2015年10月14日水曜日

テロ対策特殊装備展2015について(感想文)


ビッグサイト遠景

 差し障りのないと思われるレベルで、雑感を記すこととする。つまり、以下二つのリンクから閲覧可能な情報に限り、事実を記すこととする。それ以外は、私の感想に過ぎないので、その点を含まれたい。

セミナー・プレゼンテーション | テロ対策特殊装備展(SEECAT) <国内唯一のテロ対策専門展>
http://www.seecat.biz/seminar/

出展者検索・一覧 | テロ対策特殊装備展(SEECAT) <国内唯一のテロ対策専門展>
http://www.seecat.biz/search/

 外国の公的機関が主導するブースとしては、英国、イスラエル、米国のものが設けられていた。以前にも(数度)見学したことがあるのだが、各国ブースの雰囲気や熱心さは、前回から様子が変わるところはなかった。その活動のスタイルには、各国の特徴が表れているように思った。英国とイスラエルは、チームを組んで来ている一方で、米国企業は、日本にそれなりの規模の支社等を有することもあり、民間主導であった。ご説明いただいた企業の社員の方々の専門性には、バラツキがあるやも知れないという印象を受けた。各社のソリューションに向上の余地があることを示す傍証かも知れない。

 SEECAT内の参加企業は、カメラソリューションや各種装備を主軸とする中堅メーカーが多いように見受けられたが、通信インフラを基礎とするソリューションを提供する企業も見られた。SEECAT内には、危機管理産業展に競合他社のブースがある企業もいくつか見られた。両展示会は、研究者にとって、敷居の高さが格段に異なるので、各社の出展戦術が吉と出るか凶と出るかは、もしかすると、研究者の公正な評価がカギとなるかもしれない!そうなるべく、自身の専門性も向上させていきたいが、「研究者の...しれない!」というくだりは、冗談のつもりである。

 もったいないことがあるとすれば、それは、オリンピック開催に際しての心構え(スキーマ)や、幅広い視点の養成法こそ、上記の三か国から吸収できることであり、そのためにこそ、国や企業は多くの費用を支払っても良いにもかかわらず、その種の情報を交換する場として本展示会が使われていないように見えたことである。本展示会は、もちろん、民間同士の交流や官庁の公共調達のために欠かせない機会ではあるものの、それにプラスして、オリンピックに関与する民間の担当者が、意識を一段向上させるまたとない機会であるべきであろう。私は、会場を一巡してみて、安全の確保は官公庁の役割であり犯すべきでない縄張りであり、物資やサービスの調達だけが民間の役割であるかのような雰囲気を感じた。この印象が本当だとすれば、大変にもったいないことである。開催者と各国関係者がバックヤードで情報交換していることは、十分に予測されることではあるが、バックヤードに関与できる人材だけで十分な安全を担保することは、およそ不可能である。オリンピック待ったなしとなった2015年の時点において、ここ半年だけでも、至るところで公的機関あるいは、災害対策基本法に指定された指定公共機関において、多数のお粗末な事例が見られることは、本ブログにも記してきたとおりである。


 その点が端的に表れた事例が、イスラエル大使館によるセミナー「ドローンの探知と対策」であると、私は思う。同セミナーでは、民間人を含めた誰もが操縦可能なドローンという脅威が的確に分類され、対策が提示されたが、その内容は、公式の場における日本語の既出のものとは、比べようのないほど洗練され、簡潔で、分かりやすいものであった。その背後には、おそらく、わが国におけるドローン対策にかけられた労力の数十倍以上の労力がかけられ、(わが国の関係者よりも数段)高度な知性が関与したであろうと思われる。そして、現地情勢についての評価を含めるつもりは毛頭ないが、ドローンが(パレスチナ自治区との)壁や(他国との)国境を越える攻撃の手段として用いられはしまいかという切迫感と、そこから生じた覚悟こそが、イスラエルにおけるドローンの探知と対策に係る理解の枠組を飛躍させた原動力であろうと推測される。日本国内におけるドローンに係る議論が偏っており、足下にも及ばないということは、私にも明らかに分かることであった。

 最後に2点、落ち穂拾いと苦言を追記しておきたい。登録時に「学術研究機関」がない!というところにびっくりした。私の身分は、みなし公務員(の端くれ)なので、「国・自治体」を選択して登録したところ、あっさり認可された。この対応には、警察官僚たちの「研究者は皆サヨクか友達の友達は何とやらか」くらいの認識が透けて見える。いくら秘匿性が高くなる種類の産業であろうとも、的確な方法で透明性を確保できなければ、セキュリティ産業は、自らの基盤である社会からの信頼を蚕食することになる。何人かは研究者のファン?を確保できなければ、そしてその研究者も社会から信認を受け続けなければ、セキュリティ産業は、暴力団と社会的機能における境目を失いかねないのである。もう一点、危機管理産業展の登録作業では、「学生」というカテゴリがあったが、そのためか、なぜかテロ対策特殊装備展の職業欄でも「学生」というカテゴリが選択できるようになっていた。私には、このような作り込み状況を少々心配なものとして見てしまった。これらの社会的分類に係る理解の枠組の貧弱さは、「社会を構造化して理解する」能力を反映した結果である。そして、イスラエル国民の知性は、先に見たように、結果として、不確定要素の多い事象を相手とするセキュリティ産業の強さにも反映されているのだが、翻ってわが国はどうであろうか。問題を的確に把握しているのか。最高度の知性を結集したのか。全力を尽くしたのか。

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