2017年6月10日土曜日

(感想文)トランプ大統領は選良が嘘を吐くときのルールを変えた

本記事も題名でほとんど意を尽くしており、後は、私が好き放題に持論を記しているだけであり、中身はないが、いわゆる「コミー・メモ」流出の件が喧しいので、とりあえずマスコミ批判のために立ち上げた記事である。前FBI長官のジェイムズ・コミー氏(James Brien "Jim" Comey, Jr.)は、最近の主要紙のアメリカ関係の海外面の主役である※1。コミー氏は、自身がいわゆる「コミー・メモ」を事前にメディアに流出させた「ディープ・スロート」であったことを議会で証言し、良心に基づいて、友人のジャーナリストと大学教授にメモを託したという。コミー氏は、ヒラリー・クリントン氏による選対長のジョン・ポデスタ氏への情報漏洩事件の捜査を見送っている[1]。コミー氏の「良心」は、かくも、一方向にしか機能しないものである。コミー氏の論理を採用するとすれば、米議会は、コミー氏のFBI長官としての不適格性を利用して大統領を弾劾するという、非常に捻れた法治主義を実行することになる。クリントン氏の捜査を行うとともにトランプ氏の弾劾を検討するか、両方とも見送るか。このいずれかであれば、自己矛盾しない態度ということになる。

日米のマスコミがトランプ氏のみを批判できる理由があるとすれば、それは、トランプ氏の示した事実認識に誤りが見られる頻度が相対的にコミー氏よりも高い、ということに尽きるが、この論拠に基づくトランプ氏への批判は、決定的に米国の国民益を損なうものである。決定機において職務を少なくとも二回裏切ったのはコミー氏であって、トランプ氏ではない。一回目であるが、コミー氏は、再三の世論の要請にもかかわらず、クリントン氏のメール問題を捜査しないという不作為を通じて、米国民の核心的な利益を棄損する意思を明らかにした。トランプ旋風がコミー氏自身の身を危うくすることを理解したコミー氏は、途中で翻意したが、クリントン陣営の圧力に再び屈して捜査を結局見送った。米マスコミの恣意的な報道に見られた不審点を元に、いち日本人パンピーの私が選挙情勢を予想できるくらいであるから(2016年9月30日)、FBI長官というインテリジェンスの世界的要職の座にあったコミー氏が、トランプ旋風の真の行方を逐一最上のインテリジェンスによって把握できていなかったはずがない。この過程において、彼の心中がいかなる変遷を辿ったにせよ、すでに二度以上、コミー氏は職務に対して不誠実であったことになる。言い換えると、二度以上、自身の良心に対して嘘を吐いたことになるのである。その結果が、現在に至るまでの迷走の原因となったことは、言うまでもない。結局、ジェイムズ・コミー氏なる人物は、世界を牽引する大国のインテリジェンスを掌握する人物の器にはなかったのであり、現在、ほかの大人物の足を引っ張るだけの「ゾンビ」と化している※2。ヒラリー・クリントン氏という稀代の大悪人の圧力に屈し、良心的な職員の頑張りを大いにムダにしたと見做されるべきである。このように国益を大損壊した人物が、今更、トランプ氏を前に権力に対峙すると主張されても、それを真に受ける真人間はいない(。今や誰もが知るところであろうが、私自身は(真)人間ではない)。コミー氏が権力闘争に用いられる駒に過ぎないことは、誰の目にも明らかである。このような小人物(駒は小人物である)が、要職の座に長く留まり、アメリカ市民の手にあるべきであった権力を(戦争屋などエスタブリッシュメントの手から)アメリカ市民の手に取り戻す(就任演説)と誓ったトランプ氏の足を引っ張るような真似をしでかすのは、全世界の市民側からみたとき、アメリカの国益にとっても、間違いなくマイナスの行為である。そもそも、ヒラリー・クリントン氏の圧力に屈したコミー氏の迷走がなければ、ロシアと殊更に接近する必要は、トランプ陣営にもなかったはずである。さらに、原則的に、ロシアと程良い関係を保つこと自体は、アメリカにとってもプラスのはずである。ロシアとの過剰な緊張状態、あるいは局地紛争や代理戦争から利益を得るビジネスモデルのクリントン氏を排除することは、世界の圧倒的大多数(割合としては、いわゆる6シグマにもなろう)の人類にとって、利益のある話であった。わが国風に言えば、世界の「関ヶ原」で大砲を撃ちかけられても動かなかったコミー氏が、今更、善玉のふりをして後ろから噛み付こうとするのは、茶番としか言いようがない。良識あるアメリカ国民は、この小人物のクリントン氏に対する不作為こそを、遡及して非難すべきである。法の下の平等を是正するのであれば、クリントン氏の処分を完全に終えてから、トランプ氏の行為の是非を問うのが筋である。

