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2017年11月9日木曜日

外国の国家元首でわが国の公賓は、入出国審査が必要ないとされているようであるが

矢部宏治氏は、トランプ大統領の訪日の足取りを示した上で、

実は彼は入国などしていない
と述べてしまっている[1]。矢部氏の表現は、間違いなく、誤りであろうと考えることができる。現に、トランプ氏は、迎賓館の地上(何階か)には降り立っている[2]。即物的(=物理的)な意味で、トランプ氏が「入国」したことは、間違いなかろう。もっとも、迎賓館が日本国領土でないというオチがあったとすれば、それは私の手抜かりということになる。しかしながら、川越市のゴルフ場にもトランプ大統領が立ち寄った[3]ことが社会的に認知されているところ、このゴルフ場を訪れるにあたり、日本人にパスポート所持が必要となるという話は、聞いたことがない※1

矢部氏の主張の焦点は、いわゆる横田空域にあるものと理解できるが、入国に係る主張が誤りであることには変わりがない。矢部氏の焦点は、入国の事実そのものにはなかろう。しかし、この点を批判する上で、扇情的な表現を取る必要もないし、ましてや、事実関係に誤りがあるのはいただけない。矢部氏が指摘したのは、万が一であるが、「入国審査」であるのかも知れないが、これも、私が多少調べた限りでは、否定されるであろう。

ただし、日本語のGoogle様は、「入国」なる概念を理解するための情報源を直接・分かりやすく提示してくれていないので、私の解釈自体、誤りである可能性を排除できていない。国家元首が出入国審査の対象外となる旨は、ウィキペディアさんに書かれてはいる[4]が、その根拠は、納得できる程度には明示されていない。出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)の名が記されているので、同法を参照してみる[5]と、同法第6条第3項辺りに根拠があるのであろうという位にしか見当が付かない。要は、「外国人」は「上陸の許可等」の対象となるのであるが、トランプ大統領の入国はその例外に当たる。トランプ大統領一行の訪日について、具体的な手続が政府において進められたであろうことは、間違いなかろう。外務省に問い合わせれば、たちどころに明らかになろう(が、これが私のブログ執筆上のルールから外れることであることは、本ブログ中において、指摘してきたとおりである)。

誤解に立脚した批判が有効性を持たないことは、当然の事実である。「入国などしていない」というフック的表現は、不要であるばかりか、ネトウヨの格好の標的となるであろう。矢部氏の扇情的な記述は、格好の槍玉として機能するのである。これだから陰謀論者は、といわんばかりの反撃の光景が、十分に予想できる(。しかしまた、本稿も、入国について、矢部氏よりは丁寧に調査したつもりであるが、その虞を拭えたものではない)。

ところで、トランプ氏ならびにその周辺は、今回の移動経路を計画的な意図に基づきアレンジしたものと見ることもできるが、そこには、暗殺の危険、米国の存在の誇示という、二点の理由を認めることができる。第一点目であるが、日本の高級官僚たちに連なる人脈に、超法規的措置を目論む人物らがいても、おかしくない。モリ・カケ疑惑がその証拠である。これらの疑惑の対象となっている認可の過程そのものは、一言で表現すれば、脱法的であるし、忖度した者は、官僚としてアウトとなる行為に手を染めてはいる。しかし同時に、このスキャンダルが公知のものとなった過程が超法規的な側面を有することも、また事実と考えられる。今回の訪日におけるトランプ氏の言動とは裏腹となるが、トランプ大統領を廃することができた方が、むしろ、戦争屋には復権の目がある。彼ら戦争屋には、それなりに熟達した暗殺者を雇用する程度の余裕が残されているであろうが、他方で、自衛隊と在日米軍との連携が機能している限り、空路で移動する大統領に危害を加えようという試みは、十分に無効化されていたであろう。横田基地でのトランプ氏の演説は、自衛隊と在日米軍の連携と献身に対する賞賛に、多くの時間が割かれている。2017年11月現在、対外的に見れば、北朝鮮情勢が緊迫しているという体が装われているが、実のところ、トランプ氏の真の敵は、自国・同盟国の内にいるものと考えることができよう。第二点目は、わが国が米国の実質的な施政下にあるという矢部氏の主張する「事実」が、主流マスコミによって十分に報道されていないという事実によって、肯定されることになる。第二点目の指摘は、拗れた見方である※2が、矢部氏も指摘する事実に対して、私も同意しているという点に、注意が必要である。田中宇氏が常々指摘するとおり、トランプ氏が隠れ多極主義であると措定すれば、トランプ氏のパフォーマンスは、矢部氏のような(安易な批判を提起する「左翼」の)批判者を通じて、日本国民に事実を提示する役割を果たしているものと考えることもできるのである。この点(に限り、検討すれば)、矢部氏の批判は、当人の内心にかかわらず、外形的には愛国的なものとして機能している。繰り返しになるが、トランプ氏は、内心、日本国民に横田空域に係る状況を理解して欲しいとも考えているのではないか。

矢部氏の論考は、いつもの調子ではあるが、二律相反する条件を調停しながら政治が進められているという事実の一面だけを切り捨てて、分かりやすさを優先するものである。矢部氏に捨象された機微(、前述した二点の理由の双方とも正しいと認められること)は、庶民には理解されないことであるのかも知れないが、少なくとも、安全保障に係る「門前の小僧」である私でさえも、気が付くことのできる(中山康雄氏の言うところの)社会的な、両義的な事実である。もっと言えば、矢部氏の論考は、二枚舌の一方を暴露するものではあるが、「二枚舌なるものの内実が、相補的に二枚舌になり得る場合がある」という事実を理解した上で、意図的に提起されているものではないように読める。それゆえに、国際秘密力集団のアジェンダを乗りこなすという方法論は、矢部氏の論考からは、出てこなくなりがちなのである。われわれが将来を知りたいと思う場合、この観点に基づいて、各国のリーダー的存在の言動を、マスコミのフィルターを解除しながら、見極めていく必要がある。しかし、いかんせん、ヒュミントを放棄した上に怠惰な私のことであるから、真実の所在は、知りようがないものである。なお、「鴻鵠の志」と言い換えてみると、本段落の主張は、分かりやすくなるかも知れない。


補論:トランプ氏の発言のうち、やはり、北朝鮮拉致問題の解決に着目すべきである

「両建て構造」は、「正」と「反」の間を往還するだけでは、超克できない。戦争屋の用意する「合」を受け入れれば、戦争屋の望む結末が訪れる。「合」は、われわれが用意するほかないが、途中までは、われわれも「敵」の流れに棹さすことができる。横田空域の存在は、おそらく、トランプ政権の用意した「合」のオードブルに過ぎない。次段で、必要十分な材料を元に、トランプ大統領訪日によって蒔かれた「大どんでん返し」のタネ、つまりメインディッシュに相当する言明を指摘して、大幅にまくりながらも、本稿を締めてしまおう。

今回のトランプ氏の訪日における最大の見所は、北朝鮮に対して拉致問題を解決することが交渉への糸口となるとトランプ氏が示唆したことにある※3。というのも、飯山一郎氏が強く主張してきた「横田めぐみ氏が金正恩氏の母親である」「倭国は中国北東部・北朝鮮に存在した」という二点の(少数)説が両方とも事実であるとすれば、「北朝鮮における伝統的支配の円環が、日本の国体と分かちがたく結合された」という事実は、ほぼ40年前の拉致事件によって準備されたものとなるが、否応なしに、日本国民全体の変心を強いることになるからである。落合莞爾氏は、『ワンワールドと明治日本』など、近年の複数の著書において、南朝系・母系皇統の存在を肯定していたように記憶しているが(ユルユルな表現は、大逆的であるが、ご勘弁願いたい)、飯山氏の指摘は、落合氏の見立てによっても補強される。飯山氏の安倍総理に対する見解の「転回」も、政治権力の側からのアプローチの形跡が濃厚に認められるものであるが、ここでの議論の文脈に整合的である(。ただし、『トカナ』に最近よく寄稿している「元公安」は、この点、興味深い非整合性を発揮している)。何より、万世一系を維持する上で、男子に限定されるべしという主張は、母系皇統の隠された存在によって、よりよく説明できる(。落合氏の指摘によって初めて、男系男子限定とする主張の根拠を、私は勝手に得心できた次第である。確かに、母系皇統がすでに存在するとなれば、この皇統が男系男子へと適応する必要までが生じる※4)。以上(の本段落の情報)に係るマスコミの恣意性は、横田空域に係る指摘の欠如を超える衝撃を以て、日本国民に対して印象付けられることになるのではあるまいか。われわれ日本国民は、「これで北朝鮮と戦争する必然性がなくなった、戦国時代の政略結婚のようなものだ」として、当人の意思とは関わりなく、安堵を覚える可能性もあるが、この情報は、諸刃の剣である。横田氏がすでに亡くなっているという話は、事実であるならば、戦争屋によって悪用される材料であり続けるためである。

戦争が極東でも起こされなくなるのではという希望を持ちながらも、われわれは、マスコミがおかしいことを言い出さないように、その動向を監視する必要がある。たとえば、伊藤詩織氏の自身のレイプ被害の公表と、この事件に対する検察審査会の判定に係るマスコミ報道は、性犯罪者がとことん卑劣であるという印象を一層高めることに成功している。この準強姦事件については、報道された証拠による限りでは、山口敬之氏の確実な逮捕が必要なことは間違いないものと思われるが、しかし同時に、マスコミによる無用な・過剰な印象操作に対しても、警戒が払われるべきである。伊藤氏が自身の被害に対する正義を求めることは正当と言えるが、しかし同時に、伊藤氏が起訴便宜主義の廃止までを訴えることとの間には、一線が引かれるべきである。(この点、伊藤氏の主張の重点は、物事の道理と逆転しているかに見えるものであり、同時に、マスコミ報道は、伊藤氏の主張を正しく伝えているとも言えるのであるが、)伊藤氏の被害に係るマスコミ報道全般のごちゃ混ぜぶりを踏まえれば、本稿補論に示した北朝鮮による拉致事件の将来における展開を、マスコミが「性暴力の究極の一形態である、女性が望まぬ婚姻であるとして報道するという策略を取ることは、十分に懸念される。韓国による元従軍慰安婦とトランプ氏との対面に対する、日本語マスコミの二極化された報道姿勢は、この懸念を助長するものである。


