさだけで批判を加えることは、行政の危機管理担当者の業務の難易度を高めることになり、ひいては、国民の生命および財産を危険に晒しかねないものとなると同時に、どこの営利企業と裏で結託しているのやら、という疑いを抱かせることになるものと考えます。

まとまりがないのですが、ブログにおける自分のポリシーを遵守した範囲内での私の意見は、とりあえず以上です。

2015年9月19日 08:12JST 追記

上記時点で「鬼怒川水害 タイムライン」で検索したところ、トップ3は以下のとおりでした。
順番からしても、今後の水害対策を考察する上で、有益な順に情報が並んでいると考えます。
(私は、下記3件の並びには、本エントリーの執筆を除けば、関与していません。)
検索結果が改善されていく、というところも、Googleの、ひいてはアメリカのエンジニアリング上の哲学の強靱さだと思いました。
  1. 今回の鬼怒川大水害の被害を大きくした原因を考える!※9/13 ...
    sciencecity.tsukuba.ch/e280377.html
  2. 鬼怒川大水害 これは偏った治水政策が招いた「人災」だ!
    https://newspicks.com/news/1157433/
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2015年9月17日木曜日

JR東日本における本年8月の連続不審火事件の容疑者逮捕について

#誰も見ていないようなので、寂しくなり、3ヶ月ほど放置してしまいましたが、JR東日本敷地内における連続不審火事件の容疑者が逮捕されたとの報道があり、本事件自体は終息する見込みが高いものと思われましたので、本事件の容疑者の逮捕を区切りとして、専門家としての意見を述べておきたいと思い、更新することにしました。

本事件の容疑者の犯行の動機は、桐生正幸氏がNHKの18時台のニュースのインタビューに回答した内容(つまり、不満の発散)とは異なり、通常の連続放火事件の枠を超えて扱うべきものである可能性が残されている。実際、報道記事の多くが「連続放火」ではなく、いまだに「不審火」という表現を用いており、これらの報道機関の表現は、本事件が一種のテロ事件であるという可能性を見越したものであると解釈するのが適当である。私も、テロ事件としての可能性を見越した捜査が行われることが適切であると考えるとともに、本事件を教訓として、テロ対策を含め、今後の犯罪対策が着実に進められることを期待している。JR東日本の安全担当者にとっては、定時運行、安全運輸が優先順位の首位を占めることはもちろんであろうが、今後の数年間、悪意により起こされる事件に対する備えこそ、積極的に進めてほしいものである。実は、昨年から今春までの間に、オリンピックに向けて本格的なテロ対策が必要であることをJR東日本グループに所属する複数の人物に人を通じて忠告したことが二度以上あるだけに、本事件までの担当者の感度が鈍く、また報道による限りではその印象が今も拭えないことは、返す返すも残念なことである。幸い、報道による限り、本事件は人的被害に直結していないようである。本事件を機に、安全対策を十分かつ確実なものに拡充することを期待する。(蛇足であるが、地下鉄サリン事件を通じて、東京メトロは、比較的、この種の対策に関心を払っていることを聞いている。また、地下の路線は、本事件のような一匹狼による犯行を比較的防御しやすい環境にあると考えて良いであろう。)

ところで、唐突であり、私の専門分野から外れることであるが、本事件がテロ事件であるかという可能性を探ることができ、かつ、報道可能なポイントは、容疑者に妻子がいるかどうかであろう。捜査関係者には、この点を丁寧かつ十分に調べてほしい。妻子の有無という事実関係は、容疑者の行動の背景が複雑なものであるかどうか、それとも、容疑者のSNSに示された日本国内における生活から受ける印象のような組織色の薄いものであるかどうかの判断基準となりうる。仮に容疑者が犯人であり、かつ、彼に妻子がいたとすればであるが、本事件をテロ事件だとして対策に資源を注ぐことは、回り回って大多数の日本国民の利益に適うものとなる。(この結論に至る論理と、この点から派生する課題は省略するが、これらを要望される方は、直接ご連絡いただきたい。)

