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2017年5月24日水曜日

(メモ)国連特別報告者のケナタッチ氏の安倍氏宛書簡(2017年5月18日付)

東京新聞政治部(@tokyoseijibu)の2017年05月21日09時26分の公式ツイート[1]は、21日の紙面記事「「共謀罪」に懸念/首相あて国連特別報告者の書簡」を画像として掲載する。記事本文は、下記ツイートの画像リンクにて、ご確認いただきたい。この記事は、国連人権高等弁務官事務所・プライバシーの権利に関する国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏(Joseph Cannataci、マルタ大学メディア&ナレッジサイエンス学部教授、2015年7月より3年間、同職としては初代[2])の安倍晋三首相宛書簡[3]の大部分を和訳・掲載するものである。

元の文書は、私が読むところ、主目的が「共謀」罪(テロ等準備罪)に対する批判の正確性を問合せたものであるが、20日付の東京新聞の記事[4]が解釈するように、テロ等準備罪がプライバシー権を侵害する虞を批判するものとしても読めなくはない。ただ、記事のように批判を目的とするために、和訳がねじ曲げられているとすれば、それは大変遺憾なことである。たとえば、東京新聞の和訳が

法改正案に関する情報の正確性や日本におけるプライバシー権への影響の可能性を決めてかかる気はありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が批准した自由権規約(ICCPR)によって課されているプライバシー保護に関する義務について注意したいと思います。〔東京新聞訳〕
のようであるところ、当該の英文をできるだけ忠実に訳すと、
私は、日本のプライバシー権に対する法改正ならびに改正に伴う潜在的影響についての情報の正確性を、予断をもって判定したくはありませんが、閣下の政府に対しては、1978年に日本が批准した「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」により確立されたプライバシーの権利に関する義務に注意を払うよう、お願い申し上げます。〔筆者訳〕
という一文となる。この文書がパラグラフ・ライティングされているものと解釈した場合、この文はトピック・センテンス(主題文)であるから、本来、分かち書きしてはいけない。東京新聞の訳の緩さ(自在さ)をいかに解釈するのかは、読者次第である。

訳が厳密なものではないとはいえ、原文と対比する限りでは、東京新聞の和訳は、文書の意図を問題ない程度に伝えている。国連から事実確認が要求されていると解釈することは、誰にでも許されることであろう。このとき、23日付で東京新聞が報じる[5]ように、政権が無闇に反発しているだけであるとすれば、安倍政権は、ここでの「情報戦」に負けている。官僚組織ともども、問合せには淡々と応じるべきである。

安全を扱う分野の(自称)専門家としては、次の一文が気になる。

また、NGOの仕事、とりわけ国家安全保障のセンシティブな分野におけるものに対する、本法制の潜在的影響への懸念が湧き上がっております。政府は、この〔共謀罪の〕適用がこの分野には影響しないかのように繰り返してきたと言われています。しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さは、依然として、例えば、国益に反して活動するとみなされたNGOの監視を合法化する機会を造り出すものと批判されています。〔筆者訳〕
これは、過日(2017年3月25日2017年4月26日)指摘したように、テロ等準備罪が、諸外国において「カラー革命」を支援してきた「戦争屋」に対する心理的な抑止力として機能するものと読み替えることも可能である。

テロ等準備罪の存在自体により、普遍的な人権保障の実現のために活動する非営利組織が萎縮するという具体的な危険が生じることは事実であるが、他方で、「戦争屋」の手下である活動家の内心に圧力が掛けられることを考慮すれば、テロ等準備罪の是非については、あくまで、これらの二種類の利益を比較考量した上で論じられるべきである。日本国民全員の金銭的利益だけで考慮すれば、ヘリコプターマネーによる財政破綻を避けるため(2017年3月30日記事)、テロ等準備罪が必要であったとされてしまうと、この船橋洋一氏及びジョージ・ソロス氏による巨大な一例ゆえに、多くの人権侵害は、金銭上、相対的に僅少な損害であると片付けられてしまうことになる。他方で、私自身も、正当な言論活動に対する萎縮効果を内心に感じているが、このマイナス効果は、金銭上、限りなくゼロとして算定されてしまうことになる。

「大事(=戦争屋への抑止)の前の小事(=言論者の萎縮)」をたびたび許してきた結果、現在の日本社会があると言えるが、テロ等準備罪創設の影響がいかなるものになるのかは、その適用・運用状況により、後世の判断を仰ぐほかない。同罪が戦争屋一味にのみ適用されたというストイックさを通じて、わが国は、世界に公正な法の運用をアピールすることができる。しかし、これだけでは、内心の萎縮という現今の批判の核心に十分に応答したものとはならない。後世における運用状況の十分な開示と、裁判所への権限の付与の二点が要点かと思われるが、両方とも、現在のわが国には、実現を望み得ない。大坂正明容疑者の逮捕は、偶然によるものかも知れないために、大きく報道されてしまうことはやむを得ないが、他方で、このニュースを警察による一種の示威行為と受け取る人々もいよう。現今の情報を総合すれば、わが国は、当面の間、人権の保障された民主主義国家とは程遠い姿勢を継続し、後世においても、そのように評価されることを良しとした、ということになろう。

今回も、長々と和訳に仕込まれた悪意の有無を検討してきたが、戦争屋の意に沿う情報を流通させるという情報ブローカー(中間業者)商売が、どれだけわが国の国益を棄損してきたかを考慮すれば、この検討作業も必要であったと言えよう。メディアのアジェンダ(議題)設定能力は、警戒を以て指摘されてきたことであるが、和訳をねじ曲げるという荒技も、最早、常に警戒すべき対象と化している。この状態は、現在の若年者への教育環境を考慮すれば、今後も継続することを考慮しておくべきであろう。正しい知識を追究しても学術活動上の不都合が生じることがなく、また、正確に報道すべき内容を報道しなかったときに適時・適量の制裁が加えられる世の中でなければ、当面、このような状況が続くものと考えて差し支えなかろう。なぜなら、客観的な見地から批判する人物のリソースは限定されたままであろうし、また、メディアも好き放題、金主の言うなりに飛ばし記事を載せまくるであろうからである。


[1]

[2] OHCHR | Special Rapporteur on Privacy
(2017年05月23日確認)
http://www.ohchr.org/EN/Issues/Privacy/SR/Pages/SRPrivacyIndex.aspx

[3] Letter to Japan on the the 'conspiracy' bill
(Joseph Cannataci, Special Rapporteur on the right to privacy、2017年05月18日)
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf

[4] 東京新聞:「恣意的運用」国際視点から警告 国連報告者、首相に書簡 「共謀罪」採決強行:社会(TOKYO Web)
(辻渕智之、2017年05月20日付朝刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201705/CK2017052002000123.html

[5] 東京新聞:「共謀罪」書簡の国連特別報告者 日本政府の抗議に反論:国際(TOKYO Web)
(ロンドン=小嶋麻友美、2017年5月23日朝刊付)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017052302000119.html




2017年5月29日追記

特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウと海渡雄一氏らによる翻訳も似通ったものであることに気が付いたので、(私自身のために)メモしておく。

[1] 国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏 共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳 | ヒューマンライツ・ナウ
(2017年05月23日)
http://hrn.or.jp/news/11053/




2017年6月7日追記

大坂正明容疑者の逮捕は、本日付『産経新聞』のウェブニュースによれば、長い時間をかけて内偵し、機を逃さず逮捕したものであったという。逮捕がテロ等準備罪に向けたこの時期に偶然に一致したという見方は、成立しないものといえるが、他方で、逮捕・拘留せずに良い訳がないから、本件が不穏分子への威嚇効果を持つとしても、それは一般人には関わりのないことである。また、この逮捕を恣意的であるとして批判することも、容疑が重大である以上、失当であると言えよう。当人がなぜ逃亡し続けたのか、し続けられたのかという話も、幇助した組織も含めて、批判に晒されるべきである。

また、この人物の同定がDNA鑑定でのみ可能であったという報道内容には、いささか驚く。指紋や掌紋が決定打にならなかったということが驚きである。ただ、これ以上の詮索はしない。