※1 一般社団法人 霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市大字笠幡3398番地)であるが、私自身が、このゴルフ場を単独で物理的に訪問した場合、入口において、単に退去するよう求められるであろうが、入国審査を求められることはないであろう。仮に、「入国審査を求められることがありますか?」と聞いたとすれば、マジでヤバイ人が来たと疑われかねないであろうが、少なくとも、矢部氏の主張を示した上で、質問をぶつけてみた場合、聞き方次第でもあろうが、丁重に「そんなことはありませんよ」と回答をいただけることであろう。それに、同クラブのウェブサイトの「ゲストの皆様へ」と題されたページを参照すると、日本国民の皆様にはパスポートが必要ですという指示は、どこにも見当たらない[6]

※2 これと同様に、米国が兵器を売り付け、日本が買うことになるという旨の、トランプ氏の言動上のパフォーマンスは、大々的に宣伝されたが、この売買に対する批判は、具体的な利益に即して提起される必要がある。自主独立派からすれば、買いたい装備・買いたくない装備があろうし、売り手となるトランプ政権の側でも、売り付けるための兵器の種類を選択可能である。唐突なようであるが、米国に拠点を有する小型衛星ベンチャーの製品をゴリ押しするのも、戦争屋の利益を無効化する上では、ひとつの方法論である。今回のトランプ氏の訪日において、具体的な名称が挙げられた兵器の一つに、F35がある。F35の複数の生産企業は、戦争屋であると非難しうる個人に利益を供与する仕組みを、(少なくとも一時期にわたり)維持してきた。このために、F35の売買が戦争屋を潤すとする指摘は、外れてはいない。他方で、F35が異常動作をした挙げ句に日中戦争を惹起するということは、ミサイル防衛網が異常動作して日中戦争を惹起するよりも、考えにくいことではある。それに、F35の購入自体は、日本版次期主力戦闘機を巡る日米軋轢以後の、既定路線の延長にある。現場のパイロットたちが心から信頼できる装備が配備されることは、何より重要である。しかし、少なくとも平時においては、パートナー国家において、F35は、米国内と同等に安定動作するであろう。ここに示した機微は、私の専門でないゆえに、詳しく追究することは不可能ではある。しかし、何が売買され、誰を具体的にどの程度儲けさせてきたのか、特定の兵器が暴走して、予期せぬ戦争を惹起しないか、といった点が考慮されるべきであることは、指摘できよう。米国による兵器の供給は、時折、核廃絶における「東側の核」を認容しながらも非難されることがあるが、この姿勢こそは、拒否されるべきであろう。現実は、いかに戦争を避けながら、軍需産業を軟着陸させるのかに焦点が存在しており、各国の主要プレイヤーたちは、この課題に重点的に取り組んでいるものと認められるのである。

※3 各紙の出典を確認して引用する作業が面倒であるので、それらを整理して示すことはしないが、この点に係る各社の報道姿勢は、本段落に示した事項に係る各社の論調と合わせて、各社の命運を分ける要素となっている。綸言汗のごとし。

※4 このとき、田中聡氏が言及する「メガ陰謀論」なる概念の怪しさと一面性は、田中氏の主張が「陰謀論」の一部を肯定するようでいて、核心的な利益に懸かる「陰謀論」を限定化した上で、それらを貶めるという効果を発揮している。『陰謀論の正体!』において、本件に関連する著者として、鹿島昇氏と鬼塚英昭氏に代表される言説のみを田中氏が指摘することは、陰謀論を一面的なノワール小説の世界と田中氏が観ていることを、図らずも暴露している。以上の整合性に基づけば、本件についても、ここでの私の意見に対置される種類の発言を田中氏が公衆に提示しているのであろう、と予想することもできよう。なお、この予想は、キング・コヘイン・ヴァーバ書の主張を、意図(的に悪用)したものである。


[1] トランプ来日の足取りから見えた「とても残念な2つのこと」(矢部 宏治) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
(矢部宏治、2017年11月9日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53435

[2] 平成29年11月6日 日米首脳会談等 | 平成29年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
(2017年11月6日)
http://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201711/06usa.html

[3] トランプ大統領と安倍首相 ゴルフで首脳外交 | NHKニュース
(記名なし、2017年11月5日18時51分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171105/k10011211191000.html

アジア歴訪の最初の訪問国、日本を訪れているアメリカのトランプ大統領は、大統領専用のヘリコプター、通称「マリーン・ワン」で正午すぎ、埼玉県川越市のゴルフ場「霞ヶ関カンツリー倶楽部」に到着しました。

[4] 出入国管理 - Wikipedia
(2017年11月9日確認)
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%87%BA%E5%85%A5%E5%9B%BD%E7%AE%A1%E7%90%86&oldid=65937788

[5] e-Gov法令検索
(出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号、最終更新:平成28年11月28日公布(平成28年法律第88号)改正))
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=326CO0000000319_20171101

[6] ご利用案内 | 霞ヶ関カンツリー倶楽部
(2017年11月9日確認)
https://www.kasumigasekicc.or.jp/information/01.html




2017年11月10日訂正

元の文意を明確化するように、一部を訂正・追記した。




2019年09月13日追記

色々確認もせず恥を重ねる危険を冒すことにするが、文中の問合せ先は、外交そのものを担当する外務省ではなく、出入国管理を所管する法務省であるべきであろう。伊藤詩織氏の『Black Box』に対する北口雅章氏の批判[7]によって、気付いた次第である。が、情報公開制度も国会図書館も官公庁への電話も利用せずに結論付けるのも何なので、本文の記述自体は、私の中で確定するまで変更しないことにする。

[7] 伊藤詩織著 「Black Box」 が「妄想」である理由 | 弁護士ブログ | 名古屋で医療過誤のご相談は 北口雅章法律事務所
(2018年10月01日)
https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=3913

2017年9月23日土曜日

独裁者の目的は、カネそのものではない

独裁者の心性は、おおむね、自身と家族の安寧を求めるもののようである。社会を下から見上げるしか能の無い私からすれば、想像するか、過去の書物を紐解くほか、この命題を追究する術はない。ただ、リアル社会で自身の生き残りを賭けて陰謀を企図し実行する必要があることは、まったく以てストレスフルであろうこと位は分かる。『反マキアヴェッリ論』を著したフリードリヒ2世は、君主の公明正大さを最重要の資質として説いたが、現実には、チェーザレ・ボルジアを超えるかの権謀術数を巡らせ、七年戦争(1756~63年)において、ナポレオンに先立ち、内線作戦を持久的にやってのけている。理想と現実、建前と本音の対比ということになろうか。

独裁者にとって、カネは、部下の忠誠心や兵器と同じく、身の安全を確保するための手段の一つであろう。決して、カネそのものが目的となっている訳ではない。権力者が多大なカネで身の安全を買った歴史的事例としては、たとえば、(私が最初に思い出したものでは、)リチャード1世の十字軍からの帰国途中におけるドイツ捕囚(1192~94)が挙げられようが、これは、十字軍における味方でもあったオーストリア公レオポルト5世に「裏切られた」という点でも、なかなか面白い事例であるように思う。

さて本題;元・日経記者の加谷珪一(かや けいいち)氏は、『現代ビジネス』の『Yahoo!ニュース』記事で、金正恩氏の行動原理をカネであると推定し、金氏自身の口座を凍結すると暴発を招くと述べる中で、田中眞紀子氏についても、末尾の引用のように、中傷と見えるような記述を加えている[1]が、これは、金氏よりも、田中氏への非難を隠れた目的としているものと考えられる。その理由は、記事に示された事実関係に、昨今の情勢を加味すれば、十分に説明できるものである。第一に、加谷氏の記事が、金氏の行動原理を説明する上で、重要な論点の大部分を欠いており、安易な作りである。第二に、衆議院新潟5区への立候補を田中氏が検討していることが報じられている。言い換えれば、北朝鮮情勢について中身がなく、田中氏に対する中傷としてタイムリーに機能する記事は、言論工作としか結論付けようがないものである。

加谷氏の記事には中身がない、と言うのは、件の記事が世に出た形式が商業ベースであるにもかかわらず、以下に示す論点に全く答えるものではないからである。スイスという国名は、(金氏の留学先であったにもかかわらず、また銀行大国であるにもかかわらず、)記事中に一つも出てこない。同国に所在するプライベート銀行が世界中の金持ちから信用されてきており、ここ数年のタックス・ヘイブンに係る機密漏洩被害を免れているという事実を述べてもいない。今朝、報じられた[2]が、中国の銀行政策に関する動向がほとんど述べられていない。2016年2月の北朝鮮による核実験に先立ち、2015年12月末に中国の銀行がいくつかの口座を凍結していることは、『東亜日報』に報道されている[3]。そもそも、金一族の財産がいかなる状態にあり、どこに保管されているのか、概説・推測すらしてくれていない。独裁者たちと国際銀行との共依存的関係という、より重要な社会関係についても、まったく述べていない(。現時点においても、世の中には、複数の独裁政権が存在する。それらの独裁政権にとって、北朝鮮に対する制裁は、人事ではない。ゆえに、銀行が安易にアメリカなどの政府の圧力に屈することは、結果として、預金の流出を招くことになる。これは、一種のジレンマである。陰謀論者の多くは、「全員がグル」という結論を安易に採用しているようであるが、ここら辺の緊張関係こそは、中露が国際秘密力集団との関係を変化させることができた理由の一つであると考えることができる。相互にタマを握っていてこそ、「飴と鞭」は、お互いに対して機能する)。ここらで打止めとしておくが、プロフェッショナル(=カネを貰っている者)には、これ位の疑問には答えてもらわなければならないであろう。

田中氏は、リチャード・アーミテージ氏に対して直接反論したことが公知となっている数少ない政治家である。この一事だけでも、田中氏は、わが国のステイツパーソンであると言いうる。その当人が(、これまた、わが国のステイツパーソンの一人である)鈴木宗男氏と事を構えてしまったことは、わが国では、日本のために尽力する(はずの、政治家とは言えない存在、たとえばフィクサーや官僚のような)黒子が、政治家の利害対立を上手く治められなかったという点で、反省すべき材料である。とにかく、誰がリークしたのか分からないような[4]、何なら捏造かも知れない話を、具体的な裏取りの証拠を提示せずに確定的に記してしまう加谷氏は、果たして、日本国民の味方であるのか。アーミテージ氏と田中氏との関係、加谷氏の記事を並置された場合、「アーミテージ氏に類する存在から田中氏をディスるように依頼されたのだな」と類推することは、自然な論理というものである。