トランプ氏は、細かい嘘を吐くかのように批判されることがあり、事実認識に誤りがあることも事実ではあるが、それでも、アメリカ大統領としてのプリンシプルからは逸脱していない。むしろ、トランプ氏は、政治家としてのプリンシプルに準拠し続けており、周りや政敵による妨害が激しいだけであると判定できよう。その状態が「分かる者には分かる」ように判明しつつある現在、コミー氏を利用した政変が本格化したかのように見える。つまり、戦争屋は、トランプ政権を、シリア問題と北朝鮮問題の双方に本格的に関与させて武力介入するようけしかけた。しかし、この企みは、あえなく潰えている。その途端、国内問題として「ロシア・ゲート」が本格的に立ち上げられるに至ったのである。国の一大事に係るこのような「偶然」は、偶然とは呼べない。

コミー氏は、FBI長官としてのプリンシプルには準拠していない。アメリカ国民の定めた法の理念には、恣意的にしか従ってこなかった。この点で、コミー氏は既に失格しているのであって、それ以後の働きは、逐一が恣意的であると解釈されざるを得ないものである。コミー氏は、クリントン氏を捜査できないと考えた時点で「私には捜査することができません」と宣言し、その時点で潔く辞任すれば良かったのである。クリントン氏の疑惑が持ち上がった時点で、コミー氏が捜査を実施することが最良であったが、これを見送ったとしても、その時点で自身が辞職し、クリントン氏の理非を問うていれば、おそらく、マイケル・フリン氏の捜査は必要なく、必要があったとしても、後任が筋目を通すことが期待できた。なお、私自身が法律の専門家でも何でもないのに、無謀にも一言付け加えておくと、法律に従うこと自体がプリンシプルであるとするのは、(それがギリシア以来の伝統であることは理解しているものの、)法の理念が曲解されている可能性がある。(所詮は人の定めた法である。その法の陋守(ろうしゅ)自体が目的とされてはならない。プラトンの到達した賢人政治という結論は、師ソクラテスの不当な死によるところが大きい。これは、現代においても結論が付いていないはずの問題である。)後任に法の精神の体現をを期待できなかったことが、コミー氏の過ちの始まりであった。

以上の理由から、「コミー・ゲート」と呼ばれる戦争屋の弾劾運動は、法の平等などという法(哲)学上の問題などでは断じてなく、単なる権力闘争であると結論付けられる。とすれば、政治闘争として、結果責任が問われるのみである。この解釈が関係者全員に正しく共有されているのであれば、多少の緊張状態が世界中のどこかで昂進し、それに対してトランプ氏がシリアへの攻撃のような威嚇攻撃を再度行う必要に迫られるという可能性は、それなりに認められる。弾薬や使い切りの兵器の消費は、戦争屋にとって喫緊の課題であるから、このようなガス抜きが進められる可能性は、ゼロではない。ただ、それが依然として、人々の恐れるような終末的戦争へと至ることはないし、戦争へと至る程度に深刻な脅迫行為に対しては、別方面からの牽制もあろう。戦争屋の茶番に、彼らの存在をロックオンしている良識人は飽き飽きしているが、戦争屋の金力に平伏す「犬」が出現し続ける限り、彼らを根絶することは難しいことも承知しているであろう。