[1] 半世紀近く逃亡、完全黙秘 人定作業難航の末に特定 渋谷暴動の大坂容疑者再逮捕 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
(記名なし、2017年06月07日15時02分)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170607-00000098-san-soci

〔...略...〕「中核派」の大坂正明容疑者(67)が7日、殺人容疑などで警視庁に逮捕された。公務執行妨害容疑で大阪府警に逮捕されてからの20日間、「完全黙秘」を貫いた大坂容疑者。〔...略...〕

「百パーセント(本人だと)裏付けるのは、正直不可能。これ以上ないところまで客観的な証拠を積み上げた」。ある府警幹部は、こう明かした。広島市内のマンションで捜索中の捜査員に体当たりしたとして、大坂容疑者が逮捕されたのは5月18日。〔...略...〕

供述が得られない中、大きな支えになったのはDNA型鑑定だった。生前に提出を受けていた大坂容疑者の母親(故人)のDNA型を照合したところ、「血縁関係があるとみて矛盾がない」との結果が出た。父親がすでに亡くなり入手できていなかった父系のDNA型についても、親族男性のものと照合し、「親族関係の可能性を否定しない」との結果が得られた。〔...略...〕

2017年4月20日木曜日

(メモ)認知的不協和を援用して日米両政権の「変心」を評価する

日本語でタブーなく議論する(、つまり、キクマコなどからみれば「陰謀論」となる)界隈では、最近、日米の両政府と戦争屋との三角関係に対する解釈に、大きな対立がある。{日本と米国、米国と戦争屋、戦争屋と日本}という順序で、解釈が見られるものを列記する。認知的不協和を解消しうる関係には、-+-というものもあり得るが、この意見は聞いた覚えがない。

  1. +++(『阿修羅』の主流、孫崎享氏、『国際秘密力研究』の菊池氏、大多数)
  2. +ーー(田中宇氏、私も含まれる)
  3. +ー+(副島隆彦氏)
  4. ++ー(飯山一郎氏)

この関係を眺めると、飯山氏が、なぜ、ジャレッド・クシュナー氏の影響のみを大きく取り上げるのか、どうしても分かりかねてしまうのである。軍人が無用な流血を避けるという原則ハーバート・マクマスター氏に適用されるか否かの検討は、なぜか無視される。ロシアとの戦闘を避けるために空母カール・ビンソンがグズグズしているとの解釈[1]は提示されるが、本件がブラフであるという『スプートニク日本』に掲載された解釈[2]は、なぜか無視される。認知的不協和など現実に適用可能な概念ではない、とする否定方法もあろうが、ヒュミントの影も窺えないので、飯山氏の英語情報へのコネは、中国語や韓国語に比べて、相対的に乏しいか、調理済みのものであるとも考えられる。(佐藤則男氏を想起せよ。)

同様の理由で、副島隆彦氏の安倍晋三氏への評価は、やはり追加的な説明を必要とする。日本人としては、米国の動向に影響を受けない訳にもいかない。このため、米国が戦争屋の手に落ちたというリスクを日本の庶民が高めに見積もることは、リスクヘッジにもつながるから、やむを得ないことである。この点、副島氏に課せられた、日本人読者が疑心暗鬼となるために生じるハードルは、他の論者よりも高いものとなろう。

なお、日米両政権における個々の人物関係(権力闘争)を織り込めば、色々と解釈の幅が広がることは、間違いない。ただし、その割に、マクマスター氏と米軍についての解釈の根拠がわが国の一部の言論界隈でほとんど示されないことは、再度特記しておいた方が良いであろう。この不整合性が説明されない限り、飯山説は、他の2説に比較して、説得力を持ち得ないのである。なお、権力関係に新たなアクターを登場させるときには、個々の三角関係が整合的であるように関係が成立しているかを確認する必要がある。たとえば、日米双方にトップ・部下という2種類のアクターを配置した場合、日本風に表記すれば、${}_5 C_3$個の三角関係が安定的であるかを検証する必要がある。これは面倒なので、逐一検討しないが、たとえば、日・米のトップ・部下のすべてが仲良く、戦争屋だけをハブるというケースは、世界にとって最善のケースである。


[1] 飯山一郎のLittleHP
(「ラブロフ露外相 アメリカを脅す!」飯山一郎、2017年04月19日)
http://grnba.jp/#aa04191

[2]

心理戦の教え?軍事攻撃の話があったにもかかわらず、トランプ大統領の艦隊は朝鮮半島沖にいなかった
(スプートニク日本、2017年04月19日19時46分(アップデート 2017年04月19日20時33分))
https://jp.sputniknews.com/asia/201704193553384/




2017(平成29)年4月21日0時30分追記

認知的不協和は、動的な変化を説明するための概念であるが、本件国際関係についても適用可能である。トランプ政権の誕生は、戦争屋との(上記リストの並びで言えば二番目の)マイナス関係を生じさせた。従来の+++関係は、+-+関係へと変化したのである。この状態は、安倍政権・官僚組織内に生じた内紛となって、+--関係を生じさせた。私は、過去、ーー+関係が生じるのではないかとの含みを込めて予測した(2016年10月18日)ことになるが、現時点では、この予測は、幸いながら(か?)外れている。ただし、国際的に人口の社会移動が生じると予測したところまでは意味のある程度に正しいから、まあ戦争屋の思考形態を読めてはいるとは言えよう。カナダのエリート層が自国をハニーポットのつもりで利用するのか、それとも真に魂を抜かれた存在となり果てているのかは、検証が必要な作業であり、私には即答しかねることである。




2017(平成29)年4月21日10時10分追記

中立という関係を措定すれば、現時点の仮説に過ぎないが、下図のように五角関係を描けるかも知れない。五芒星になり嫌な感じだが、表現上、やむを得ない。なお、精緻に分析する場合には、「ある時点において、あるアクターから見て誰が誰をどう思っているのか」が各アクターについて、検討され、その時点での関係性が次の時点での関係性に影響すると考えなければならないであろう。(つまり、無向グラフでなく有向グラフを用いて、かつ、時間軸を導入して考えるべきであろう。)たとえば、「日本の官僚集団から見て、トランプ政権は、戦争屋をいかに捉えているか」であるが、これは、マイナスに捉えていると見て良いであろう。これと同じノリで、5×5×4通り=100通りの「敵・味方」なり「好悪」なりの関係を見るべきである。今回は、そこまで検討する必要もないものと考えた。なお、ここでは、わざと米軍の立ち位置を書き入れなかったが、トランプ氏自身と同じ枠と見るべきというのが、私の見立てである。その理由は、無用な流血を避けるという軍人の原則による。

今回の作業に実際的な意味があるか否かはさておき、モデル化には、多数のアクター(成員)からなる関係を単純化する効果がある。ただ、ここでのモデルには、中立という状態を持ち込んだために、認知的不協和が生じているかを具体的に確認する上で、特別な取扱いが必要である。そこら辺の不備へのツッコミは、グラフ理論の応用研究に必ず先行しているものがあるはずであるから、そこでの扱いを参照した際に検討することとしたい。あくまで、たたき台、参考程度に留められたい。




2017(平成29)年4月22日15時追記

気が付かれている読者もいるとは思われるが、安倍氏周辺・官僚集団・戦争屋の三角関係は、あえて、この状態で良しとしている。もちろん、安定的ではない。この状態がいかなるものに変化するのかは、予断を許さない。たとえば、TPP11に係る麻生太郎氏のコロンビア大学における4月19日の講演は、動画等がネットに見られないので、数少ない二次情報に頼らざるを得ないが、米国にねじ込まれた分は他の国から取る、との主旨を述べるものと解される。『The Straits Times』(シンガポール)[3]は、麻生氏の言葉として、多国間協定であれば米国のような国からの失点を他のところで取り戻せるが、二国間協定ならそうはいかないと述べたことを伝えている。この理解は、原語である日本語のニュアンスに照らして完全に正確であるとまでは言えないようである[4]が、要旨としては十分一致するし、同時に紹介される菅氏の発言の骨子については、ほかのソース[5]からも、おおよその理解が正確であると看做せる。(忘れてはならないのは、常に、われわれ人間には、能力不足から来る誤読・誤解がつきまとうということである。)いずれにしても、日本政府トップ周辺がTPP11を帝国主義の一手段として活用する意向であると我々が理解することは、問題なかろう。とすれば、首相周辺から官僚集団まで、日本の政体は、本気でTPP11の内容を馴致できるものと考えているのであろうか。そうであるとするならば、大変に脳天気なことである。

[3]Australia, Japan lobby for TPP-11, East Asia News & Top Stories - The Straits Times
(Walter Sim、2017年04月21日05時00分SGT(+08:00))
http://www.straitstimes.com/asia/east-asia/australia-japan-lobby-for-tpp-11

With a multilateral pact like the TPP, Mr Aso said that "Japan stands to gain from other countries, even if it loses out in some respects to other countries, like the US".
He added: "But in a bilateral deal, you can't do that. You can't get back what you lose from a compromise."

