2016年1月9日土曜日

TPPからアメリカが離脱すればTPPは発効しないのでは


 週刊新潮は、アメリカがTPPから離脱する「虞」について報じている(リンク)。以前、わが国でも多くのメディアが、アメリカか日本のいずれかが離脱するとTPPは発効しないことを述べていた。TPPが発効しないことは、わが国を含む加盟国の諸国民の大多数にとって朗報である。このため、週刊新潮に対する私の正直な感想は、「この記事は、何の迷い言だ」というものである。週刊新潮の記事には、もうひとつの詐欺的な表現がある。それは、アメリカが離脱したとしても、日本とそのほかの国との間で、TPPを締結できるかのごときの表現が随所に見られることである。
米国なかりせば、その経済規模は一気に半分以下に萎むのだ。
(#略)
「TPPはほとんど機能しなくなります。日本の損失は限りなく大きい」
 と言うのは、第一生命経済研究所の主席エコノミスト・永濱利廣氏である。
「参加によって得られると見込んでいた経済効果の大部分が失われます。
以上の表現は、米国が離脱してもTPPは発効するかのように読めるものである。そう読めない人がいるのであれば、その人は、日本語が読めない人である。

 発効の条件について、産経新聞は、
現在の参加国のGDPをみると、日米のどちらかが欠ければ発効できない仕組みだ。(リンク
と報じているし、日本農業新聞は、それに先立ち、前年8月21日、
環太平洋連携協定(TPP)発効の条件として、少なくとも経済規模で85%を占める6カ国が批准するという案が浮上していることが分かった。米通商専門 誌・インサイドUSトレードが報じた。TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官は、参院農林水産委員会で「各国がまだ意見を言っていて、引き続き調整する ことになっている。まだ固まっている状況ではない」と説明した。
と報じている。

 産経新聞や日本農業新聞の報道は、一昨日ウェブサイトに掲載されたTPPの仮訳でも確認できる(リンク)。発効の条件として、第30-5条で、23年(年度ではなく、仮訳では年のようだ)のGDPの85%以上、6カ国というものが規定されている。

 多くの報道機関の発効条件についての記事の後、数ヶ月のうちに、仮訳が公知となった直後、このような記事が配信されるからには、配信する側には何らかの動機があるのだろう。真っ先に推測される動機は、記者自身の保身であり、情報源であるTPP担当官僚の保身である。TPPを推進してきた現政権が存続する間でも、担当者は、安泰とは言えないだろう。大穴は、この記事自体が観測記事であり、この記事を受けて動いた人物を同定するというものである。私はすでに、TPPは現状では反対という旗幟を鮮明にしているので、このような記事をブログにアップしても扱いに変化はないだろう。

 超大穴の事態は、アメリカ抜きでも締結しようと日本の関係者が他国に働きかけることである。この場合は、ゼロではないが、機を見るに敏な、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアは離脱するだろうと私は予測する。すると、第一言語はスペイン語となる。仮にスペイン語が第一言語化したとしても、政府内の担当者は、一昨日みたいに、TPPの仮訳をこっそり用意できるのだろうか(リンク)。仮訳が出たとしても、もちろん、締結の条件については、信頼ができるものではないのだが。

 朝日新聞の記事に、年末年始にかけて、どちらかの大学の先生が日本語が協定の正式言語でないことを指摘されていたが、おそらく、ネタ元は、佐藤優氏の長年の主張だろう。一応、統計については、私も微力ながら、佐藤氏の主張にヒントを得て、多言語化がカギだと伝えたことがある(リンク)が、それが、TPPがこのような転び方をした結果、相談元にそのように御理解いただけたかは別として、私の主張の方が情報の取扱いのプロである佐藤氏の主張よりも状況に似合う可能性が出てきたように見える。マルコフ連鎖モンテカルロ法と鳩山友紀夫氏との関係についての佐藤氏の主張には、主に前者についての誤解があるように見え、承服しかねるところがあるものの、それでも佐藤氏の総合力は、私よりもはるかに上であると思う。しかしながら、偶然にも事態が展開した結果、可能性に留まるものの、佐藤氏の見解より私の浅知恵の方が現状にフィットする日が来ようとは、と失笑がこみ上げてきた次第である。

 なお、前回の記事(リンク)では、統計の多言語化については、佐藤氏の主張にヒントを得たことを記載し忘れていたようであり、これでは、剽窃に受け取られかねないので、ここに明記してお詫びします。(元記事も訂正しました。)

TPPからアメリカが突如の離脱 日本列島が蒼ざめる「最悪シナリオ」2016(6) (デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160108-00504582-shincho-soci&pos=3

【TPPでこう変わる】(9)発効条件と見通し 批准手続き難航も - 産経ニュース(2015年10月30日21:36配信)
http://www.sankei.com/economy/news/151030/ecn1510300064-n1.html

日本農業新聞 e農ネット - 6カ国批准で発効  TPPで米誌報道(2015年8月21日)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=34385

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