2015年10月23日金曜日

読売新聞TPP報道(2015年10月23日)と野球賭博(メモ)

 読売新聞の本日1面は、TPP推しの読売新聞らしく、「TPP 門戸解放へルール 食の安全 自国基準維持」※1である。22日に政府が「ルール分野」の詳細を公表したことを受けての記事という。条文案が公開されないままでは、繰り返しになるが、正確な理解には役立たない。しかし、少なくとも、多くの国民が何に興味を向けられているか、マスコミ報道(やインタビュイー)が明確な嘘を吐いていないかどうかを確認する上で、マスコミ報道は役に立つ。

※1 紙媒体に近い記事は、以下のものだろう。
人材やサービスの行き来も活発に…TPP : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151022-OYT1T50137.html

 今回の読売記事では、見出しのとおり、TPPによって、食の安全に係る基準が緩められるということはない、と報道している。GM食品が無表記で流通するといった、一般に懸念されている事態が起こることはないとは政府関係者が発言したわけである。しかし、その発言は、特別な流通経路に拠らずには安全な食品を入手できないという現状を前提としたものである。実際のところ、現状の食の安全に係る法制は、違反に対する運用が甘く、原産地表記についても規制が不十分である。このため、普通の食料品店で買物するときには、消費者は、材料や産地の表記等から、流通する食品の安全性を確認できないのである※2

※2 これを疑う者は、自分で料理の材料を購入するときに、吟味してみれば良い。ガバガバな表現だが、おおむね私の言明が正しいことが分かるだろう。

 読売新聞は、熊本県知事の蒲島郁夫氏が下記見出しのように述べたと報道しているが、蒲島氏の懸念は、現実のものである。この状態をひとつの地方が乗り越えるための方法は、産直という流通ルートを充実させることくらいであろうか。安全に係る情報も流通ルートに乗せてプレミアムを付けるという方法は、たまにインターネット販売で食品を購入する私には、多少は現実的なものに思える。家族との兼ね合いがあり、なかなか難しいものであるが。

 いずれにしても、食の安全保障という観点からみれば、TPPは極端な状態を国民に強いるものである。自由主義経済下では、国民全員が飢えるということはないが、金がなければ食品を購入できないので、緊急時には、いわゆる99%の国民は飢えることになる。TPPの主要相手国である米国では、緊急時が常態化しており、フードスタンプ受給者が国民の数割に達する。政府は、わが国に対する外交上の恫喝手段として食糧が悪用されることのないよう、食糧の備蓄に加え、休耕田等を即時に再開できるようにするなどの計画の実装を、責任をもって進めるべきであろう。

「TPP影響 国難に近い」知事 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20151021-OYTNT50063.html

10月14日(水曜日)宇城市における稼げる農業を語る会(宇城市) / ようこそ知事室 / 熊本県
http://www.pref.kumamoto.jp/chiji/kiji_13211.html

 閑話休題。
 ところで、読売巨人軍の3選手の野球賭博行為が発覚したことが野球界では問題視されているようだが、私としては、本件自体をこれ以上騒ぎ立てることは必要ないと考える。社会的制裁が加えられることでもあるし、おそらく、刑事罰・行政罰も受けることになるであろうからである。実際に、読売グループに対する敵意等から批判がなされているようであるが、このような批判は、社会の注目をより重要な問題から逸らすものとなる。社会的な議論が必要なのは、ブックメイキングの法制化(断じて非犯罪化ではない!)である。

 カジノ法制化については、カジノ議連などもあり、木曽崇氏のように社会的に認知されている論者もおり、少なくとも社会の一部が意識して枠組づくりを進めている。ブックメイキングはそうではない。以下の表は、私が手習いのために、下記ウェブサイトから、ブックメイキングサイトがどの国の法制に従うのかを示した部分を確認したものである。英国のブックメイキング熱は、周知のものであるが、その影響がブックメイキングサービスの提供国にも表れているようである。TPP参加国のうち、カナダ・オーストラリアでは、ブックメイキングを許可している。

Find Bookmakers | Top 100 Bookmakers
http://www.top100bookmakers.com/find-bookmakers/

Alderneyオルダニー島(王室属領であるガーンジー代官管轄区の自治体)
Anjouanアンジュアン島(コモロ連合の構成体)
Antigua and Barbudaアンティグア・バーブーダ
Armeniaアルメニア共和国
Austriaオーストリア共和国
Belizeベリーズ
Costa Ricaコスタリカ共和国
Curacaoキュラソー島(オランダ王国、カリブ海)
Estoniaエストニア共和国
Gibraltarジブラルタル(スペイン)
Irelandアイルランド
Isle of Manマン島(王室属領)
Kahnawakeカナワク(カナダの先住民保留地)
Maltaマルタ共和国
Northern Territoryノーザンテリトリー(オーストラリア連邦の準州)
Panamaパナマ共和国
Philippinesフィリピン共和国
United Kingdomグレートブリテン及び北アイルランド連合王国


 国際的企業にとっては、インターネットを通じて、これらの地域でブックメイキングサービスを提供することは容易であろう。これを国内法でどのように整理を付けるのだろうか。私が口出しすることではないが、その検討作業は、遅々として進んでいないように見える。

平成27年10月31日23時追記

津田岳宏, (2010). 『賭けマージャンはいくらから捕まるのか? 賭博罪から見えてくる法の考え方と問題点』, 遊タイム出版. も、英国公文書館の報告書HO 335 - Royal Commission on Betting, Lotteries and Gaming: Evidence and Papersについて、谷岡一郎(1996)『ギャンブルフィーバー』や小林章夫(1995)『賭けとイギリス人』から引用する形で言及している。ここから、どのように他国に参照され、法制が波及していったのか。アルメニア、オーストリア、コスタリカ、ジブラルタル、カナワク、ノーザンテリトリー、フィリピンがポイントか。特に、カナワク、ノーザンテリトリー、フィリピンは優先して確認すべきだろう。

Report (Cmd.8190) Mar 1951 | The National Archives
http://discovery.nationalarchives.gov.uk/details/r/C1441408

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