このように「嫌儲」風に世界を解釈するとき、トランプ大統領の嘘に対する奔放さは、メディア自体のフェイクぶりを際立たせることに成功し、世の中の少なからぬ人々の理解を増進することに貢献した、と好意的に解釈することができる。2016年の米大統領選挙は、嘘が嘘を呼び、何が嘘で何がそうではないかを見分けさせる必要を生じさせたが、その情報分別の過程で、選挙民に、何が自分たちにとって本当に大事な利益であるのかを考えさせるきっかけとなった。マスメディアは、自分たちにとって本当に大事なものを奪い取ろうとする「敵」ではないのか。このような大衆の疑念をかき立てることに、トランプ氏は成功したのである。これは、オルト・メディアの功績でもあり、そのオルト・メディアの援護射撃があって当選したトランプ氏の功績でもある。「フェイク・メディア」という概念の流通は、人間の「精神的環境」を取り巻く「言説の力」を再認識させる契機となった。この力は、マスメディアが徒党を組んで独占的に濫用してきたものであったが、オルト・メディアは、この言論の独占状態を、かなりの程度まで平等化し、マスメディアの「神通力」を無効化したのである。

まとめれば、トランプ氏は、大衆の核心的な利益を守るという前提においてのみ、嘘を吐くことが許されるという政治上のルールを確立したのである。


※1 朝日[2]と日経[3]は昨日(2017年6月9日)の夕刊で、読売は本日(2017年6月10日)の朝刊[4]で、コミー氏が自身を流出元であると認めたことに触れてはいる。毎日は、10日朝刊で掲載しているとのことである[5]が、現物を確認していない。産経もウェブ上に記事がある[6]が、本紙の現物までは確認できていない。また、別記事[7]でFBIの独立性を疑わせる結果に終わったことを報じている。明らかに産経の論調が本記事より先行しているが、独立機関としてのプリンシプルに準拠すれば、漏洩自体についても、自ずから導き出せる答えであるから、大勢が同様の答えに到達していたことであろう。

※2 ここでのゾンビとは、ルサンチマンから「超人」を自身のレベルにまで貶めようとする平等主義者という意味合いを有する表現である。本格的に記す余裕がないので、ここであえてディスっておくと、岡本健, (2017.4). 『ゾンビ学』, 京都: 人文書院.は、「世界で初の総合的ゾンビ研究」のようなことを帯で謳いながら、2017年現在においてゾンビというモチーフから直ちに連想されるべきルサンチマンという主要概念に全く言及していなかった点、読後に非常に不満が残った。藤田直哉, (2017.3). 『新世紀ゾンビ論』, 筑摩書房.にはたしか言及があったので、この点については納得している次第である。後進畏るべしとはいえ、彼らの誰もが、ゾンビという象徴が、国際秘密力集団の象徴伝達手段でもあるという話を、ドレズナー本そのものが体現しているという入れ子構造を理解していない(=分かった上であえて記していないのではない)点も、Valveの『Left 4 Dead (L4D)』シリーズにおける騒動が記述されていない点も(、同社の資金関係と嫌儲と『L4D2』後の『L4D』のサポート体制に着目せよ。この点は、『カレイドスコープ』のダンディ・ハリマオ氏の方が、よほど核心を衝いている。この点については、調査ジャーナリストのウェイン・マドセン氏の記事が和訳でも読める(『マスコミに載らない海外記事』[8])。『L4D2』騒ぎのときに、対立の構図は確立されていて、それがボイコットを促進したという経緯が認められる)、かなりモヤモヤしっぱなしである。ここらの話に触れた上で、正常と異常との境目を逝くがごときの理解を示さなければ、プレッパー魂つまりレジスタンス魂と、ゲーマー魂の成分の半分ほどは理解できていないことになり、「ゾンビ流行」の舞台裏を全く理解できていないことになるのだから、是非とも改訂新版で、ここらの話を投入して欲しいものである。(ここでの記述は、私なりのサービス精神の発露のつもりであるし、本記事自体が入れ子構造のつもりでもあるという厄介な感じに仕上げてみたつもりである。)


