2015年10月19日月曜日

TPP締結により、わいせつ物と賭博は自由化の対象となるだろう

内閣官房TPP政府対策本部, (平成27年10月5日).『環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要』.(151005_tpp_gaiyou.pdf)
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_gaiyou.pdf

第10章.国境を越えるサービスの貿易
日本は、社会事業サービス(保健、社会保障、社会保険等)、政府財産、公営競技等、放送業、初等及び中等教育、エネルギー産業、領海等における漁業、警備業、土地取引等について包括的な留保を行っている。(p.21)
第10章には、2点の項目が挙げられており、いずれも大変に重要な概念である。

ネガティブ・リスト方式 「包括的な留保」の対象としない分野をすべて自由化の対象とすること
ラチェット条項 自由化の内容を後退させないこと

 これらの材料から、私が治安に多大な影響を与えると先の記事で指摘したもの(銃器、薬物、わいせつ物、賭博)のうち、わいせつ物と賭博については、自由化の対象となると考えても良い。もっとも、問題は、分野を明示する方法がいかなるものであるかという細部にかかっているが。たとえば、ここに示された表現だけでは、公営競技は対象とならずとも、インターネットを利用した賭博は、自由化の対象となるだろう。もっとも、わいせつ物、賭博については、ある意味、現状を追認するという形で落着するかもしれない。
 薬物についてさえ、自由化の影響を懸念する記事をネットで見かけた記憶がある(後ほど調べておく)。まず、薬物を合成・カスタマイズできる器械の販売は、おそらくTPPの締結と関係なしに規制できないであろう。また、3Dプリンタデータの販売で銃器についてのデータが問題になっているが、それよりは問題の性質が穏やかであるカスタムドラッグに係るデータは、加盟国のどこかで合法であるならば、認められるということになりそうである。

 それにしても、ラチェット条項は、多くのリーク等から知られていたことではあるが、上記の解説書に当たる文書には第10章に含まれるとしながら、下記二点の概要を示すという文書には、その記述が見られない。私なら、本文にアクセスできないまま、契約を締結することなど、怖くてできない。

環太平洋パートナーシップ協定の概要(暫定版)(仮訳)
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_Summary.pdf

SUMMARY OF THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP AGREEMENT
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_Summary%28e%29.pdf

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