なお、金正恩氏の行動原理は、加谷氏の記事のようなゴミではなく、『ビジネスジャーナル』の掲載する長井雄一朗氏による高英起氏へのインタビュー記事[5]を参照した方が、よほど分かりやすい。

金正恩の行動原理は、考えようによってはシンプルです。金正恩を頂点に、その親族を中心とする体制の安定に尽きます。
『ビジネスジャーナル』は、「経済評論家」の渡邉哲也氏(2017年6月12日2017年9月9日)の「解散風」に係るちぐはぐな解説[6]を載せたかと思えば、もう少し物騒な米朝開戦に係る与党議員の談話[7]を載せていたりもする。渡邉氏の解説が、なぜちぐはぐであるのかは、次のような理由による。製造に係る来歴はともかく、北朝鮮がわが国に向けて核ミサイルを撃つことができることは、現時点においても確定的である。このため、安倍晋三氏が解散に踏み切るとすれば、その理由は、日朝関係だけを考慮した訳ではなく、米朝関係をも考慮した結果ということになる[7]。(2017年9月10日にも、少しだけ言及したが、)アントニオ猪木氏は、武貞秀士氏を帯同して北朝鮮の外交委員会委員長の李洙墉(リ・スヨン)氏と面談した[8]が、帰国の途において、来年の建国祭までにミサイルが完成する見込みであると推測していた。米国へ北朝鮮のICBMが到達することが誰の目にも明らかになったことが衆議院解散の契機となるとすれば、そのタイミングは、来秋までの間、いつでも構わないということになる。右翼であるように装う渡邉氏は、実のところ、とてもアメリカに配慮した発言を提示したことになる。以上が、ちぐはぐであるという理由である。逆に、米朝開戦が12月に控えているという話まで出てくるのであれば、それは、話の筋が通ることになる。『ビジネスジャーナル』は、『トカナ』も擁する『サイゾー』系列であるから、これらのニュースの個別の真偽はともかく、苫米地英人氏の好みや洞察も反映されているということであろう。ただ、渡邉氏個人の中で、以上の情報が統合されて提示されていない点で、すでに、読者は、渡邉氏の見識を疑っても良いということになる(。誰かから提供されたネタをそのまま横流ししているものと観ることも、あながち否定できない)。

なお、ここで事実(と思われた話)を並置して真意を唆すという方法は、加谷氏の採用した方法と、全く同一である。何だかヘッドセンテンスだけでは、納まりが悪いので、オカルト的なジョーク?で締めておこう。苫米地氏は(科学を利用して)現代の魔術師と呼ぶにふさわしい実績を達成している。加谷氏までを現代の呪術師の一員に加えるのであれば、私も解呪者の末席に座すことになろう。


[1] 金正恩氏の「海外資産」にだけは触れてはいけない (現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
(加谷珪一、2017年9月14日8:00)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170914-00052887-gendaibiz-int&p=3

資産家〔...は、...〕資産を保全するための努力や苦労は惜しまず、非情な措置も躊躇なく決断する。

〔...略...〕

かつて田中真紀子氏は「世間には敵か家族か使用人の3種類しかない」と評したことがあったが、これもある種の資産家的な思考回路といってよいかもしれない。

[2] 中国で北朝鮮口座を全面凍結
(北京=共同通信、2017年9月23日02:04)
https://jp.reuters.com/article/idJP2017092201001914

中国の四大銀行である中国銀行や中国工商銀行などが、中国人民銀行(中央銀行)の指示を受けて、中朝貿易の約7割が通過するとされる遼寧省で北朝鮮の企業や個人が所有する口座を全面凍結したことが22日、分かった。複数の銀行当局者が共同通信に明らかにした。

[3] 中国の大手銀行、北朝鮮口座を凍結 : 東亜日報
(丹東=ク・ジャリョン、2016年2月22日07:15、更新2016年2月22日07:20)
http://japanese.donga.com/List/3/03/27/525958/1

中国の銀行最大手、工商銀行の遼寧省丹東分行など中国東北3省の一部の銀行が、北朝鮮人名義の口座に対する中国人の入金と口座振替のサービスを昨年〔#2015年〕12月末から停止していることが確認された。18日の米国の北朝鮮に対する超強硬制裁法が発効される前に下された措置で、〔...略...〕

[4] 田中眞紀子氏が「世の中には、敵と、家族と、使用人と、三種... - Yahoo!知恵袋
(rosachinensis22、2014年12月2日05:05:06)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10138927920

金美鈴さんの書かれたコラムを見ると、〔...略...〕「朝日新聞」2001年6月7日付とでておりました。しかしこれはどこから出た話なのか?乱暴な言葉ですが、正直、官僚に対しては捩じ伏せるような対応も時には必要と思われます。おそらく外務省から報道機関へのリークではないでしょうか?

[5] 北朝鮮と米国、お互いに軍事攻撃できない可能性 | ビジネスジャーナル
(長井雄一朗、2017年09月18日)
http://biz-journal.jp/2017/09/post_20618.html

[6] 安倍首相、北朝鮮の脅威増長のなか衆院選強行の「暴挙」の事情 | ビジネスジャーナル
(2017年09月19日)
http://biz-journal.jp/2017/09/post_20647.html

任期満了が近づくにつれて解散のカードは効力が弱まるため、来秋あたりがタイムリミットだった。しかし、年明けの1~3月は予算編成があるため解散はできない。さらに、北朝鮮情勢は悪化することはあっても改善する見込みは小さく、〔...略...〕来年のほうが危険度は高まる。

[7] 12月以降に北朝鮮を軍事攻撃、米国が安倍首相に伝達で衆院選前倒しか…有事想定で準備か | ビジネスジャーナル
(2017年09月20日)
http://biz-journal.jp/2017/09/post_20652.html

〔...略...〕ある与党議員は語る。

「安倍首相が早期の解散総選挙を決心したのは、トランプ米大統領側から『12月以降、北朝鮮を攻撃する』と内々に連絡を受けたからだといわれています。〔...略...〕

[8] 北朝鮮「制裁を増やせば実験も増やす」 猪木参院議員の訪朝で労働党副委員長語る : J-CASTテレビウォッチ
(2017年9月12日15:33)
https://www.j-cast.com/tv/2017/09/12308193.html

猪木議員と武貞教授らが面談した相手は、すべての外交を取り仕切る外交委員会委員長のリ・スヨン北朝鮮労働党副委員長。

〔...略...〕

「制裁や米韓軍事演習は北朝鮮の生存権を犯すものであって、それが続く限りミサイルや核の実験を続けていく。〔...略...〕




2017年9月25日訂正

抜けていた参照文献への言及部分を追加した。

2017年6月13日火曜日

田中龍作氏の大袈裟太郎氏評はさすがに無理がある

田中龍作氏は、大袈裟太郎氏に対して「人気ミュージシャン」という冠言葉を被せているが、この表現自体には、相当の無理があると言えるのではなかろうか。大袈裟氏のゆうちょ銀行の口座が凍結されたという事態は、検索回数を非常に伸ばしており、昨日(2017年6月12日)にも言及したが、大袈裟氏の知名度は、Googleトレンドによる限りでは、今回の事態を受けて、ようやくでんぱ組.incと並んだことになる。大袈裟氏のミュージシャンとしての有名度が、でんぱ組.incに、彼自身の芸の力で並んだとは言えないから、田中氏による「人気ミュージシャン」という表現は、盛りすぎであると結論できよう。なお、でんぱ組.incの活動開始時期は、2008年中のようであり[2]、(その大半が、小学館の『ビッグコミックスピリッツ』のグラビアでしかないとは言え、)私でも数度はマスメディアを通じて見た覚えがある。


大袈裟太郎とでんぱ組.incのGoogleトレンドによる比較
図:大袈裟太郎とでんぱ組.incのGoogleトレンドによる比較(2004-現在)

[1] 田中龍作ジャーナル | 沖縄の今を伝えるラッパー大袈裟太郎の預金口座が凍結された
(2017年6月7日20:18)
http://tanakaryusaku.jp/2017/06/00016015

[2] でんぱ組.inc - TOWER RECORDS ONLINE
(音楽出版社より引用か、2013年01月31日、更新2016年02月22日)
http://tower.jp/artist/1629289/%E3%81%A7%E3%82%93%E3%81%B1%E7%B5%84-inc

2017年5月7日日曜日

嘘と過ちとは、事後の訂正の有無によっても弁別される(1)

浪江の山火事にまつわる話は、方々に「飛び火」し、ロシアのメディアである『スプートニク日本』にも影響が及んでいる。同紙は、カナダのアルバータ州における2016年5月1日以降の森林火災[1]と思しき写真を、浪江の山火事を報じる記事[2]の冒頭に掲載していたようである。これを「taka.iwata(@taka_x_taka)」氏がスクショして咎め立てたところ[3], [4]を、ニセ科学分野に係る著書のある左巻健男(@samakikaku)氏が「taka.iwata」氏に同意するものと認定できる形でリツイートしている。変更の詳しい経緯については、原本を参照できないために言及しかねるが、『スプートニク日本』は、この記事の冒頭の写真を、後に、福島第一原発事故のものであると明確に認められるものに差し替え、当該のツイートを削除している※1

『スプートニク』は、ごく最近になって突然、わが国の主流メディアにより、オルト・メディア※2扱いされるようになっている。福島第一原発事故から現時点までの間、「西側」メディアの一員である日本語主流メディアは、『スプートニク』自体にほとんど言及してこなかったが、仏大統領選を契機として、日本語メディアによる同紙への否定的な言及がメインストリーム上に掲載されるようになった※3。一例として、2017年5月5日のTBS『Nスタ』は、フランス大統領選に関係して、『Sputnik』のフランス語版がマクロン氏のゲイ疑惑を報じたことを指摘するとともに、マクロン陣営へのロシアからのクラッキングを警告するトレンドマイクロ担当者のインタビューを報じている※4