[4]TPP アメリカ抜きの11か国で発効を議論へ | NHKニュース
(記名なし、2017年04月20日19時08分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170420/k10010954991000.html

初めての経済対話について、「日本とアメリカで作り上げられたルールをアジア太平洋でも広めていこうと思う」〔...略...〕アメリカが離脱を決めたTPPについて、「アメリカなしで11か国で進めようという話はどういう形でまとまるか分からないが、ことし5月のAPEC=アジア太平洋経済協力会議に合わせて開く参加国会合で出てくる」〔...略...日米〕2国間のFTA〔...略...〕について「2国間となると、アメリカから日本が得るものを計算した場合、TPPほどの水準に達しないということは、はっきりしている」

[5]平成29年4月20日(木)午前 | 平成29年 | 官房長官記者会見 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
(2017年04月20日)
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201704/20_a.html
#それにしても、書き起こしはないのであろうか。ユニバーサルデザインはどうなった。

2017年4月18日火曜日

トランプ大統領のシリア攻撃命令は米国内の戦争屋向けの牽制であった

以前(2016年09月10日)、「戦争屋」の定義(本記事の末尾)をアップデートしてみたが、この結果、先のトランプ大統領によるシリアへの巡航ミサイル攻撃命令は、その戦争屋の定義に合致(赤線部分)してしまっている。事実として、トランプ氏の決断を戦争屋への転向として非難する人物は、多くの陰謀論者に見られる。しかしながら、田中宇氏の記事「軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃」(4月8日)[1]「ミサイル発射は軍産に見せるトランプの演技かも」(4月11日)や、副島隆彦氏の掲示板における推測(#2126番の書込み、リンクはHTMLのアンカーなし)(4月10日)は、トランプ氏の攻撃命令が、国内の戦争屋への牽制として機能していることを指摘するものである。

なお、飯山一郎氏は、本点を断定的に否定している[4]が、その根拠は、日本語の『櫻井ジャーナル』である。櫻井春彦氏は、ペトレイアス氏とマクマスター氏の交友関係と、15万人の地上部隊を展開するという両氏の計画を噂として紹介する[5]。事実確認自体は、ヒュミントの領域にあり、私には手が出せないが、これらの指摘の出所は、すべてがマイク・セルノヴィッチ氏(Mike Cernovich;米のオルタナティブ・メディア・ブロガー)の主張に収斂する[6], [7]。少なくとも、Google様の「mcmaster nsc petraeus」という検索結果(完全一致)の上位5ページにある記事のうち、この疑惑に言及するものは、セルノヴィッチ氏の記事に辿り着くように見える。

戦争屋を相手にすると、マイケル・サンデル氏の講義に出てくるトロッコの事例("trolley problem")のように、ポイントを切り替えるにしても、そのまま放置するにしても、人的被害を免れない「究極の選択」が生じうる。このジレンマは、人命を対象とする、社会との強い相互作用を生じる研究分野(たとえば防災社会学)においては、永遠の課題であり続けるであろう。また、このジレンマに立たされた意志決定者や対象者は、常に、一方の側からの批判を甘受することになろう。この課題を取扱う話者は、もちろんマスコミを含め、ジレンマにおいて、選択肢を一つだけ選び取ることの困難さを考慮した上で、批判なり擁護なりを行うべきである※1

シリアへの巡航ミサイル攻撃が一回限りとなるという条件付きであれば、トランプ氏の攻撃命令は、見事に「ホワイト・ヘルメッツ」なる集団の化学兵器攻撃疑惑への告発劇を終息させたものとなる。現在、北朝鮮にアメリカの動向の焦点が移っているが、焦点がシリアから外れたままとなっていることそのものが、戦争屋の走狗である大マスコミのダンマリを示す証拠であり、その沈黙は、戦争屋がシリアで企んだマッチポンプの失敗を裏付けるシグナルである。そもそも、真に戦争へと至るほどに危機が昂進していたのであれば、果たして、櫻井氏が別の記事[8]で述べるように、プーチン露大統領がティラーソン米国務長官に釘を刺しただけで話が終わったであろうか。(この点だけ、マスコミ報道がスモークされているとすれば、それもまた辻褄が合わなくなる話である。)大体、トランプ氏の攻撃命令ならびに現実の攻撃は、アメリカによる先制攻撃であり、その後のシリアとアメリカは、戦争状態にあることにもなってしまうのだが、アサド大統領は、非難に留める一方、トランプ政権も、今回については、一回限りの攻撃とすると明言している。なぜ、百発百中とも宣伝されたトマホークの命中率が4割となったのか、人的被害がいかにして生じたのかは、今後、軍事関係者の検証の対象となることであろう。

以上、私の見解は、本ブログで明確に取り上げることなく、無為に時間を消費してしまったが、ここ一週間ほど、関連作業に時間を費やし、なおその作業が終了していないために、見切り発車でアップすることにしたものである。その隠れた意図の一つは、アメリカは十分に情報大国であるから、「全段階における情報優位」を構想し、イラク戦争の後に真っ当な方法で現地の統括に当たった[9]マクマスター氏の術中に、飯山一郎氏までもが騙されているという可能性を指摘することであり、もう一つは、北朝鮮における緊張状態に登場する、世界の指導者たちの全員がその席に相応しい人物であるならば、適度な緊張状態の創造は、戦争屋の油断を誘うための前振りであるとも読めることを、指摘することである。つまり、シリアでも、北朝鮮でも、米・露・中の三か国は、戦争屋の期待するような戦争を起こさない。日本も、4月7日の報道発表[10]の時点で、その情勢を読めているように見える点、少々面黒い。(ただし、プレスリリースの底本を英文[11]にして、和文を適当に訳して終わりと見えるのは、日本国民の大多数に対して不誠実であるから、改めた方が良い。)


※1 私も、本稿においてトランプ氏の行動を擁護することについて、ようやく覚悟を決めたところである。現在の論壇は、一種の代理戦場と化している。戦場では、友軍誤射しようとも、己の過ちを恥じることのない、反射神経に優れた者が生き残る。私は、戦争屋の味方だけはすまいという意思を有してはいるが、二項対立的な論争の場においては、なかなか生き残れないであろう。なお、私が研究において環境要因に注目するのは、このような二者択一式の選択に望まずして落とし込まれない環境こそが、不幸の防止には必要であると考えるためである。


[1] 軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃
(田中宇、2017年04月08日)
http://tanakanews.com/170408syria.htm

[2] 田中宇の国際ニュース解説
(田中宇、2017年4月11日)
https://tanakanews.com/170411syria.php

[3] 副島隆彦(そえじまたかひこ)の学問道場 - 重たい掲示板
(副島隆彦、2017年04月10日02:44:52)
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
#2126番の書込み、15~21、27・28。

[4] ★ 掲示板:『放知技(ほうちぎ)』 ★彡
http://grnba.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16057898

それで,今後の政治過程分析は,トランプ本人は無視して… マクマスターと,娘婿クシュナーの思考と行動と発言内容を分析する!(813;飯山一郎、2017年04月11日20:36:14)
戦争屋の中でも最も過激なマクマスター陸軍中将(856;飯山一郎、2017年04月13日01:32:05)

