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2018年3月28日水曜日

(感想文)トランプ大統領は北朝鮮向けの「悪い警官」役を欲したのではないか

でないと、トランプ氏は、北朝鮮から手を引くための「良い警官」役を務められない

これが、2018年4月9日に予定されたマクマスター大統領補佐官(国家安保担当)の退任(3月22日トランプ大統領のツイート[1])、同3月13日のティラーソン国務長官の解任の両件に係る私の解釈である。私事都合のために情報収集をサボっているので、私は、自身の見立てを確実なものとは考えない。(誤りを重ねる危険を冒して)本件に言及した理由は、二点ある。一点目は、本件が、従来の私の見解(2017年5月12日記事)を訂正する根拠となる可能性を指摘することである。二点目は、この拙稿に示した主張の真偽にかかわらず、トランプ氏・マクマスター氏・ティラーソン氏の各人がアメリカに対して忠誠を誓う人物であると見立てたことの正当性を主張するためである。ジョン・ボルトン氏については、良く分からないと述べておく(。これは、単に、私が納得行くまで調べていないだけであるが、巷間の懐疑論者によれば、ボルトン氏は、大抵、クロ扱いされている)。

先に、本件とは直接関係のない話にはなるが、河野太郎外相が昨年11月にトランプ大統領について「良い警官と悪い警官のタッグ(Good cop/bad cop)」の比喩を用いた[2]ことを紹介しておく必要があろう。このバディ(buddy)システムの効用は、最早、誰もが知るところであろうから、説明を省略する。また、米国の大統領制が副大統領との組合せによって同様の効果を生じさせてきたことや、ロシアのプーチン大統領・メドベージェフ首相の体制が類似の構造を有していることは、広く指摘され支持されている社会的事実であろう。先の全人代(全国人民代表大会)において、中国政府も、習近平・王岐山の両氏による体制を明らかとした。例によって、典拠の検索と提示はサボるが、河野氏自身、官邸外交との相乗効果について指摘していたはずであり、この相乗効果が存在するという主張は、間違いなく正しかろう。ただ、この構造について河野氏自身が言及すべきではないことは、冷泉彰彦氏によって指摘されており、この点も、その通りであろう。河野氏は、日本語マスメディアに身を置く人物の中から、自身の信念に協力可能な人物を見出して、彼(女)の口を借りるべきであった。ただ、日本語メディアは、通信社を含めて、一個の企業だけで米国大統領府と世界の動きを理解するための必要十分な情報源とはなってこなかったから、河野氏の発言(あるいは失言)にも理由がない訳ではない。

トランプ氏が部下に自身の本音と異なる見解を押し立てさせながら、その事実を北朝鮮との交渉において利用するという手管は、米国内向けの方法として、有効かつ必要である。金正恩氏とトランプ氏の両者とも、武力行使があり得ないことを理解している。主要関係国のうち、ロシアと中国と北朝鮮の各国については、その関係は、安定的に推移するであろう(と、当事者たちが主張しているかのような、平穏な当局の報道ぶりである)。韓国は、米朝会談への足掛かりを構築した功績を認められてか、北朝鮮との交渉のためか、鉄鋼・アルミニウムともに関税の発動を免除された(が、この優遇措置は、日本との対比においてこそ、日韓両国内の世論を有効に喚起する)。日本は、従来の六カ国協議において、蚊帳の外であり、どの国に対しても、自身の望む影響力を発揮することができていない。以上の雑駁な状況理解を前提とすれば、北朝鮮「問題」の「解決」を左右する要素のうち、多くは、アメリカの国内政治「問題」に所在する。より踏み込んで解釈すれば、北朝鮮の「核配備」を「解決」するための主要課題は、「北朝鮮の現状を追認するようになるまで、アメリカ国内の政治論議・世論を沈静化させること」となる。このプロセスは、アメリカが単独覇権から降りるための儀式とも観ることができる。トランプ氏の腹積もりは、「狂犬」役に吠えさせながら、手綱を引きつつ後退するというものであろう。

以上のように考えると、あれこれ考え過ぎて「狂犬」役に徹しきれない(ようなキャラを故意に演じてきた)穏健派のサイドキック(=脇役的な相棒)であるマクマスター氏やティラーソン氏を、トランプ氏が「クビ」にせざるを得ないことは、アメリカ国内の事情に限定して配慮すれば、当然と言えよう。クビになった人々は、基本的には、皆がその処遇に納得していることであろう(。今後もクビになる人たちは出続けるであろうが、当人たちが戦争屋の走狗ではない限り、同様に納得ずくのことであろう。その割に、ティラーソン氏は沈痛な面持ちであった。が、これが諒解の上であるとすれば、役者として、ティラーソン氏はマスゴミの上手を行く)。クビは、トランプ氏の政治ショーを演出する上で、必要な「犠牲」である。この「犠牲」は、汚名を伴うが、人命が必要とされていない点、ヒューマニズムの極致であるということもできる(。この見立てが正解であるとすれば、両建て構造は、乗りこなされていることになる)。

トランプ氏の相棒は、北朝鮮に対しては強硬派として振る舞いながらも一線を超えず、同時に、国内世論に対しては米国に対する北朝鮮のリスクを冷静に説明しなければならない。上司であるトランプ氏がトリックスターとしてのキャラを確立してしまっている以上、部下である彼(女)たちは、そのキャラに見合うように、ボケとツッコミの役割を目まぐるしく、柔軟に切替えなければならない。昨年冬辺りから台頭した日本のお笑い芸人の若手たちは、ボケとツッコミが目まぐるしく変わる高度な漫才を披露しているが、彼らレベルの技芸がホワイトハウス高官に要求されている。これは、相当に難易度が高いことであり、それがムリなら「クビ」という手がある、となる。なお、河野太郎氏の「トランプ氏=悪い警官」説と私の見解は、真逆のように見えるのであるが、河野氏の発言の根拠がアメリカ国内の情報源から得られたものであり、アメリカ国民向けには部下が「良い警官」として振る舞わなければならないと考えれば、そうそう矛盾するものではない。

トランプ氏の「お前はクビだ(You're fired!)」は、両建てを乗りこなすための手段である。北朝鮮とのチキンレースから降りることは、自分からハンドルを切った弱虫(chicken)であると国民から見られる危険がある。他方、対北強硬派とされる人物に部下のクビを挿げ替えていくことは、なぜか、トランプ氏も強硬派であるような見かけを大衆に与えるという効果を生じさせる(。もっとも、マクマスター氏に対する日本語マスコミの解説は、極めて好戦的というものであったが、この違和感は、私の従来からの主張にとって、有利に作用する)。この結果、なぜか、トランプ氏には、国内向けに切ることのできるカードが増えることになる。本稿に示した逆説は、シリアにおける昨年のトランプ氏の巡航ミサイル攻撃命令と同型である。北朝鮮に対しては、一方的な攻撃を加えることが不可能である。このため、アメリカとしては、国内問題において強行策(に見せかけた方針)を取ることが代替案となる。加えて、北朝鮮との交渉については、アメリカの理念の一つである「他者への寛容」を米国民向けの切り札に使う、という隘路を観取することもできる。「今まで我々アメリカ国民は、北朝鮮政府に騙されてきたが、今一度、恩赦を与えよう」というノリである。

頻繁な更迭劇は、トランプ氏に対しても、クビになった各氏に対しても、黒歴史感・ダーティな印象を与える。しかし、真に国益・国民益のためであることを各人が理解していれば、マスゴミに囲まれたホワイトハウスであるから、純情な陰謀論者の失望を買ったとしても、マスゴミを騙しながら、各人が職分を果たすべきというプリンシプルは、十分に共有されているであろう。この目的の共有という仮定は、高官における「アメリカ・ファースト」のスローガンの有効性によって、オシント使いにも検証可能である。シリアにおけるアメリカ軍の空爆は、このスローガンに対する背信行為であるように見える(が、このようなイレギュラーな事態は、軍の統制が取れていないか、戦争屋による偽旗作戦のために生じたと観ることも可能である)が、それ以外については、相撲で言えば、俵一枚というところであろう。彼ら真のエリートは、戦争屋との政争ゆえに、俵一枚のふりを続けるほかないのであろう。しかし、われわれ下々の者は、「ポスト米英時代」氏の言うとおり、スリルを楽しみながら、カウチポテトでマスゴミの狂騒ぶりを見ていれば良(。日本国内の事情も同様である。日本は、全体としては、TPP11を考慮すれば、強固な国際秘密力集団のフロント兼生贄として機能しつつある。しかし、わが国の与党政治家たちについてはともかく、表に出ない権力者たちは、どこに居を構えるのであろうか。というのも、彼らは、わが国の実力組織とは、本来的には対立関係にあることが十分に認められるからである。この対立関係は、現在の内閣と財務省の対立にも反映されており、実力組織を所掌する省庁は、内閣の側にある)。


ボルトン氏の登用は、国内向けのブラフである、が...。

ジョン・ボルトン(John Robert Bolton)氏の登用は、トランプ政権にとって、北朝鮮に向けて強硬姿勢を示すためのシグナルとして機能するとともに、ボルトン氏本人に対してメディアの矛先を向けさせるという効用を有する。ボルトン氏は、共和党がトランプ氏を大統領選候補に指名して以来、外交政策を指南してきたとされる[3]。ボルトン氏は、イラク戦争へと子ブッシュ政権を主導した一人と強く批判されており、金正日氏に対する暴言でも知られる。当人は元来から「保守」主義者であると言うが、「ネオコン」と表現されることがしばしばである。米国単独行動主義と対になる形の国連不要論で知られ、2005年、国連大使に指名されたが、民主党の議事妨害等により指名を辞退している(が、辞任と表現されている)。

ボルトン氏の就任は、大量破壊兵器の拡散防止の観点において、わが国に影響を与える可能性があり、その場合、福島第一原発事故の真相を考察する手掛かりをもたらすかも知れない。ボルトン氏は、子ブッシュ政権の『拡散に対する安全保障構想』(PSI)成立に尽力したとされる。その実効性や、イラクに対する判定の誤りについてはともかく、である。同時に、ボルトン氏の思想は、主に批判者によって、親イスラエル・ロビーであるとされてきた。このとき、ボルトン氏の指揮下における対日安全保障政策のあり方は、「ボルトン氏の立ち位置」・「福島第一原発事故の真相」・「トランプ政権の戦争屋との力関係」の三要素について、特定の組合せのみが整合的となるという結果を与える、と考えることができる。いかなる意味合いかを、生煮えであるが、提示しておこう。

福島第一原発「事故」後、大量の使用済み核燃料棒の所在は、「陰謀論」者によって、常に疑問視され続けてきたが、この好奇心は、ボルトン氏にも共有される可能性がある。ボルトン氏の登用は、このような日本向けの布石としての意味をも兼ね備えている。3号機の使用済燃料プールは、陰謀論者たちから、早く見せろとツッコまれてきた。3号機の使用済燃料プールの写真(とされるもの)は、偽装のために福島第二原発において撮影されたとも疑われてきた。現実の使用済み核燃料が地下深くに落ち込んでしまっているにせよ、どこか遠い外国に所在して利活用されているにせよ、ここらの機微がボルトン氏のチームによって、利用される可能性は、十分に認められる。わが国の現政権の核武装への意志に対して、ボルトン氏がストップをかける可能性は、マクマスター氏の就任時よりも上昇したと見て良かろう。わが国政府が先方の望む回答を提示することができなければ、イラク戦争は、わが国に対して再現されるやも知れない。この疑いに連座することになる外国政府がほかに存在するのか、という点は、かなり多くの世界の情報機関にとって、かなりの興味を持たれていよう。実際、このような興味を日本人に対して喚起するために、いくつかの国の情報機関は、日本語で情報を提供しているものと考えることもできる。本ブログは、一応、「福島第一原発事故の真相と影響と対策を提出するために、タブー抜きで考究する」という目的を有している。このため、本段落には、「福島第一原発事故の真相」についてだけ、勝手な妄想を付記した次第であるが、この妄想は、ボルトン氏の就任に先立ち形成されたものであるが、氏の就任によって、一層強化されたものでもある


日経は、相変わらず日本国民を偏向させんとするかのようである

なお、アメリカが単独覇権を降りようとする様子に対して、日本経済新聞の古川英治氏は、今月(2018年3月)20日の解説記事[4]において、ロビン・ニブレット(Robin Niblett)氏の言を借りて、暴力が支配する「ポリセントリック世界」が到来したと表現していた。ニブレット氏は、英王立国際問題研究所(The Royal Institute of International Affairs、いわゆるChatham House)所長である。記者が繊細な概念を自身の主張の良いように曲解することは、研究者なら体験したこともあろう※1が、古川氏は、この残念なカテゴリーに含まれる可能性が高い。というのも、この「多元(=多極)的世界」の語は、少なくとも「多元化」そのものは、ニブレット氏自身の名を冠した資料では、多元的チャンネルや国際的組織(=連合国=国際連合)を通じて外交力が発揮されるという肯定的な文脈によっても[5]、使用されているからである(。念のため、他者のいくつかの文書を確認もしてはいるが、そこはそれ、適当である)。古川氏は、2015年にウクライナ内戦とロシアのクリミア半島併合について、ニブレット氏の言によるとしながら、「多元化」を、前述の日経解説記事と同様、悲観的な意味で使用している[6]

この一方で、田中宇氏は、2004年当初[7]こそ、「多極化」の語を悲観的なニュアンスを含む用語として、そのまま使用しているが、古川氏の論説に先立つ時期に、この語のニュアンスを中立的なものに徐々に変更してきた。当初、田中氏は、(これまた、チャタム・ハウスの)ニオール・ファーガソン(Niall Ferguson)氏に倣い、国連などを中心とする「国際協調主義(multilateralism)」に対置する概念として、「多極化(multipolarizm)」の語を使用した[7]が、現時点では、その限りではない(というようにしか読めない)。オバマ大統領からトランプ大統領にかけての時期においては、田中氏は、「多極化」の語に込められた不安定性を認めながらも、その先行きに対して、悲観的なニュアンスだけを込めるということはしていない。この点、田中氏は、使用の時期・ニュアンスともに、古川氏よりも、読者に対して、正確な理解を提供している。

古川氏の「多極化」の「誤用」は、古川氏自身またはニブレット氏が、各自の業務に係る過失または故意を犯したことを示す。ニブレット氏の研究者としての怠慢または能力不足は、言うまでもない(。日本人向けに、「多極化」の語に込められた意味合いを詳しく説明させるよう、古川氏を訓導すべきであった)。しかし、ニブレット氏と日本語読者との間に、古川氏がいる以上、ニブレット氏がいかなる心情を有しても、今回の「誤用」は、避けられなかったであろう。英国民の利益を考慮すれば、ニブレット氏の説明は、日本国民に対しても、複数のルートから提供されるべきであったろう(。日本人の弟子は、いないのか?というのは、皮肉のつもりである。日本語という辺境の地で編まれた「尖った」思索が、英語帝国の心臓部において気付かれないことは、ままあることではある)。田中氏の主張に先取権があることは、ネット上の無料のオープンソースだけによれば、揺るがすことのできない事実である。古川氏は、「日本でもこういう指摘がありますよ」とタレ込むべきであったろう。いずれにせよ、古川氏は、「ジャーナリスト」であるから、最悪、好き(で費用対効果を考慮してアクセス可能)な情報源(だけ)に依拠していれば良いのであるが、その場合、公正中立を建前とする「日本のメディア」の社是とは、相容れない行為に及んだことになる。良く言っても、古川氏の論説記事は、田中氏の「多極化」に背乗りした格好になっている。


※1 個人的体験によれば、7分の5、これは確率としてはゼロではないと主張するには厳しい数値であるが、他者からの見聞を合わせれば、ベイジアン的には確定的な事実であると主張して良かろう。ここでの言明は、「記者の中に、研究者の話を曲解する者が含まれる」というだけであって、「記者の皆が研究者の話を曲解する」訳ではない。念のため。


[1]

[2] 河野太郎外相「普通は親分が良い警官をやるのだが…」 米国は大統領が机をたたき、国務長官がカツ丼を出す-と比喩 - 産経ニュース
(記名なし、2017年11月10日18:28)
http://www.sankei.com/politics/news/171110/plt1711100030-n1.html

[3] 日刊ベリタ : 記事 : トランプの次期国務長官?  ジョン・ボルトン元米国連大使  平田伊都子
(平田伊都子、2016年11月16日15時04分)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201611161504103

[4] 共振する国家主義 中ロ、強権支配固める 民主政・自由経済に試練 :日本経済新聞
(モスクワ支局長=古川英治、2018年3月20日)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28320640Z10C18A3MM8000/

英王立国際問題研究所のロビン・ニブレット所長は多元的を意味する「ポリセントリック世界」の到来を指摘する。超大国・米国の指導力が薄れ、各国が国益次第でときにぶつかり、ときに場当たり的に合従連衡する。自国の利益優先がはびこり、イデオロギーで二分された冷戦時代よりも世界は複雑さを増した。

[5] 20151019BritainEuropeWorldNiblettFinal.pdf
(Robin Niblett, 2015年10月20日, Britain, Europe and the World: Rethinking the UK's Circles of Influence)
https://www.chathamhouse.org/sites/files/chathamhouse/20151019BritainEuropeWorldNiblettFinal.pdf

[6] One year on: Ukraine crisis reveals changing global order- Nikkei Asian Review
(Eiji FURUKAWA、2015年2月23日03:33JST)
https://asia.nikkei.com/Politics-Economy/International-Relations/Ukraine-crisis-reveals-changing-global-order

The director of U.K. think tank Chatham House, Robin Niblett, points out that the world is entering a polycentric era, where countries act not on ideals or values, but shift their allegiance based on immediate national interests. The U.S. is losing its dominance on the global stage, and the Ukraine crisis is the embodiment of a new, chaotic system that is beginning to emerge.