『スプートニク』に対する日本語主流メディアの劇的な態度の変化は、およそ、プロの同業者に対して向けられるべきものではない。『スプートニク』がロシア政府の意向を宣伝するプロパガンダ用のメディアであるという認識は、日本経済新聞の秋田浩之氏が、欧米主流メディアの名を借りる形で、創設時に示している[5]。しかし、その後、第二次安倍政権下の日本語主流メディアが、軒並み、安倍政権の圧力に負けて、福島第一原発事故についての重要情報を日本語で提供しようとしてこなかったことを鑑みれば、日本語メディアによってプロパガンダ機関とのレッテルを貼られた『スプートニク』の方が、よほど、日本国民の利益に合致する形の報道を続けてきたことになる。無論、『スプートニク』の側にも深謀遠慮があり、日本語マスメディアの不作為に付け入り、日本国民をまんまと洗脳した、と考えることも可能ではあり、冒頭に紹介したようなネット雀の一部の吹き上がりの中にも、一種のカウンター工作が含まれているのかも知れない。しかし、今回のフランス大統領選報道に悪乗りする形で、日本語主流メディアが『スプートニク』を攻撃することは、かえって、忖度のし過ぎでジャーナリスト魂を失った日本語マスコミ関係者が『スプートニク』に対して嫉妬するあまりに仕組んだことではないか、との邪推を招くことになろう。

この『スプートニク』を巡る報道の構図は、いじめっ子の一群が、首謀者の方針転換によって、それまで完全にシカトしていた外国人の同級生を突然に囃し立て始めるという、学校内で見るようないじめと、完全に同形である。宣伝戦という条件を考慮しなければ、この構図が健全であると主張することは、いくら何でも不可能であろう。しかも、宣伝戦という条件を考慮したからとて、日本語市場において先行する日本語主流メディアが日本国民の味方ではないし、現時点の日本国政府にとっても頼もしい味方ではない。現時点の日本のマスコミは、政府にとって、単に、稼働中であるから使われているに過ぎない、使い捨て(expendables)の存在である。

日本国内における政府・国民・マスコミの三者が互いに味方ではないという現状を考慮したとき、『スプートニク日本』は、ロシアの国(民)益を確保するという姿勢が鮮明なメディアとして、日本のマスコミに比べ、一貫した方針を有している分、日本国民一般にとって、理解し易いメディアである。日本のマスコミが方針転換し、あくまで戦争屋に使嗾される存在として、森友学園疑惑を大きく喧伝したとき、『スプートニク日本』は、ロシアの国益にも適うことから、第二次安倍政権の味方となる論陣を張った。森友学園疑惑に係るメディアの敵・味方の関係は、飯山一郎氏が従来から解説してきたとおりであり、この点については、飯山氏の解釈は正しい。『スプートニク日本』の論調は、もちろん、ロシアの国(民)益が第一であるが、私が目にした福島第一原発事故に関連する記事は、日本国民にとっても、決して益がない訳ではない内容となっている※5。以前にも指摘した既視感があるが、『スプートニク日本』は、日本語話者がメディア・リテラシーを涵養する上で、またとない教師の役割を果たしてくれているのである。(#この流れは、次回以降で左巻氏を批判するための前振りである。)


※1 「taka.iwata」氏の言を借りれば、訂正はしたが謝罪はしていないことになるのであろうか。それにしても、「taka.iwata」氏は、口を極めて福島県は安全であるという主旨を繰り返しツイートしているが、彼(女)は、これらのツイートの誤りについて、すべて、5年後なり10年後なり、結果が誰の目にも見えるようになった時点において、訂正・謝罪する段取りを付けているのであろうか。彼(女)の謝罪に向けて、ひとつ、材料を付け加えておこう。冒頭の写真の著作権等は、閲覧者側の閲覧環境のために隠れてしまうことがある。全環境に対応したレイアウトを強制することは、デザイン者の自由度を損なうことになる。私個人は、そのようなレイアウトになるようなデザインを行わないように留意しているが、依然として、作業側の裁量の範囲内であるとする考え方も成立するのではないかとも考える。HTMLには著作権の所在が明記されているのであるから、目くじらを立てるべき必然性はない。

誤りを訂正するという点について、公平を期して記しておけば、私は、自身の公開・関与した文書の内容について、自ら修正できる分については修正したいと考えている。しかし、撤回する労力も余地も持たないものも多く、残された誤りについては、批判に甘んじるのみである。他方で、文章力の拙さから生じた意味不明に受け取られかねない文については、これらに接する度、黒歴史感で一杯になる。何とか改訂できないかと考えているが、孤児著作が多いので、完全に書き換えるのでない限り、いかんともし難いという事情もある。

※2 オルタナティブ・メディア。(alternative media)インターネットを通信手段とする新興の報道機関ならびにブロガー。

※3 毎日新聞と産経新聞は、ネットでググれる範囲では、『スプートニク』そのものに言及していない。産経新聞は、写真を融通されたり記事を参照したりはしているようである(が、ここで参照するに及ばないであろう)。例外は、日本経済新聞であり、本文中にも触れるとおり、創刊時にも言及している。小林恭子氏は、読売新聞の記事[6]の中で『スプートニク』に言及するが、それに先立ち、日本経済新聞社による『Financial Times』買収の効果を『東洋経済オンライン』の記事[7]で解説している。小林氏は、これらの記事の対比から、新聞という媒体の有する威信(prestiege)を重視しているものと解される。朝日新聞も、2月の時点において、ロシア系列のメディアに対するマクロン氏陣営の警告を伝えている[8]

※4 このほか、2017年5月7日0時の『BBCワールドニュース』は、マクロン氏陣営がクラックされ、大統領選挙戦管理委員会がその情報に接しないよう注意喚起したと伝えている一方、先述したNスタにも紹介されたトレンドマイクロの警告をも報じている。本件については、『スプートニク日本』[9]自身も、クラックならびに『Wikileaks』における公開を伝えている。

※5 袴田茂樹氏が解説者として呼び出されている記事は、例外であり、内容を解釈しかねるものばかりであるが、本ブログでは、基本的に、メモ程度にしか取り扱わない。


[1] 2016 Fort McMurray Wildfire - Wikipedia
(2017年05月06日確認)
https://en.wikipedia.org/wiki/2016_Fort_McMurray_Wildfire

[2] 7日めも燃え盛る福島山林火災 放射能拡散の危険性はありうる
(スプートニク日本、2017年05月05日17:12(更新 2017年05月06日02:19))
https://jp.sputniknews.com/japan/201705053607641/

[3]

[4]

[5] ロシアが再び「スプートニク」 米との宣伝戦に  編集委員 秋田浩之 :日本経済新聞
(秋田浩之、2014年11月28日07:00)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO80088930V21C14A1000000/

米欧メディアの反応はちがう。
「ロシア、西側とのプロパガンダ戦へ。新メディアを立ち上げ」(ロイター通信)。こんな具合に、ロシアが米欧にプロパガンダ戦争を“布告“したかのように伝えているのだ。
大きな理由は、スプートニク事業を推進しているロシア人の素性にある。

[6] フェイクニュース汚染、欧州の危機感 : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2/3
(小林恭子、2017年03月09日16時21分)
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170308-OYT8T50101.html

真偽不明のニュースは、世界の複数の言語で情報を発信するロシアのテレビ局「RT」や国際ラジオ放送・ニュースサイトの「スプートニク」などを通じて広がっている。

[7] FTを買った日経の「目指す方向」が見えてきた | メディア業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
(小林恭子、2016年01月23日)
http://toyokeizai.net/articles/-/101811?page=4

[8] ロシアは「大統領選に干渉するな」 仏外相が警告 〈AFPBB News〉|dot.ドット 朝日新聞出版
(AFPBB News、2017年02月16日10時17分)
https://dot.asahi.com/afp/2017021600018.html

親欧州派のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相(39)の報道担当者は14日、〔...略...〕ロシア国営の国際通信社「今日のロシア(Russia Today)」とスプートニク(Sputnik)について、誤った情報を流してマクロン氏の評判を傷つけようとしているとも非難していた。

[9] ウィキリークスがマクロン選挙事務所の電子メールを大量に暴露 仏はマスコミに漏洩内容を無視せよと呼びかけ
(スプートニク日本、2017年05月06日15:38(更新 2017年05月06日16:13)
https://jp.sputniknews.com/politics/201705063611404/

2017年5月6日土曜日

都内の202cpmという計測結果は機器の不調による

『阿修羅』の「原発板47」では、福島県浪江町の帰還困難区域内の十万山近辺における山火事と、それに伴う放射性物質の飛散が、話題の中心となっている。たとえば、駒沢公園近くの私人による計測結果が202cpmとなったという「@N0NUKES」氏のツイート[1]が大きく取り上げられている[2]。202cpmという計測値は、セシウム換算でおよそ2マイクロシーベルト/時に相当し、特別区南西部の通常よりも一桁高い外れ値である。しかし、後段で示すように、本件は、計測機器の不調を誤解したものと認められる。火災により、樹木に吸着されていた放射性物質の一部なりとも飛散することは確実であり、北風が吹くと東京における空間線量が上昇することも事実ではある。今回の山火事によって放射性物質が飛散することを否定するのであれば、黄砂やpm2.5が風によって飛散するという事実をも否定しなければならない。それゆえ、福島県がモニタリングポストの結果を引用しながら周辺での目立った上昇が見られないと断定したことは、一部の聞き手に誤解を生み、彼らの不安を殊更に喚起する一つの要因となったものと認められる。

今回の「202cpm」騒ぎは、「@N0NUKES」氏が参照していた地図を誤読したために生じたものである。今回のように、一つのモニタリングポストだけで飛び外れて高い値が検出された場合、技術者マインドを有する通常人であれば、まず最初に、計器の故障を疑うものである。「@N0NUKES」氏が参照する2種類のサーバ[3], [4]は、いずれも、マッシュアップ(種々のソースを統合して表示する形式の)サーバである。このため、これらの地図に表示された、ある地点の計測結果は、そこでの計測(機器の性能ならびに運用)に依存する。しかし、今回、近辺のサーバのいずれも異常値を検出していないことを、このツイート主は無視したのである。実際、計測地点のサーバ運営者は、5月3日時点でサーバを交換している[5]