[5] ネオコンに都合良く加工された情報でトランプ大統領を操るマクマスター国家安全保障担当補佐官 | 《櫻井ジャーナル》 - 楽天ブログ
(櫻井春彦、2017年04月11日)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201704110001/

マクマスターはデビッド・ペトレイアスの子分として有名で、このコンビはシリアへ15万人規模のアメリカ軍を侵攻させようと目論んでいると言われている。

[6] Petraeus and McMaster have Taken Over the NSC, Want Massive Ground War with Syria
(Mike Cernovich、2017年04月10日)
https://medium.com/@Cernovich/petraeus-and-mcmaster-have-taken-over-the-nsc-want-massive-ground-war-with-syria-e67b71a9076a

[7] H. R. McMaster Manipulating Intelligence Reports to Trump, Wants 150,000 Ground Soldiers in Syria | Global Research - Centre for Research on Globalization
(Mike Cernovich、2017年04月08日)
http://www.globalresearch.ca/h-r-mcmaster-manipulating-intelligence-reports-to-trump-wants-150000-ground-soldiers-in-syria/5584189

[8] 2011年10月からCIAはシリアのアル・カイダ系部隊に化学兵器を渡し、それを口実にミサイル攻撃 | 《櫻井ジャーナル》 - 楽天ブログ
(櫻井春彦、2017年04月14日)
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201704140000/

4月11日から12日にかけて、アメリカのレックス・ティラーソン国務長官はロシアを訪問した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と数時間にわたって話し合った後、ウラジミル・プーチンと2時間ほど会ったようだが、「こうしたことは2度と起こらないようにしろ」と釘を刺されただけのようだ。

[9] トランプ政権のマクマスター新補佐官、安全保障に食い違い | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
(John Walcott、2017年2月23日09時59分)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/02/post-7040_2.php

[10] 平成29年4月7日 シリア情勢についての会見 | 平成29年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
(記名なし、2017年04月07日)
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201704/07kaiken.html

[11] Press Occasion on the Situation in Syria (The Prime Minister in Action) | Prime Minister of Japan and His Cabinet
(記名なし、2017年04月07日)
http://japan.kantei.go.jp/97_abe/actions/201704/07article2.html

Japan highly values President Trump's strong commitment to maintenance of the international order and to the peace and security of its allies and the world.
#上記の一文は、英語の意図が完全に通じる一方で、日本語の助詞の使い方が酷い。


以下は、「戦争屋」についての私の定義である。

「戦争屋」(warmonger)とは、政治家、官僚組織、軍隊、軍事産業、金融業に所属する高位の人物や、それらの人物と家族関係や深い交友関係を有する人物のうち、無用な戦争の遂行や戦争への過剰な準備を通じて、私益の追求を計画し、あるいは活動に従事、協力したことのある人物たちを指す。戦争屋であるか否かの判定基準は、選良や士業に要求される倫理を無視して人命を損なう決定を下したことがあるか、というものである。この判定基準に抵触する戦争屋の具体的な手段には、マッチポンプとなる事件を企画・実行する、国民の差別意識を助長することにより無用な対立を画策する、低質な装備を高値で両陣営に供給する、不当な利益を独占的に享受することを目的として政治的活動に従事する、というものが挙げられる。



同日(直後に)追記

マクマスター氏が戦争屋であるペトレイアス氏の子飼いであったからと言って、マクマスター氏を戦争屋と断じることができると考えるのは、大きな誤りである。(アブダクション上の誤りである。)この点を補強する格好の実例が、プーチン氏であり、彼は、エリツィン氏によって取り立てられた。マクマスター氏の人物評価には、本人の内面に立ち入ることのできるだけの材料が必要であり、その材料は間違いなく、英語でなければ入手できない。マクマスター氏が情報畑の人物であるとするならば、ヒュミントによったとしても、内面を確認することは困難であろうが、逆に、部分的には、そのプリンシプルから行動を演繹して推定することも可能となる。

それに、「トランプ劇場」が真に劇場であるとすれば、政権内の対立は、各登場人物が己の役回りを理解した上で戦争屋を封じるかのように行動するために用意された装置である、と解釈することもできる。トランプ大統領のユダヤ教に対する近しさを考慮すれば、トランプ氏が、ユダヤ教にルーツを持つとされるヘーゲルの弁証法を十全に利用している可能性も、きわめて高い。従来の戦争屋マスコミは、トランプ氏の術策の範囲内で、一喜一憂しているだけであるかも知れないのである。この見立てが正しければ、主流マスコミが期待するように、スティーヴ・バノン氏を筆頭とするオルト・ライトが、完全に政権から駆逐されることはないし、逆に、バランスを取るために、オルト・ライトから新鮮な人材が供給されるというオチもあろう。




2017年4月19日21時追記

本文中で、「北朝鮮でも、米・露・中の三か国は、戦争屋の期待するような戦争を起こさない。」という見解を示したばかりであるが、この見立ては、知る人ぞ知る状態にあったようである。下記、『スプートニク 日本』の記事[12]は、米軍の意図がブラフにのみあったことを示すものである。なお、同紙では、個人の署名記事の場合に、見解が編集部のものではないことを明記することがある(これが貫徹されているかは未確認)から、編集部が記事の責任を負っていることになる。ということは、この見方は、ロシアの主流派の見方であると考えて良いであろう。

ここまで見方を変えるだけの情報は、適切な解説とともに、わが国の主流メディアで報道されているのであろうか(、いや、そうではない)。本日の夕刊は、この見方を提示するだけの余裕を有していた。朝日新聞は1面下段で報じており[13]、日本経済新聞は3面で小さめに取り上げ[14]、読売新聞も3面で取り上げてはいる[15]。しかし、この文章から、平和を愛好する日本人読者が国際情勢を理解し、誰が味方で誰が敵かを判別することは、大変に困難である。よほど時間に余裕がなければ、あるいは、わが国のマスコミを徹底的に信用していないか、マスコミの作法に通じていなければ、三紙の記事から真相を推測することは、ほとんど無理ではなかろうか。

トランプ氏としては、CNNを始めとする米主流メディア初の、この報道に対して、二通りの対応があり得る。流石フェイク・ニュースの元祖、Clinton News Networkと断じてまともに相手にしないか、困った振りをしてみせるか、である。(論理的には、本当に困るという形もあり得るが、情報を総合的に判定すれば、この可能性はないと判定する。)

[12]心理戦の教え?軍事攻撃の話があったにもかかわらず、トランプ大統領の艦隊は朝鮮半島沖にいなかった
(記名なし、2017年04月19日19時46分、アップデート20時33分)
https://jp.sputniknews.com/asia/201704193553384/

だが海軍が公開した画像によると、それは全く違ったようだ。画像には、15日にインドネシアのスマトラ島とジャワ島の間のスンダ海峡の穏やかな海を航行する空母がうつっている。〔以上、見出しの一部、以下、本文〕言い換えれば、メディアが米国の先制攻撃について論じていたまさにその日、司令部は空母「カール・ビンソン」を、朝鮮半島から南西に4800キロ超離れた「インド洋での予定されていたオーストラリア軍との共同訓練」に参加するため、別の方向へ向かわせた。18日、中国メディア〔に本件が取り上げられたが、...略...〕上海にある復旦大学韓国研究センターの専門家カイ・ジャン氏は、これは「心理戦あるいははったりだ」とし、米国は実際のところ今北朝鮮を軍事攻撃するつもりはなかったとの見方を示している。

[13]『朝日新聞』2017年4月19日夕刊1面4版「派遣の米空母 到着に遅れ/朝鮮半島近海 月内にも」(ワシントン=峯村健司)

[14]『日本経済新聞』2017年4月19日夕刊3面4版総合「空母急派、北朝鮮近海は遠い?/ホワイトハウス困惑」(ワシントン=共同)

[15]『読売新聞』2017年4月19日夕刊3面4版「「カール・ビンソン」月内に朝鮮半島沖へ」(ワシントン=黒見周平)