[7] 岐路に立つアメリカの世界戦略
(田中宇、2004年10月27日)
http://tanakanews.com/e1027america.htm




平成30(2018)年3月28日10時20分頃修正

文言を多少修正したが、内容に大きな変更はないつもりである。

2018年1月27日土曜日

トランプ氏のダボス発言は本心を隠したものに見える

現在、世界は多極化しつつも全体として良い方向に進みつつあるが、主な理由の一つは、ドナルド・トランプ氏の情報発信スタイルに求められよう。トランプ氏の過激な表現は、現実には「名」を「実」に近付けるように機能している。それだけでなく、その実力行使のスタイルも、戦争屋ならびにマスゴミの常識の斜め上を行くものである。「何をするのか分からない」というスタイルによって、相手を劣位に追いやり、事態をノーマライズする。まるでプロレスの乱戦のような発話方法が、トランプ氏の流儀であると言えよう(。これは、「小沢内閣待望論」=「ポスト米英時代」氏の慧眼を勝手に拝借した表現である)。

マスコミは、トランプ氏の言葉には嘘や物議を醸す表現が多く含まれると批判するが、何なれば、これらの不適切な内容は、意図的に発信されている。自らの真の意図を隠し切り、重要ではない誤りに批判を集中させるための弁法であろう。真実の所在を判定する技術を持たない人々にとっては、「フェイク・ニュース」※1というトランプ氏の批判と、それに対するマスコミの反論は、「オマエは嘘吐きだ」「いや、オマエこそ嘘吐きだ」と言い合う子供の喧嘩と同程度にしか見えないものである。しかし、マスコミの欺瞞を暴くという点では、この論戦には意味があった。この結果、現在、大多数の人々は、大マスコミが金主の核心的な利益を保護するために、重要な話をしなかったり、嘘を吐いたりしてきたことを、当然の事実として受け止めている。ただ同時に、残念なことではあるが、このメディアの欺瞞性は、大多数の人々にとって、一般的な事実としてのみ受け取られている。具体的なマスコミのウソを自分たちで暴こうとする人たちは、まだまだ一部に限られていよう(。これはこれで、世界の流れを決めてしまうことになるだけに、一抹の不安を覚えかねないことではある)。大多数の人々が「メディア・リテラシーの勧め」のような話をまともに実践しないのは、多忙であったり、ウソを見抜くためだけに相当の労力と金銭をかけることを厭うからであろう。このことを考慮すれば、本来であれば、NHKや主要新聞、特に「皆様のNHK」がウソを吐かずに、ダボス会議のスポンサー名ならびに出席者名、彼らと彼らが所属あるいは所有する企業の資産額および関係性を、正確かつ粛々と掲載するのが、最も効率的かつ劇的に、わが国の世界に対する理解を改善する方法である(。カネの集め方は、ノブレス・オブリージュを産む)。

ともあれ、「トランプ氏がマスコミの話さない真実を語ることにより当選した」という認識が普及しきったという現実を直視して、自らを正さないことには、マスコミに勝ち目はない。選挙期間以降のトランプ氏の攻撃によって、彼ら主流マスコミの評判は、不可逆的に低下している。マスコミには、(アメリカの事例に限定するが、)ケネディ大統領暗殺、アポロ有人月面着陸計画、同時多発テロ事件の不可解な点の数々、イラク戦争の開始の端緒とその始末、ワシントン政界の児童虐待疑惑、ウォール街、連邦準備制度理事会といった、数々の正確に説明できない事項、いわばタブーが存在する。これらの疑惑に切り込めないままでは、読者・視聴者からみて、マスコミは、弱味を抱えた存在と見做される。トランプ氏は、これらのタブーに切り込む政策を公然と口にすることによって、マスコミを直接・間接に攻撃してきた。マスコミがこれらのタブーに自ら切り込まなければ、マスコミは、トランプ氏を取り扱おうとする時点で、トランプ氏よりも劣位に置かれることを余儀なくされる。陰謀論が、トランプ氏を有利にするテコの役割を果たしているのである。もちろん、この構図は、マスコミの中でも、多少目端の利く人物には共有されてはいよう。彼ら報道人に勇気がないことは、この状況を打開し、世界の権力構造をもう少し(だけ)マシにする上での、ボトルネックの一つである。裏切る人数が少なければ、マスコミの金主に粛正されることになろうから、イヌの地位から抜け出せないのも、理由がない訳ではないのであろうが。


以上の事情をふまえると、トランプ氏がダボス会議という「蛇の巣」において発言した内容を真に受ける人たちは、以下で述べる二点の理由から、余程、ナイーヴである。理由は、前段までの説明から自然に導けるが、改めて、二つに整理すると分かりやすい。一つは、ダボス会議における暗殺の危険、もう一つは、マスコミ自身がトランプ氏の発言の信憑性を低いものとして扱った結果、トランプ氏自身が、その状況を逆用できるようになってしまっていることである。後者は、「自己言及のパラドクス(嘘吐きのクレタ人、オオカミ少年)」と呼ばれる逆説に係る下地を、トランプ氏が作り出し、マスコミが追認したことによるものである。

まず、アメリカ大統領と言えども、常に暗殺の危険があり、これを避ける必要がある。このことは、子供でも知る話であるが、大事な話であるから、何度でも繰り返しておくべきであろう。死の危険があるとき(、あくまで現実の危険が存在しているときに限られようが)、人が方便としてウソを吐くことは、許されることであろう(2017年9月13日)。トランプ氏の発言や政策の根幹は、従来の権力集団からアメリカ国民に利益を還元しようとするものであるから、確実に、死の危険を伴うものである。ダボス会議は、戦争屋を含む国際秘密力集団の例会である。彼ら主催者と対立する人物が、そのような場で発言したとしても、その内容に対しては、死の危険がある以上、何らの責任も存在しない。なお、ケネディ大統領のときと同様、副大統領がいるではないかという指摘は、野暮であり、発言者の立ち位置を明確にするものである。

次に、マスコミは、A:トランプ大統領を常々嘘を吐くと批判しながら、B:ダボス会議におけるTPP発言を大々的に報道したことになるが、このマスコミの言論AとBは、マスコミ自身によって、支離滅裂なものとなってしまっている。というのも、マスコミがトランプ氏を普段からウソ吐き呼ばわりしてきた以上、ダボス会議における発言は、マスコミによれば、守られるか否か分からないことになる。こうなると、このダボス発言は、マスコミの解釈を加えた場合には、人々の役に立つ内容を伝えたことにならないことになる(。守られる・守られないという二値的な確率に従うと考えてみると、マスコミのお墨付きが、かえって、エントロピーを高めることになる)。しかも、主流マスコミは(、たとえば、田中宇氏のように、隠れ多極主義であるといった)、トランプ氏の内心がどこにあるのかを聞き手が落着できるような、役に立つ洞察を加えた実績もない。今更、マスコミ自身が形成した「ウソ吐きトランプ氏」というイメージを撤回するにしても、放置するにしても、「フェイク・ニュース」であるマスコミ自身が、「トランプ氏のダボス発言は、真実である」と言う訳にはいかないのである。少なくとも、読者なり視聴者にとっては、マスコミの言うことの真偽を判定することは、今では不可能である。

「トランプ氏がウソ吐き」「TPPというマスゴミの金主にとって有利な条約への加盟を示唆」という矛盾する関係にある情報を、同一の法人格が発出することだけでも、随分と不審なことであるが、このような自己矛盾的な報道をマスコミ各社が一斉に取ることは、マスコミ全員こそがウソ吐きでありそうだという印象を高める結果となっている。この印象を高める材料として、建前としての報道の独立性がある。つまり、マスコミ各社が、各自の自由な心証に基づいて、この決断を個別に下したことになっている。この建前によって、マスコミは、期せずして、「「ウソ吐きがTPP再交渉詐欺を言い出しました」というニュースを、ウソ吐き集団が揃って報じた」という、「陰謀論なる内容を説いているがためにウソ吐きと呼ばれているであろう私」でもビックリしてしまうような状況を作り出したのである。成員一人一人の内心は知らない(し、「こんな人たち」の人格を慮る必要もないように思える)が、外形的に見れば、複数のマスコミが、集団的かつ一斉に、かつ、独自の判断に基づいて、このような愚行に至る論調を用意したことになる※2。マスコミの言うことを真に受けてみると、以上の理由から、ダボス会議の結果は、マスコミの意図にかかわらず、またもや、マスコミがトランプ氏をディスったという実績だけが積み上がったことになる。

強いて付け加えるならば、一般人にとっては、トランプ氏の権力がダボス会議にも完全に及ぶほどに正常化されてはいないというのが、唯一の、そして残念な情報であろう。ただ、その力関係は、ほかの材料から、十分に窺い知ることのできるものである。たとえば、1月22日のアメリカ連邦政府の一部閉鎖は、これと同内容の勢力分布を示唆するニュースである。われわれ一般人ができることは、世界情勢が良くなることを念じつつ、気長に待つことであろう。

それに、トランプ氏の発言に再交渉という条件が付された以上、非常に面白い展開が予想できる。旧TPPこそは、ISDSを含め、無国籍大企業群の意向が十全に反映された、各国の国民を裏切る契約であった。しかし、再交渉ということになれば、交渉に関与した全員のリストを渡せ、誰が何を策定したのか、誰が何を主張したのかを知らせよ、といったトランプ大統領の要望に、応える必要も出てこよう。その際、米国の連邦議会議員でさえも交渉過程を知ることができなかった、という基本的な事実を思い出す必要がある。「再交渉」という「毒素条項」によって、当事者各国の裏切り者のリストは、世界最高クラスの暴力を指揮できる権力者の手に一挙に渡ることになりうる(。NSAやCIAの良心ある職員の出番である)。わが国であっても、夜も眠れない売国奴たちを高見の見物としゃれ込める機会は、ゼロではない。このような毒素条項ありきでは、再交渉は、潰れる運命にあろう。『WikiLeaks』を通じたタックス・ヘイブンに係る漏洩事件は、この前準備でもあったのであろう。英国のメイ首相がトランプ氏を直接ディスったという日本語報道が目立って見られないことは、ここでの私の推測の補強材料である。日本人のTPP条文作成者の確定的リストが出てくるようなことがあれば、それはそれで、今回、トランプ大統領の仕掛けた罠に、戦争屋(の一部)がまんまと引っ掛かったということを意味しよう。


※1 「フェイク・ニュース」という表現の流行は、マスコミの信用が実際にはどの程度であったのかを良く示している。さらには、「フェイク・ニュース」という誹謗を通じて、口にすることも憚られた種類の「タブー」も、公然と語られることが許されるようになっている。実績を考慮すれば、「フェイク・ニュース」という表現は、現在のマスコミの「真の名」として、世界流行語大賞に相応しいものである。なお、本注記における形容は、私なりのアーシュラ・K・ル=グウィン氏への追悼のつもりである(2018年1月22日没)。とはいえ、本稿で取り扱った話は、大変に捻れたものであるから、ご当人がいかにトランプ氏の治世を評価していたかは、また別に調べる必要がある。

※2 一部のテレビ報道には、この発言を疑問視していたものがあるようにも思うが、半分寝ていたので、どのチャンネルであったのかを含めて、詳細は分からない。昨日の夕刊三紙(読売・朝日・日経)については、トランプ氏に対する不信を前面に押し出した見出しの記憶はないが、本日では、この種の疑問を含む論調が見られるようになっている。たとえば、『日本経済新聞』の河浪武史氏の本日朝刊3面記事の見出し[1]は、「変心か乱心か」である。これは、河浪武史氏の主流マスコミの論調に対する忠誠ぶりを良く表していると言えよう。「乱心」という文言は、およそ、日常生活において、上司や勤務先のトップを茶化すときくらいにしか見られるものではなく、他者を褒めるものではない。もちろん、トランプ氏の「再交渉」という文言は、トランプ氏の主張が後世において正しかったことを担保する役割を果たしており、現時点でマスコミがトランプ氏を誹謗したことは、将来において、マスコミがゲス野郎であったことを示すまたとない証拠として機能するのである。マスコミの連中は、どうやら、当人たちがダブルバインドを仕掛けられたことに、気が付いていないようである。田原総一朗氏に(2017年10月24日記事)弟子入りしなおしたらどうか。


[1] ダボス(スイス東部)=河浪武史, 「変心か乱心か/トランプ氏、突如「TPP再検討」/産業界から見直し圧力/日本、再交渉に否定的」, 『日本経済新聞』, 2018年1月27日朝刊3面14版(総合2).




補論:情報を扱う職業に課せられた情報発信のルール

一般的に、機微に触れる情報を取り扱う人物には、嘘を吐かないという第一のルールと、都合の悪いことは言わなくて良いという第二のルールが、暗黙裏に課せられている(2016年10月20日)。もっとも、このルールは、情報機関ならびにジャーナリズムの実務についてのみ厳密に該当する、と考えるべきであろう。そうしないと、研究者・教育者は、(個人情報などの)いくら機微に触れる情報を扱うことがあるとはいえ、真実を過不足なく伝達するという社会的機能を果たせなくなるし、政治家は、先に見たように、ウソを吐くことを通じて、国益・国民益を守ることができなくなる。本段落の話は、本ブログの過去の記事と重複するし、読者にとっては釈迦に説法であろう(。なお、臨床研究における患者の個人情報や質問紙調査の回答者名などは例外的に秘匿できるが、それでも、研究の再現に必要な条件などは、他の研究者が後追いできる程度に公表する必要がある。あまり細かい話をしても、本稿の論旨に影響せず、意味がない)。

二元配置を利用して、以上のルールについて、要素を{本当のこと, ウソ}と{話す, 話さない}という二軸にまとめてみると、もう少し、情報のルールというものが分かりやすくなる。2×2=4通りについて、{許されている、許されていない}という二値が成立する。二元配置は、コンサルタントや広告商売などで、良く使われる方法である。無論、これが「二軸の両建て」という「セット思考」が仕組まれがちな理由の最たるものであろう、と私は見立てている(2017年10月24日)。

研究者は、公に向けて、専門分野について{本当のことを話す}{ウソは話さない}というルールを課せられている。{本当のことを話さない}という態度は許されていない。池上彰氏が学者としてダメなのは、この点である(2018年1月25日記事・26日追記)。もちろん、{ウソを話す}ということは、許されていない(。福島第一原発事故については、大変に多くの「学者」がこのルールを逸脱したが、社会的制裁は、ごく小さなものであった)。特殊な場合に、「分からないことは、分からないと話す」というものがある。専門分野について、彼(女)に分からないことがあってはならない(←これは言い過ぎかもしれないが、大体、本人も恥ずかしいであろう)が、専門外の事柄については、「その道の専門家は知っているのかも知れないが、私には分からない」ということも、まあ、許されることであろう。私は、このような事態に度々遭遇するが、その度に仮定を重ねて、手抜きをしている。私の態度は、怠惰きわまりないが、それでも、知ったかぶりだけは、ここに挙げたルールに違背する可能性が高いために、本ブログでは、一応、避けている。

なお、「分かりやすい嘘」(2016年1月16日)という手段を有効に利用すると(2016年7月26日)、一部の権力集団に問題視される種類の情報を一般に流通させることが可能となる※3。本稿に見たトランプ大統領の発言スタイルは、この方法を、意識的に使いこなした結果であるとも言える。他方、わが国の政界については、何とも言えない。というのは、トランプ氏ほどに、安倍晋三氏のうつけぶりが上手であるとは、私には思えない(、つまり、素で読み間違いしていたりすると見える)からである。しかし他面で、結果として、現時点の安倍政権が戦争屋との情報戦争に勝つために、うつけ者のふりを許容しているという可能性自体は、否定できるものではない(。ただし、繰り返しで残念なことになるが、強調しておけば、その情報戦争の結果、現政体が勝利したとしても、日本国民の貧困層を救うことになるとは思えない。2017年06月10日記事)。


※3 この方法は、「マジ卍」という流行語が『気まぐれコンセプト』でも(1月6日発売号かで)取り上げられ意図的な操作の対象となっていることからも窺えるように、最近のわが国の広告業界においても、意識されているものと認められる。ただ、「マジ卍」自体に係る意図は、私には明確ではない。昨年末、『5ちゃんねる』に、鏡に映すと逆さ卍となることが投稿されている[2]。これは、『ダ・ヴィンチ・コード』の冒頭で、卍を反転させる様子を見逃した者によるものであろうが、ナチス礼賛だという誤解に基づく批判が生じたことを想起すれば、前例のない話ではない。「マジ卍」の流行の目的は、若年者を誤解させ、卍を誤用させた上で、仏教者と地図作成者による反駁を惹起させるという教育的な回路を作動させるというものであろうが、その原動力が「連合国vs枢軸国」という第二次世界大戦型の両建て構造を狙ってのものなのか、これを戯画化して脱構築するという反・両建て勢力によるものか、あるいは双方の勢力が相乗りしているのか、が読みにくいのである。ホイチョイ・プロダクション(ズ)は、今年に入り、朝日新聞のインタビューを受けている(1月4日あたり?要確認)くらいであるから、まあ、国際系走狗であると判定して構わない。しかし、たとえば、和久井健氏の『東京卍リベンジャーズ』の題名にも見るように、卍という用語の流行が、暴走族文化辺りからも発しているように見える点、なかなかその根を追いにくいように思うのである。和久井氏は『新宿スワン』のリアルさで名を上げた訳であるから、どちらかといえば、半グレに造詣が深いものと考えて良いであろう。半(はん)グレ=六本木=ヒルズ族~麻布署~テレビ朝日~米大使館とか、箱コネでいえば、やはり国際系であろうか。これは、定性的に連想できるものを並べただけであり、確定する必要がある。私がその種のヒュミントを使用しない(し、元から不得手である)と宣言していることは、繰り返すまでもなかろう。そうそう、溝口敦氏がわが国最高レベルのジャーナリストであることは、半グレという名に掛詞を入れたことにも表れている。掛詞が氏自身による公的な説明だけに留まらないのでは?というのは、私の偏見である。話が脱線しそうになったが、以上の材料に加え、本件『5ちゃんねる』なり『おーぷん2ちゃんねる』なりの投稿は、投稿日(2017年12月)、元のツイート主の開始日(2017年5月)とプロフの「闇属性」と撮影日(2017年9月)、広告代理店系漫画家(であるホイチョイ自身)に係る提灯記事、「マジ卍」がよく分からないと辞典編集者が解説する毎日新聞記事[3]との関係から判断すれば、本件は、炎上覚悟のアイドル商売であると同時に、その商売自体が政治的な意図を含んでいると結論できよう。また、このような穿ち読みは、余人にとっては、間違いではあるまい。


[2] JK「まじ卐Tシャツ着てみたよ~」自撮りパシャッ
(2017年12月24日・元ツイートの表示時刻は2017年09月04日か)
http://hawk.5ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1514122104/

[3] ネットウオッチ:女子高生御用達「マジ卍」 起源不明の新語、意味は 頭抱える辞書編集者/「すごく」の強調? - 毎日新聞
(大村健一、2018年1月10日 毎日新聞東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20180110/ddm/012/040/045000c

2017年11月9日木曜日

外国の国家元首でわが国の公賓は、入出国審査が必要ないとされているようであるが

矢部宏治氏は、トランプ大統領の訪日の足取りを示した上で、

実は彼は入国などしていない
と述べてしまっている[1]。矢部氏の表現は、間違いなく、誤りであろうと考えることができる。現に、トランプ氏は、迎賓館の地上(何階か)には降り立っている[2]。即物的(=物理的)な意味で、トランプ氏が「入国」したことは、間違いなかろう。もっとも、迎賓館が日本国領土でないというオチがあったとすれば、それは私の手抜かりということになる。しかしながら、川越市のゴルフ場にもトランプ大統領が立ち寄った[3]ことが社会的に認知されているところ、このゴルフ場を訪れるにあたり、日本人にパスポート所持が必要となるという話は、聞いたことがない※1

矢部氏の主張の焦点は、いわゆる横田空域にあるものと理解できるが、入国に係る主張が誤りであることには変わりがない。矢部氏の焦点は、入国の事実そのものにはなかろう。しかし、この点を批判する上で、扇情的な表現を取る必要もないし、ましてや、事実関係に誤りがあるのはいただけない。矢部氏が指摘したのは、万が一であるが、「入国審査」であるのかも知れないが、これも、私が多少調べた限りでは、否定されるであろう。

