2016年8月1日月曜日

平成28年7月東京都知事選挙に係る孫崎享氏のツイートは難しい

 昨日、つまり、7月31日の選挙投票終了後、孫崎享氏の下記のツイートを知った。後知恵として見れば、このツイートが幾通りにも解釈できるものであることが分かる。他方で、リツイートするユーザの言及を見れば、一通りにしか読んでいない人が多いことが見て取れる。孫崎氏のツイートは、日本人のリテラシーに対するテストとしても機能しているのではないか、とも思ってみたりする。

 日本語に限らず、文章表現とは難しいものであると思いつつ、頭の体操として、解釈を試みることにしよう。結果(の正しさ)については、期待しないで欲しいし、私の分析は、あくまで素人判断に過ぎない。日本語としては、以下のように解釈可能であるというだけに過ぎない。
  1. 「米国情報関係者周辺」が小池百合子氏自身から発せられた出馬意向を17日の時点で確認していたという場合。取得の方法は、複数存在するとは思うけれども、最も簡単なのは、彼女自身から誰かが聞き出していたというもの。
  2. 誰が次期都知事になるものかを予測したというもの。この予測は、必ずしも、彼女自身の出馬意向とは関連しない。
  3. 誰が次期都知事となると、米国の国益となるものかについて、分析したというもの。彼女自身の出馬意向とは関連ないが、主要な分析者が人間である場合には、分析対象者の候補として、小池氏を分析リストの筆頭に近い位置に据えて検討したという可能性はありそうである。
  4. 米国として、都知事選挙に出馬することを焚きつけることが可能な人物を洗い出したもの。 
  5. (一部のユーザが反応したように)米国として推す人物を小池氏に決定したというもの。
これらは、ケース1が最もあり得そうなパターンであって、5の可能性が一番低い。また、1は、2~5と並立しうるが、2~5と、特に、2~3組織の目的上、互いに密接な関係にある。4と5は、対外工作ということになるので、「情報関係者」の種類が限定されることになろう。5は、4に比べて際立ったレベルの工作となるが、しかし、この解釈は、1~4のケースが成立することを思えば、短絡的に過ぎる。孫崎氏の従来までの言説が、この解釈を想起させたに過ぎないのである。もちろん、このように孫崎氏を理解する日本人は、少なくとも同氏の著書を読んだことのある者に、多く含まれることではあろう。

 以上のケースを列挙してみれば、孫崎氏がパンピーの日本語話者に向けて語った内容は、私にとっては、単に、アメリカすげえな、というものにしかならない。日本人の情報機関が、アメリカの主要都市の市長選に興味を有するだけでなく、実質的な分析や評価を加えるということは、可能なのであろうか、と考えてみれば、ここでの凄さが際立つことになる。

 たとえば、を妄想してみるが、孫崎氏がこの情報を直前の時期にツイートしたのは、単に、典型的な引っかけられ方をする日本人ユーザの事例を収集するというものであったりするやも知れない。反応したユーザを匿名で引用すれば、「...と引っかかる人も多いのですが、本来は、このように解釈するのが正しいのです」という事例集に使える訳である。日本人の文章読解力がここまで落ちていることを示して、わが国にも、まともなインテリジェンス機関(とまともな中等教育)が必要なのです、という教訓として利用するためなのかも知れない、という訳である。

 実際に、都知事選の内容を考察していて、これ以上、脳を動かすと、寝るとダウンしそうなので、本記事のメインの話題はこれでお休みとしたいが、孫崎氏のツイートがパンピー向け以上の何かを含んでいるとしても、まったくおかしくないなあとは思う。その場合には、孫崎氏のツイートを確認している関係者を複数種類にわたり想定する、という作業から始め、より複雑な場合分けを経る必要があるのであろう。

 以上、孫崎氏のツイートについて私が考えてみたことは、私が行っている訓練の一環である。このような訓練を最近になって行うようになった理由は、私が自分なりに陰謀論やら社会的な事件やらを構造化して考えることの必要性を痛感したためである。日本人なら誰もが、とまでは言わないが、社会科学研究者の大半は、誰もが、暗黙裏にであれ、これらの思考様式に近い処理を行っているはずである。ただし、していない者の存在を否定する気はない。