2017年9月17日訂正

本稿の冒頭のpタグと、田中宇氏の記事へのリンクを訂正した。田中氏の2017年4月11日の記事は、有料記事であるから注意。

2017年4月6日木曜日

国際情報仲介業者の富士山会合は現在の日米関係におかんむりのようである

今朝の朝日新聞(2017年4月6日朝刊4面)に、「「新政権、最大の不確実性」/有識者が提言」(藤田直央)という記事[1]があった。政策研究大学院大学長の田中明彦氏が座長、森本敏氏や竹中平蔵氏が名を連ねたという。富士山会合の名称や、本紙記事中に挙げられた2名のキャラ付けをふまえれば、会合の性格自体は十分に把握できよう。日本の新聞読者一般にとって、読売・朝日・日経の中で「弱者の味方」であるように目に映るのは、朝日であろう。しかし、記者の内心はともかく、本記事は、現時点では、富士山会合関係者が「俺たちが中抜きされているのは許せねぇ。トランプさんと安倍さんよ、俺たちを間に入れろや」と脅迫しているかのようにも読めてしまう。富士山会合特別タスクフォースに名前を連ねた連中が、日本側の「研究者」における戦争屋のカウンターパートであるという関係性は、明白である。

情報の性質で困った点は、後発の正確な情報が、先発のニセ情報を修正するという効果を期待できないことである。多くの新聞読者は、「99%」に該当するが、本記事を「やっぱりトランプ政権が悪いんだ」という材料として読むであろう。もちろん、日本国民全般にとって、トランプ政権よりも、富士山会合の連中の方がはるかに有害であり、不確定材料である。この誤解から人々が抜け出すことは、相当に困難なことである。

富士山会合の報告書は、日本経済研究センターのウェブサイト[2]で読める。メンバーには、読売新聞の日曜コラム「地球を読む」で見かけるメンツが揃い踏みである。メディアグループとして対立関係にある読売と朝日が同じ論調に立つときには、ほぼ必ず、「1%」の利益増進(減少の阻止)が企図されている。この点、朝日新聞政治部の論調は、「嘘吐きの羊飼いの少年」として役に立つ。




戦争屋が世界の「不確実性」であるという証拠は、本日の報道に良く表れている。日経の1面の誘導用の見出しは「シリア批判広がる/空爆でサリン使用か」[3]である。現状では、朝日が表現するように、「空爆後 口から泡・けいれん/シリア化学兵器疑惑 現場は」[4]でしかない。シリア政府が主張するように、反政府勢力側が保管していた化学兵器が爆撃によって誘爆したという可能性も、依然として存在する。この指摘が真実であるなら、反政府勢力側がケミカルテロ(化学兵器テロ)を準備していたことになる。通常の空爆で誘爆してしまうような危険な場所に、NBC兵器を保管していたのであれば、反政府勢力側の未必の故意(let it happen on purpose; LIHOP)ということにもなる。




田中明彦氏の業績を十分に把握していなかったため、ここで少しばかり確認してみたのだが、米防衛高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency; DARPA)のデータを部分的に利用して中国の対外紛争政策をモデル化する試み[4]から学術上のキャリア形成を始めたとはいえ、TPPへの参加を当然とする[5]くらいであるから、世界をモデルで見ることを誠実にこなしてきたというよりは、何だか良く分かっていないけれども流行に乗ろう、というキャラなのであろう。(なお、研究者の田中明彦氏には、同姓同名の方が複数が存在するので、国際政治を専門とする氏を対象としている。)TPP前後では、およそ法律の関係する研究では、外生変数の激変を考慮に入れなければならなくなる。このような研究環境上に生じた混乱は、その時期における議論を客観性に判定する作業を困難なものとする。TPPは、日本社会にとって大きな不幸をもたらし得たことはもちろんであるが、モデル屋にとっても、その後の作業に多大な障害を与えた。今後は、そのように結論されることになろう。現に、TPPへの備えとして、変更が不要な法律までもが改定されているからである。(現在までの間にも、日本の水道をペットボトル化して販売できてきたのであるから、水道事業の効率性アップは、従来の水道法で十分であった。種子法の改正は、まったく不要であった。生物多様性の保全が重要であるとする国際的な議論の潮流にも逆らうものである。)




[1] 「米新政権、最大の不確実性」 有識者が提言:朝日新聞デジタル
(「「新政権、最大の不確実性」/有識者が提言」『朝日新聞』2017年04月06日朝刊14版4面、藤田直央)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12878685.html

[2] 日本経済研究センター JCER
(2017年04月05日)
https://www.jcer.or.jp/center/f.relationship_jp-us.html
#報告書には、直接のリンクを張ることができない形となっている。ダウンロードには、Javascriptの許可が必要。

[3] 『日本経済新聞』2017年4月6日木曜朝刊14版1面「News & Views」(3ページへの誘導用の見出し)「シリア批判広がる/空爆でサリン使用か」

[4] 『朝日新聞』2017年4月6日木曜朝刊14版1面「空爆後 口から泡・けいれん/シリア化学兵器疑惑 現場は」(カイロ=翁長忠雄)

[5] CiNii 論文 -  中国の国際紛争行動のマクロ・モデル1950-1978
田中明彦, (1982). 「中国の国際紛争行動のマクロ・モデル1950-1978」, 『アジア研究』29(1), 51-86.
http://ci.nii.ac.jp/naid/130004689399
#当時のPC環境をふまえれば、この計算は、大型計算機で実行されたものであろう。モデルは、巡回有向モデル(directed cyclic graph; DCG)となっている。私には、論文中で使用されている2段階最小自乗法(two-stage least square method; 2SLS)で、偏りなく計算可能であるのかは分かりかねる(が、胡散臭いと思う)。無論、当時の計算技法や知識の限界は、考慮されるべき要素ではある。(それにしても、この種の研究に限らず、多くの学問分野において、なぜ、当時においてさえも危険そうな計算方法であると認められるモデルなのに、計算を実行して無理矢理に結論を出そうとする姿勢が許容されてきたのか、また、その後の誤り訂正機能が機能してこなかったのか、という疑問が、私にはある。大型計算機なのだから、なおのこと、明らかに誤ったモデルは、資源の無駄遣いというべきである。明らかに胡散臭いモデルをテコとして、キャリア形成を行うことが認められることに対しては、何かが違うのでは、という気持ちを抱いてしまう。)

[6] CiNii 論文 - TPP参加 賛成 : 貿易国日本は重要な経済交渉に参加が当然 (TPP参加の是非)
田中明彦, (2011). 「TPP参加 賛成:貿易国日本は重要な経済交渉に参加が当然(TPP参加の是非)」『エコノミスト』89(54), 94-95.
http://ci.nii.ac.jp/naid/40019069404
#重大な手抜きであるが、本記事は、題名だけしか読んでいない(と特記したということは、当然、ほかの記事は確認しているということでもある)が、他の情報と突合させても、田中氏がTPPに賛成していることは、整合的である。

2017年3月25日土曜日

森友学園疑惑の追及とジャパン・ハンドラーズ抜きの日米関係とを比較すると後者の重要性が高い

前回(2017年3月25日)の記事の続きである。前回は、現政権に見られる多数の問題の中から、森友学園疑惑だけが大々的に報道されている理由を考察した。要約すれば、森友疑惑の報道重点化は、ジャパン・ハンドラーズを中心とする戦争屋勢力の一部による、海外向けの宣伝である。首謀者は、自身らが日本政策の代理人として最適であると示威することをも目的としているであろう。この構図は、みかじめを支払わない店舗に対するヤクザの見せしめと同一である。

なお、お断りしておくと、今回の考察も、前回と同様、飯山一郎氏による、安倍晋三氏が戦争屋の軛を脱したとする主張を、私なりに考察した結果である。ただし、今回の考察も、飯山氏の主張の丸呑みでは決してない。現に、飯山氏の意見を批判的に検討した結果、安倍氏と戦争屋の関係の今後については、やはり異論がある。戦争屋と安倍氏の対立関係は、もはや後戻りできないまでに昂進したとまでは言えず、元の鞘に戻るという芽も残されていると見た方が安全である。ただ、その関係性の当否はともかく、どちらがマシかと問われれば、戦争屋陣営よりは、トランプ陣営下である限り、安倍氏の方が断然マシであるという点では、変わりない。