ただし、日本語のGoogle様は、「入国」なる概念を理解するための情報源を直接・分かりやすく提示してくれていないので、私の解釈自体、誤りである可能性を排除できていない。国家元首が出入国審査の対象外となる旨は、ウィキペディアさんに書かれてはいる[4]が、その根拠は、納得できる程度には明示されていない。出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)の名が記されているので、同法を参照してみる[5]と、同法第6条第3項辺りに根拠があるのであろうという位にしか見当が付かない。要は、「外国人」は「上陸の許可等」の対象となるのであるが、トランプ大統領の入国はその例外に当たる。トランプ大統領一行の訪日について、具体的な手続が政府において進められたであろうことは、間違いなかろう。外務省に問い合わせれば、たちどころに明らかになろう(が、これが私のブログ執筆上のルールから外れることであることは、本ブログ中において、指摘してきたとおりである)。

誤解に立脚した批判が有効性を持たないことは、当然の事実である。「入国などしていない」というフック的表現は、不要であるばかりか、ネトウヨの格好の標的となるであろう。矢部氏の扇情的な記述は、格好の槍玉として機能するのである。これだから陰謀論者は、といわんばかりの反撃の光景が、十分に予想できる(。しかしまた、本稿も、入国について、矢部氏よりは丁寧に調査したつもりであるが、その虞を拭えたものではない)。

ところで、トランプ氏ならびにその周辺は、今回の移動経路を計画的な意図に基づきアレンジしたものと見ることもできるが、そこには、暗殺の危険、米国の存在の誇示という、二点の理由を認めることができる。第一点目であるが、日本の高級官僚たちに連なる人脈に、超法規的措置を目論む人物らがいても、おかしくない。モリ・カケ疑惑がその証拠である。これらの疑惑の対象となっている認可の過程そのものは、一言で表現すれば、脱法的であるし、忖度した者は、官僚としてアウトとなる行為に手を染めてはいる。しかし同時に、このスキャンダルが公知のものとなった過程が超法規的な側面を有することも、また事実と考えられる。今回の訪日におけるトランプ氏の言動とは裏腹となるが、トランプ大統領を廃することができた方が、むしろ、戦争屋には復権の目がある。彼ら戦争屋には、それなりに熟達した暗殺者を雇用する程度の余裕が残されているであろうが、他方で、自衛隊と在日米軍との連携が機能している限り、空路で移動する大統領に危害を加えようという試みは、十分に無効化されていたであろう。横田基地でのトランプ氏の演説は、自衛隊と在日米軍の連携と献身に対する賞賛に、多くの時間が割かれている。2017年11月現在、対外的に見れば、北朝鮮情勢が緊迫しているという体が装われているが、実のところ、トランプ氏の真の敵は、自国・同盟国の内にいるものと考えることができよう。第二点目は、わが国が米国の実質的な施政下にあるという矢部氏の主張する「事実」が、主流マスコミによって十分に報道されていないという事実によって、肯定されることになる。第二点目の指摘は、拗れた見方である※2が、矢部氏も指摘する事実に対して、私も同意しているという点に、注意が必要である。田中宇氏が常々指摘するとおり、トランプ氏が隠れ多極主義であると措定すれば、トランプ氏のパフォーマンスは、矢部氏のような(安易な批判を提起する「左翼」の)批判者を通じて、日本国民に事実を提示する役割を果たしているものと考えることもできるのである。この点(に限り、検討すれば)、矢部氏の批判は、当人の内心にかかわらず、外形的には愛国的なものとして機能している。繰り返しになるが、トランプ氏は、内心、日本国民に横田空域に係る状況を理解して欲しいとも考えているのではないか。

矢部氏の論考は、いつもの調子ではあるが、二律相反する条件を調停しながら政治が進められているという事実の一面だけを切り捨てて、分かりやすさを優先するものである。矢部氏に捨象された機微(、前述した二点の理由の双方とも正しいと認められること)は、庶民には理解されないことであるのかも知れないが、少なくとも、安全保障に係る「門前の小僧」である私でさえも、気が付くことのできる(中山康雄氏の言うところの)社会的な、両義的な事実である。もっと言えば、矢部氏の論考は、二枚舌の一方を暴露するものではあるが、「二枚舌なるものの内実が、相補的に二枚舌になり得る場合がある」という事実を理解した上で、意図的に提起されているものではないように読める。それゆえに、国際秘密力集団のアジェンダを乗りこなすという方法論は、矢部氏の論考からは、出てこなくなりがちなのである。われわれが将来を知りたいと思う場合、この観点に基づいて、各国のリーダー的存在の言動を、マスコミのフィルターを解除しながら、見極めていく必要がある。しかし、いかんせん、ヒュミントを放棄した上に怠惰な私のことであるから、真実の所在は、知りようがないものである。なお、「鴻鵠の志」と言い換えてみると、本段落の主張は、分かりやすくなるかも知れない。


補論:トランプ氏の発言のうち、やはり、北朝鮮拉致問題の解決に着目すべきである

「両建て構造」は、「正」と「反」の間を往還するだけでは、超克できない。戦争屋の用意する「合」を受け入れれば、戦争屋の望む結末が訪れる。「合」は、われわれが用意するほかないが、途中までは、われわれも「敵」の流れに棹さすことができる。横田空域の存在は、おそらく、トランプ政権の用意した「合」のオードブルに過ぎない。次段で、必要十分な材料を元に、トランプ大統領訪日によって蒔かれた「大どんでん返し」のタネ、つまりメインディッシュに相当する言明を指摘して、大幅にまくりながらも、本稿を締めてしまおう。

今回のトランプ氏の訪日における最大の見所は、北朝鮮に対して拉致問題を解決することが交渉への糸口となるとトランプ氏が示唆したことにある※3。というのも、飯山一郎氏が強く主張してきた「横田めぐみ氏が金正恩氏の母親である」「倭国は中国北東部・北朝鮮に存在した」という二点の(少数)説が両方とも事実であるとすれば、「北朝鮮における伝統的支配の円環が、日本の国体と分かちがたく結合された」という事実は、ほぼ40年前の拉致事件によって準備されたものとなるが、否応なしに、日本国民全体の変心を強いることになるからである。落合莞爾氏は、『ワンワールドと明治日本』など、近年の複数の著書において、南朝系・母系皇統の存在を肯定していたように記憶しているが(ユルユルな表現は、大逆的であるが、ご勘弁願いたい)、飯山氏の指摘は、落合氏の見立てによっても補強される。飯山氏の安倍総理に対する見解の「転回」も、政治権力の側からのアプローチの形跡が濃厚に認められるものであるが、ここでの議論の文脈に整合的である(。ただし、『トカナ』に最近よく寄稿している「元公安」は、この点、興味深い非整合性を発揮している)。何より、万世一系を維持する上で、男子に限定されるべしという主張は、母系皇統の隠された存在によって、よりよく説明できる(。落合氏の指摘によって初めて、男系男子限定とする主張の根拠を、私は勝手に得心できた次第である。確かに、母系皇統がすでに存在するとなれば、この皇統が男系男子へと適応する必要までが生じる※4)。以上(の本段落の情報)に係るマスコミの恣意性は、横田空域に係る指摘の欠如を超える衝撃を以て、日本国民に対して印象付けられることになるのではあるまいか。われわれ日本国民は、「これで北朝鮮と戦争する必然性がなくなった、戦国時代の政略結婚のようなものだ」として、当人の意思とは関わりなく、安堵を覚える可能性もあるが、この情報は、諸刃の剣である。横田氏がすでに亡くなっているという話は、事実であるならば、戦争屋によって悪用される材料であり続けるためである。

戦争が極東でも起こされなくなるのではという希望を持ちながらも、われわれは、マスコミがおかしいことを言い出さないように、その動向を監視する必要がある。たとえば、伊藤詩織氏の自身のレイプ被害の公表と、この事件に対する検察審査会の判定に係るマスコミ報道は、性犯罪者がとことん卑劣であるという印象を一層高めることに成功している。この準強姦事件については、報道された証拠による限りでは、山口敬之氏の確実な逮捕が必要なことは間違いないものと思われるが、しかし同時に、マスコミによる無用な・過剰な印象操作に対しても、警戒が払われるべきである。伊藤氏が自身の被害に対する正義を求めることは正当と言えるが、しかし同時に、伊藤氏が起訴便宜主義の廃止までを訴えることとの間には、一線が引かれるべきである。(この点、伊藤氏の主張の重点は、物事の道理と逆転しているかに見えるものであり、同時に、マスコミ報道は、伊藤氏の主張を正しく伝えているとも言えるのであるが、)伊藤氏の被害に係るマスコミ報道全般のごちゃ混ぜぶりを踏まえれば、本稿補論に示した北朝鮮による拉致事件の将来における展開を、マスコミが「性暴力の究極の一形態である、女性が望まぬ婚姻であるとして報道するという策略を取ることは、十分に懸念される。韓国による元従軍慰安婦とトランプ氏との対面に対する、日本語マスコミの二極化された報道姿勢は、この懸念を助長するものである。


※1 一般社団法人 霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市大字笠幡3398番地)であるが、私自身が、このゴルフ場を単独で物理的に訪問した場合、入口において、単に退去するよう求められるであろうが、入国審査を求められることはないであろう。仮に、「入国審査を求められることがありますか?」と聞いたとすれば、マジでヤバイ人が来たと疑われかねないであろうが、少なくとも、矢部氏の主張を示した上で、質問をぶつけてみた場合、聞き方次第でもあろうが、丁重に「そんなことはありませんよ」と回答をいただけることであろう。それに、同クラブのウェブサイトの「ゲストの皆様へ」と題されたページを参照すると、日本国民の皆様にはパスポートが必要ですという指示は、どこにも見当たらない[6]

※2 これと同様に、米国が兵器を売り付け、日本が買うことになるという旨の、トランプ氏の言動上のパフォーマンスは、大々的に宣伝されたが、この売買に対する批判は、具体的な利益に即して提起される必要がある。自主独立派からすれば、買いたい装備・買いたくない装備があろうし、売り手となるトランプ政権の側でも、売り付けるための兵器の種類を選択可能である。唐突なようであるが、米国に拠点を有する小型衛星ベンチャーの製品をゴリ押しするのも、戦争屋の利益を無効化する上では、ひとつの方法論である。今回のトランプ氏の訪日において、具体的な名称が挙げられた兵器の一つに、F35がある。F35の複数の生産企業は、戦争屋であると非難しうる個人に利益を供与する仕組みを、(少なくとも一時期にわたり)維持してきた。このために、F35の売買が戦争屋を潤すとする指摘は、外れてはいない。他方で、F35が異常動作をした挙げ句に日中戦争を惹起するということは、ミサイル防衛網が異常動作して日中戦争を惹起するよりも、考えにくいことではある。それに、F35の購入自体は、日本版次期主力戦闘機を巡る日米軋轢以後の、既定路線の延長にある。現場のパイロットたちが心から信頼できる装備が配備されることは、何より重要である。しかし、少なくとも平時においては、パートナー国家において、F35は、米国内と同等に安定動作するであろう。ここに示した機微は、私の専門でないゆえに、詳しく追究することは不可能ではある。しかし、何が売買され、誰を具体的にどの程度儲けさせてきたのか、特定の兵器が暴走して、予期せぬ戦争を惹起しないか、といった点が考慮されるべきであることは、指摘できよう。米国による兵器の供給は、時折、核廃絶における「東側の核」を認容しながらも非難されることがあるが、この姿勢こそは、拒否されるべきであろう。現実は、いかに戦争を避けながら、軍需産業を軟着陸させるのかに焦点が存在しており、各国の主要プレイヤーたちは、この課題に重点的に取り組んでいるものと認められるのである。

※3 各紙の出典を確認して引用する作業が面倒であるので、それらを整理して示すことはしないが、この点に係る各社の報道姿勢は、本段落に示した事項に係る各社の論調と合わせて、各社の命運を分ける要素となっている。綸言汗のごとし。

※4 このとき、田中聡氏が言及する「メガ陰謀論」なる概念の怪しさと一面性は、田中氏の主張が「陰謀論」の一部を肯定するようでいて、核心的な利益に懸かる「陰謀論」を限定化した上で、それらを貶めるという効果を発揮している。『陰謀論の正体!』において、本件に関連する著者として、鹿島昇氏と鬼塚英昭氏に代表される言説のみを田中氏が指摘することは、陰謀論を一面的なノワール小説の世界と田中氏が観ていることを、図らずも暴露している。以上の整合性に基づけば、本件についても、ここでの私の意見に対置される種類の発言を田中氏が公衆に提示しているのであろう、と予想することもできよう。なお、この予想は、キング・コヘイン・ヴァーバ書の主張を、意図(的に悪用)したものである。


[1] トランプ来日の足取りから見えた「とても残念な2つのこと」(矢部 宏治) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
(矢部宏治、2017年11月9日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53435

[2] 平成29年11月6日 日米首脳会談等 | 平成29年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
(2017年11月6日)
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201711/06usa.html

[3] トランプ大統領と安倍首相 ゴルフで首脳外交 | NHKニュース
(記名なし、2017年11月5日18時51分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171105/k10011211191000.html

アジア歴訪の最初の訪問国、日本を訪れているアメリカのトランプ大統領は、大統領専用のヘリコプター、通称「マリーン・ワン」で正午すぎ、埼玉県川越市のゴルフ場「霞ヶ関カンツリー倶楽部」に到着しました。

[4] 出入国管理 - Wikipedia
(2017年11月9日確認)
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%87%BA%E5%85%A5%E5%9B%BD%E7%AE%A1%E7%90%86&oldid=65937788

[5] e-Gov法令検索
(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号、最終更新:平成28年11月28日公布(平成28年法律第88号)改正))
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=326CO0000000319_20171101

[6] ご利用案内 | 霞ヶ関カンツリー倶楽部
(2017年11月9日確認)
https://www.kasumigasekicc.or.jp/information/01.html




2017年11月10日訂正

元の文意を明確化するように、一部を訂正・追記した。




2019年09月13日追記

色々確認もせず恥を重ねる危険を冒すことにするが、文中の問合せ先は、外交そのものを担当する外務省ではなく、出入国管理を所管する法務省であるべきであろう。伊藤詩織氏の『Black Box』に対する北口雅章氏の批判[7]によって、気付いた次第である。が、情報公開制度も国会図書館も官公庁への電話も利用せずに結論付けるのも何なので、本文の記述自体は、私の中で確定するまで変更しないことにする。

[7] 伊藤詩織著 「Black Box」 が「妄想」である理由 | 弁護士ブログ | 名古屋で医療過誤のご相談は 北口雅章法律事務所
(2018年10月01日)
https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=3913

2017年6月10日土曜日

(感想文)トランプ大統領は選良が嘘を吐くときのルールを変えた

本記事も題名でほとんど意を尽くしており、後は、私が好き放題に持論を記しているだけであり、中身はないが、いわゆる「コミー・メモ」流出の件が喧しいので、とりあえずマスコミ批判のために立ち上げた記事である。前FBI長官のジェイムズ・コミー氏(James Brien "Jim" Comey, Jr.)は、最近の主要紙のアメリカ関係の海外面の主役である※1。コミー氏は、自身がいわゆる「コミー・メモ」を事前にメディアに流出させた「ディープ・スロート」であったことを議会で証言し、良心に基づいて、友人のジャーナリストと大学教授にメモを託したという。コミー氏は、ヒラリー・クリントン氏による選対長のジョン・ポデスタ氏への情報漏洩事件の捜査を見送っている[1]。コミー氏の「良心」は、かくも、一方向にしか機能しないものである。コミー氏の論理を採用するとすれば、米議会は、コミー氏のFBI長官としての不適格性を利用して大統領を弾劾するという、非常に捻れた法治主義を実行することになる。クリントン氏の捜査を行うとともにトランプ氏の弾劾を検討するか、両方とも見送るか。このいずれかであれば、自己矛盾しない態度ということになる。

日米のマスコミがトランプ氏のみを批判できる理由があるとすれば、それは、トランプ氏の示した事実認識に誤りが見られる頻度が相対的にコミー氏よりも高い、ということに尽きるが、この論拠に基づくトランプ氏への批判は、決定的に米国の国民益を損なうものである。決定機において職務を少なくとも二回裏切ったのはコミー氏であって、トランプ氏ではない。一回目であるが、コミー氏は、再三の世論の要請にもかかわらず、クリントン氏のメール問題を捜査しないという不作為を通じて、米国民の核心的な利益を棄損する意思を明らかにした。トランプ旋風がコミー氏自身の身を危うくすることを理解したコミー氏は、途中で翻意したが、クリントン陣営の圧力に再び屈して捜査を結局見送った。米マスコミの恣意的な報道に見られた不審点を元に、いち日本人パンピーの私が選挙情勢を予想できるくらいであるから(2016年9月30日)、FBI長官というインテリジェンスの世界的要職の座にあったコミー氏が、トランプ旋風の真の行方を逐一最上のインテリジェンスによって把握できていなかったはずがない。この過程において、彼の心中がいかなる変遷を辿ったにせよ、すでに二度以上、コミー氏は職務に対して不誠実であったことになる。言い換えると、二度以上、自身の良心に対して嘘を吐いたことになるのである。その結果が、現在に至るまでの迷走の原因となったことは、言うまでもない。結局、ジェイムズ・コミー氏なる人物は、世界を牽引する大国のインテリジェンスを掌握する人物の器にはなかったのであり、現在、ほかの大人物の足を引っ張るだけの「ゾンビ」と化している※2。ヒラリー・クリントン氏という稀代の大悪人の圧力に屈し、良心的な職員の頑張りを大いにムダにしたと見做されるべきである。このように国益を大損壊した人物が、今更、トランプ氏を前に権力に対峙すると主張されても、それを真に受ける真人間はいない(。今や誰もが知るところであろうが、私自身は(真)人間ではない)。コミー氏が権力闘争に用いられる駒に過ぎないことは、誰の目にも明らかである。このような小人物(駒は小人物である)が、要職の座に長く留まり、アメリカ市民の手にあるべきであった権力を(戦争屋などエスタブリッシュメントの手から)アメリカ市民の手に取り戻す(就任演説)と誓ったトランプ氏の足を引っ張るような真似をしでかすのは、全世界の市民側からみたとき、アメリカの国益にとっても、間違いなくマイナスの行為である。そもそも、ヒラリー・クリントン氏の圧力に屈したコミー氏の迷走がなければ、ロシアと殊更に接近する必要は、トランプ陣営にもなかったはずである。さらに、原則的に、ロシアと程良い関係を保つこと自体は、アメリカにとってもプラスのはずである。ロシアとの過剰な緊張状態、あるいは局地紛争や代理戦争から利益を得るビジネスモデルのクリントン氏を排除することは、世界の圧倒的大多数(割合としては、いわゆる6シグマにもなろう)の人類にとって、利益のある話であった。わが国風に言えば、世界の「関ヶ原」で大砲を撃ちかけられても動かなかったコミー氏が、今更、善玉のふりをして後ろから噛み付こうとするのは、茶番としか言いようがない。良識あるアメリカ国民は、この小人物のクリントン氏に対する不作為こそを、遡及して非難すべきである。法の下の平等を是正するのであれば、クリントン氏の処分を完全に終えてから、トランプ氏の行為の是非を問うのが筋である。

