2018年10月15日月曜日

(メモ)ソフトバンク株の急落(2018年10月15日)

ブルームバーグ[1]やロイター[2]は、アドナン・カショーギ氏のであるジャーナリストのジャマル・カショーギ(Jamal Khashoggi)氏が在トルコ共和国サウジアラビア王国総領事館内で殺害されたとされる事件を受けて、ソフトバンク株が急落していると伝えている。2018年10月15日(月)の日経平均株価は、ソフトバンク(9983)やファーストリテイリング(9984)が、午前の寄付直後から大きく売り込まれ、これら値嵩株の影響を被り、下落した※1。これら2銘柄は、本日、とりわけ念入りに売り込まれ、指数プレイの出汁にされたといえるのではないか。

「サウジアラビア王国関係者が犯人だ」と言わんかのような殺人劇を通じて、サウジアラビア王国に対して汚名を被せ、トルコ共和国との過剰な緊張関係を生じさせ、その影響の名の下に、アメリカへの投資も宣言しているソフトバンク株を急落させることによって、誰が得をするのであろうか。ソフトバンクの株価そのものは、とんだとばっちりである。悪影響は、それのみに留まらない。同社株が、日本の株式証券市場を代表する銘柄であるためである。

サウジアラビア王国において、権力闘争があることは事実であろうが、これらの事件をあたかも同国を専らの犯人であるかのように報道することは、日本経済全体に対する重大な挑戦と了解することも可能である。ソフトバンク株の下落を受けて、値嵩株である日経平均株価が連動して下落すると、日経平均株価に連動するETFを通じて、日経平均採用銘柄全体の株価も低下する。サウジの権力闘争の実際を正確に知らせもせずに、ソフトバンクに対する不安感を煽るだけでは、単一銘柄の株価の不正操縦に留まらない波及効果が生み出されることになる。サウジアラビア王国に見られるようなネポティズムに係る報道は、誰と誰が組んでおり、権力を掌握しているのかの分析と、事件の真犯人と下手人が誰であるのかの追及までが併せられなければ、いたずらに投資家の不安を煽るだけに終わる。わが国でも、真のジャーナリズム魂を有した人物は、相応の危険に晒されている(が、申し訳ない表現ではあるが、株価に影響を与え、一国の経済を傾かせるまでのことはなかろう)。カショーギ氏の「保険」は、サウジ関係者の躊躇を生まなかったのか。他国の介入は、単に通信傍受のみなのか。これらの疑問が追求されてもいないという事実を鑑みれば、マスゴミの影響力は、総じて、悪い方向にしか機能しておらず、命を張る(ごく少数の)同業者や彼らの安全を軽んじているとしか言いようがない。


※1 『株探』のウェブサイト[3]から、日経平均の当日引け後の当該の寄与度上位5銘柄を下に示した。

コード銘柄寄与度
9983ファストリ -93.73
9984ソフトバンク -80.56
6367ダイキン -17.78
4543テルモ -16.3
4911資生堂 -10.11

[1] ソフトバンク株が急落、サウジ記者の行方不明問題への懸念増大 - Bloomberg
(古川有希・中村友治・Peter Elstrom、2018年10月15日14:42JST、更新日時 2018年10月15日19:47JST )
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-15/PGMIEH6S972801

今後のビジョン・ファンドに潜在的なリスク-アナリスト
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[2] ソフトバンクG株が反落、サウジ記者不明問題で売り圧力
(記名なし、2018年10月15日09:44)
https://jp.reuters.com/article/softbank-stock-idJPKCN1MP014

「(記者の行方不明問題について)サウジ政府の関与の疑惑が出ており、株価もネガティブに反応している」(国内証券)との声

[3] 株探 | 株価注意報 - 日経平均の寄与度ランキング
(2018年10月15日16:00)
https://kabutan.jp/warning/?mode=8_1