森友疑惑だけを殊更に報道することは、トランプ米大統領をも批判の射程に含むことになる。トランプ氏と安倍氏との仲が良いとされるためである。このため、「日本」のメディアが海外に本件疑惑を御注進するのは、国益を損ないうる行為である。ただ、どのメディアであるとは明記しないが、常に反政府的な姿勢を貫いてきたメディアの報道は、政治活動の一環とはいえ、筋が通ったものであるから、放置せざるを得ない。他方、五大紙の変節ぶりは凄まじく、全く評価できるものではない。内部で高給を食んでいると、本件報道に加担する自身らが、見せしめに店舗を叩き壊せと命じられて唯々諾々と従うチンピラと同様の存在であることを自覚できないのであろう。わが国の新聞業界は、「インテリが書いてヤクザが売る」と揶揄されてきたが、現時点では、売る側が真っ当な一方で、書く側がチンピラ未満である。大手新聞業のプリンシプルとは、その新聞が対象とする国を問わず、「剣を振りかざす金主」すなわち戦争屋に尻尾を振るということなのであろうか。

戦争屋を排除するために必要な措置を取らないまま、トランプ氏の駒となり得る安倍氏を蹴落とすことは、日米両国の国益にならない行為である。現状は、安倍氏がジャパン・ハンドラーズに立腹しているだけかも知れない。しかし、今後の安倍氏が戦争屋の犬であり続けるかもまた、未知数である。現状から出発するなら、今後の安倍氏とテロ等準備罪は、両方とも道具でしかない。道具は、使われ方こそが批判の対象となるべきである。トランプ氏は、戦争屋と対立してきているために、当然ながら、戦争屋の影響下にあった安倍氏を自らの影響下に置こうと働きかけてきたであろう。リチャード・ターガート・マーフィー氏の『日本 呪縛の構図』は、日本の統治システムが米国の強い影響下にあり、半植民地保護国と呼べる状態にあると指摘し、同時に、その状態を直視して改善することが日本の指導者層には困難であろうと述べていた(pp.222-223)。しかし、私は、彼の著書に接する以前から、個人的な体験に基づき、日本が米国の強い影響の下にあることを認めているし、むしろ、福島第一原発事故の終息につながるのであれば、指導者層が米国の忠実な番犬として振る舞うことを喜んで是認する。昨日に引き続いての『PayDay 2』ネタにもなり恐縮だが、福島第一原発事故にせよ、米国の影響下にあることにせよ、現時点のわが国において、これらの話題は「部屋の中のゾウ=公然の秘密(The Elephant in the room)」なのである。(蛇足:ゾウは米共和党のトレードマークでもある。)

#正確を期せば、わが国の刑法の解釈の幅は非常に広いため、ほぼすべての国民は、日常生活の中で犯罪となる行為に手を染めている(はずである。そうではない聖人君子には、お目にかかったことがない)。このため、テロ等準備罪が屋上屋を架すものであるという批判は、正当な指摘といえよう。ただ、この話とテロ等準備罪の両方は、ジャパン・ハンドラーズにも適用可能である。議論の焦点は、「テロ集団」を構成する具体的な人物名とその関係性にこそある。

今後のシナリオを3種に分類して検討すると、トランプ氏と安倍氏との人間関係が構築された現時点において、安倍氏を首相の座から排除しなければならない理由が存在しないことが分かる。日本国民にとって望みうる最善のシナリオは、今後の首相が誰であれ、能動的に国民本位の政治体制を築くことである。しかし、これには、不正選挙の防止のみならず、国民意識の大転換=メディア・リテラシーの成熟までが必要である。この条件は、百年河清を待つようなものである。次善は、アメリカ発・トップダウン型・ウィン=ウィンの現状改善であり、誰が首相であるにせよ、彼(女)が、戦争屋というブラック中間業者を経ずに、つまり中抜きで、トランプ政権から指示・助言を受けるというものである。この展開は、現状を前提としたときには日本国民が望みうる最善のものであるし、3.11の際にも(誰だか分からないが、そして誰だか良く分からないことこそが問題なのだが)米国人が官邸に出入りしていたという以上、当時の状態よりも遙かに健全である。第二次世界大戦後以後の歴史を直視すれば、米国の半植民地にあるという状態は、一人の日本国民が何ら恥じ入るべきことではない(が、政治家と国家公務員は、在職期間と地位と活動とに応じて、大いに恥じ入って良い)。なお、わが国において新自由主義者と呼ばれてきた者は、多くが戦争屋と重複するが、中抜きを良いことであると宣伝してきた。同じことは、彼らにも当てはまるが、自己責任というやつである。最後に悪いシナリオを述べれば、誰が首相であるにせよ、戦争屋の言いなりになる権力構造が再開されるというものである。安倍氏がトランプ氏の支援にかかわらず、戦争屋勢力を含めたマスコミの批判に屈したときは、この状態に陥ることになる。また、今後近い時期に選挙が行われ、たとえば、民進党が政権の座に返り咲いたときにも、不可解なことに原発推進勢力(=当面原発維持)がトップに就くということになろう。以上のシナリオを考慮すれば、トランプ氏の忠実な手下を務める限りという条件付きではあるが、戦争屋の言いなりになる連中をトップに据えるよりは、安倍氏の方がマシである。

トランプ氏は、大統領就任演説?において、中国・日本を含む他国民がアメリカを尊敬することになると述べたが、この語を信用するなら、日本の衰退まっしぐらという現状に対して、少なくとも日本国民の損にはならない政策を講じるであろう。現に、トランプ氏の構想は、田中角栄氏を想起させる「アメリカ大陸改造論」であるが、その恩恵は、従来のファンダメンタルズからすればあり得ない東証の株高にも及んでいる。この株高は、単なるバブルではなく、戦争による焼き畑型経済である「ショック・ドクトリン」からの脱却が図られつつあることを反映したものとも解釈できる。安倍氏にも、東証の株高がトランプ氏の政策のおかげであることは理解されていよう。東証の株高を自身の求心力として利用してきた安倍氏がトランプ氏に対して親近感を表明するのは、自然な成り行きである。株高は、年金運用にも思わぬ追い風をもたらしているとはされるから、国民全体の利益になっていない訳ではなかろう(。本点については、GPIFの報告書の文言は、このようには読めるとはいえ、運用の実際を詳しく知らないために、断言はできかねる)。反面、トランプ氏サイドは、安倍氏をカタにはめつつあるとも言える。

#サボり気味なので、今回、ついでに書き飛ばしてしまうと、マイケル・フリン氏の解任は、トランプ氏にとって確かに失点である。しかし、無用な血を流さないという信念は、戦争屋以外の軍人には共通するものであるから、取り返しのつかない失点ではない。それに、フリン氏自身が「Pizzagateに突破口を開くことは、自身の政治生命と引換えとなったとしても、後世に評価されるべきこと」と考えた可能性も残る。フリン氏が仮に出処進退を賭けて本件に取り組んだのだとすると、その行為は、日本国民からも尊敬を受けるべきものである。というのは、わが国においても『プチ・エンジェル』事件があったためである。同事件は、わが国にも同様の構図が存在すると考えて良い証拠である児童買春(売ではなく)という犯罪の追求を通じた世界の変革がわが国に及んでいないという状態は、この商売がどの筋によって仕切られてきたのかを示す傍証である。このとき、日本国民は、フリン氏のPizzagateに係る行動がいかに困難なものであろうかということを、自国の事例から容易に看取することができるのである