トランプ氏は、細かい嘘を吐くかのように批判されることがあり、事実認識に誤りがあることも事実ではあるが、それでも、アメリカ大統領としてのプリンシプルからは逸脱していない。むしろ、トランプ氏は、政治家としてのプリンシプルに準拠し続けており、周りや政敵による妨害が激しいだけであると判定できよう。その状態が「分かる者には分かる」ように判明しつつある現在、コミー氏を利用した政変が本格化したかのように見える。つまり、戦争屋は、トランプ政権を、シリア問題と北朝鮮問題の双方に本格的に関与させて武力介入するようけしかけた。しかし、この企みは、あえなく潰えている。その途端、国内問題として「ロシア・ゲート」が本格的に立ち上げられるに至ったのである。国の一大事に係るこのような「偶然」は、偶然とは呼べない。

コミー氏は、FBI長官としてのプリンシプルには準拠していない。アメリカ国民の定めた法の理念には、恣意的にしか従ってこなかった。この点で、コミー氏は既に失格しているのであって、それ以後の働きは、逐一が恣意的であると解釈されざるを得ないものである。コミー氏は、クリントン氏を捜査できないと考えた時点で「私には捜査することができません」と宣言し、その時点で潔く辞任すれば良かったのである。クリントン氏の疑惑が持ち上がった時点で、コミー氏が捜査を実施することが最良であったが、これを見送ったとしても、その時点で自身が辞職し、クリントン氏の理非を問うていれば、おそらく、マイケル・フリン氏の捜査は必要なく、必要があったとしても、後任が筋目を通すことが期待できた。なお、私自身が法律の専門家でも何でもないのに、無謀にも一言付け加えておくと、法律に従うこと自体がプリンシプルであるとするのは、(それがギリシア以来の伝統であることは理解しているものの、)法の理念が曲解されている可能性がある。(所詮は人の定めた法である。その法の陋守(ろうしゅ)自体が目的とされてはならない。プラトンの到達した賢人政治という結論は、師ソクラテスの不当な死によるところが大きい。これは、現代においても結論が付いていないはずの問題である。)後任に法の精神の体現をを期待できなかったことが、コミー氏の過ちの始まりであった。

以上の理由から、「コミー・ゲート」と呼ばれる戦争屋の弾劾運動は、法の平等などという法(哲)学上の問題などでは断じてなく、単なる権力闘争であると結論付けられる。とすれば、政治闘争として、結果責任が問われるのみである。この解釈が関係者全員に正しく共有されているのであれば、多少の緊張状態が世界中のどこかで昂進し、それに対してトランプ氏がシリアへの攻撃のような威嚇攻撃を再度行う必要に迫られるという可能性は、それなりに認められる。弾薬や使い切りの兵器の消費は、戦争屋にとって喫緊の課題であるから、このようなガス抜きが進められる可能性は、ゼロではない。ただ、それが依然として、人々の恐れるような終末的戦争へと至ることはないし、戦争へと至る程度に深刻な脅迫行為に対しては、別方面からの牽制もあろう。戦争屋の茶番に、彼らの存在をロックオンしている良識人は飽き飽きしているが、戦争屋の金力に平伏す「犬」が出現し続ける限り、彼らを根絶することは難しいことも承知しているであろう。

このように「嫌儲」風に世界を解釈するとき、トランプ大統領の嘘に対する奔放さは、メディア自体のフェイクぶりを際立たせることに成功し、世の中の少なからぬ人々の理解を増進することに貢献した、と好意的に解釈することができる。2016年の米大統領選挙は、嘘が嘘を呼び、何が嘘で何がそうではないかを見分けさせる必要を生じさせたが、その情報分別の過程で、選挙民に、何が自分たちにとって本当に大事な利益であるのかを考えさせるきっかけとなった。マスメディアは、自分たちにとって本当に大事なものを奪い取ろうとする「敵」ではないのか。このような大衆の疑念をかき立てることに、トランプ氏は成功したのである。これは、オルト・メディアの功績でもあり、そのオルト・メディアの援護射撃があって当選したトランプ氏の功績でもある。「フェイク・メディア」という概念の流通は、人間の「精神的環境」を取り巻く「言説の力」を再認識させる契機となった。この力は、マスメディアが徒党を組んで独占的に濫用してきたものであったが、オルト・メディアは、この言論の独占状態を、かなりの程度まで平等化し、マスメディアの「神通力」を無効化したのである。

まとめれば、トランプ氏は、大衆の核心的な利益を守るという前提においてのみ、嘘を吐くことが許されるという政治上のルールを確立したのである。


※1 朝日[2]と日経[3]は昨日(2017年6月9日)の夕刊で、読売は本日(2017年6月10日)の朝刊[4]で、コミー氏が自身を流出元であると認めたことに触れてはいる。毎日は、10日朝刊で掲載しているとのことである[5]が、現物を確認していない。産経もウェブ上に記事がある[6]が、本紙の現物までは確認できていない。また、別記事[7]でFBIの独立性を疑わせる結果に終わったことを報じている。明らかに産経の論調が本記事より先行しているが、独立機関としてのプリンシプルに準拠すれば、漏洩自体についても、自ずから導き出せる答えであるから、大勢が同様の答えに到達していたことであろう。

※2 ここでのゾンビとは、ルサンチマンから「超人」を自身のレベルにまで貶めようとする平等主義者という意味合いを有する表現である。本格的に記す余裕がないので、ここであえてディスっておくと、岡本健, (2017.4). 『ゾンビ学』, 京都: 人文書院.は、「世界で初の総合的ゾンビ研究」のようなことを帯で謳いながら、2017年現在においてゾンビというモチーフから直ちに連想されるべきルサンチマンという主要概念に全く言及していなかった点、読後に非常に不満が残った。藤田直哉, (2017.3). 『新世紀ゾンビ論』, 筑摩書房.にはたしか言及があったので、この点については納得している次第である。後進畏るべしとはいえ、彼らの誰もが、ゾンビという象徴が、国際秘密力集団の象徴伝達手段でもあるという話を、ドレズナー本そのものが体現しているという入れ子構造を理解していない(=分かった上であえて記していないのではない)点も、Valveの『Left 4 Dead (L4D)』シリーズにおける騒動が記述されていない点も(、同社の資金関係と嫌儲と『L4D2』後の『L4D』のサポート体制に着目せよ。この点は、『カレイドスコープ』のダンディ・ハリマオ氏の方が、よほど核心を衝いている。この点については、調査ジャーナリストのウェイン・マドセン氏の記事が和訳でも読める(『マスコミに載らない海外記事』[8])。『L4D2』騒ぎのときに、対立の構図は確立されていて、それがボイコットを促進したという経緯が認められる)、かなりモヤモヤしっぱなしである。ここらの話に触れた上で、正常と異常との境目を逝くがごときの理解を示さなければ、プレッパー魂つまりレジスタンス魂と、ゲーマー魂の成分の半分ほどは理解できていないことになり、「ゾンビ流行」の舞台裏を全く理解できていないことになるのだから、是非とも改訂新版で、ここらの話を投入して欲しいものである。(ここでの記述は、私なりのサービス精神の発露のつもりであるし、本記事自体が入れ子構造のつもりでもあるという厄介な感じに仕上げてみたつもりである。)


[1] コラム:クリントン氏のメール問題、FBIが語らなかったこと | ロイター
(Peter Van Buren、2016年07月12日09:47JST)
http://jp.reuters.com/article/clinton-fbi-email-column-idJPKCN0ZS023

[2] 「コミー・メモ」自ら流出と証言 トランプ氏側は批判:朝日新聞デジタル
(ワシントン=杉山正、2017年6月9日12時58分)
http://www.asahi.com/articles/ASK693302K69UHBI00X.html
#本紙記事は、夕刊2面(総合2)4版「コミー・メモ 自ら流出/大統領会話記録 FBI前長官が証言」。

[3] トランプ氏の弁護士、コミー氏証言を否定 「情報漏洩者」と批判 (写真=ロイター) :日本経済新聞
(ワシントン=川合智之、2017年06月09日04時31分)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN08H36_Y7A600C1000000/
本紙記事は、「捜査中止「指示ない」/トランプ氏側否定/ロシアゲート/「コミー氏は情報漏洩者」」夕刊4版総合3面。

[4] 『読売新聞』2017年6月10日朝刊14版7面国際「トランプ氏 徹底抗戦/「情報を漏らした」非難/前FBI長官証言」
#内容が一致する形で確認できそうな無料のウェブ記事はない。

[5] 米大統領選:露介入疑惑 「捜査中止、トランプ氏指示」コミー前FBI長官、公聴会証言 解明長期化も - 毎日新聞
(ワシントン=高本耕太・福岡静哉、2017年6月10日東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20170610/ddm/007/030/176000c

[6] 【トランプ政権】コミー前FBI長官が会話内容を米紙に暴露 大統領に強い不信感 トランプ氏弁護士は捜査中止圧力を否定(1/2ページ) - 産経ニュース
(ワシントン=加納宏幸、2017年06月09日10時01分)
http://www.sankei.com/world/news/170609/wor1706090039-n1.html

[7] 【ロシアゲート疑惑】トランプ氏ひとまず逃げ切り? 「圧力」証言のコミー氏、動機に疑問(1/2ページ) - 産経ニュース
(ワシントン=加納宏幸、2017年06月09日19時22分)
http://www.sankei.com/world/news/170609/wor1706090056-n1.html

逆に、トランプ氏との会話記録をメディアにリーク(情報漏洩)したことをコミー氏が明らかにしたことは、自らが標榜してきたFBIの「独立性」や、トランプ氏追及の動機を疑わせることになった。




2017(平成29)年6月12日修正

元の文意を変えないよう、意味の通らない文章を訂正した。




2017(平成29)年7月28日修正

本文の注記(と私の記憶)に誤りがあったため、訂正した。ヤニス・バルファキス氏(Yanis Varoufakis)がValveに経済的助言を与える立場にいたことと、『L4D』への不十分なサポート体制への批判は、タイムライン上、直接関係しないことであるが、同氏がギリシアの経済状態を悲惨な状態に落とし込むこととなったことは、事実である。奉仕すべきコミュニティを不幸にするという点で、方向性が偶然に一致することについては、より裏話があり得るかも知れないが、それは、私よりも適任者が海外にいるであろう。

[8] 新ギリシャ政権内のソロス“トロイの木馬”?: マスコミに載らない海外記事
(Wayne MADSEN、2015年1月29日=2015年1月31日)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-7acd.html

2017年5月12日金曜日

トランプ政権内のゴタゴタがまた報じられることには警戒が必要である

韓国における終末高高度防衛ミサイル(THAAD, Terminal High Altitude Area Defense missile)の費用負担を巡り、トランプ米大統領とマクマスター大統領補佐官(国家安全保障)との意見に相違が見られた、トランプ氏がマクマスター氏に立腹しているとの記事が『朝鮮日報 日本語版』[1]に見られるが、この記事の出典は、エリ・レイク(Eli Lake)氏によるブルームバーグのコラム[2]である。『朝鮮日報 日本語版』の11日の記事は、レイク氏の8日のコラムを正確かつ必要十分に要約している。このため、ここで指摘されているトランプ政権内のゴタゴタに係る真偽の正確性は、専ら、レイク氏の記事に依存することになる。レイク氏の業績や同氏に対する批判等は、『Wikipedia』英語版[3]に出典とともに詳しく記されている※1

エリ・レイク氏は、『New York Sun』、『United Press International』[4]、『ワシントン・タイムズ』[5]、『ニューズウィーク』および『デイリー・ビースト』を経て『ブルームバーグ』という経歴を有するジャーナリストであるが、その記事に対しては、誘導的であるとの複数の批判が寄せられている。たとえば、ベンガジ事件に係るレイク氏の報道は米軍の能力を不当に過大視している、とのエミリー・アローウッド氏(Emily Arrowood)の指摘がある[6]。ケン・シルバースタイン(Ken Silverstein)氏は、レイク氏への批判の急先鋒であるが、レイク氏がオサマ・ビン=ラディン殺害事件に係るオバマ政権の公式発表を都合良く利用して政治的アジェンダを流布しようとしたのではないか、と批判している[7]。また、シルバースタイン氏は、レイク氏がジョージア(元のグルジア共和国)の米国ロビイストに食事代を奢られていたことをシルバースタイン氏が指摘[8]して以来、レイク氏との仲が悪化したことを付言している[7]

なお、米国では、権力者とマスコミが食事をともにすることがジャーナリストの理念に反するものとの理解が共通するようであるが、わが国では、少なくとも大マスコミにおいては、この考え方は失われている。『ワシントン・タイムズ』の記者でもあった[9]Takehiko Kambayashi氏は、ビル・コヴァッチ氏とトム・ローゼンスティール氏の共著『ジャーナリズムの原則(The Elements of Journalism)』[10](引用は英文)を挙げて、メディア関係者の安倍晋三氏との会食をメモしている[11]。なお、同書の概要は、NPOのアメリカ報道協会(American Press Institute)のブログにも要約されており[12]、いくつかの賞を受賞しているようであるから、アメリカにおけるジャーナリズムの理念を端的に示すものと解釈して構わないであろう。他方、安倍晋三氏の「寿司友マスコミ」などとの「会食」については、山本太郎氏がかなり詳しく追及した[13]ものの、それに対する政府の答弁書[14]は、ほとんど何も回答していないと解釈して良い内容である。しかし、これを十分に報じることによって自己検証機能を発揮した大マスコミは皆無であるから、米国ジャーナリズムのこの理念は、日本語マスメディアにおいては、実質的に死滅しているとしても良かろう。

このとき、米国水準のジャーナリズムに到達していないと批判されるレイク氏のインサイダー記事は、われわれ日本人には、なおのこと、理解し難いものである。トランプ政権内の人物のうち、トランプ氏とマクマスター氏との対立から、不利益よりも利益を得ることになる者であれば、トランプ政権のゴタゴタを表沙汰にしてでも、レイク氏のような風評のあるジャーナリストを通じて、政権内における不協和を表にすることを望むかも知れない。マクマスター氏自身は、米軍人の一人一人にも責任を負う身であるから、率先してこの種の軋轢を公表する理由を持たないであろう。ただ、現今の米日関係を繋いだと噂されたコネクションまでを含めて考察すれば、答えは自ずから導けそうなものである。

このような「情報戦」にインサイダーの情報提供者が勝利したとしても、よほどのことがない限り、マクマスター氏の後任も、米国(民)に対して真に忠実な人物が推挙されることになろう。もはや、アメリカの安全を担う人物や組織は、末端レベルに至るまで、両建て戦術を弄する国際秘密力集団の手口に気が付いてしまっている。よほど後ろ暗いところがある人物が抜擢されない限り、後任の米軍関係者も、同胞を国際秘密力集団に売り渡すことはできないであろう。ただ、米軍が動かない代わりに、日本人が海外派遣され、そこで(シリアの「白ヘルメット」らによるもののような)偽旗作戦が仕組まれ、日本人が巻き込まれるというシナリオは、ますます現実味を増しているということになる。日本人は、このゴタゴタを他山の石として警戒すべきではあろう。


※1 現存する人物に係る『Wikipedia』のルールや、このルールがかなり厳格かつ政治的に利用されている日本語版の情況からすれば、奇異に映るかも知れないが、事実として、本記事で参考にした内容への出典が記されている。


[1] THAAD:「トランプ大統領、韓国費用負担発言覆したマクマスター氏に激怒」-Chosun online 朝鮮日報
(ナム・ジョンミ、2017年05月11日08時10分)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/05/11/2017051100516.html

[2] Washington Loves General McMaster, But Trump Doesn't - Bloomberg
(Eli Lake、2017年05月08日14:44:34.337Z)
https://www.bloomberg.com/view/articles/2017-05-08/washington-loves-general-mcmaster-but-trump-doesn-t

[3] Eli Lake - Wikipedia
(2017年05月12日閲覧)
https://en.wikipedia.org/wiki/Eli_Lake

Eli Lake - Wikipedia

[4] United Press International - Wikipedia
(2017年05月12日閲覧)
https://en.wikipedia.org/wiki/United_Press_International

[5] The Washington Times - Wikipedia
(2017年05月12日閲覧)
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Washington_Times

[6] How Eli Lake Blundered His Daily Beast Benghazi Report
(Emily Arrowood、2013年11月07日10:16 EST)
https://www.mediamatters.org/blog/2013/11/07/how-eli-lake-blundered-his-daily-beast-benghazi/196778

デイリー・ビーストの寄稿者であるエリ・レイクは、オバマ政権がベンガジにおけるテロリスト達の攻撃への対応において、十分な軍の支援を送らなかったという「深刻な失態」をしでかしたのではないかと主張した。しかし、レイクの主張は、共和党に主導され確定された事件のタイムラインに基づくものであるが、事件当日の夜の実施状況よりも早期に、または、より多数の兵力を差し向けることが不可能であった、と軍のリーダーたちが語っていることを、まったく考慮しないものである。
#本文の意を損なわないように和訳したつもりであるが、逐語訳ではない。

[7] [Controversy] | Anatomy of an Al Qaeda “Conference Call,” by Ken Silverstein | Harper's Magazine
(Ken Silverstein、2013年08月15日15:58)
https://harpers.org/blog/2013/08/anatomy-of-an-al-qaeda-conference-call/

多くのレポーターが政府の説明を出版しようと急いだ。だがしかし、レイクにとって、この政府説明は、強力な政治的アジェンダに満ちた情報源からの疑わしい話を、誤解を招きかねないように埋め込むという職業キャリア上のパターンに合致するものであった。

[8] Neoconservatives hype a new Cold War - Salon.com
(Oct 5, 2011 12:30 PM EDT)
http://www.salon.com/2011/10/05/neoconservatives_hype_a_new_cold_war/

[9] Japan's ex-leader calls for changes home, abroad - Washington Times
(The Washington Times、2006年06月15日)
http://www.washingtontimes.com/news/2006/jun/15/20060615-095702-8777r/

[10] NDL-OPAC - 書誌情報
(ビル・コヴァッチ、トム・ローゼンスティール〔著〕, 加藤岳文・斎藤邦泰〔訳〕, (2002年12月)『ジャーナリズムの原則』, 東京: 日本経済評論社.)
http://id.ndl.go.jp/bib/000004008352

[11] PM Abe’s Wining & Dining with journalists – Takehiko Kambayashi
(Takehiko Kambayashi、2016年10月23日11:45+00:00、更新2017年05月07日19:56+00:00)
https://takehikok.com/dining-wining/

[12] The elements of journalism - American Press Institute
(American Press Institute、2013年10月09日)
https://www.americanpressinstitute.org/journalism-essentials/what-is-journalism/elements-journalism/

[13] 質問主意書:参議院
(第188回参議院質問主意書質問第12号、山本太郎、2014年12月24日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/188/syuh/s188012.htm