しかし他方で、わが国では、真に中立的な立場からモニタリングを継続する組織や個人が十分な密度で存在することを期待することが困難であり、それゆえに、この種の誤解が流布することを避けられない。中学生でも利用可能なクラッキングツールを公的機関が開発して他国に提供する現在、善管注意義務を果たして個人がサーバを運営することは、相当の難事である。(自分が行っていないことを他人に求めるのも難があることも承知している。)わが国において、この手のツールを利用しうる組織が原発推進から天下り上の利益を享受してきたことは、広く知られている。たとえ、わが国の官僚組織が、全体として、この種のクラッキングツールを国民に対して悪用することを建前として禁じていたとしても、たとえば「sengoku38」のような「身内」の人物の「犯罪」を抑止できなかったという実績が官僚組織の側に見られる以上、心ある人物がサーバ運営に踏み切ることは、まともな先進国における以上に、ハードルがあることになる。このとき、「@N0NUKES」氏のような誤解しやすい人物が「モニタリングポストは改竄されていて信用ならない」と主張するとき、誰がこの誤解を真っ向から否定できようか。本来は、このような個人の計測値の異常を比較対照できるような、同等の材料がなければならなかったのである。

モニタリングポストは、現今の官僚組織が一般人に無用な威嚇を行っていると受け止められている状況をも勘案すれば、より事実に即した形で(東京都内においては、道路上・地上1mで)運用されるべきであった。原発ムラに与しようがしまいが、官僚たちは、数値自体は正しく計測し、適時に公開し、その上で、解釈についての論争に耐えられるだけの理論構築を行うべきであった。もちろん、私個人は、そのような理論構築など無理であるものと考える。ただ、その理論構築を恐れるあまり、数字を改竄し出すようになると、悪を企図する官僚自身が、参照点を失うのである。


[1] #2017年05月05日確認

[2] ど、どうしちまったんだ? 渋谷で今!  赤かぶ
(赤かぶ、2017年05月03日14:46:15)
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/855.html

[3] Black Cat Systems Online Geiger Counter Nuclear Radiation Detector Map
(Black Cat Systems、2017年05月05日確認)
http://www.blackcatsystems.com/RadMap/map.html

Readings are in uR/hr (microRem per Hour) for Cs137/Co60 (Cesium-137 / Cobalt-60)
Note that these are generally run by individuals, and not all readings may be accurate. Do not panic because you see a high reading. Someone could be getting invalid readings.

[4] Nuclear Emergency Tracking Center
(Nuclear Emergency Tracking Center、2017年05月05日確認)
http://netc.com/

[5] Result of Geiger-Muller counter. by Illuminum
(記名なし、2017年05月05日確認)
http://www.illuminum-led.com/GM10/geiger-gm10.html

お知らせ:2017.5.3(水)--この3ケ月ほど、放射線量が異常表示したりPCフリーズによるカウンター停止などが続いたため、接続しているPCを自作PC(CUP=Core2 Quad Q6600)から市販のDELLディスクトップPC(CUP=Core i5-7400)に交換しました。
#適宜半角スペースを削除済み。

2017年4月24日月曜日

北朝鮮の攻撃能力に係る『Newsweek』英語版の記事はほとんど誤報である

『スプートニク日本』は、21日付の記名なし(=編集部の責任)の記事において、北朝鮮側の話として、北朝鮮を対象とする「化学・生物兵器による」「アメリカの」偽旗作戦『ジュピター計画(Plan Jupiter)』に言及する[1]が、他方で、『スプートニク』英語版(International)には、これに相当する記事がない(もっとも、「木星探査」の話題に紛れた記事を、私が見逃しているだけかも知れない)。この違いは、当然、情報巧者であるロシアならではの工夫であろう。本稿では、その違いが日本人にとって意味するところを考察したい。なお、同計画は、昨年8月、『The Daily Star』でも報道されている[2]。記事は、超訳すれば、「来年実施される計画であり、米国が工兵(engineer)と材料を輸送した、完成の暁には、朝鮮半島において炭疽菌とボツリヌスのような生物兵器を使用し、第二次世界大戦においてユダヤの人々に対して行われたようなホロコーストにより、北朝鮮を一掃する」という内容を伝えるものである。

"Plan Jupiter"でググると、『Newsweek』英語版のトム・オコーナー(Tom O'Connor)氏の記事[3]がトップ辺りに来るが、この記事には、わが国の情報能力に係る誤解を流布しかねない表現が見られる。その誤りを先に示しておくと、この記事の「intelligence reports from Japan」[3]は、実のところ、本日(2017年4月23日)のTBS系『サンデージャポン』にも報じられていた『38 North』の報告書※1であり、この団体の報告書を採り上げた『CNN』の記事[4]を、オコーナー氏が誤読したものである。この誤りがいかに生じたのかを、以下、確認しよう。

オコーナー氏は、おおよそ、以下のように記す;北朝鮮側は、『ジュピター計画』を、金正恩政権を打破するために朝鮮半島を「化学生物兵器により攻撃する(biochemical attack)」という米国の策略であると主張する[3]。米国は、これに公式には反応していないが、北朝鮮側からも証拠が示されていない[3]。また、オコーナー氏は、CNNの記事[5]を参照し、北朝鮮がサリンを弾道ミサイルに搭載する能力を保有しているという安倍晋三氏の答弁に触れ、この答弁が北朝鮮の化学兵器運用能力に係る最新のコメントであると形容している[3]。しかし、オコーナー氏の記述は、英文読解のルール上は正しい読み方であるが、『CNN』の記事[5]が参照する別の記事[4]を誤読している。人称代名詞(He)が指示する人物が安倍氏ではないことを見逃しているのである。このため、オコーナー氏は、まるで、日本国が独自に情報分析して「北朝鮮がサリンをミサイルに搭載する能力がある」と結論したかのような解釈を提示している。

ただし、北朝鮮のミサイルがサリンを搭載できるとの理解は、確かに、安倍氏によって示されている[6]。その背景に何らかの情報が存在していることも、間違いないことであろう。しかし、オコーナー氏の引用する『CNN』の記事[5]には、安倍氏の答弁において根拠が示されなかったことが明記されている。参議院のインターネット中継における、安倍氏による浅田均氏(日本維新の会)への答弁(13日の防衛外交委員会)においても、形跡を確認できない[6]。なお、安倍・浅田両氏の答弁は、産経新聞が要旨を伝えている[7]

オコーナー氏による『Newsweek』の記事[3]は、日本がまるで独自のインテリジェンス能力を有し、報告書を軸とした、確かな国会論議が繰り広げられているかのように読めるものであるが、現実がそこまで上等なものとは言えないものであることは、われわれ日本人なら良く知る事実である※2。仮に、オコーナー氏の指摘通りであったとしたら、野党側の追及は、一層中身のある厳しい内容となっていたであろう。オコーナー氏が広めたわが国の国会に係る誤解は、この緊張状態下において、英語圏にいかに流通するのであろうか。北朝鮮情勢に係る基本的な構図が見えていれば、つまり、適度な緊張状態そのものは関係諸国の政権にとって望ましいとの理解があれば、本件についての展開も読めるであろう。つまり、読者に見逃されるだけで済む、というものである。私の北朝鮮情勢に係る見立ては推測に過ぎないが、日本の行政能力については、部分的に理解しているつもりではあり、その方面の知識に照らして、オコーナー氏がプロとしては恥ずかしい誤りを流布したことまでは断言できる。

オコーナー氏の誤報は、日本政府が報告書を作成・報告し、北朝鮮のサリン搭載ミサイルを認めて裏書きしたかのような印象を造り出している。このとき、上記に見たような一年前に報じられた『ジュピター計画』との微妙な差異は、「日本政府の報告書」なる幻想によって、読者の注意から消え去ってしまう。とはいえ、本日(2017年4月23日)の『サンデージャポン』に出演した黒井文太郎氏の解説により、視聴者の頭の中は、「北朝鮮が戦争終期に最後っ屁で東京とソウルに核爆弾を落とす」という内容で占められてしまったであろうから、これくらいの誤りは、些細なものと言うべきなのかも知れない。日本語界隈には、バイオテロとケミカルテロの違いが語感のせいで無視されるという事例も見られる[8]。「全部北朝鮮のせい」という先入観を持つことは、日本国民自身にとって、不幸な結果を呼び起こすことになる。

オコーナー氏の誤報の最大の問題は、まるで日本国政府が報告書を作成して北朝鮮のサリンによる攻撃能力を確定したかのような印象を与えることである。実際のところ、安倍氏の失言大魔王ぶりは全国民に共有されていつつも、政治闘争の過程において、官僚集団からは、わざと見逃されているところがあるものと考えられる。安倍氏に与する者がその失言の数々を無視する一方で、安倍氏を批判する者は、この逐一を採り上げる。本来、北朝鮮の攻撃能力を見極め、国政の方向性を論議する際には、オコーナー氏の誤解にあるように、政府の事務方が報告書を用意して、与野党がガチンコで(インカメラ審理が望ましいのであろうが)検討を加えるべきであった。官僚集団は、安倍氏の答弁の根拠となった情報については、出所を含め、わざと公表を控えたのであろう。この曖昧さは、軍事衝突後の責任逃れのため、安倍氏だけを切り捨てるときにも有用であるが、軍事的緊張を回避する際にも有用である。良い意味で、今回の安倍氏の北朝鮮に係る発言は、従来型の官僚のノラリクラリとした感じが出たものになり得る。イラク戦争時の大量破壊兵器に係る米国内の論議は、回復しようのない悲惨の原因を残すものとなった。この前例を踏まえ、官僚集団は、良い塩梅に緊張の高まりを予防するため、わざと曖昧な感じで、地下鉄サリン事件という記憶を持つ日本国民に訴える材料を安倍氏に提供したのであろう。この日本国民にとって意味ある官僚のサボタージュを、オコーナー氏の誤報は、全世界的に転覆しようとするものとなっているのである。

極東における軍事的緊張(の昂進)は、ロシアにとって得にはならないから、この誤りが及ぼす危険性は、できるだけ穏当に伝えられる必要があったであろう。これが、冒頭に挙げた『スプートニク』の英語記事の不存在の理由ではないか。日露の経済的な協力関係が進展しつつある現在、その重要性は増しつつある。このとき、『スプートニク』は、日本語だけで偽旗攻撃の危険性を注意喚起しながら、米国との全面的な衝突を避けるために、英語では言及しなかったのであろう※3。偽旗作戦に対する北朝鮮側の理解、従来の『ジュピター計画』に係る理解、日本政府の見解における北朝鮮の攻撃能力、それぞれの違いにも含みがあると考えられる。ただ、その検討は、この「危機」が去った後で良い※4