森友疑惑の報道を経て安倍氏が戦争屋の言いなりに戻ったり、衆議院の解散に踏み切ったりするのであれば、トランプ氏は、せっかくの日本政策の手駒を失うことになる。しかも、この駒は現役の首相である。日本国民が良好な対米政策を期すならば、安倍氏を挿げ替えたとしても良好な関係を構築可能な人材をトップに据えなければならないことになる。その人材には、もうひとつ条件がある。意地が悪い表現であるが、安倍氏とトランプ氏とを比較した場合、トランプ氏の方が格上であることは、自明過ぎることである(。私も情けない気持ちではある。しかし、安倍氏がトランプ氏を凌ぐほどの大人物であったとすれば、福島第一原発事故は生じていない。森友疑惑よりも、福島第一原発事故の電源喪失に係る安倍氏の責任問題の方が、明らかに重大である)。安倍氏の後任は、この明快な上下関係を変更しない人物でなければならない。日本の政治家の多くであれば、この上下関係を維持できるであろうが、万が一、(真の意味で)正当に選挙が実施され、国民が賢明な選択を行い、第一党となった政党が日本に山積する難題を解決可能な人物を首班に選出したとしよう。優秀な人物は、少なくとも、日米首脳の上下関係(ここでは米国が上)の格差を縮めてしまう虞がある。人間としての実力が近いと、国益が賭けられた交渉事は、面倒なものになる。双方が利益の極大化を目指す可能性が認められるためである。トランプ氏がメルケル氏を嫌う態度を見せる一つの理由は、彼女がタフな交渉人でもあるからであろう。今回の疑惑を引くまでもなく、日本の政治家の背景には多くの利害関係者がいるために、なまじ優れた人物が首相の座に就くと、バックの人脈も変わり、難題山積の米国の政治にも手戻りが生じることにもなる。アメリカから見たときにさえ、日本の神輿は、今の軽い状態が都合良いのである。米国で凋落著しいハンドラーズの言いなりになる政治家がわが国で政権を握るくらいであれば、トランプ政権の言いなりになるという条件付きではあるが、両国の国民にとって、安倍氏の方が余程マシということになる。

#私がブログをサボって碌なことをしていないのかバレバレなのだが、ナショジオで米国(アリゾナ州)の麻薬問題が繰り返し報道され、腐敗したメキシコのカソリック神父や軍隊、堕落したCIAと軍高官が、両国のギャングとつるんで麻薬流通に手を染めるという映画が、A級・B級問わずに、多数放映されることは、ハンドラーズの凋落を示す傍証として挙げることができよう。日本国内でこれらの番組が報道されていることは、理解できる人には理解可能なメッセージという訳である。




2017年3月25日22時追記

上掲記事の執筆後、飯山一郎氏のウェブサイトの2017年3月24日の記事及び25日の記事を初めて閲覧した。上掲の私の記事は、学術論文として見た場合には、完全に後追いであるために価値を有さないことになるし、私の文章の方が遙かにポンコツである。とはいえ、コミュニケーションを取らないままに別のアタマで考察した結果が類似したものとなったことは、この種の見方が理論に成立することを示す証拠と言えよう。ただし、安倍晋三氏の福島第一原発事故に対する理解については、飯山氏の見解よりも、私は遙かに悲観した見解を有している。最近の飯山氏による安倍晋三氏の評価は、きわめて能力に優れた人物というものであり、戦争屋の指示に拠らない独自の政策を構想するかのごとくに安倍氏を記述するものである。が、安倍氏の最近の行動を検証するに当たっては、安倍氏自身を「上にへつらい、下には過剰に厳しく、人の手柄を横取りする小人物の上司」として措定する方が、従来の行動と整合的であり、無難な解釈である。飯山氏の賞賛は、むしろ、「おだてりゃ何とやらも木に登る」効果を狙ったものと見ておいた方が良かろう。褒め殺し、という表現でもそこまで外してはいないであろう。

いずれにしても、日本国においては、福島第一原発事故に対する理解と対応・行動こそが、責任ある立場の人間にとっての試金石となることは、間違いないことである。事故当時の自民党政治家のうち、まともだったと後世に評価されるであろう人物は、河野太郎氏くらいであろう。(河野氏は、すでに、Wikileaksへの漏洩により、色々と取り沙汰されてしまっているため、評価が難しい状態にはなっているものの、それでも正当な評価を受けて然るべきである。)ほかに現在の自民党関係者と見做される人物のうち、福島第一原発事故について、好評価を受けうる人物は、事故後かなり遅れてのことになる上、利権の臭いも感じるし、公職を引退もしているが、小泉純一郎氏を加えることが可能なだけであろう(。小沢一郎氏とその弟子筋は、自民党で実力を発揮した政治家たちではあるが、事故前後からの政治的スタンス考慮すれば、現・野党側の人物としてとらえるべきであろう。それだけに、事故直後の小沢氏本人の行動に対して、誹謗系週刊誌があることないことを吹聴していたことには、事実関係は措くとしても(、また、私は週刊誌側の示した事実関係に疑いを有したままであるが)、何らかの理由があるものと推測される)。ここで指摘するまでもないことであるが、現時点までの福島第一原発事故に係る安倍氏の発言と行動は、基本、すべてが、国民の生命と健康ならびに財産を保護する方向とは真逆のものであり、たとえば、非常電源喪失に係る答弁の責任を引き受けないものである。




2017年3月26日追記

以前(2016年11月18日)、安倍氏が大統領就任前のトランプ氏を訪問したことを受け、以下のように懸念を示したことがあるが、「日本国民の大多数にとって過剰に不公正なディール」が今のところは不要であったかのように見える点、私は、日本国民にとって予測を良い方に外したことになる。その理由の大方は、トランプ氏側の厚遇するという方針にあったであろう。また、やはり、国同士の外交において筋目を通すという点では、このときの訪問は異例であったものの、佐藤優氏の指摘どおり、オバマ氏の後にトランプ氏と会談ていたとすれば、トランプ氏の就任前に安倍氏が訪問したことは、正解であった可能性がある。この点を認めて、評価を変える必要があるであろう。あまりにも話す内容が多かったであろうし、情報漏洩の危険も認められたためである。もっとも、この会談の折に、安倍氏が何を話し、どのような話を聞いたのか、その内容を十分に理解したのか、といったディテールが分からなければ、依然として、一般人がこの会談の成果を正当に評価することはできないであろう。

クリントン氏とだけ安倍氏が会談していたという事実は、私自身が決して歓迎することではないが、安倍氏自身にも利用可能な事実である。日本国民の大多数にとって過剰に不公正なディールにより、権力の維持を安倍氏が願い出るというケースを、日本国民は覚悟しておかなくてはならない。



2017年3月28日追記

田母神俊雄氏が南スーダンにおける自衛隊の任務の終了を受けて、次のようにツイートしている。その表現は、軍人が基本的に生命を大切にすることを示す。ただし、そのニュアンスは、パイロットの生命が費用面でも戦闘機より高くつくというように、置かれた状況によって微妙に異なるであろう。なお、田母神氏は、今後の国際情勢の変化に応じて、わが国の広義のセキュリティ産業に与えた影響について、評価が変わりうる人物である。キーワードは、自前主義である。田母神氏の自前主義に係る従来からの主張が自衛隊員の生命の保護を視野に含めたものであることは、一連のウェブ上の資料においては、一貫している。なお、自前主義の難しさは、ジオイントに係る論考(2016年2月1日)で一部触れたことがある。

また、古歩道ベンジャミン氏が、「公安筋」から、今回の森友疑惑の仕掛け人のトップに小沢一郎氏がいるとの情報を得たと報じている(27日メルマガ)。この情報が正しいのであれば、(そして、私は、この情報のルートについて、非整合性を感じるが、)辻元清美氏が野田中央公園の整備構想に関与していたとするスピン情報は、正当性を持ち得ないということが近いうちに明確になるであろう。同公園の土地の所有権が豊中市であるなら、そこに投じられた金額の割合が通常の国と地方の関係からいえば、高いものであることは確かであるが、そこには何ら、国家を私物化したとの指摘は当たらないためである。都市計画手続上の瑕疵も、以下の豊中市議会建設水道常任委員会(平成22年10月12日)のやり取りの中では認められない。(都市計画のあり方が、2000(平成12)年以降、主に小泉政権の時代に、何でもありの度合いを強めたことは、都市計画に係る案件の正統性を論じるに辺り、理解しておくべきである。)