 福島第一原発事故は、あまりにも大きい。「地域で暮らす」という単純に見える概念ですら、一部の陰謀論と切り離すことができない。自然科学上の機序は議論の対象となっているものの、統計上の結果は、あからさまである。しかし、その単純さは、「戦争屋」に連なる「(国際)原発ムラ」によって、随分と歪められてきた。被害を大きく受けた旧ソビエト連邦中の三カ国は、いずれも、チェルノブイリ原発事故から多大な影響を被りつつ、国際的な(因果)関係を経て、現在に至っている。バルト三国も、事故処理にあたり、労働力を供出させられており、その影響を免れてはいない。ドイツ、北欧諸国もかなりの影響を被っている。(そのほかのEU加盟国も影響はあるが、その程度は、上記に名指しした諸国に比べれば、小さいようにも見える。)

以下は、完全に悪ノリ気味となるので、ご容赦いただきたい。

 福島第一原発事故を正確に理解しようとする者は、陰謀論を避けて通ることができない。事故は、必然的に、複数の国の間の二国間関係から構成される多国間関係を、範囲とするためである。陰謀論は、他国との関係において自国を有利とするためにも利用される。科学的事実でさえ、かなりの程度、理解が歪められた形で、相手よりも優位に立つために利用される。これほどまで、陰謀論と科学が接近する分野も珍しいのである。そうそう、「メルトダウンではないだす。」という表現は、ほとんど、ニセ科学である。

 それで、私の興味と新東京オリンピックと孫崎氏のツイートの、何が関係しているんだって?とか思わない方が良い。孫崎氏のツイートを「米国の指示した候補者が当選した」と誤解するのであれば、検討しなければならない範囲は、格段に広がってしまうのである。『火吹山の魔法使い』は、結構シビアなゲームブックだったなあ、とか。『バットマン』シリーズまで復習しておかなくてはいけないのかな?とか。いやはや何とも、世の中には、嘘のような本当の話が蔓延しているものである。

平成28年8月1日14時追記・修正

誤りを訂正し、当初の意図を変えない程度に表現を修正・追記した。分かりやすさを優先するためである。誤りであった部分については、淡赤色で修正を明記した。

 これも悪ノリの延長だが、小池氏がイメージ上、いかに捉えられているのかを調べてみた。作業は、『R』+『twitteR』による。東京都は、事故後5年後の現在においても、東京電力ホールディングス株式会社の大株主である。ゆえに、陰謀論とはかかわりなく、本件調査が福島第一原発事故と相応に深い関係にあると主張することは、可能であろう。作業については、Rファイルに詳細を示し、Googleドライブにて公開した(リンク)が、再現にあたっては、各自がAPIに登録する必要がある点に注意されたい。

 小池氏に係る話題に対して、「ジョーカー」の語が併せて用いられたのは、ここ10日間(デフォルトの検索期間)では、10ユーザ、1ツイートずつ、計10ツイートのみであった。しかも、『ジョーカー・ゲーム』に喩えるものが2名、道化としてのジョーカーに喩えたものが7名であった。1名だけ、『バットマン』シリーズのジョーカーであるかのように見るユーザがいたので、引用しておく。
 eigaq氏は、映画メインの話題なので、自らの見解をツイートする価値を認めたのであろう。よほど注意していないと、このような見方に辿り着かないという考えを補強することができようか。

株式等の状況|株主・投資家のみなさま|東京電力ホールディングス株式会社(最終更新日:2016年4月15日、2016年(平成28年)3月31日現在)
http://www.tepco.co.jp/about/ir/stockinfo/breakdown.html

 東京都の所有株式数は42676千株で、発行済株式総数に対する所有株式数の割合は1.20%、4位の大株主である。

平成28年8月9日19時追記・修正

今月1日に誤りを訂正したはずの部分が、なお意味の通じないものであったので、当初の意図を変えない程度に文字と読点を追加した。分かりやすさを優先するためであり、当初の意図から外れてはいないはずである。

 ジョーカーと言えば、『スーサイド・スクワッド』が来月(2016年9月10日)にわが国でも公開される模様である。

参考:スーサイド・スクワッド - 作品 - Yahoo!映画(リンク

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