※1 衛星写真の解析は、ジオイント(GEO-INT, geo-intelligence)の典型的な一分野であるが、人工衛星の能力と画像処理の手法に負うところが大であるから、テキント(TECH-INT)と見做した方が捗ることがあるやも知れない。土木・建築系の知識は必須であろうが、GISの勉強そのものよりも、画像処理の勉強を修めた者の方が、衛星写真の解析に直ちに対応できるであろう。

※2 忘れてはいけないのは、わが国のインテリジェンス機関が福島第一原発の連続的な爆発を阻止できなかったことである。往時からのインテリジェンス・危機管理能力は、その程度であり、国民も、プロも、力不足であったと反省すべきである。

※3 実際、日本の高官が事態を冷静に注視すべきであるとの『Japan Times』の記事を、『Sputnik International』は引用している[9]

※4 黒井文太郎氏の言動を検証する際の話である。私としては、(母語で)この程度の読み間違いをする上、必要な知識を有さない記者が、影響力を有する世界的メディアで誤報を垂れ流していることを明らかにできれば、それで良い。日本国民の絶対的多数にとっては、このような話は、どうでも良いことでもあろうし。


[1] 米国は北に対し生物・化学兵器を用いる可能性=北朝鮮
(『スプートニク日本』、2017年04月21日20時45分)
https://jp.sputniknews.com/politics/201704213561340/

[2] World War 3 threat: US secret plot to crush Kim Jong Un with chemical weapons | Daily Star
(Joshua Nevett、2016年08月14日)
http://www.dailystar.co.uk/news/latest-news/537784/america-secret-plot-crush-north-korea-chemical-weapons

The apparent doomsday project, allegedly codenamed "Jupiter plan", is due to start next year, with materials and US engineers to build the weapons shipped in from November.
Once completed, the US will use the biological weapons – such as anthrax and botulinus – to wipe out North Koreas in a holocaust akin to the abhorrent mass murder of Jewish people during World War Two.

[3] North Korea: U.S. Will Use Chemical Weapons to Take Out Kim Jong Un and Control the World
(Tom O'Connor 2017年4月21日15時45分(タイムゾーン未確認))
http://www.newsweek.com/node/587766

The latest commentary came in response to earlier intelligence reports from Japan, a regional U.S. ally, claiming that North Korea had produced weaponized sarin gas. In response to these reports, Japanese President Prime Minister Shinzo Abe told his parliament last week〔...略、CNNによるものとして紹介〕

[4] North Korean nuclear site 'primed and ready': analysts - CNN.com
(James Griffiths, CNN、2017年04月13日16:31 GMT)
http://www.cnn.com/2017/04/13/asia/north-korea-nuclear-site-punggye-ri/index.html

"The activity during the past six weeks is suggestive of the final preparations for a test," 38 North analyst Joseph Bermudez told CNN.
Their prediction comes as Japanese Prime Minister Shinzo Abe said Thursday that North Korea may have the capability to deliver missiles equipped with sarin nerve gas.
He and other analysts pore over commercial satellite imagery of the testing site, looking for signs of activity similar to that prior to other tests.
#以上から、"He and other analysts"は、Joseph Bermudez氏と『38 North』の分析者であることが分かる。注意して一文を読めば、「安倍氏と他の分析者」という組合せが生じないことも、理解できよう。

[5] Sarin warning: North Korea may be able to deliver chemical weapons by missile - CNN.com
(Yoko Wakatsuki, James Griffiths、2017年4月13日10:17 GMT)
http://www.cnn.com/2017/04/13/asia/north-korea-missiles-japan/index.html

[6] 参議院インターネット審議中継
(2017年04月13日第193回参議院外交防衛委員会第12回)
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
#リンクはトップページ。1:17:50あたりから浅田氏の質疑開始。

[7] 【参院外交防衛委員会】安倍晋三首相「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力を保有している可能性がある」 主なやり取り(3/3ページ) - 産経ニュース
(記名なし、2017年04月13日23時06分)
http://www.sankei.com/politics/news/170413/plt1704130043-n3.html

[8] 陽月秘話: 地下鉄サリン事件、医療現場での奮闘と奇跡
(花園祐、2010年3月25日)
http://imogayu.blogspot.com/2010/03/blog-post_25.html
#これは、わが国の言論者が容易に誤りを訂正しない事例でもある。ほかには良いことも言っているのに、これほどの些細な誤りを訂正しないのは、残念である。私は、間違えたことよりも、むしろ、訂正しないことこそを残念に思う。

[9] South Koreans, Japanese Remain Calm as US, North Korea Posture
(記名なし、2017年04月16日01:00(updated 2017年04月16日04:13)
https://sputniknews.com/politics/201704161052678993-koreans-calm-as-US-threatens/




2017(平成29)年4月24日追記

淡赤色部分を正確さのために追記した。

2016年10月8日土曜日

日本語の大マスコミは、フィリピンの「麻薬戦争」関連のニュースを正しく伝えない

#段落読みもできないし、要点のまとまりも悪いが、時機を逸しそうなので、本日(2016年10月8日)アップすることにした。

 先週、フィリピンのドゥテルテ大統領は、ダヴァオ空港において、自身をヒトラーになぞらえた発言を行い、2日後、ユダヤ人社会に対して謝罪した。日本の大新聞は、必ずしもこの経緯を十分勝つ正確に伝えていない。他方で、ドゥテルテ氏の発言に対するフィリピン国内の受止め方にも誤解や曲解に基づく問題が見られる。本稿では、この経緯を確認し、この中で、中国がフィリピンの麻薬戦争に対して正しいアプローチを採用して接近していることを、他者に遅れるとはいえ、指摘しておきたい。

 日本の大マスコミのうち4社は、いずれも、ドゥテルテ氏が麻薬中毒者を殺してやりたいと発言したかのように報じている。朝日[1]が最初に報じ、産経[2]、読売[3]、毎日[4]の順で報じている。英語に訳し直すと「I want to ...」や「I would like to ...」である。後者のしゃべり方は、決してドゥテルテ氏に相応しいものではないであろうから、ほぼ「I want to ...」一択ということになろう。毎日だけは、「喜んで虐殺する」なので、毎日の記事を英訳すると、「I will slaughter them with pleasure.」とでもなろう。

 なお、日経は、ウェブサイトで確認しただけではあるが、今回の発言を報じていなかったようである。以前の「サノバ」発言に係る比較記事(リンク)において、私は、日本語大マスコミの中では、唯一、日経の2記事だけが間違いを報じている訳ではないことを示した。詳細を後ほど説明するが、今回も、日経は、正しい選択をした可能性が認められる。

 ロイターの2記者名による英語記事[5]を読んだり、大統領の会見をYouTubeで視聴[6]すると、ドゥテルテ氏の語法が仮定法であったことが分かり、この時点で、日本の4紙ともが明確に誤訳していることが分かる。訳すとすれば、「殺せるものならば、喜んでそうしたい。」という訳が適切である。ここで文法教室を開くつもりはないが、仮定法は、現実に反する状態を仮想しつつ「そうであったら良いのに」という願望を示すものである。くどいようであるが、ドゥテルテ氏は、「皆殺しにはできないが、できるのであれば、喜んでそうしたい」と述べているのである。仮定法は、中学生のうちに学習する。これらの記事に関与した記者やデスクたちは、全員、明確に誤りであることを知りながらこのように訳したか(、デスクがスルーしたか)、本当にこのことすら分からないほどに愚かであるか、のいずれかになる。いずれの場合であっても、日本国民の読者に対して正確に事実を伝えようとしないという点で、4紙の行為は問題がある。

 ロイターの記事に対して、1時間の後には、フィリピン人であると自称するbenign0と名乗るブロガーがロイターの2記者を名指しして「嘘を吐いた」と非難している[6]。無実のユダヤ人を虐殺したヒトラーと、フィリピン社会にとって危険な犯罪者を虐殺しようとする自身とを、大統領自身は対比しようとしている、とbenign0氏は理解している。最後に、この点を「ヒトラーになぞらえた」と海外に向けて報道することは、高い支持を得ているドゥテルテ氏を貶める悪意ある試みである、とbenign0氏は批判を締めくくる。ただし、ここでのbenign0氏には誤解がある。というのも、ヒトラーは、常習的犯罪者や薬物中毒者を強制収容所送りにしているからである。

 ドゥテルテ氏は、ナチスドイツによる常習的犯罪者や薬物中毒者の扱いを知らずに自身をヒトラーに喩えた訳ではないであろう。この推測を補強する弱い材料として、同氏がユダヤ人社会に対して(のみ)謝罪の意を10月2日に公式に発言したこと[7]を挙げられよう。ここでの推測が正しいとすれば、ドゥテルテ氏が自身とヒトラーとの違いをいかにとらえているのかは、慎重に検証されるべき作業である。外国人が安易にこの発言を評価することは、国際問題となりうる。タガログ語をろくに話すこともできない日本人は(、つまり私も)、この検証作業の適格要件を欠くこととなる。ちなみに、ドゥテルテ氏の「ホロコースト」発言に係る部分は、英語である。日経の記者なりデスクなりが、ドゥテルテ氏の内心の機微を推量する危険を理解して報道を見送ったとすれば、この事実は、日経のフィリピン担当チームの嗅覚の鋭さを示すものとなろう。FTとの提携は、日経にとって良い方向に機能したということであろうか、などと想像してみたりもする。

 フィリピンにおける言論は、先のbenign0氏[6]の記事が『フィリピンジャーナリスト国内連合』(NUJP)の議長声明[8] に取り上げられるに至り、さらに捻れた様相を見せることになっている。というのも、議長声明がbenign0氏の記事を恣意的に引用したためである。benign0氏の論旨は、大略、ドゥテルテ氏の発言を曲解して同氏への支持を転覆しようとするジャーナリストは民主主義の敵である、というものである。これに対して、議長声明は、「あたかもジャーナリズムが犯罪であるかのように、彼らのような"悪意があり無責任なジャーナリスト""は民主主義の真の敵"であり"法の全力を以て処罰されるべきである"〔...略...〕という記事」に見られるように、ジャーナリストへの脅迫が生じていると訴えるものである。この議長声明の表現は、benign0氏が常にジャーナリズムを犯罪的なものであると見なしているかのような印象を読者に与えるものである。大統領発言に対するbenign0氏の理解が正しいものとは言えないことは、先に見たとおりであるが、しかし同時に、benign0氏がジャーナリズム全体を否定している訳でないことも確かである。にもかかわらず、この議長声明は、benign0氏がジャーナリズムの全体を犯罪であるかのように理解している、と非難するものとなっている。このような中、ドゥテルテ大統領は、兵器を中露から購入することを示唆した[9]が、その一方で、フィリピンやインドネシアのソーシャル・ニュースサイトである『Rappler』は、benign0氏の記事を引用するも、適切にフレーズを選択している[10]。朝日新聞は、後日談としてNUJPの議長声明やドゥテルテ大統領のジャーナリストへの脅迫を中止する声明を取り上げている[11]ものの、本記事に示した機微には触れていない。