[1] コラム:クリントン氏のメール問題、FBIが語らなかったこと | ロイター
(Peter Van Buren、2016年07月12日09:47JST)
http://jp.reuters.com/article/clinton-fbi-email-column-idJPKCN0ZS023

[2] 「コミー・メモ」自ら流出と証言 トランプ氏側は批判:朝日新聞デジタル
(ワシントン=杉山正、2017年6月9日12時58分)
http://www.asahi.com/articles/ASK693302K69UHBI00X.html
#本紙記事は、夕刊2面(総合2)4版「コミー・メモ 自ら流出/大統領会話記録 FBI前長官が証言」。

[3] トランプ氏の弁護士、コミー氏証言を否定 「情報漏洩者」と批判 (写真=ロイター) :日本経済新聞
(ワシントン=川合智之、2017年06月09日04時31分)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN08H36_Y7A600C1000000/
本紙記事は、「捜査中止「指示ない」/トランプ氏側否定/ロシアゲート/「コミー氏は情報漏洩者」」夕刊4版総合3面。

[4] 『読売新聞』2017年6月10日朝刊14版7面国際「トランプ氏 徹底抗戦/「情報を漏らした」非難/前FBI長官証言」
#内容が一致する形で確認できそうな無料のウェブ記事はない。

[5] 米大統領選:露介入疑惑 「捜査中止、トランプ氏指示」コミー前FBI長官、公聴会証言 解明長期化も - 毎日新聞
(ワシントン=高本耕太・福岡静哉、2017年6月10日東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20170610/ddm/007/030/176000c

[6] 【トランプ政権】コミー前FBI長官が会話内容を米紙に暴露 大統領に強い不信感 トランプ氏弁護士は捜査中止圧力を否定(1/2ページ) - 産経ニュース
(ワシントン=加納宏幸、2017年06月09日10時01分)
http://www.sankei.com/world/news/170609/wor1706090039-n1.html

[7] 【ロシアゲート疑惑】トランプ氏ひとまず逃げ切り? 「圧力」証言のコミー氏、動機に疑問(1/2ページ) - 産経ニュース
(ワシントン=加納宏幸、2017年06月09日19時22分)
http://www.sankei.com/world/news/170609/wor1706090056-n1.html

逆に、トランプ氏との会話記録をメディアにリーク(情報漏洩)したことをコミー氏が明らかにしたことは、自らが標榜してきたFBIの「独立性」や、トランプ氏追及の動機を疑わせることになった。




2017(平成29)年6月12日修正

元の文意を変えないよう、意味の通らない文章を訂正した。




2017(平成29)年7月28日修正

本文の注記(と私の記憶)に誤りがあったため、訂正した。ヤニス・バルファキス氏(Yanis Varoufakis)がValveに経済的助言を与える立場にいたことと、『L4D』への不十分なサポート体制への批判は、タイムライン上、直接関係しないことであるが、同氏がギリシアの経済状態を悲惨な状態に落とし込むこととなったことは、事実である。奉仕すべきコミュニティを不幸にするという点で、方向性が偶然に一致することについては、より裏話があり得るかも知れないが、それは、私よりも適任者が海外にいるであろう。

[8] 新ギリシャ政権内のソロス“トロイの木馬”?: マスコミに載らない海外記事
(Wayne MADSEN、2015年1月29日=2015年1月31日)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-7acd.html

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