新聞報道によれば、安倍首相は第二次安倍内閣発足以降、全国紙やテレビキー局といった報道各社の社長等の経営幹部や解説委員、論説委員あるいは政治関連担当記者らとの「会食」を頻回に行っていることが明らかにされており、この二年間で安倍首相とこのような報道関係者らとの会食は、実に四十回以上にも及び、歴代首相の中でも突出した頻度であると指摘されている。メディア戦略を重要視しているとされる安倍首相であるが、政権のトップとメディア関係者の親密な関係、政治家とメディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となることは、今や欧米などの先進諸国においては常識であり、安倍首相のこれらの行動は、国際的な常識から見ても極めて奇異であると言わざるを得ない。また、報道関係者以外にも、安倍政権の推進する政策と利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部と安倍首相との「会食」が行われている事実も報じられており、これら一般常識から逸脱した安倍首相の行いについて、安倍政権は国民に対して真摯かつ誠実な説明をすべきであると考える。以上を踏まえて、安倍首相が行っているこれらの報道関係者さらには利益相反関係にあると国民から疑われかねない企業、団体幹部らとの「会食」に関して、政府としてはいかなる現状認識を持っているのか、その見解を明らかにされたく、以下質問する。

一 特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が成立した平成二十五年十二月六日の十日後に当たる平成二十五年十二月十六日、安倍首相は報道関係者らと東京・赤坂の中国料理店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。事実であるならば、その会食を企画し呼び掛けた者の氏名とその所属、参加した全ての出席者の氏名とその所属及び会食に要した全金額を具体的に明示されたい。加えて、その費用を自己の飲食した割合以上に支出した者、あるいは自己の飲食した割合以下しか負担しなかった者がある場合には、その当該者の氏名及びその所属を全て明らかにされたい。特に、安倍首相が飲食したものに関する費用については、それを負担した者の氏名及びその所属、安倍首相自身が負担したのであれば、その費用の出処について具体的に明らかにされたい。また、これらの質問に対して答弁できない場合は、その理由を具体的根拠を示して国民の納得できる形で明らかにされたい。

二 安倍晋三氏が首相に就任して初めて靖国神社を参拝した平成二十五年十二月二十六日、安倍首相は報道関係者らと東京・赤坂の日本料理店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。〔...略...〕

三 消費税増税が施行された平成二十六年四月一日及び翌四月二日、安倍首相は報道関係者らと東京で二日続けて会食を行ったとの報道があるが、これらは事実か。〔...略...〕

四 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が集団的自衛権行使を容認するよう求めた報告書を提出したのを受けて、安倍首相自ら臨時記者会見において集団的自衛権に関する検討を公式に表明した平成二十六年五月十五日、安倍首相は報道関係者らと東京・西新橋のすし店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。〔...略...〕

五 平成二十六年十二月十四日に行われた衆議院議員総選挙の二日後に当たる十二月十六日にも、安倍首相は報道関係者らと東京・西新橋のすし店で会食を行ったとの報道があるが、これは事実か。〔...略...〕

[14] 質問主意書:参議院
(安倍晋三、内閣参質188第12号、平成27(2015)年01月09日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/188/touh/t188012.htm

一から五まで及び九について

御指摘の「会食」については、政府として企画等を行っておらず、その費用も支出していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。




2017(平成29)年05月12日18時追記

レイク氏の記事がバランスに欠けたものであるか、あるいは国際安全保障を担当するプロとしては能力不足であることを示す兆候は、前FBI長官のジェイムズ・コミー氏(James Comey)に係る論評記事の中にも見出すことができる。サイバー攻撃の「犯人」をロシアとして名指しするにもかかわらず、当時から話題になっていた『Vault 7』を念頭に置いた言及が見られないのである。『Vault 7』の公開により、IPアドレスの詐称が可能という攻撃方法が存在することが(より)広く知られるようになった。攻撃の発信元のIPアドレスが特定国に割り振られたものであるからといって、攻撃者をその国の人物であると断定できなくなっているのである。この技術的な特徴を踏まえないサイバー攻撃の解説は、もはや、容認されない。

[15] Comey Is Now the Most Powerful Person in Washington - Bloomberg
(Eli Lake、2017年03月22日14:38:48.598Z)
https://www.bloomberg.com/view/articles/2017-03-22/comey-is-now-the-most-powerful-person-in-washington

2017年4月20日木曜日

(メモ)認知的不協和を援用して日米両政権の「変心」を評価する

日本語でタブーなく議論する(、つまり、キクマコなどからみれば「陰謀論」となる)界隈では、最近、日米の両政府と戦争屋との三角関係に対する解釈に、大きな対立がある。{日本と米国、米国と戦争屋、戦争屋と日本}という順序で、解釈が見られるものを列記する。認知的不協和を解消しうる関係には、-+-というものもあり得るが、この意見は聞いた覚えがない。

  1. +++(『阿修羅』の主流、孫崎享氏、『国際秘密力研究』の菊池氏、大多数)
  2. +ーー(田中宇氏、私も含まれる)
  3. +ー+(副島隆彦氏)
  4. ++ー(飯山一郎氏)

この関係を眺めると、飯山氏が、なぜ、ジャレッド・クシュナー氏の影響のみを大きく取り上げるのか、どうしても分かりかねてしまうのである。軍人が無用な流血を避けるという原則ハーバート・マクマスター氏に適用されるか否かの検討は、なぜか無視される。ロシアとの戦闘を避けるために空母カール・ビンソンがグズグズしているとの解釈[1]は提示されるが、本件がブラフであるという『スプートニク日本』に掲載された解釈[2]は、なぜか無視される。認知的不協和など現実に適用可能な概念ではない、とする否定方法もあろうが、ヒュミントの影も窺えないので、飯山氏の英語情報へのコネは、中国語や韓国語に比べて、相対的に乏しいか、調理済みのものであるとも考えられる。(佐藤則男氏を想起せよ。)

同様の理由で、副島隆彦氏の安倍晋三氏への評価は、やはり追加的な説明を必要とする。日本人としては、米国の動向に影響を受けない訳にもいかない。このため、米国が戦争屋の手に落ちたというリスクを日本の庶民が高めに見積もることは、リスクヘッジにもつながるから、やむを得ないことである。この点、副島氏に課せられた、日本人読者が疑心暗鬼となるために生じるハードルは、他の論者よりも高いものとなろう。

なお、日米両政権における個々の人物関係(権力闘争)を織り込めば、色々と解釈の幅が広がることは、間違いない。ただし、その割に、マクマスター氏と米軍についての解釈の根拠がわが国の一部の言論界隈でほとんど示されないことは、再度特記しておいた方が良いであろう。この不整合性が説明されない限り、飯山説は、他の2説に比較して、説得力を持ち得ないのである。なお、権力関係に新たなアクターを登場させるときには、個々の三角関係が整合的であるように関係が成立しているかを確認する必要がある。たとえば、日米双方にトップ・部下という2種類のアクターを配置した場合、日本風に表記すれば、${}_5 C_3$個の三角関係が安定的であるかを検証する必要がある。これは面倒なので、逐一検討しないが、たとえば、日・米のトップ・部下のすべてが仲良く、戦争屋だけをハブるというケースは、世界にとって最善のケースである。


[1] 飯山一郎のLittleHP
(「ラブロフ露外相 アメリカを脅す!」飯山一郎、2017年04月19日)
http://grnba.jp/#aa04191

[2]

心理戦の教え?軍事攻撃の話があったにもかかわらず、トランプ大統領の艦隊は朝鮮半島沖にいなかった
(スプートニク日本、2017年04月19日19時46分(アップデート 2017年04月19日20時33分))
https://jp.sputniknews.com/asia/201704193553384/




2017(平成29)年4月21日0時30分追記

認知的不協和は、動的な変化を説明するための概念であるが、本件国際関係についても適用可能である。トランプ政権の誕生は、戦争屋との(上記リストの並びで言えば二番目の)マイナス関係を生じさせた。従来の+++関係は、+-+関係へと変化したのである。この状態は、安倍政権・官僚組織内に生じた内紛となって、+--関係を生じさせた。私は、過去、ーー+関係が生じるのではないかとの含みを込めて予測した(2016年10月18日)ことになるが、現時点では、この予測は、幸いながら(か?)外れている。ただし、国際的に人口の社会移動が生じると予測したところまでは意味のある程度に正しいから、まあ戦争屋の思考形態を読めてはいるとは言えよう。カナダのエリート層が自国をハニーポットのつもりで利用するのか、それとも真に魂を抜かれた存在となり果てているのかは、検証が必要な作業であり、私には即答しかねることである。




2017(平成29)年4月21日10時10分追記

中立という関係を措定すれば、現時点の仮説に過ぎないが、下図のように五角関係を描けるかも知れない。五芒星になり嫌な感じだが、表現上、やむを得ない。なお、精緻に分析する場合には、「ある時点において、あるアクターから見て誰が誰をどう思っているのか」が各アクターについて、検討され、その時点での関係性が次の時点での関係性に影響すると考えなければならないであろう。(つまり、無向グラフでなく有向グラフを用いて、かつ、時間軸を導入して考えるべきであろう。)たとえば、「日本の官僚集団から見て、トランプ政権は、戦争屋をいかに捉えているか」であるが、これは、マイナスに捉えていると見て良いであろう。これと同じノリで、5×5×4通り=100通りの「敵・味方」なり「好悪」なりの関係を見るべきである。今回は、そこまで検討する必要もないものと考えた。なお、ここでは、わざと米軍の立ち位置を書き入れなかったが、トランプ氏自身と同じ枠と見るべきというのが、私の見立てである。その理由は、無用な流血を避けるという軍人の原則による。

今回の作業に実際的な意味があるか否かはさておき、モデル化には、多数のアクター(成員)からなる関係を単純化する効果がある。ただ、ここでのモデルには、中立という状態を持ち込んだために、認知的不協和が生じているかを具体的に確認する上で、特別な取扱いが必要である。そこら辺の不備へのツッコミは、グラフ理論の応用研究に必ず先行しているものがあるはずであるから、そこでの扱いを参照した際に検討することとしたい。あくまで、たたき台、参考程度に留められたい。




2017(平成29)年4月22日15時追記

気が付かれている読者もいるとは思われるが、安倍氏周辺・官僚集団・戦争屋の三角関係は、あえて、この状態で良しとしている。もちろん、安定的ではない。この状態がいかなるものに変化するのかは、予断を許さない。たとえば、TPP11に係る麻生太郎氏のコロンビア大学における4月19日の講演は、動画等がネットに見られないので、数少ない二次情報に頼らざるを得ないが、米国にねじ込まれた分は他の国から取る、との主旨を述べるものと解される。『The Straits Times』(シンガポール)[3]は、麻生氏の言葉として、多国間協定であれば米国のような国からの失点を他のところで取り戻せるが、二国間協定ならそうはいかないと述べたことを伝えている。この理解は、原語である日本語のニュアンスに照らして完全に正確であるとまでは言えないようである[4]が、要旨としては十分一致するし、同時に紹介される菅氏の発言の骨子については、ほかのソース[5]からも、おおよその理解が正確であると看做せる。(忘れてはならないのは、常に、われわれ人間には、能力不足から来る誤読・誤解がつきまとうということである。)いずれにしても、日本政府トップ周辺がTPP11を帝国主義の一手段として活用する意向であると我々が理解することは、問題なかろう。とすれば、首相周辺から官僚集団まで、日本の政体は、本気でTPP11の内容を馴致できるものと考えているのであろうか。そうであるとするならば、大変に脳天気なことである。

[3]Australia, Japan lobby for TPP-11, East Asia News & Top Stories - The Straits Times
(Walter Sim、2017年04月21日05時00分SGT(+08:00))
http://www.straitstimes.com/asia/east-asia/australia-japan-lobby-for-tpp-11

With a multilateral pact like the TPP, Mr Aso said that "Japan stands to gain from other countries, even if it loses out in some respects to other countries, like the US".
He added: "But in a bilateral deal, you can't do that. You can't get back what you lose from a compromise."

[4]TPP アメリカ抜きの11か国で発効を議論へ | NHKニュース
(記名なし、2017年04月20日19時08分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170420/k10010954991000.html

初めての経済対話について、「日本とアメリカで作り上げられたルールをアジア太平洋でも広めていこうと思う」〔...略...〕アメリカが離脱を決めたTPPについて、「アメリカなしで11か国で進めようという話はどういう形でまとまるか分からないが、ことし5月のAPEC=アジア太平洋経済協力会議に合わせて開く参加国会合で出てくる」〔...略...日米〕2国間のFTA〔...略...〕について「2国間となると、アメリカから日本が得るものを計算した場合、TPPほどの水準に達しないということは、はっきりしている」

[5]平成29年4月20日(木)午前 | 平成29年 | 官房長官記者会見 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
(2017年04月20日)
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201704/20_a.html
#それにしても、書き起こしはないのであろうか。ユニバーサルデザインはどうなった。

2017年4月13日木曜日

(メモ)サムスン製スマートテレビの脆弱性に係る報道を今更つまみ食いする(のには理由がある)

後知恵であるが、『Sputnik 日本』にも『Vault 7』の露払いとなる記事を見つけた※1ので、メモする。元々、アメリカとロシアの軍事実務者同士のホットラインが再開されるのかどうかが知りたくて、「ホットライン」という日本語で同サイトを検索してみたところ、昨年(2016年)8月、キエフにあるサムスン直営店のスマートテレビがポルノを深夜に延々放送し続けたという記事[1]があった。同サイトは、(18禁にならない種類の)性にまつわる話題をそれなりの頻度で取り上げている。このため、この種の「セット販売」も難なくこなせるという訳か。佐藤優氏が「大人のおもちゃ」の宣伝の横に外務官僚の氏名を並記させる技術を紹介していたが(出所の確認は、サボらせていただく)、流石ということか。

ちなみに、『Washington Examiner』[2]によると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、プーチン大統領とティラーソン米国務長官の会談後、通訳を交えた会見で、大統領がシリアについての露米ホットラインを再開することに前向きであると述べたという。本日のマスコミ報道に要注目である。まず間違いなく、日本のメディアは、本件を小さく扱うであろうし、何なら無視するであろう。無視したメディアは、日本国民にとって、売国奴である。なぜなら、本件を報じないメディアは、そのリソース(社会的地位)を十分に活用しないという不作為と、トランプ氏のシリア攻撃に係る発言を殊更に取り上げたという非均衡によって、戦争を煽り、日本国民を外国で死なせようとする勢力に与したことになるからである。この指摘を理解するに当たっては、田中宇氏の今月8日の記事[3]を参照されたい。ただ、文末にあるような、TPPへの復帰は極めて考えにくい。二国間交渉の方が日本を槍玉に挙げ易く、他国(特に、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドというファイブ・アイズ中の関係国)への遠慮が不要になるためである。相互に弱味を握る関係にある国とは、仲良くせざるを得ない。日本の弱味はアメリカに握られているが、ここ20年ほどの間、日本はアメリカの弱味を握ることができていない※2

先月(2017年3月)、CIAのソースコード集『Vault 7』が『Wikileaks』を通じて漏洩[4]されたが、この件を報じた『GIGAZINE』[5]『BBCニュース』[6]は、『Wikileaks』の解説を受け、サムスンのテレビがハックされるという事例を紹介していた。これは、同社のスマートテレビの登場以後、2月までの間にも、その脆弱性が度々取り上げられていたことを鑑みれば、想定の範囲内の話ではあった。2013年には、わが国の政府機関である情報処理推進機構(IPA)も、メーカに対して警告を発している。ただ、この種の侵入行為は、どの国家でも業務の一環であろう。(われわれは、ジェイムス・ボンドやジェイソン・ボーンの活躍を、当然のように受け容れているではないか。)

オチ代わりに、オリジナリティのため、セキュリティめいた話を付け加えておく:このような状況下、『Sputnik』に取り上げられたような形で公知とならないよう、企業がブランドイメージを守るためには、アップデートを整備することはもちろんであるが、それよりもまず、スマートテレビのURLフィルタリング機能を充実させ、デフォルト設定でオンにしておくべきであった。視聴用のフィルタリング機能が実装されており、デフォルトで有効になっていたにもかかわらず、同様の被害を受けた場合には、メーカの製品をディスるための措置であることを指摘しやすくなる。少なくとも、外部の専門家がこのような主張を行う余地が生じる。しかし、このような機能がなかったか、デフォルト設定となっていなかった場合には、メーカに期待される措置が執られていなかったという批判につながることになる。メーカの落ち度が責められることになるのである。


※1 本ブログは、基本的には、公開情報だけを元にして考察を組み立てているが、手抜きのために、探索型(exploratory)の研究ではなく、確証型(confirmatory)の研究に近いスタイルを採用している。探索型とは、データから何が言えるのかを探るというもの。確証型とは、(経験的・理念的な)理論が適切であるかをデータによって検証するもの。Googleの収集するデータの巨大さを想起すれば納得できるであろうが、今や、情報に係る探索型の研究は、装置研究でもあり、市井の一個人が太刀打ちできるものではない。これは、単に、私が都合良くサボるための言い訳でもある。なお、私の乏しい体験的知識(個人の体験に根差した知識)と、幾ばくかの法則的知識(学習を通じて間接的に取得した知識)も、一応のところは利用しているが、論理の後追いには不要であろう。

※2 なお、弱味を握るといえば、森友疑惑が野党の思うように進展しないのは、トランプ政権が安倍政権を肯定する一方で、森友疑惑を仕掛けた戦争屋を否定しているためであると考えられる。安倍政権は、トランプ政権が動かないことを間違いなく知っているからこそ、強気で振舞い続けることができるのであろう。本疑惑の構図は、「アッキード事件」と呼ばれているように、ロッキード事件と酷似している。両件の構図が同様のものであることは、偶然ではない。しかし、今回の場合は、外部環境が異なるのである。

[1] キエフ中心部にあるサムスンの店のテレビ画面で深夜、ポルノが放映される
(記名なし、2016年08月22日03:02(更新2016年08月22日 05:51))
https://jp.sputniknews.com/europe/201608222672700/

[2] Lavrov: Putin open to restarting the US-Russia hotline over Syria | Washington Examiner
(David Brown、2017年04月12日13:51ET?)
http://www.washingtonexaminer.com/lavrov-putin-open-to-restarting-the-us-russia-hotline-over-syria/article/2620112

[3] 軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃
(田中宇、2017年04月08日)
http://tanakanews.com/170408syria.htm

[4] Vault7 - Home
(2017年03月07日)
https://wikileaks.org/ciav7p1/

[5] 「自動車をハッキングして暗殺する」「テレビで部屋の会話を録音する」などCIAの極秘諜報作戦の実態を暴露する機密資料「Vault 7」をWikiLeaksが放出 - GIGAZINE
(記名なし、2017年03月08日12時45分)
http://gigazine.net/news/20170308-wikileaks-vault-7/

[6] テレビで室内の会話を盗聴――ウィキリークスが米CIA技術を暴露 - BBCニュース
(リオン・ケリオン、2017年03月08日)
http://www.bbc.com/japanese/39202254

[7] プレス発表 「スマートテレビの脆弱性検出に関するレポート」を公開:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
(2013年03月18日)
https://www.ipa.go.jp/about/press/20130318.html




2017(平成29)年4月26日10時追記

『スプートニク日本』によれば、13日時点で覚書の効力が復活され(てい)たということが、25日に明らかにされたという。Google様に簡単なお伺いしか立てていないが、毎日[9 ,10]、産経[11]、朝日[12]、読売[13]、日経[14]とも、ホットラインには直接触れずとも、軍事衝突回避の努力を報じているようではある(読売は、今となっては、同社のウェブサイト上では、無料で確認不能のようである。朝日は、一日一本の制限あり)。ホットラインを明記することが無料で後追いできるものは、(朝日を除けば、)毎日だけのようである。