#10月6日、benign0氏は、「ジャーナリズムは犯罪ではないが、一部のジャーナリストは不正直である」という記事を公開している[15]

 以上の流れを概観すると、マスコミの中でも、エスタブリッシュメント側は、大統領の発言を大袈裟に取り上げた割に、フィリピン国民の大部分からの反発に対しては、それほど真摯に検討している訳ではないと見ることができよう。ジャーナリストの多くは、所属している組織の関係上、ドゥテルテ大統領支持派の批判の矛先が自分たちに向けられていると感じるであろうから、その批判を冷静に検証して論駁するということが心情的には困難であるかも知れない。しかし、わが国のマスコミで本件を報道した記者は、皆、フィリピン国外から発信したことになっている。皆、シャブでもやっているのか?と思う程に、現地から報道している訳ではない。疚しいことが何もなくとも、ドゥテルテ大統領を批判することに対して生命の危険を感じることは、大マスコミのジャーナリストならば、十分にあり得ることではあろう。しかし、身の危険を感じるのであれば、なおのこと、誤報とも言えるレベルの訳を世に問うことは避けるべきではないか、と世辞に疎い私は感じてしまうのである。

 大新聞は、フィリピンという難しい状況にある国の諸事についても、ファクトチェックの労を省略できる記事を提供するという「本道」に立ち戻り、諸国民にとってウィン・ウィンとなる見識を提示すべきである。中国の「海洋進出」※1を封じ込める輪の一つとして、フィリピンが機能することを「アメリカに期待されている」ことは、新聞記事の内容を鵜呑みにする日本人にも理解されていることであろう。このとき、「親米」の日本人読者が大マスコミに期待する内容は、ドゥテルテ大統領を「西側」社会につなぎ止める方策であり、そのヒントとなる事実の報道であろう。この潜在的な要求に対して、「西側」に連なる日本語の大マスコミは、ドゥテルテ大統領の人格攻撃を専ら優先させており、中国が麻薬中毒者のリハビリ施設建設を援助したこと[12]※2、1400人収容の施設が完成間近である[14]ことは、まったく報道していない。この状況は、日本語マスコミが「戦争屋のポチ」であると呼ばれても仕方のないものである。もっとも、陰謀論者の大勢は、ジャーナリズムなんて、端から宣伝工作のための装置でしかない、と言うかも知れない。

※1 ここでも、ほかのところでも取り扱う余裕はないが、中国の「海洋進出」は、第二次世界大戦以後のわが国の行動にも拠るところがある。このため、南シナ海「問題」は、日本人が現時点で言及すべきではない話題である。
※2 竹田いさみ氏は、新潮社の『Foresight』掲載の記事[13]でこの件に触れている。

 私が中国との対立を願う者ではないことをあらかじめ断っておくが、仮に、中国に先んじて、巡視船ではなくリハビリ施設と専門家の派遣をわが国がフィリピンに提供していたならば、援助の申出をするにあたり、中国は、従来よりも相当に気前の良い条件をフィリピンに提示する必要があったであろう。インパクトに欠けることになってしまうためである。このように、良い意味での競合をもたらす援助をわが国が事前に表明していれば、フィリピンの麻薬対策は、より大きく前進したに違いない。もっとも、島嶼国家であるフィリピンにおいて、巡視船は、麻薬対策にも転用可能である。わが国が巡視船の用途を限定して提供するのではないとすれば、なかなか考え抜かれた援助であると言いうるべきかも知れない。

 第二次世界大戦以後の歴史に対する理解は、独立したアジア諸国の指導者層の間では、かなりの程度、共通のものとなっていることであろう。つまり、敗戦までの間、わが国が中国大陸において阿片の流通販売による利益を秘密資金として利用してきたことや、戦後のフィリピンにおけるわが国に対する国民感情が悪いものであったことは、彼らの個人的な受け止め方がいかなるものであるかはさておき、アジア諸国のエリート層の基本的な理解の範囲内にあるものと見ておいた方が良い。これらの事実は、一時期までの間は、わが国の指導者層にも理解されていたことである。

 ここまで説明すれば、南シナ海「問題」に係る援助において、中国の後塵を拝する選択をわが国が採用したことは、見た目としては明らかであろう。わが国のジャーナリズムとインテリジェンスの高度化は、望むべくもないこととはいえ、国家の生き残りには、必要であり続ける条件である。なお、最後になるが、本稿における中国とアメリカに対する私の言及には、事前に説明なく概念を導入しているという手抜きが認められる。とはいえ、過去の記事を注意深く参照してもらえれば、親米の意味も、中国に対する私の見方が個人的な経験と現実の中国に対する無知とに由来して錯綜したものとなっていることも、ご理解いただけるであろう。


[1] 「麻薬中毒三百万人殺したい」比大統領、ヒトラーに言及:朝日新聞デジタル
(ハノイ=鈴木暁子、2016年9月30日18時10分)
http://www.asahi.com/articles/ASJ9Z5640J9ZUHBI01P.html
フィリピンのドゥテルテ大統領は30日、ナチス・ドイツを率いた独裁者ヒトラーに自らをなぞらえ、「ヒトラーは300万人のユダヤ人を虐殺した。(フィリピンに)麻薬中毒者は300万人いる。私も喜んで殺したい」と発言した。実際は約600万人が犠牲になったとされる大量虐殺(ホロコースト)を引き合いにした発言は国際的に波紋を呼びそうだ。
 ドゥテルテ氏は演説で、自分が「ヒトラーの親類みたいに思われている」と述べ、「ドイツにはヒトラーがいた。フィリピンには……」と自身を指さし、「この国の問題を一掃し、次世代が地獄に落ちないようにしたい」と続けた。

[2] ドゥテルテ比大統領が仰天発言 「おれもヒトラーのように虐殺したい」 薬物中毒者を念頭に - 産経ニュース
(シンガポール=吉村英輝、2016年09月30日18:45)
http://www.sankei.com/world/news/160930/wor1609300041-n1.html
薬物中毒者が300万人いるが、私も虐殺してやりたい

[3] 比大統領「麻薬中毒者虐殺」自身ヒトラーに例え : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
(台北=向井ゆう子、2016年09月30日19時02分)
http://www.yomiuri.co.jp/world/20160930-OYT1T50120.html
300万人の麻薬中毒者がおり、私は喜んで彼らを虐殺しよう」と述べ、
[4] ドゥテルテ比大統領:「喜んで虐殺」 麻薬撲滅をホロコーストと比較 - 毎日新聞
(バンコク=西脇真一、2016年10月01日)
http://mainichi.jp/articles/20161001/ddm/007/030/150000c
「喜んで虐殺する」と述べた。
[5] Philippines' Duterte likens himself to Hitler, wants to kill millions of drug users | Reuters
(Karen Lema and Manuel Mogato, MANILA, 2016年10月1日08:24 EDT)
http://www.reuters.com/article/us-philippines-duterte-hitler-idUSKCN1200B9
Philippines President Rodrigo Duterte appeared to liken himself to Nazi leader Adolf Hitler on Friday and said he would "be happy" to exterminate 3 million drug users and peddlers in the country.

〔...略...〕

Duterte told reporters that he had been "portrayed to be a cousin of Hitler" by critics.

Noting that Hitler had murdered millions of Jews, Duterte said, "There are 3 million drug addicts (in the Philippines). I'd be happy to slaughter them.

"If Germany had Hitler, the Philippines would have ...," he said, pausing and pointing to himself.

"You know my victims. I would like (them) to be all criminals to finish the problem of my country and save the next generation from perdition."
#10月4日中に取得しているため、後段の引用部分がすべて10月1日のアップ時点のものであるか否かは、私には判別が付かない。

[6] GRPundit: Reporters Karen Lema and Manuel Mogato of @Reuters LIED about the Duterte "Hitler" quote
(benign0、2016年10月1日12:36+10:00)
http://grpshorts.blogspot.com/2016/10/reporters-karen-lema-and-manuel-mogato.html
Lema and Mogato are Filipinos. There’s no way they could have misunderstood what Duterte really meant in his speech. I watched the video and this is what the President said:

“Hitler massacred 3 million Jews. There are 3 million drug addicts. I’d be happy to slaughter them. At least, if Germany had Hitler, the Philippines would have ….. my victims, all criminals, to finish a problem of my country, and save the next generation.”

https://youtu.be/kKpaHBG6d3M

Duterte was CONTRASTING himself from Hitler, not likening himself to Hitler.

〔...略...〕

Over 90% of Filipinos support President Duterte and his program of government. Are we going to let a handful of disgruntled brats who call themselves journalists subvert the will of the Filipino people?

NO. These malicious and irresponsible journalists are the true enemies of democracy, and they should be punished with the full force of the law.