2017年3月24日金曜日

数ある疑惑の中から森友学園疑惑をチョイスしたのは外国向けを意図したのであろう

いわゆる森友(学園)疑惑、別名アッキード疑惑に係る籠池泰典(泰博)氏の証人喚問が昨日(2017年3月23日)行われた。しかしなぜ、掃いて捨てるほどある(はずの)疑惑の数々の中から、本件が大きくクローズアップされたのであろうか。私は、海外向けの報道も見込んでいるから、という一応の答えを用意してみている。本疑惑は、安倍氏を超国家主義者として描写するという効果を持つものであり、国内向けよりも海外向けに適する。このため、本件が放逐された旧米国戦争屋の仕込みであるとする飯山一郎氏とその仲間たちの見立ては、おそらく正しい。しかし、安倍晋三氏が日本の国益のために舵を切ったとする飯山氏らの見立ては、安倍氏が単に感情的に自己のためだけに動いているという可能性を(故意にかも知れないが)除外したものである。本稿では、まとまりなく、この点をメモしておきたい。

現在では、確かに、従来のわが国に係る戦争屋連中の一部(ジャパン・ハンドラーズ、清和会系の自民党、松下政経塾系の民進党、日本維新の会、公明党、日米合同委員会に所属してきた売国官僚、マスコミ政治部)と安倍氏は、仲間割れした状態にある。ここまでは事実として認めて良いであろう。しかし、この現状は単なる偶然の産物であり、その原因は安倍氏が感情のままに動いたことにあるのではないか。

#2017年3月25日追記・訂正:従来の方針とは異なるが、今回については、戦争屋連中のうち、明らかに森友疑惑に関連して、仲違いしている勢力を具体的に記述する価値を認めたために、特記した。その過程において、本疑惑に関係した一部上場企業の活動の詳細が私には分かりかねるため、戦争屋連中と名指しした状態を訂正した。(お詫びの必要はないものと考える。)

昨年9月、安倍氏は、米大統領選候補のクリントン氏とだけ会見した。この経緯は、ハンドラーズの主張を丸呑みしたものであろう。安倍氏は、トランプ氏当選の報に接して、自身の面子を潰されたと憤るとともに、自身の地位に対して不安を感じたことであろう。外務官僚に責任を転嫁するだけでは飽き足らず、ハンドラーズに対しても、大嘘吐きやがってと恨んだであろう。安倍氏が感情的に振る舞う姿は、非常に多くの実例を認めることができる。ハンドラーズと面会しなくなったのは、単に、安倍氏がハンドラーズへの怒りを収めることができていないためであろう。ハンドラーズにとっては都合の悪いことに、安倍氏がトランプ氏に慌ててすり寄ったところ、トランプ氏のチームは、深謀遠慮ゆえであろうが、安倍氏を歓待した。思いがけない厚遇を受けた安倍氏が、その結果を自身の太鼓持ち能力によるものと誤解して、今後も中抜き(=ハンドラーズ抜き)で行くと決めたとしても、それほど不自然ではない。

森友疑惑は、この安倍氏にとっての「棚ぼた」を制裁するため、海外に向けても報道するため、用意されたものであろう。かねてから準備されてきた数あるスキャンダルのうち、トランプ氏へもダメージを与えるべく、海外向けのネタが選択されたと考えられる。ハンドラーズは、大日本帝国の復活を企図する連中と安倍氏夫妻の仲が良いことをあげつらうと同時に、その安倍氏とトランプ氏の仲が良い、とディスりたいのであろう。このような構図でハンドラーズが誹謗することは、(ハンドラーズには与しないが)米国の良心を自認する層に対して、安倍氏の首を挿げ替えることを訴えると同時に、ハンドラーズ自身の工作能力を日米双方の関係者に対して誇示する上で役に立つものと考えられる。この構図は、ヤクザが自身の実力を誇示するために、みかじめ料の支払いを拒んだ店舗を叩き壊すというものに酷似している。

#脱線するが、『PayDay 2』というFPSゲーム(First-person shooter, 3D画面内でプレイヤー視点から敵を撃つゲーム)には、ロシアンマフィアへの支払いを拒んだショッピングモールの窓ガラスを50000ドル分叩き壊すというミッションが含まれている。このゲームのミッション(Job)のあらすじは、ほかのものもセンスが良いと思う。が、ステルスゲームとしては出来が悪い。色々な理由があるとは思うが、認知心理学や人間工学の知見を手がかりにプレイすると、とても酷い目に遭う。

ハンドラーズ以下の一味が森友疑惑を取り上げるという示威行為は、以上のように、日米双方の国家指導者に向けて用意されたものである場合には、ハンドラーズが所属する国家の主権者への承認を取り付けた上での行動ではないがゆえに、国家の根本を揺るがすものである。つまりは、米日の両国民にとって、わが国の刑法にいう外患誘致となる。(主に、米国民に対して、わが国における外患罪に相当する内容を有するがゆえに、このような順番で表記した。)この点をふまえるならば、東京地検特捜部の政治家に対する今後の動きは、彼らの政治的な活動と立ち位置を明らかにするものになろう。(この指摘に対する答えは、自明なものではあるが、繰り返しておいて損はなかろう。)

G20に際して、トランプ氏とメルケル氏の会談、メルケル氏と安倍氏の会談が大きく報道されたという事実は、ほかに存在する疑惑ではなく、森友疑惑こそが海外向けに報道されねばならなかった理由を補強する。ハンドラーズの習性に通じた観察者であれば、なぜ疑惑が森友疑惑でなければならなかったのかは、この点からも説明可能である。彼らハンドラーズの中では、西のナチス・ドイツ、東の大日本帝国は、永遠の敵役である。ドイツの現指導者はナチスと決別したのに、日本の現指導者は大日本帝国と決別できていないと誹謗しつつ、その大日本帝国の継承者と現在の米大統領との仲が良いと指摘する連中は、結局のところ、トランプ大統領を誹謗したいのである。戦争屋が他人を誹謗するとき、ナチス・ドイツと同類扱いするという方法がしばしば用いられる。この特性は、そのように訓練を受けているからと考えるのが適当であろう。悪をなす方法は、悪を積極的になしても制裁を受けないコミュニティにおいてしか、維持・継承されないのである。なお、ナチス・ドイツの人種差別観念は、実のところ、戦争屋の思想にこそ継承されている。でなければ、戦争屋連中により、朝鮮戦争やベトナム戦争が惹起されたことの説明がつかない。

#なお、ドイツ国民には申し訳ないが、願わくば、ハンドラーズの文脈上で日本とドイツが永遠の敵役であり続けて欲しいものである。第三次世界大戦など不要である。また、アメリカから見れば、日本は西にあるのだが、ここでは色々と承知の上で、このように記している。もののついで。アンゲラ・メルケル氏は、安倍氏のように極右と受け止められるような言動を報じられたことがないが、トランプ氏を当選させる原動力となった米国の愛国系ニュースサイトにおいて、複数、父親に係る疑惑を報じられてきている。この構図は、随分と捻れたものである。ナチというシンボルの押し付け合いである。

安倍氏とハンドラーズ連中との仲違いが国益を考慮した結果ではないという推測は、今後、この騒動が結局は国民の利益にならないという懸念を抱かせる材料である。繰り返しになるが、安倍氏が心を入れ替えて戦争屋と袂を分かったと見るよりも、面子を潰されたと感じた安倍氏がハンドラーズの面会を拒んでいると考えた方が、よほど整合的である。大人物同士が相通じるのと同様、小人物にも小人物を嗅ぎ分ける力がある。一介の小人物である私からみて、安倍氏の心性は、典型的な小人物のものであるように思えて仕方ない。器の小さな上司がキレる場面を想起すれば、安倍晋三氏の状況は見事に説明できるのである。このような構図まで見抜いた上で、戦争屋同士の内ゲバを誘うために安倍氏を厚遇したとすれば、トランプ氏のチームは、アメリカの国政を担うに相応しいだけの力量を備えているのであろう。米国民からすれば、ヒュミントの好事例ということになる。日本国民からすれば、本件の評価を定めることはまだ難しいであろう。

#おまけ。本日朝日の朝刊の解説を見る限り、デーブ・スペクター氏は以前からの論調を転換したようにも読めてしまう。ロックフェラーの三代目の死亡といい、世界は確かに変わりつつある。