従来からの主張と一部重複するが、私の軍事に係る基本的な理解の一つは、「現代的な軍人は、仲間や部下の命を無駄に(損耗)しない」というものである。この精神は、人間的・合理的・工学的・功利主義的である。私の知る限り、江畑謙介氏や清谷信一氏の論考は、この原則に立脚したものであるように思われる。しかし、わが国で軍事に詳しいと主張する非軍人(経験者)は、なぜか、この傾向に乏しい人物が多い。石原慎太郎氏なぞは、高齢女性に対する発言をふまえれば、命を粗末にする発言に居直る人物の代表格である。(ただし、この場合、石原氏と対立関係にあるからとて、小池氏が善玉という訳でもないことは、本ブログを良く読めば、十分に理解できよう。)


[8] ロシア、ティラーソン氏の要請でシリア上空での飛行に関する米国との覚書の効力を復活
(記名なし(『スプートニク日本』)、2017年04月25日 15:33(更新2017年04月25日18:10))
https://jp.sputniknews.com/russia/201704253572933/

[9] 米露外相会談:記者会見の要旨 - 毎日新聞
(記名なし、毎日新聞2017年04月13日17時59分(最終更新04月13日17時59分))
https://mainichi.jp/articles/20170414/k00/00m/030/017000c

米 両国間の信頼は低レベル。対露追加制裁の用意はない。
露 米露は関係改善へ作業部会を設置し、特別代表を任命する。シリア上空での偶発的衝突を防ぐための覚書の効力を回復させる用意がある。

[10] 米露外相会談:記者会見 要旨 - 毎日新聞
(記名なし、毎日新聞2017年04月14日 東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20170414/ddm/007/030/104000c

[11] 米露関係は「低いレベル」 訪露の米ティラーソン国務長官、シリア問題は平行線 - 産経ニュース
(記名なし、2017年04月13日18:37)
http://www.sankei.com/world/news/170413/wor1704130075-n1.html

ラブロフ氏によるとプーチン氏は、ロシアが履行停止を表明したシリア上空での米露軍機の偶発的衝突を避ける施策を再開する意向を示したという。

[12] 米ロ、シリア巡り平行線 トランプ氏「ずっと低調かも」:朝日新聞デジタル
(モスクワ=杉山正・駒木明義、2017年04月13日11時18分)
http://www.asahi.com/articles/ASK4F269GK4FUHBI00Q.html

ただ、米ロ関係の改善のための両外交当局者による作業部会を立ち上げることや、シリア上空での米ロの偶発的な衝突を避けるための連絡態勢の再開では合意したという。

[13] シリア情勢をめぐる議論は平行線…米露外相会談
(記名なし、2017年04月13日)
http://www.yomiuri.co.jp/world/20170413-OYT1T50048.html

両外相は、米露関係の改善に向け取り組む必要性では一致した。

[14] 米ロ、シリア協議平行線 外相会談、関係改善へ作業部会 (写真=AP) :日本経済新聞
(モスクワ=川合智之、2017年04月13日)
http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM13H23_13042017MM0000/

2017年2月7日火曜日

トランプ大統領の入国制限政策を批判する日本人研究者は、自らの所属する組織を正してから批判すべきである

題名で主張をすべて言い尽くしたので、おしまいでも良いが、ここでは、研究者の受入に伴う人物同定については、日本の大学も他国の批判を行うことができないことを指摘するため、報道された事例を元に、論拠となる事件を3件挙げておきたい。1件目は酒田短期大学(の留学生)、2件目は佐賀大学(大学院の留学生)、3件目は立命館アジア太平洋大学の教員の件である。おまけに4件目として、私の卒業(了)した学科での事件を挙げることができる。1・2・4件目は、大学院重点化と外国人留学生受入れ増加に伴う弊害であるとともに、テロ(4件目)や犯罪(1・2件目)への関与が疑われた事件に過ぎないが、3件目は比較的新しく、しかも邦人テロという甚大な実害が生じている事件について、教員の関与が濃厚に疑われているために、特筆されるべきである。この事件に触れないまま、トランプ政権の施策を批判する研究者がいるとすれば、その人物は研究者としての素養を欠くと批判されてもやむを得ないであろう。余分(で私の将来に不利)な物言いであることを承知で指摘するが、私の中では、安全を冠する研究分野についての立命館大学(グループ)のあり方は、相当に悪印象である。



本文よりはるかに長いおまけ

蛇足となるが、多国籍(=無国籍)巨大IT企業の経営陣がトランプ政権に対して批判的である原因は、海外からの優秀な人材供給が制限されるという事情にもよるであろうが、大学等の高等教育・研究機関とは異なる理由も併せ持つであろう。つまり、人材供給難だけが現状の批判に至る原因となっていないと考えられる。大統領選挙戦における反トランプ氏キャンペーンに深く関与していたことが認められる企業が含まれるためである。現時点に至る経緯を見れば、トランプ政権とこれらの大企業との間には、ヤクザチックな表現であるが、手打ちが必要なはずである。ゆえに、アメリカを代表するようなIT系大企業からの現在進行形の批判は、現政権サイドとの何らかの了解の下に進められていると考えることも、無理筋ではない。この可能性を示す兆候と、この双方の了解という状態の生み出す影響は、インテリジェンス業界に属するものである。本点については、私の方法がオシントに分類されるものであるとしても、これ以上の調査を進めるつもりはない。ただ、報道のあり方に違和感があるというのみである。

ここまでに指摘した材料を揃えた上で、職業集団を全体として評価してみれば、日本人研究者たちは、政治的な観点から、安全と名の付く分野については、昨今の安保関連法案反対の署名を除けば、賢明な表現活動・社会活動を進めてきたとはいえない。その割には、アメリカ国内において支出される100分の1程度の端金で、4周遅れくらいのレベルの防衛研究に手を染めようとしている。むしろ、外交研究とサイバー防衛(防衛のみ)にカネを突っ込むべきである。防衛研究については、田母神俊雄氏の公訴に係る恣意性を正すことができなければ、わが国にはフリーハンドがないものと考えるべきである。サイバー防衛については、TRON OSのテコ入れとWindows機の公的機関の重要部分からの排除を実現できなければ、やはりフリーハンドはないものと考えるべきである。ここでは、あえて極論を記してみたが、このような、セキュリティに係るどん詰まり状態を放置しておいて、今更、外国人研究者として、トランプ大統領の進める政策に対していち日本人が反対することは、どうにもセンスの悪いことである。他国の政策についてとやかく言うことは、十分に政治的である。国内の研究機関等に所属する研究者が、他国の政策に余計な口を挟む一方で、自国の大問題である福島第一原発事故を問題視しないことは、政治的である。かつ、日本の公費を投入されている職業人としては、臆病であり、無責任である。ましてや、アメリカ(と米国籍とみなされる企業等)は、わが国の研究者に対して、各種のフェローシップを提供してきた。その恩恵を受けた研究者が発言することは、日本国内での活動実績もコミで評価されることになろうから、慎重に言葉を選ぶ必要がある(その人物は、果たして、win-winの関係のみに言及してきたのであろうか。1%のみが利する政策のみに言及してきたのではないか、という疑惑が厳然としてある。)

わが国の研究者たちは、他国への留学生の救済を言う前に、たとえば、原子力工学研究界隈で傍流に追いやられていた研究者たちの救済を、優先して指摘すべきである。徐々に、彼ら少数派の事故直後の指摘の方が、原子力政策に大きな影響を及ぼし得た多数派の事故直後の公言よりも、実像に近かったことが公に認められつつある。正確な予測をなした研究者たちの政治的な名誉の回復や経済面・制度面での救済は、まったくと言って良いほどなされていない。原子力業界(と政界・学術界)の機能の正常化を求めない研究者たちの政治センスの悪さは、最後にはわが国をハードランディングに導く原因の一つである。その理路の詳細な説明は、現今のわが国のテロ対策の根幹にも関わるので、現時点では見合わせておく。ただ、本件に関連する限りでは、留学生の母国や以前の居留先におけるヒュミントを確立できずに、留学生を受け入れよとするような意見(#どこかの医者の意見、Yahoo!個人かに掲載)は、総じて無責任であることだけを指摘しておく。持論は、別の必要とされたはずの場で、必要とされる人に伝わるように、すでに述べてあるが、要点だけを繰り返して述べる。受入国のコミュニティを丸ごと移植して、そこで安全に対する責任を育成できる見込みがなければ、移民は認めるべきでない、というのが私の(体験的な)意見である。国・言語のコミュニティを研究者コミュニティに置き換えれば、留学生の受入方針へと転用可能である。公共安全分野を含めて、そのサラダボウル内の自治を確立しないと、テロ対策が機能しうる移民政策にはならない、というのが、他国を見たときの経験則である。




2019(令和元)年05月21日追記

本記事に取り上げたモハマド・サイフラ・オザキが20日に拘束されたとの報道[1]があった。彼の受入れ体制ならびに関与した人物たちの(現時点までの)行動は、今一度、検証され批判を受けても良いと思う。


[1] 邦人死亡テロ、中心人物拘束=元立命館大准教授の男-バングラ:時事ドットコム
(2019年05月21日19時43分、ニューデリー時事名義)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019052101136&g=int

〔…略…〕今年3月にシリア東部でクルド人部隊に投降し、イラク北部スレイマニヤに身柄を移された。また、一緒に行動していた日本人の妻と子供2人は空爆で死亡したという。

同容疑者は16年のテロの際、バングラデシュ国内の過激派とISとの連絡役を務めたほか、資金調達や、バングラデシュの若者をISに送り込む際の勧誘役も担った疑いがある。警察が指名手配し、行方を追っていた。

2017年2月3日金曜日

オバマ大統領は第三次世界大戦を回避した人物として記憶すべきである

 一般社団法人ガバナンスアーキテクト機構 研究員の部谷直亮氏は、『プレジデント』の2017年1月30日配信の記事[1]において、バラク・オバマ氏を無人機(ドローン)を用いた「爆弾魔」であると批判している。部谷氏は、米外交問題評議会(CFR)の報告を引用し、「2016年は2万6171発、15年は2万3144発」であるとして、子ブッシュ政権よりも桁違いに多いドローン攻撃を実行したと批判する。部谷氏は、オバマ氏が国家間戦争を主導しなかったから非戦の人であると理解することは誤りであるという論旨を提起している。さらに、部谷氏は、オバマ氏のドローン使用に係る政策・発言・思考が相矛盾するとさえ批判している。

 部谷直亮氏の批判は、オバマ氏が、第三次世界大戦の回避という、よりマシな選択(the lesser of two evils)を取ったことに言及しない点で、不公正である。オバマ政権時、アメリカ軍やNATO軍を本格展開する正規戦が生じていたとすれば、どの国においてであれ、民間人を含めた全陣営の被害者数は、ミカ・ゼンコ(Micah Zenko)氏のブログ[2]に2017年1月20日に示されたような数値と比べて、二桁違いとなっていたであろう。また、部谷氏は、オバマ大統領が自らターゲットの最終選定に関与していたことを指弾するが、この選定過程は、その内容次第で、ターゲットの人数を減らす方向にも作用するものであるはずである。(後世において、この点の検証が可能であるか否かは、疑わしいものではあるが。)あり得た状態との対比を経ることなく、被害が大きいと批判することは、20世紀以降の行政組織においても見られない杜撰さである。(わが国の行政組織は、対前年比・対前年同期比が大好きである。)蛇足であるが、(反実)仮想的な状態との対比は、近年の政治学における定性的・定量的研究双方の根幹に据えられている。

部谷氏の記事は、それ自体、失当な内容ではあるが、以前の私のオバマ氏への評価を図らずも肯定する内容となっているという点では、(私にとって)有用であった。私は、(2016年11月18日)において、「シリアにおける消極策のようにバラク・オバマ氏の「チェンジ」が分かりにくい」ものであると指摘した。オバマ氏は、大統領在任時、シリアにおける正規戦へとアメリカ軍を参加させることがついになかった。この事実を、ロシアの伸張にむざむざチャンスを与えたとみるか、第三次世界大戦を回避したとみるかは、後世や同時代の人々の自由ではあるが、私は、後者の意見を断然採用する。断定的となる危険を承知で表現すると、アメリカ大統領としてのオバマ氏は、ツンデレで皮肉屋で強かであった。部谷氏は、「デスノート」を持ち出しているが、ドローン攻撃にこの喩えを用いることが不適切であることはさておくとしても、近年のわが国における漫画文化に典型的なキャラ設定を有するオバマ大統領の思考・言動・政策を理解していない。

オバマ氏は、戦争屋一味の部下に囲まれた大統領であり、その政権内では、少数派の平和志向であった。このように理解すると、オバマ氏の消極的姿勢の理由が良く理解できるようになる。ヒラリー・クリントン氏や、(最近、トランプ氏に解任された)ジョン・ブレナン(John Owen Brennan)氏に代表される戦争屋勢力のプレッシャーがかかる中、通常人ならば決定後も苦しむであろう(人を殺すことになる)政策を強いられていたものと考えることができる。もちろん、最終責任者としての責任をオバマ氏に問うことは可能であろうが、オバマ氏が選択を拒否してケネディ大統領と同じ目に遭っていた場合、後に控えているのは、シリアを発火点とする第三次世界大戦であったことを念頭に置けば、人々の考え方も和らぐというものであろう。

 このようなオバマ大統領の「功績」を考えに入れれば、部谷氏の論考がきわめて不公正であったものと自然に結論を導くことができる。共和党寄りとはいえ、戦争屋一味のシンクタンクである米外交問題評議会の報告を利用してオバマ氏をディスるとは、部谷氏も、お里が知れるというものである。今後も、トランプ氏にすり寄るかの姿勢を見せるためにオバマ氏をディスるというスタイルを用いる日本人(?)は、テンプレの如く一定比率で湧くものと思われるが、そのディテールに注意すれば、今後の国際社会の平和にとって、有益であるか有害であるかの見極めは、容易に付くものであろう。米外交問題評議会の報告も、戦争屋の懐をそれほど潤すことのなかったオバマ氏に対して汚名を着せるという「制裁」の意味合いが存在するものと考えて差し支えないであろう。この報告の意図に同調するか否かは、戦争屋であるか否かの試金石の一つであろう。

[1] さようなら、オバマ「あなたは史上最悪の爆弾魔でした」 (プレジデント) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170130-00021210-president-pol

[2] Politics, Power, and Preventive Action Obama's Final Drone Strike Data - Politics, Power, and Preventive Action
http://blogs.cfr.org/zenko/2017/01/20/obamas-final-drone-strike-data/

2016年11月18日金曜日

(感想文)TPPはトランプ・安倍会談でいかに話し合われているのであろうか

ドナルド・トランプ氏が米大統領選挙を制したという事実は、それ自体、世界が「ノーマライズ」する方向に大きく舵を切りつつある事実を示すものであるが、その流れをますます加速しそうである。バラク・オバマ氏の下での「チェンジ」は、シリアにおける消極策のように、分かりやすく提示される形の変革ではなかった。それに、ヒラリー・クリントン氏を始めとする、君側の奸と呼べる一派を重用せざるを得なかったために、低質なマスメディアに囲まれてきた※1日本人の大半には、随分と理解しにくいものであった。トランプ氏の下での変化は、随分と分かりやすくなってはいるが、そのルールの変化を、日本のマスコミは未だに正確に伝えようとはしない。悪事に荷担してきた当事者であるためである。なお、読売新聞がクリントン氏の当選を見込んでいたことは、『simatyan2のブログ』に紹介されている[1]

安倍晋三氏も、大メディアによれば、トランプ氏向けのシフトに急いで切り替えているとされる。日本時間7時現在、トランプ氏と会談を開始しているはずである[2]が、読売新聞によれば、TPPに言及しない方針で訪米したという。トランプ氏の面前で、TPPにいかに言及するかは、安倍氏の今後の立ち位置を宣言することになろう。安倍氏は、米大統領選挙戦中の9月20日にクリントン氏とだけ会談したが、この方面を推進してきた読売新聞にさえ、この事実は「異例」と評されていた[3]。日本国政府の代表は、同盟国であるとはいえ、不公平に処遇した相手に、今まさに、歓待を受けていることになる。日本の政策判断の基本が官僚集団に拠るものであることは、米国人には良く理解されている社会的事実であるから、トランプ氏は「米国第一(America First)」を前面に押し出して、日本国官僚の思惑を存分に否定しているであろう。クリントン氏とだけ安倍氏が会談していたという事実は、私自身が決して歓迎することではないが、安倍氏自身にも利用可能な事実である。日本国民の大多数にとって過剰に不公正なディールにより、権力の維持を安倍氏が願い出るというケースを、日本国民は覚悟しておかなくてはならない。

ところで、ニュージーランドもTPP法案を11月15日に採決したと報じられて[4]いるが、TPPを面と向かって米国に推進するということはしないであろう。同国は、条約の成立に尽力したという体裁を取っただけであろう。無論、採決自体に影響しないことをふまえての決断であろう。日本が採決した後の動きであり、日本の動きは、理由の一つとして挙げられる材料となっている。日本は、率先してTPP法案を採決したというだけでも、後世において関係国民から非難の的となろう。この点を理解していて、わが国の官僚や政治家たちは、率先してTPP法案を採決したのであろうか。

なお、陰謀論者としての蛇足をひとつ。カイコウラ(Kaikoura)で生じたM7.8の地震(2016年11月14日12:02:56(NZDT, UTC+13:00))[5]をTPPを推進してきた勢力によるものと疑う者もいるが、私は、その是非を判断する材料を有していない。ただ、この疑いを追求することは、戦争屋勢力の衰退具合を診断する上での良い材料となるものである。また、この追求作業は、わが国が戦争屋の軛を脱していないとはいえ、他国においては安全保障上の調査事項の優先順位のトップレベルのものであると予測される。近い将来、それらの真剣なインテリジェンス活動の成果に、われわれも触れることができるかもしれない。

※1 『ダイヤモンド・オンライン』に瀧口範子氏の「トランプを「ノーマライズ」してはならない」という記事[6]があるが、「政治的に正しい(politically correct)」言説を吐きながら自国民の若年層を戦地に送ることで利益を貪ってきた経済が正常であるとは、決して言えない。以前の状態をノーマルだと勘違いしてきた日本人が多くいるのは、マスコミ人の主流派が瀧口氏のような論調を容認してきたためである。

[1] 安倍晋三生みの親「読売グループ」の大誤算|simatyan2のブログ
(2016年11月11日10時04分)
http://ameblo.jp/usinawaretatoki/entry-12218371731.html

[2] 『読売新聞』2016年11月18日東京朝刊14版1面「日米同盟 重要性訴え/首相 トランプ氏と会談へ」(記名なし)

[3] 首相、国連総会でNYに…クリントン氏と会談へ : 北朝鮮 : 読売詳報_緊急特集グループ : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
(ニューヨーク=今井隆、2016年09月19日)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000301/20160919-OYT1T50045.html

日本の首相が投開票日まで2か月を切った米大統領選の候補と面会するのは異例。クリントン氏が日米同盟を重視していることを踏まえた対応とみられる。

[4] TPP bill signed by Parliament as US signals its end | Radio New Zealand News
(Radio New Zealand、2016年11月15日20時19分)
http://www.radionz.co.nz/news/political/318141/tpp-bill-signed-by-parliament-as-us-signals-its-end

The government's Trans Pacific Partnership (TPP) legislation has passed its third reading at Parliament this afternoon, despite the likelihood the trade deal won't proceed.