[7] ヒトラー発言の比大統領「ユダヤ人社会に心から謝罪」:朝日新聞デジタル
(マニラ=鈴木暁子、2016年10月2日23時50分)
http://www.asahi.com/articles/ASJB27FVQJB2UHBI01L.html

[8] [Statement] Journalism is no crime
(Ryan D. Rosauro(Chairman)、2016年10月03日08時12分 UTC)
http://www.nujp.org/2016/10/statement-journalism-is-no-crime/
It began as an anonymous post on the GRPundit section of the GetRealPhilippines site, accusing veteran Reuters reporters Manny Mogato and Karen Lema of deliberately misreporting Duterte’s controversial “Hitler” comments and saying that “malicious and irresponsible journalists” like them "are the true enemies of democracy" and "should be punished with the full force of the law" as if journalism is a crime.
[9] Philippine leader tells Obama 'go to hell', says can buy arms from Russia, China | Reuters
(記名なし、2016年10月4日08:00 EDT)
http://www.reuters.com/article/us-philippines-duterte-arms-idUSKCN12414A

[10] NUJP condemns threats against Reuters reporters
(2016年10月03日21時15分〔UTC+0800か〕)
http://www.rappler.com/nation/148098-nujp-condemns-threats-against-reuters-reporters
The post from GRPundit said "malicious and irresponsible journalists" like Lema and Mogato "are the true enemies of democracy," and they "should be punished with the full force of the law."
[11] 比大統領のヒトラー発言、報じた記者への中傷相次ぐ:朝日新聞デジタル
(マニラ=鈴木暁子、2016年10月4日20時38分)
http://www.asahi.com/articles/ASJB44GVKJB4UHBI01X.html
 朝日新聞の取材に応じた記者によると、顔写真も公開され、「薬物使用者だ」といったデマも流れた。フィリピンは記者の殺害事件が多く、ドゥテルテ政権下では「麻薬犯罪者は殺害してもよい」という風潮も広がっている。このため2人は自宅を離れ、1人はフェイスブックのページを閉鎖したという。

[12] Duterte thanks China for aid, says US can do better | ABS-CBN News
(記名なし、2016年09月09日19:14、更新2016年09月10日12:27)
http://news.abs-cbn.com/news/09/09/16/duterte-thanks-china-for-aid-says-us-can-do-better

[13] 中国に接近する「ドゥテルテ比大統領」外交感覚の背景 (新潮社 フォーサイト) - Yahoo!ニュース
(竹田いさみ、2016年9月29日15時45分)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160929-00010000-fsight-int

[14] Duterte: China-funded rehab facility almost complete
(Pia Ranada@piaranada、2016年10月07日19:50)
THANKS CHINA. President Duterte speaks at the Banana Congress in SMX Center in Davao City. Photo by Manman Dejeto/Rappler
http://www.rappler.com/nation/148537-duterte-china-funded-rehab-center-almost-complete

[15]Journalism is not a crime but some 'journalists' are downright crooked - Get Real PostGet Real Post
(benign0、2016年10月6日)
http://www.getrealphilippines.com/blog/2016/10/journalism-not-crime-journalists-downright-crooked/

2016年9月14日水曜日

リチャード・コシミズ氏の新サイトに掲載された9.11の記事には重大な疑義があるが(メモ)

#本稿の趣旨は、むしろ後段に比重が移りつつあるような。手持ちのメモにしておくには、重大な意義を有しているような気がするので、この形で公表してしまうことにする。

 リチャード・コシミズ氏の新しいブログにおける9.11についての記事[1]は、明らかに『トカナ』記事[2]の丸パクである。コシミズ氏の旧ブログは、同氏の言によれば、ここ最近に不当に閉鎖させられたばかりである[3]。しかし、たとえその経緯が不当であるとしても、同氏のサイトが他サイトから丸パクして良い理由にはならない。旧ブログからの移行により、アクセスが減少したとされる[3]ことは、コシミズ氏のブログがこの愚挙を犯した理由であろうと推認できる。

リチャード・コシミズ氏のブログとTOCANA.jpの記事の一部のスクリーンショット

 コシミズ氏のサイトの件は、フィリピン共和国のドゥテルテ大統領の「売春婦の息子」発言についての「本当のところ」[4]が日本語でどの程度流通しているのかを把握しようと思い、ウェブサーフィン(死語)していたところで、偶然、発見したものである。この「本当のところ」に係る日本語訳は、『世界の裏側ニュース』[5]が最初に公表しており、『大摩邇(おおまに)』[6]も引用している。英語原文の筆者のグエコ氏[4]によれば、ドゥテルテ大統領は、マスコミ記者を「売春婦の息子」と罵倒したのであり、オバマ大統領に対してこのような用語を用いたのではなかったという。昨今のマスコミ報道からすれば、十分にありうる歪曲である。露『スプートニク』[7]が英『テレグラフ』[8]を引用する形で報道した記事も、『スプートニク』の記事を引用したリチャード・コシミズ氏のサイトの記事[9]も、この点を訂正していないが、「本当のところ」は、タガログ語と別の言語とを話せる人物により、いくらでも後追い可能である。また、フィリピンの放送局であるGMAの記者2名の記事を参照する限り[10]では、その後の謝罪も先のグエコ氏の指摘[4]に整合する内容となっている。以上を総合する限りでは、オバマ大統領に対してドゥテルテ大統領が汚い言葉を投げつけたとする大マスコミは、おしなべて誤報を訂正する必要に迫られているどころか、国際政治において、米比(比米)関係に思わぬ余波を与えたことになると理解するのが適当であろう。


[1] 【911テロ】WTCビルは内部から崩壊した!? 大手メディアや学者が今年も次々と米の自作自演を暴露 – richardkoshimizu official website
https://richardkoshimizu.wordpress.com/2016/09/12/%e3%80%90911%e3%83%86%e3%83%ad%e3%80%91wtc%e3%83%93%e3%83%ab%e3%81%af%e5%86%85%e9%83%a8%e3%81%8b%e3%82%89%e5%b4%a9%e5%a3%8a%e3%81%97%e3%81%9f-%e5%a4%a7%e6%89%8b%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2/

[2] 【911テロ】WTCビルは内部から崩壊した!? 大手メディアや学者が今年も次々と米の自作自演を暴露
(TOCANA.jp, 深月ユリア, 2016年9月11日)
http://tocana.jp/2016/09/post_10894_entry.html

[3] 新たな旧ブログそっくりさんの誕生です! – richardkoshimizu official website
https://richardkoshimizu.wordpress.com/2016/09/10/%e6%96%b0%e3%81%9f%e3%81%aa%e6%97%a7%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%81%9d%e3%81%a3%e3%81%8f%e3%82%8a%e3%81%95%e3%82%93%e3%81%ae%e8%aa%95%e7%94%9f%e3%81%a7%e3%81%99%ef%bc%81/

[4] We Hired A Native Tagalog Speaker: Here's What The Filipino Prez REALLY Said
(Nizza Gueco on September 5, 2016)
http://www.liberalamerica.org/2016/09/05/we-hired-a-native-tagalog-speaker-heres-what-the-filipino-prez-really-said/

英語原文を和訳した。括弧内の#は、独自に補った。

次行は、その質問を投げかけたレポーターに対して向けられたものであり、メディアが主張するようにオバマ(#大統領)に向けられたものではない。
君は(#物を尋ねるときには)敬意を持たねばならない。質問や主張を単に投げつけるな。レポーターよ、君は雌犬の息子だ、(#ラオスでのASEAN)フォーラムで(#見かけたら)罵るからな。


[5] 反米系フィリピン大統領の爆弾発言の真意|世界の裏側ニュース
http://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-12198826890.html

[6] 大摩邇(おおまに) : 反米系フィリピン大統領の爆弾発言の真意
http://blog.livedoor.jp/genkimaru1/archives/2005308.html#more

[7] フィリピン大統領 オバマ大統領に「売春婦の息子め」「呪ってやる」
http://jp.sputniknews.com/politics/20160906/2733592.html

#『スプートニク』は、諜報大国ロシアの報道機関だけあって、英『テレグラフ』紙の報道姿勢を利用していると見ることも可能であろう。

[8] Philippine President calls Obama 'the son of a w****' as he refuses to be lectured on human rights
http://www.telegraph.co.uk/news/2016/09/05/philippine-president-calls-obama-the-son-of-a-w-as-he-refuses-to/

[9] 比大統領、オバマ氏を侮蔑語で罵倒 米、首脳会談を中止 – richardkoshimizu official website
https://richardkoshimizu.wordpress.com/2016/09/06/%e6%af%94%e5%a4%a7%e7%b5%b1%e9%a0%98%e3%80%81%e3%82%aa%e3%83%90%e3%83%9e%e6%b0%8f%e3%82%92%e4%be%ae%e8%94%91%e8%aa%9e%e3%81%a7%e7%bd%b5%e5%80%92-%e7%b1%b3%e3%80%81%e9%a6%96%e8%84%b3%e4%bc%9a%e8%ab%87/

[10] Duterte expresses regret over comments against Obama | News | GMA News Online
Published September 6, 2016 12:36pm
Updated September 6, 2016 12:53pm
By TRISHA MACAS, GMA News
http://www.gmanetwork.com/news/story/580290/news/nation/duterte-expresses-regret-over-comments-against-obama?

英語原文を引用し、和訳を並記した。括弧内の#は、独自に補った。
"While the immediate cause was my strong comments to certain press questions that elicited concern and distress we also regret it came across as a personal attack on the US president," a statement released by Duterte said.

ドゥテルテ(#大統領)によって発出された声明は、「関心と悲しみを誘発した直接の原因は、特定の報道機関による質問に対する私の強いコメントであったが、同時に、我々は、このコメントが米国大統領に対する個人的攻撃であるかのように受け取られたことについて遺憾の意を表す」と述べるものであった。


平成28(2016)年9月23日追記


 リチャード・コシミズ氏のサイトでは、2016年09月12日14時48分に「ひろ~ん」氏が『トカナ』のツイッターを引用していることに、遅まきながら気が付いた。「ひろ~ん」氏自身は、明確に丸パクを指摘していないが、先取権は、同氏に帰することができよう。ただ、同氏のコメントは、私自身によるコシミズ氏の丸パクの発見には、関係ない。本文のコシミズ氏の文体に怪しいものを感じたために、タイトルの一部でGoogle検索し、『トカナ』の記事を発見した次第である。

 厳密にテキストを解釈すれば、「ひろ~ん」氏は、ツイートしたとはいえ、コシミズ氏の丸パクには気付いていなかった可能性もある。単にツイートを埋め込んでいるだけであり、何らのコメントを示していないからである。同氏の内心を解釈するには、当人に尋ねるか、同氏のコメントを逐一拾い、その内心を外形的に判断するほかない。後者の作業を行うにあたり、同一記事へのコメントが2点あり、2点目には、在日米海軍司令部の9つのツイートが単に転載されていることは、暗示めいてはいる。ただし、同氏の内心をうかがう材料とはならない。

 私としては、私自身の検索の経緯と「ひろ~ん」氏の指摘を見逃していたことを報告し、先取権について私自身が何ら主張していないことへの理解を得られれば、十分である。強いて何か付け加えるなら、Google様、ありがとうございました、である。