桐生氏の専門分野(ここでは、動機の解明)に踏み込むことを承知で、容疑者の身上についてもあえて言及することは、私自身の考える専門家としてのルールに違反するが、「本事件を多くの可能性を含めたものとしてとらえ、テロ事件をも見据えて今後の安全対策を進めるべきである」という主張のために必要なことであった。というのは、本件不審火を専門家が単純な連続放火事件に落とし込むことは、次に生じうる事態への備えを阻害するためである。本事件を一個人による単独事件としてのみとらえると、「今後このような特殊な事件は起こらない」といった矮小化もが肯定されかねず、ひいては、実務家(JR東日本の警備業務委託担当者や警備業務受託企業等)が現状に留まることを黙認することになりかねない。反対に、本事件にテロ事件の含みを残してこそ、テロ対策を所掌とする諸関係者が今後の対策に関与し続ける理由が確保できる。いずれにしても、桐生氏の専門家としての今回の説明は、「大きく構えて小さく納める」という、佐々敦行氏の指摘する『後藤田五訓』のひとつにも反しており、かえって公益を損なう内容である。犯罪対策を的確に進める上で、今回の場合には、考えられる動機の範囲を広く取り、事件の性格を把握することはもちろん、対策も広く構想すべきである。

私は、専門家や実務家が定められた各人の持ち場・守備範囲をしっかり守っていたならば、事件・事故の際、免責されるものと考えるが、しかし同時に、事件の経緯、JR東日本の資源・重要性等を考え合わせると、JR東日本の犯罪予防業務の担当者に課せられた業務内容自体は、今後、現状よりもJR東日本という企業にふさわしいものに向上させる必要があるものと考える。犯罪の素人が単独でこのような連続放火事件を起こし、複数回にわたり鉄道の運行を停止させ得たとするならば、犯罪のプロ集団ならばどれほどの被害となったのやらと想像することは、誰にとっても自然に思いつける。(本事件では、過激派グループによる伝統的な犯行によるという線も、もちろん検討されたことであろう。)仮に、本事件を受けて従来の対策をJR東日本という人員と資源に恵まれた大企業が改善しようとしなかったとすれば、次の事件の際、その不作為の責めを受けることはやむを得ないであろう。もちろん、わが国において公共安全という分野で禄を食む者が本事件を重く見なかったとすれば、程度こそあれ、私を含めて、同様に不作為・無能力の責めを負うことになる。

本事件が一種のテロ事件であるかどうかにかかわらず、本事件から学習した潜在的な犯罪者は多数生じたであろうから、今後の同種の事件への対応は、予算上は経営判断が必要な程度の課題と化しており、また、国内外の犯罪予防関係者とのより緊密な連携・協力を必要とする状態が生じている。品川における事件の対象となった施設は、おそらく、重要施設であったがゆえに、逮捕の決め手となった防犯カメラが警備業者により設置されていたのであろうが、JR東日本も警備業者も営利企業であるから、民間に任せきりでは、おそらく、警備体制が一気に拡充されることはないであろう。かと言って、警備体制が現状程度であるならば、次の類似事件は、まず確実に予防できない。加えて、有楽町駅近くのぱちんこ店から出火した火災や、王子駅近辺の飲食店街から出火した火災、最近では京浜東北線?沿線の住宅火災などで明らかになっていることであるが、鉄道の円滑な運行には、相隣関係がそれなりに重要であるにもかかわらず、この点は、現在まで、それほど重要視されてはいない。(蛇足であるが、私が大学で学んだ都市工学は、この相隣関係や、ネットワークという観点に重点を置く分野でもある。)

日本社会がここ数年以上の大きな変動を経験しない限り、東京オリンピックの安全かつ円滑な開催に向けて官民が対応すべき業務は、社会のリソースを目一杯使い切る程までに、広範かつ深刻な状態で存在する。オリンピックの開催という大事業は、先進・成熟した社会にとっては、慎重な社会配分を必要とする難事業である。ロンドンオリンピックでは、移民や労働者階級が労働力としての緩衝材となり、需要が一段落した後には社会不安要因としての扱いを受けるなど、公正な社会という観点から見て、問題のある処遇を受けたという経緯がある。本事件については、容疑者の動機に着目するよりも、事件後の対策に注力すべきであること、社会における資源および負担の適正配分まで含んだ対策を考案・実行すべきこと、という二点に配慮した指摘をなすことが、わが国の公共放送に出演する学識経験者たる者の本分である。