[5] GeoNet - Quakes
(GeoNet - Quakes、2016年11月18日07時31分)
http://www.geonet.org.nz/quakes/2016p858000

[6] トランプを「ノーマライズ」してはならない (ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース
(2016年11月16日06時00分)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161116-00108207-diamond-int&p=2


2016(平成28)年11月18日18時追記

日経[7]・朝日[8]・読売[9]の三紙夕刊の論調についてメモする:日経と読売は、TPPを推進したいと安倍氏からトランプ氏に向けて話したと見られると報じているが、朝日はTPPに係る安倍首相の言動には立ち入って解説していない。この状況は、日本側の出席者が(守秘義務が当然に発生しているであろう)通訳を除けば、安倍首相だけであったという条件によって、制限された状態にある。安倍氏だけで話の内容を過不足なく受け止めることができたのであろうか、という一抹の不安がある。

本日の安倍氏とトランプ氏の会談の形式は、日本国の主権者である日本国民にとって、真相が「藪の中」になる方向性が決定されていたものと評することができよう。後世において、この会談に至る調整の過程は、大平洋戦争に至る上で外務省が果たした(あるいは果たし得なかった)役割に近い位置付けを与えられることになろう。通訳が外務官僚であったとすれば、要点に係る記録は取られているとはいえ、メモ扱いになろう。わが国政府の組織としての実力は、関与した成員個人の力量が他国のカウンターパートに見劣りするものではないにもかかわらず、期待される水準に到達しないことがしばしばある。内閣官房か外務事務次官か米国大使の責任と認められると評しておく。見届人が見届人の役割をしばしば逸脱しつつも歴史の転換点において責任を全うしないというオチは、日本の官僚機構の伝統芸であると結論付けられよう。

本ブログの隠れた目標のひとつに懸かるので、忘れないうちに脱線気味にメモしておくと、丸山眞男氏が評したドイツ人戦犯のニュルンベルグ裁判観は、ハンナ・アレント氏の見たアイヒマン氏のエルサレムにおける裁判とは、随分と印象が異なるようである。アレント氏のアイヒマン氏への評価は、丸山氏の東京裁判戦犯への評価と共通するものがあり、丸山氏のドイツ人戦犯への評価とは対立する関係にある。何か(勇気やプリンシプルや哲学や思考)の欠如こそが巨悪の原因と見做されうるという仮説は、本件会談を取り巻く日本側官僚制にも適用可能であるといえよう。

本件会談は、朝日新聞には「異例」[8]と評されたが、この記述は、瀧口範子氏の紹介する「ノーマライズ」という表現に同調的であると断定できる。つまり、『朝日新聞』は、TPPについてこそ日本的な動きに与していないものの、既存のマスメディアの路線を固守していると評することができる。トランプ氏の大統領就任に反対するデモには、ジョージ・ソロス氏に関連する組織が雇用するものが含まれるという[10]が、朝日新聞の本件記事は、この役回りを果たすものと言えよう。バスでデモ隊が到着したことなどを、まとめて報じるブロガーもいる[11]から、信憑性のあるものと考えて良かろう。なお、紹介したリンク先に設置された別サイトを参照するウィジェットには、不快な画像が含まれる可能性があるため、JavaScriptを無効にして閲覧することを強く推奨するが、この設定自体、記事を掲載したサイトに対する嫌がらせの一環である可能性も認められる。これらのデモは、通俗的にいえば、やらせであり、学術風には「人工芝運動(Astroturfing)」である。アメリカ国民は、各人が、ウクライナにおいて「正体不明」のスナイパーが警官にもデモ隊にも発砲していた事実を想起し、あくまで平和を志しつつも警戒する必要がある。

[7] 日本経済新聞2016年11月18日夕刊東京4版1面「首相「信頼築けると確信」/トランプ氏と初会談」
(記名なし)

 会談は〔...略...〕自宅部分で、通訳を交えて1時間半近くに及んだ。トランプ氏の長女のイバンカ〔Ivanka Trump〕さんと夫のジャレッド・クシュナー〔Jared Kushner〕氏に加え、大統領補佐官(国家安全保障担当)への起用が有力視されるマイケル・フリン〔Michael Flynn〕前国防情報局長が同席した。日本側は通訳を除いて首相のみだった。  〔...略...〕
 〔...略...〕トランプ氏が脱退を主張する環太平洋経済連携協定(TPP)を巡っては自由貿易を推進する観点から意義を説明した可能性がある。首相はTPPはアジア・太平洋地域の繁栄につながり米国の国益にかなうとみている。
 〔...略...〕

[8] 朝日新聞2016年11月18日夕刊東京4版1面「首相「信頼築けると確信」/トランプ氏と初会談/大統領就任前、異例」
(記名なし)

[9] 読売新聞2016年11月18日夕刊東京4版1面「首相「信頼築けると確信」/トランプ氏と初会談」
(記名なし)

〔...略...〕首相は日米同盟や環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめとした自由貿易体制の重要性を訴えたとみられる。

[10]Soros-Funded Orgs Behind Violent Anti-Trump Protests Across America
(Helicondelta、2016年11月12日13時43分41秒)
http://www.freerepublic.com/focus/f-news/3493111/posts

[11]Billionaire Globalist Soros Exposed as Hidden Hand Behind Trump Protests -- Provoking US 'Color Revolution'
(Jay Syrmopoulos、2016年11月10日)
http://thefreethoughtproject.com/soros-trump-protests-revolution/
〔注:ウィジェットには不快な画像が含まれる可能性があるため、JavaScriptを無効にして閲覧することを強く推奨する。〕



2016年11月19日09時追記

トランプ氏と安倍氏との会談に同席し得た日本側の人物は、通訳と内閣広報室の写真撮影担当者の二名であることが、今朝の朝刊三紙の内容を統合する※2ことにより、確定できそうであるが、しかし、会談の内容について責任を持って言及できる日本側の人物が安倍氏を除けば存在しないことは、依然として変わらない。本件会談を日本人が理解する上で重要なことは、一国の宰相が後世の日本人に対して説明責任を果たす上で必要な措置を講じなかったことにある。忘れてはならないのは、トランプ氏の政権移行チームの位置付けは、日本側会談関係者の側が見做す内容(すなわち私人であるかのように広報する)とは異なる点である。いち日本人としては、日米会談と表現したいところであるが、米国側関係者は、国の制度に則り粛々と進めているところ、日本側関係者が一国の政府として十分に機能しているかを問うたとき、日本は、今回の会談が公務であるにもかかわらず、国としての体裁を成した形で作業を実施しておらず、否と答えざるを得ない。このように、形式(日:公務、米:公務だが日本側は私用であるかの扱い)と実質(日:私的、米:歓待の形式こそ「ホーム」であるが実質公的)における公私の逆転が生じているところは、何とも皮肉である。

本日も憶測に満ちた記事で新聞の1面が埋め尽くされているが、トランプ氏のチームの側は、能動的にメディア・コントロールしているであろうところ、安倍氏は、単にトランプ氏の側から口止めされているか、会談の内容を理解できていないだけであろう。もっとも、安倍氏のメディア・チームの力量は、日本人読者の大半を相手にする分には十分なものである。とはいえ、通常の批判的精神を有する視聴者を相手にするには、かなりの能力不足であるから、会談の内容を咀嚼して公表する上で、多くの時間を要しているとも見ることができる。この遅れが事実であるとすれば、状況に対する主導権は、安倍政権下における「インテリジェンス機能の拡充」云々の題目にもかかわらず、失われていると読むことができる。日本のマスメディアこそ、政体によってアンコン(under control)されているといえようが、米国支配者層の変化という状況そのものには、何ら対応できていない。

傍目から見れば破綻しているこの状態は、本件会談に係る日本側関係者の中では、R・ターガート・マーフィー氏も指摘する「二重思考(double-think)」によって、統合された状態にあると推認できる。マーフィー氏は『日本・呪縛の構図』(2015, 仲達志[訳], 早川書房)において、日本の支配階級層の目的が「誰もが安全で人並みの生活を送れるようにすること」から「国民を全面的に統制」することへと変容していること、国民の利益という建前と支配者の私益という本音との乖離状態が、支配者層の精神状態の中では、オーウェルの『1984年』にいう「二重思考(double-think)」によって統合されていると解説する〔第5章、初出はpp.31-34〕。マーフィー氏の分析は、近世以前の歴史解釈のいくつかには(教科書的な理解からすれば)違和感が残るものの、正統的な日本研究の延長にあると理解できるものである。

会談の内容が日本側から積極的に公表できるような内容であるはずがないことは、注意深い日本人の読者には、最初から了解されていることであろう。会談内容を公表するか否かに係る主導権は、トランプ氏の政権移行チームの側にある。加えて、日本側関係者にもっぱら係る要因として、米日両国の力関係に対する日本側関係者の能力と解釈、安倍氏の能力、外務省関係者のここ数ヶ月の業務に係る責任に対する肚の決め方、マスメディア自身の取材能力など、何重ものハードルがある。これらの要因がすべて情報を公開するという方向に作用しなければ、日本語話者から情報が日本語として提供されることは、あり得ない。

なお、佐藤優氏が、本件会談の答え合わせともいうべき解説を、TBSラジオ『くにまるジャパン』(2016年11月18日)で加えている。佐藤氏は、ペルーのリマでオバマ氏に会談した後、NYで会談すべきであった、と指摘する。また、国と国の関係を優先し、オバマ氏の8年の業績を賞賛した後に、次期に国を担うトランプ氏のチームを訪問すべきであった、と解説する。今回の安倍氏の訪米は、本末転倒であり、失敗であったが、失敗であるという事実を糊塗するために大本営発表を続けるであろうとも予測している。ロシア会談も控えているところ、オバマ氏の米国を軽んじることは得策ではない、今後の外交は混乱すると予測している。

※2 日経は、読売・朝日の二紙を差し置いて、参照するだけの材料に乏しい。朝日は、1面で下記引用のように伝える[12]。読売は、「外務省関係者」の弁として下記引用のように伝える[13]。解釈すれば、日本側関係者である「外務省幹部」たちの想定は、完全に機先を制されたことになる。蛇足であるが、トランプ氏の政権について、読売2面でリチャード・アーミテージ氏が解説している[14]が、自身がトランプ氏に反対し続けてきており、党内での反対が3分の2に上るなどと解説してきた(2016年7月25日)ことは、触れられていない。

[12] 
『朝日新聞』2016年11月19日東京朝刊14版1面「首相、トランプ氏と初会談/信頼協調 内容は非公表/異例の就任前 予定超す90分」(記名なし)

〔...略...〕
 会談には、日本側は安倍首相と通訳だけでメディアは入れず、撮影も内閣広報室の写真担当者だけに許された。〔...略...〕

[13] 『読売新聞』2016年11月19日東京朝刊13版6面国際「親族重用 会談に同席/長女の夫 政権入り憶測」(ワシントン=小川聡)

〔...略...〕自宅応接間は豪華絢爛だ。外務省幹部によると、日本側は首相とトランプ氏の1対1の会談のつもりだったが、首相がトランプ氏の自宅に到着したところ、応接間にはトランプ氏とともに、クシュナー夫妻、トランプ氏の外交・安全保障問題の側近マイケル・フリン氏がおり、自然な流れで同席したという。
〔...略...〕

[14] 『読売新聞』2016年11月19日東京朝刊14版2面総合「トランプUSA 識者に聞く/リチャード・アーミテージ 元米国務副長官/早期の安倍会談 大きな意味」(聞き手・ニューヨーク支局長 吉池亮)
#要旨は大略次のとおり。トランプ氏が当選したのは国内問題への公約が支持された、アジア・欧州・中東諸国との関係を「考え直す際には、これまでの歴史を十分に理解した上で慎重に判断すべきだ」。同盟国との関係が大きく変わることは考えにくい。米軍駐留費経費負担の問題を軽視している。トランプ氏は「直感」に頼りがちであるから早期会談の実現は意味があった。安倍氏が直接面会した初のリーダーであることは「私も誇らしく思っている」。

2016年11月10日木曜日

(メモ・感想)米大統領選の結果を日本人は祝うべきである

昨夜(平成28年11月9日)のTBS『News 23』のインタビュイーは、デイブ・スペクター氏と笹川平和財団特任研究員の渡部恒雄氏であったが、両名の解説は、両氏がトランプ氏の当選を喜んでいないという印象を与えるものであった(23:10頃)。スペクター氏は、トランプ氏が在日米軍駐留費用を日本が十分に負担していないと批判したことについて、「三流の週刊誌程度のことをアメリカ国民に」語っているなど、不勉強であり続けてきたと批判し、今後は米軍関係者らによって、在日米軍の意義について、十分な説明がなされるであろう、トランプ氏は単独で何事かを成し遂げるだけの政策を持たない、と解説していた。渡部氏は、「安全保障こそ、大きな変化がないであろう」と予測していた。これらの両氏の説明は、トランプ氏を呼び捨てにしていることからもトランプ氏に対して反感を抱いた上でのものであることが分かるものであり、「ノーサイド」という雰囲気が感じられないものである。また、在日米軍についての説明は、嘘を伝えているとまでは言えないが、ヒラリー・クリントン大統領の下で懸念された大規模な海外派兵を説明しない分、ミスリーディングである。

日本は、戦争屋から海外派兵を強硬に求められるという事態を辛くも免れた。わが国の安全保障環境の悪化がなかったことこそを言祝ぎ、現状よりもより良い安全保障の状態を維持することに注力すべきである。この点、米大統領選は、より小さな悪を選択するという上で、米国民の良識が発揮されたものと思う。民主主義の模範国であり続ける上で、俵一枚残したと評価できよう。他方、日本国民は、世界の潮流がすでに大きく変化した中、孤立する選択肢を採ってしまっていたことに気付かなければならない。

『News 23』キャスターの星浩氏は、メキシコの壁、TPP反対、インフラ改善がトランプ氏の政策の3点として確定的であるとニューヨークから伝えていた(23:22頃)。メキシコの壁は、不法移民(正式ルートの移民は、別であることに注意せよ)を防ぎ、麻薬の密輸を抑止するための政策となり得る。ただし、麻薬密輸は司法組織の引締めが最重要の課題であろう。TPP反対は当然のことであろう。わが国は、TPP法案の成立を通じて、戦争屋のゴキブリホイホイであることを世界中に喧伝した格好となっている。インフラ改善を連邦政府として提唱したことは、ニューディール政策の再来であり、連邦政府による経済への介入であると見做すこともできよう。つまり、思想としてのネオコンにも一定の牽制を行うものとも理解できる。

今回の米大統領選を受けた結果、日本国民が今から望みうる最善の状態は、日本国民の大多数にとって、可能であり得た最善の状態とはならないが、それでも個人個人にとっての局所最適化が可能なだけの余地を残すものとなった。米大統領選の結果は、日本人にとって、より悪いものとなり得た。蛇足となるが、今後の日本社会の改善には、日本国民がすべての問題をゼロベースでとらえ直し、その過程で戦争屋の走狗となってきた人物を慎重かつ大胆に切り分け、かなり多数の「戦犯」を追及して一罰百戒に処すという作業が必要となる。第二次世界大戦後のように、「逆コース」が必要となることはない。わが国の伝統は兵隊が精強である一方で、将校が無能というものである。立場が人を造るため、私は、わが国の政体(鉄の五角形でも四角形でも、表現は何でも良いが)をごっそり入れ替えることについて、それほど悲観していない。政体の入れ替えを進める中で、自ずと頭角を現す人物も輩出されるものと考えられる。(それに、大抵の人物の健康状態は、権力に長く留まることを許すものとはならないであろう。)日本人がベストな(安逸な)生活を望み得ない状態は、外形的には、福島第一原発事故の混乱を通じて、日本国民が選択した結果であるから、やむを得ないであろう。社会の大勢が、2014年12月の衆議院選挙において、不正選挙の可能性を陰謀論として真摯に検討しなかったことも、原因の一つではあろう。複合的な原因が関与した結果、長期間にわたる大規模な国勢の低下は避けられない。ロシアは、チェルノブイリ原発事故を経て30年、ようやく現在の権勢を取り戻した。わが国は5年の無為があり、このために国民の大多数の健康状態は大きく悪化したと思われる※1ために、現時点から性根を入れ替え、かつて指摘したような(2016年1月16日)大胆な対策を実行したとしても、社会の回復には、半世紀以上を要するであろう。しかし、現今の状態にあるわが国であっても、将来に向けて個人の自己実現が可能な社会を将来に向けて再度作り上げていくことは、不可能ではない。

ともあれ、今回の米大統領選の結果は、日本人にとっても、良き生を全うするための基盤となる社会を再建するための前提条件として、必要なものであった。日本人にとって、これからが正念場である。

 

※1 大多数の関東以北の住民は、確実にQALYの低下を体験しつつある。原因が見えにくくされているだけであり、世界にほとんど類例のない虐殺と後世に評されうる程度の低下である。この状況が、どのように顕在化し、国際情勢に影響するのかについては、まだ予想が付かない。QALYは、Quality Adjusted Life Yearsの略で、質(的)調整生存年と訳される。既存の定義はあるが、自己流に解説すると「本人にとって満足できる健康状態で過ごせる寿命」。ただ、QALYについては、計測という行為に際して、個人の主観と他者からの客観的評価との比較可能性が解決されていないために、疑義も呈されている。この功利主義に係る話に立ち入ることは、本稿では行わない。

2016年11月9日水曜日

(メモ・感想)ドナルド・トランプ氏の勝利は日本人にとって歓迎できる

ドナルド・トランプ氏が、当選確実と言われる[1]。ABCテレビが報じたと、多くの日本の放送局が転送している。大方、スウィング・ステートと呼ばれる州において、軒並み、地滑り的勝利と呼べる内容となっているようである。東部標準時(EMT; -05:00:00)で、午前2時頃まで要したことになる。

トランプ氏が大統領就任することを受けて、日本にも色々と影響が生じるであろうことは、必定である。その変化を乗りこなすことができれば、わが国の生存に大きく役立つものとなることは、本ブログで何度か繰り返した。共和党政権ではあるが、戦争屋が排除されたために、より穏当な形での日米関係が再出発することになる。にもかかわらず、『Yahoo!ニュース』で跋扈してきた日本語話者たちは、大勢が悪化すると信じているようである[2]。この大半の日本人の「懸念」には、根拠がない。それだけでなく、責務に対して能力不足である指導者層がこの理解を共有しているとすれば、有害に機能しさえする。誰しも生きることにおいては平等であるが、適材適所という考え方が存在することも、世の道理である。わが国の指導者層には、より有能な人材が求められる。

表:Yahoo!ニュースによる意識調査の結果(2016年11月9日17:12閲覧)
選択肢割合票数
良くなる6.3%603
変わらない22.3%2126
悪くなる71.4%6818

『Yahoo!ニュース 意識調査』に見るような「日本人」の悲観論は、わが国の情勢を二点示しており、問題含みである。一点目は、ヒラリー・クリントン氏の飼い主であった「戦争屋」の手下たちが、まだわが国では大きな顔をしていられることを示す。二点目は、わが国が良い方向へと変化することを望み薄にする心性が日本人に骨がらみであることを示す。「第二の敗戦」の事実は、今夏の陛下のお言葉により、「日本人」の誰の耳にも聞こえてはいるのであるが、理解はされていないままである。一点目にある戦争屋の手下とは、言うまでもなく現政権であるので、この説明は省略しよう。二点目の説明には、マスコミの世論形成機能が深く関係している。

71年前の敗戦に至る過程における大本営発表ならびにマスコミの悪は自明であるが、この敗戦においてマスコミが果たした役割は、今回のアメリカ大統領選挙を受けて「日本人」視聴者が抱いた感想に対しても同様の責任を有する。第二次世界大戦当時のエスタブリッシュメントは、少なくともその多数は、絶対評価によれば、現在のエスタブリッシュメントよりもはるかに優秀であったが、いくつかの理由のため、課題の大きさ・重さに対しては、相対的に能力不足であった。彼ら支配層は、大本営発表が続き、大マスコミも追随するという条件下で、国民をいかに誘導して終戦にこぎ着けるのかという困難な課題を抱えることになった。1944年7月9日のアメリカ軍によるサイパン島占領宣言の時点で明確な潮流は見えていたはずであるが、終戦工作は、翌年までの間に非常に数多くの民間人の犠牲を生むに至った。物的な窮乏状態は、一部の強硬派を説得するには不足しており、犠牲の多さが明白な負けを悟らせるために必要とされた。原爆が必要であったとするトルーマン声明は、当時のわが国の指導者層の一部にのみ有効なロジックとして機能するものであるが、当時の指導者層の全員が原爆投下前に白旗を揚げることに同意できていなかった以上、政治的なレトリックとしては成立するものであったと言える。人道的に許容されるものではないことは、自明であるが、重ねて申し添えておかないと、誤解する向きもあろう。いずれにしても、1945年当時は、ペンの力は剣に相対したときに圧倒的に弱く、剣に脅されてこそペンの力が発揮されていた、と評価することができよう。

アジア・大平洋戦争においてポツダム宣言を受諾する過程に至る当時の指導者層を評価するためには、内部に強硬派、周囲に権力に従属的なマスコミという敵を抱える状態であったことを理解する必要がある。もちろん、この構図は、現今のわが国にも該当する。しかし、国民主権であるという建前が存在すること、マスコミの一方的な報道が多数の国民に効いていること、インターネットという個人的な知己を超えた情報取得のルートが一応は確立されるに至ったこと、の三点は、事態を複雑なものにしている。副次的には、人間が高齢化に伴い学習をサボりがちになること、マスコミ情報に接することを学習だと思い込んでいる高齢者が多く存在すること、の二点も影響していよう。

総じて、大マスコミに馴化された大半の日本人にとって、トランプ氏の当選確実は、予期されない出来事であったと言えよう。指導者層さえそうであろう。私が明確に当選を予想していたとは、外形的に判断できないかもしれないが、それでも、クリントン氏の当選よりも、トランプ氏の当選が99%の米国民の国益に適うことを充分に指摘してきたつもりである。99%の米国民の利益は、99%の日本国民の利益につながる。何となく共産主義の表現めいているが、これは事実であるから仕方ない。付け加えておくと、民草の利益は1%の利益でもある。『Yahoo!ニュース』は言論工作の対象となっているであろうから、この論理を理解できない「日本人」が一定数(粘着的なのは30000名程度か)いることまでは確定しているが、この言論工作の場に見られるような蒙昧から、日本国民は解放される必要がある。

 

[1] トランプ氏が当確 米大統領選 | 2016/11/9(水) 16:42 - Yahoo!ニュース
(毎日新聞、ワシントン=西田進一郎、2016年11月9日16:42)
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6220351

AP通信はトランプ氏が当選したと速報。米CNNによると、クリントン氏はトランプ氏に電話し敗北を認めた。

[2] トランプ氏勝利 日米関係はどうなると思う? - Yahoo!ニュース 意識調査
(2016年11月9日17:12閲覧)
http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/26442/result

2016年11月2日水曜日

TPP締結のため戦争屋は日本国政府の購入した米国債を利用するかもしれない

 米国大統領選におけるドナルド・トランプ氏の勝利後を予測すると、日本国の購入した米国債の扱いが焦点になることが、TPPとの絡みで浮かび上がる。現時点の日本における陰謀論者の知的リソースの何割かは、TPP自体に向けられている。大マスコミは4日成立の方向と報じているが、報じられないことがある。それは、TPP法案を他国に成立させることの難しさである。

 米大統領選こそは、世界大戦を通じた世界政府への道と、国民国家を基調とする多極的世界への道との分岐点である。ただ、現状を憂う日本人がルールを逸脱せずに実効的に99%側の米国人を支援できることは、多くないように思われる。わが国において、わが国に対するTPPの悪影響を暴き出すことは、数少ない貢献策のひとつではある。ただ、それだけでなく、日本側の切り札として、日本が購入した米国債が利用されるという危険性を指摘しておくことは、世界平和のために貢献している組織や個人等に対して、対策を立てる余地を与えるための警告になり得る。その支援は、巡り巡って日本の将来に役に立つと信じるからこそ、本記事では、この危険を指摘する。

 TPPは、相手国がなければ旨味の少ない、未成立の条約である。TPPを確実に成立させるための力がなければ、TPPにより利益を得るであろうわが国の1%は、急いでも仕方がないことになる。しかし、現在のわが国には、国内の実力に応じた外交力と呼べるものが存在しない。この矛盾する状況は、経済的ツールとしての米国債と、軍事的ツールとしての「核」爆弾(級の何か)の存在によって架橋されうる。後者の存在を追究する作業は、もう少しだけ後回しにしておきたいが、ネット上では、この可能性を指摘する声がいくつも見られる。

 恐慌等を生じさせるだけの経済力が、他国からの侵略に対する抑止力として機能するとすれば、この経済力は、TPP締結を他加盟国に強制するだけのツールとなり得る。この仮説は、TPPの成立を現政権が急ぐ理由を正確に説明するものとなる。以下の展開を見込むことができる。
  1. トランプ氏が勝利する=戦争屋が敗北する
  2. 戦争屋が日本に逃走する
  3. 受入先はミネルヴァのフクロウのあるところかな?
  4. 過去の戦争犯罪の追求を逃れるための取引材料として、フクロウ経由で米国債の売却を仄めかす(=脅す) 

 米国債の売却というキーワードを出した政権は、従来であれば、短命に終わるのが常であった。トランプ氏の勝利により、今度はいかなる展開を迎えるのか。わが国の陰謀論者は、TPPの危険性を訴えることのほかに、今後の道行きを考察するという作業も行う必要がある。

2016年11月3日18時30分修正

タイトルが許容できないくらいに意味不明であったために修正した。
  • 前:TPP締結のため戦争屋は日本国政府の米国債を利用するかもしれない
  • 後:TPP締結のため戦争屋は日本国政府の購入した米国債を利用するかもしれない


 TPPを米国抜きで日本国政府が主導するという事態は超大穴である、と以前に予想したが(2016年1月9日)、この嘘のような話が現実化する危険が認められる現在、生活安全警察行政の四大分野、銃器・風俗・薬物(特に大麻)・賭博に係る私の考察も、変更する必要があるかも知れない。これらの分野について、私は、TPPにより不可逆の影響を与えられる、つまり解禁されるものと指摘した(2015年9月25日)。しかし、日本国政府が米国抜きでTPPを主導する程の、何らかの実力の裏付けを有している場合には、条文を逐条的に掲載しておらずとも(2015年11月7日※1)、10章の附属書II分野11「法の執行及び矯正に係るサービス並びに社会事業サービス」に記載した文面により、自国の都合を押し通すことができると考えていたかも知れないのである。

 2012年3月のメルボルン・ラウンド後※2、生活安全行政に係る附属書II分野11の影響が、企業関係者らによって検討され、政府機関内においても決裁されていることまでは断定できようが、その経緯が開示されないという状態は、わが国の「第二の敗戦」時には、興味深い結果を引き起こすことになろう。というのも、これらの経緯は間違いなく秘密保護法の指定対象となっているであろうし、隠蔽の必要を感じ取るくらいの実力は、わが国のどの高級官僚にも備わっているであろうからである。しかし他方で、その結果が連帯責任になるということまで、個々人が理解した上で各自の「保険」をかけているのであろうか。2012年の時点で、TPPは、少なくとも一部の官僚には、「農林水産業以外についても、最小・最低の状態にまで、わが国を含めた各国政府の規制を撤廃する」という内容として、理解されていたことであろう※3から、TPPが国益を棄損することは、十分に理解されていたはずである。

 ところが、2012年3月の時点で、何らかの実力公使の含みを日本国政府がTPP加盟国に対して臭わせることを知っていた人物が、TPP第10章の附属書II分野11を検討していた場合、見えていた景色は随分と異なるものになっていた可能性が認められる。あからさまに危険が予想される内容に対して、包括的な法執行云々の留保という、およそ稚拙な条文が用意された形になっていた訳であるが、この条文は、日本が相手国に対して強く出られる場合に限れば、規制の強化までを含めて、強気に出る上での根拠に利用できるものとなる。強気に出ることができるという見通しがあればこそ、包括的な文面でOKという形になっていたとも読める訳である。この解釈が成り立つという事実は、2012年の時点で、福島第一原発事故の四号機にまつわる色々な話が、この附属書の案文を決裁した関係者に共有されていたという解釈をも牽連して成立させるものとなる。

 しかしながら、各国の外交・防衛関係者を出し抜いて、わが国がふたたび大日本帝国を超えるような伸張振りを経済的外交において達成し得るかと問われると、私の答えは断じて否である。米国の主導した形でのTPPが米国民の意思により否定されようとしているのであるから(←これには感謝)、各国の外交関係者は、今こそTPPから足抜けするための方策を探っているであろう。ブルネイ・シンガポールの両国は、あまりに領土が狭小であるため、単独では、わが国の新規の軍事的影響力を無視して足抜けすることが難しいかも知れない。しかし、オーストラリアが抜け、カナダが抜け、チリ・マレーシア・ペルー・ニュージーランドと(面積順かどうかは怪しいが、)抜けていったとすれば、結局TPPは成立せず、各国の司法の安定性は、確保されるということになろう。


※1 2016年10月追記分を参照

※2 インターネット・アーカイブス収録のファイルの題名を参照。

Microsoft Word - TPP NCMs - Consolidated formatting note - Annex II - Post Melbourne Round (clean).docx - Annex II. Japan.pdf
https://web.archive.org/web/20151117165019/http://www.mfat.govt.nz/downloads/trade-agreement/transpacific/TPP-text/Annex%20II.%20Japan.pdf

※3 これは、一種の後出しジャンケンにもなりかねないが、私の2012年当時の予想を敷衍したものでもある。

2016年8月1日月曜日

平成28年7月東京都知事選挙に係る孫崎享氏のツイートは難しい

 昨日、つまり、7月31日の選挙投票終了後、孫崎享氏の下記のツイートを知った。後知恵として見れば、このツイートが幾通りにも解釈できるものであることが分かる。他方で、リツイートするユーザの言及を見れば、一通りにしか読んでいない人が多いことが見て取れる。孫崎氏のツイートは、日本人のリテラシーに対するテストとしても機能しているのではないか、とも思ってみたりする。

 日本語に限らず、文章表現とは難しいものであると思いつつ、頭の体操として、解釈を試みることにしよう。結果(の正しさ)については、期待しないで欲しいし、私の分析は、あくまで素人判断に過ぎない。日本語としては、以下のように解釈可能であるというだけに過ぎない。
  1. 「米国情報関係者周辺」が小池百合子氏自身から発せられた出馬意向を17日の時点で確認していたという場合。取得の方法は、複数存在するとは思うけれども、最も簡単なのは、彼女自身から誰かが聞き出していたというもの。
  2. 誰が次期都知事になるものかを予測したというもの。この予測は、必ずしも、彼女自身の出馬意向とは関連しない。
  3. 誰が次期都知事となると、米国の国益となるものかについて、分析したというもの。彼女自身の出馬意向とは関連ないが、主要な分析者が人間である場合には、分析対象者の候補として、小池氏を分析リストの筆頭に近い位置に据えて検討したという可能性はありそうである。
  4. 米国として、都知事選挙に出馬することを焚きつけることが可能な人物を洗い出したもの。 
  5. (一部のユーザが反応したように)米国として推す人物を小池氏に決定したというもの。
これらは、ケース1が最もあり得そうなパターンであって、5の可能性が一番低い。また、1は、2~5と並立しうるが、2~5と、特に、2~3組織の目的上、互いに密接な関係にある。4と5は、対外工作ということになるので、「情報関係者」の種類が限定されることになろう。5は、4に比べて際立ったレベルの工作となるが、しかし、この解釈は、1~4のケースが成立することを思えば、短絡的に過ぎる。孫崎氏の従来までの言説が、この解釈を想起させたに過ぎないのである。もちろん、このように孫崎氏を理解する日本人は、少なくとも同氏の著書を読んだことのある者に、多く含まれることではあろう。

 以上のケースを列挙してみれば、孫崎氏がパンピーの日本語話者に向けて語った内容は、私にとっては、単に、アメリカすげえな、というものにしかならない。日本人の情報機関が、アメリカの主要都市の市長選に興味を有するだけでなく、実質的な分析や評価を加えるということは、可能なのであろうか、と考えてみれば、ここでの凄さが際立つことになる。

 たとえば、を妄想してみるが、孫崎氏がこの情報を直前の時期にツイートしたのは、単に、典型的な引っかけられ方をする日本人ユーザの事例を収集するというものであったりするやも知れない。反応したユーザを匿名で引用すれば、「...と引っかかる人も多いのですが、本来は、このように解釈するのが正しいのです」という事例集に使える訳である。日本人の文章読解力がここまで落ちていることを示して、わが国にも、まともなインテリジェンス機関(とまともな中等教育)が必要なのです、という教訓として利用するためなのかも知れない、という訳である。

 実際に、都知事選の内容を考察していて、これ以上、脳を動かすと、寝るとダウンしそうなので、本記事のメインの話題はこれでお休みとしたいが、孫崎氏のツイートがパンピー向け以上の何かを含んでいるとしても、まったくおかしくないなあとは思う。その場合には、孫崎氏のツイートを確認している関係者を複数種類にわたり想定する、という作業から始め、より複雑な場合分けを経る必要があるのであろう。

 以上、孫崎氏のツイートについて私が考えてみたことは、私が行っている訓練の一環である。このような訓練を最近になって行うようになった理由は、私が自分なりに陰謀論やら社会的な事件やらを構造化して考えることの必要性を痛感したためである。日本人なら誰もが、とまでは言わないが、社会科学研究者の大半は、誰もが、暗黙裏にであれ、これらの思考様式に近い処理を行っているはずである。ただし、していない者の存在を否定する気はない。



 福島第一原発事故は、あまりにも大きい。「地域で暮らす」という単純に見える概念ですら、一部の陰謀論と切り離すことができない。自然科学上の機序は議論の対象となっているものの、統計上の結果は、あからさまである。しかし、その単純さは、「戦争屋」に連なる「(国際)原発ムラ」によって、随分と歪められてきた。被害を大きく受けた旧ソビエト連邦中の三カ国は、いずれも、チェルノブイリ原発事故から多大な影響を被りつつ、国際的な(因果)関係を経て、現在に至っている。バルト三国も、事故処理にあたり、労働力を供出させられており、その影響を免れてはいない。ドイツ、北欧諸国もかなりの影響を被っている。(そのほかのEU加盟国も影響はあるが、その程度は、上記に名指しした諸国に比べれば、小さいようにも見える。)

以下は、完全に悪ノリ気味となるので、ご容赦いただきたい。

 福島第一原発事故を正確に理解しようとする者は、陰謀論を避けて通ることができない。事故は、必然的に、複数の国の間の二国間関係から構成される多国間関係を、範囲とするためである。陰謀論は、他国との関係において自国を有利とするためにも利用される。科学的事実でさえ、かなりの程度、理解が歪められた形で、相手よりも優位に立つために利用される。これほどまで、陰謀論と科学が接近する分野も珍しいのである。そうそう、「メルトダウンではないだす。」という表現は、ほとんど、ニセ科学である。

 それで、私の興味と新東京オリンピックと孫崎氏のツイートの、何が関係しているんだって?とか思わない方が良い。孫崎氏のツイートを「米国の指示した候補者が当選した」と誤解するのであれば、検討しなければならない範囲は、格段に広がってしまうのである。『火吹山の魔法使い』は、結構シビアなゲームブックだったなあ、とか。『バットマン』シリーズまで復習しておかなくてはいけないのかな?とか。いやはや何とも、世の中には、嘘のような本当の話が蔓延しているものである。

平成28年8月1日14時追記・修正

誤りを訂正し、当初の意図を変えない程度に表現を修正・追記した。分かりやすさを優先するためである。誤りであった部分については、淡赤色で修正を明記した。

 これも悪ノリの延長だが、小池氏がイメージ上、いかに捉えられているのかを調べてみた。作業は、『R』+『twitteR』による。東京都は、事故後5年後の現在においても、東京電力ホールディングス株式会社の大株主である。ゆえに、陰謀論とはかかわりなく、本件調査が福島第一原発事故と相応に深い関係にあると主張することは、可能であろう。作業については、Rファイルに詳細を示し、Googleドライブにて公開した(リンク)が、再現にあたっては、各自がAPIに登録する必要がある点に注意されたい。

 小池氏に係る話題に対して、「ジョーカー」の語が併せて用いられたのは、ここ10日間(デフォルトの検索期間)では、10ユーザ、1ツイートずつ、計10ツイートのみであった。しかも、『ジョーカー・ゲーム』に喩えるものが2名、道化としてのジョーカーに喩えたものが7名であった。1名だけ、『バットマン』シリーズのジョーカーであるかのように見るユーザがいたので、引用しておく。
 eigaq氏は、映画メインの話題なので、自らの見解をツイートする価値を認めたのであろう。よほど注意していないと、このような見方に辿り着かないという考えを補強することができようか。

株式等の状況|株主・投資家のみなさま|東京電力ホールディングス株式会社(最終更新日:2016年4月15日、2016年(平成28年)3月31日現在)
http://www.tepco.co.jp/about/ir/stockinfo/breakdown.html

 東京都の所有株式数は42676千株で、発行済株式総数に対する所有株式数の割合は1.20%、4位の大株主である。

平成28年8月9日19時追記・修正

今月1日に誤りを訂正したはずの部分が、なお意味の通じないものであったので、当初の意図を変えない程度に文字と読点を追加した。分かりやすさを優先するためであり、当初の意図から外れてはいないはずである。

 ジョーカーと言えば、『スーサイド・スクワッド』が来月(2016年9月10日)にわが国でも公開される模様である。

参考:スーサイド・スクワッド - 作品 - Yahoo!映画(リンク