本稿では、ごく簡単に、直感に基づいた、私の日本社会のソフトランディング方法について、構想を述べる。直感であるから、私自身の好みも(、嫌いだけれどもやむを得ないという選択肢も)、もちろん入る。構想の考え方は簡単かつ明瞭で、事故を収束させ、国民の食の安全を確保し、汚染地域は隔離し、事故の再発防止のために原発は停止、汚染地は最終処分場として利用、というものである。随分と、応報刑的な考え方であることは承知している。また、今、思い切った構想を示し、縮小する人口と経済に対して、適正な規模までにリストラを進めるという決断をしなければ、他国に良いように蚕食され、わが国は目に見える形の植民地となるものと予測される。(#少なくとも3.11前までは、見かけ上は、また国民意識の多くは、植民地とは言えないものであった。)
誰かが福島第一原発事故に即して記していたような気もしなくもないが、日本人が死んで子孫に残すものが放射能だけ、というのは、いかにも情けないことである。人は死んで美田と名を残すべきである。たとえ、名が悪名となろうとも、である。
- 福島第一原発の石棺・水棺化。
- 石棺化。(実際には、大量の土砂で埋めるほかないだろう。)
- 監視体制の強化。(実際には、国際共同管理しかないだろう。 )
- 東北・関東地方の放射線管理区域相当地区の既存不適格化、原則としての立入禁止化。
- 新規居住及び新規建設の制限。
- 移転の促進、中日本・西日本における東京オリンピック関連業務への優先的な就業割当。
- 公的サービスの停止時期の設定と周知。(=首都機能移転後の五年間など)
- 大規模地震特別措置法の適用。(原子力災害特別措置法に基づく国民の支援が手厚くなるように改正することはもちろんであるが、地震時と同等程度にまでのみ引き上げることが可能であろうから、いずれでも良い。)
- 災害公営住宅の建設、全員の無償入居。
- 放射線管理区域相当地区における農業の禁止。
- 農漁業の停止。
- 駿河沖以東、釧路沖以南の操業禁止。水質常時モニタリング体制の構築、漁業者への優先的就業措置。全水揚のモニタリング体制の整備。当該地域における新規就業の禁止。
- 農地法の改正と既存農家への所得補償、就業地(の強制)移転。汚染農地における放射線量モニタリング業務就業への優先割当て、当該地域における新規就農の禁止。
- 衛星技術を用いたモニタリングの実施。
- 食品流通の抜本的変更。
- 虚偽表示に対する詐欺罪適用の法制化。
- 違反に対する傷害(致死)罪適用の法制化。
- 北米地域からの輸入食品に対する放射線量検査の拡充と確実化。
- (食糧事情から全食品の汚染を防止できない場合、)放射線量検査結果のトレーサビリティの厳格化及び表示(加工食品、外食を含む)と抜き打ち検査の実施。
- 東京オリンピックの開催について、国際社会との協議の上、可能ならば、中日本・西日本に移転して実施。不可能なら辞退。
- 西欧的な伝統の下に開始された近代オリンピックの理念に照らせば、責任者と実行組織の刷新は必須。特に、広告代理店については、担当者をすべて、その理念を体得的に理解できている人材に交替させない限り、国外企業の受入れを検討すべきである。
- 国外企業の受入れと福島第一原発事故への対策は、「アンダーコントロール」という嘘に対する謝罪を表すものとする。(国際社会との交換条件である。)「アンダーコントロール」を採用した企業の排除(と賠償)も同様の意義を持つ。
- 開催場所は、広島・岡山・愛媛・香川の瀬戸内オリンピックというのもありかも知れないとは思うが、なかなか難しいかも知れない。
- オリンピック景気を利用した、2020年以後の首都機能移転の実施。
- 基本、インフラが整備された中京圏か関西圏が候補。九州(福岡)も選択肢として取り得るが、大規模な都市圏整備を必要とするであろう。好みとしては、関西圏だが、開発の余力という点では、中京圏に軍配が挙がるだろう。
- 人口減の時期をふまえて、10年単位で段階的に実施、現在の首都圏の機能を段階的に削減。
- 国際社会における防災研究への骨絡みとなる関与。(自然現象を人災にさせない決意を具現化する。)
- 自然を悪用する兵器の運用の抑止。(従来指摘されてきた気象兵器の廃絶と検知を主導)
- 核の兵器利用への関与の中止。(=つまり、国内の原発の廃止)
- 原発の廃止。
- 廃止しない場合には、他国との運命共同体の構築(=運用するなら他国の利益とわが国の利益が完全に一致するように他国を巻き込むことが必須。ただし、それは実現しないであろうから、結局は廃止するほかない。)
- 汚染地域における最終処分の実施の検討(=真の意味での検討であり、研究上の総力を挙げる必要がある。その価値自体もある。研究分野の転身は必要であるが、原子力研究のパイも保存される。)
- 事故の発生に至る原因の解明と再発防止。
- 関係者への民事賠償請求訴訟額の上限撤廃、一事不再理の見直し。
- 責任者に対する自由刑の確実な実施。
- 国外逃亡者およびその財産承継者に対する国外における庇護の停止。
- 教育内容の変更。
- 国民の安全側に立つ理論および実践の称揚。
- エリートの破綻を実名により記述、公開、永久保存。
- 責任者一同のライフログ化およびその永久保存。
以上の構想(妄想)を、現時点の多数の日本人は、理解不能なものとみるであろう。優れた理性のある者の多くは、性急に過ぎ、現実性がないと評価するであろう。しかし、他国に骨を埋めることを思えば、関西や名古屋など、軽い軽い、と考えてもらえる者が多くいるならば、日本人は、何とか日本国に留まり続けることができる可能性に賭けることができる。大多数の日本人が外国を目指すことになれば、国の庇護を受けることはできなくなる。そうした場合の外国人の行く末は、悲惨である。徒党を組んだ強盗団に根刮ぎ奪われても、泣き寝入りということになる。唯一の方法は、居住する外国の国籍を取得するという方法であるが、それも、日系外国人が軍隊か警察に有力な地位を得たところでなければ、やはり、強盗団やヘイトクライムの被害に遭うことを免れ得ない。国際結婚という方法が最も安全に近い方法ではあるものの、それとて、日本男性は国際的に見て魅力に乏しい人物が多いわけであるから、野垂れ死にするか、軍隊に入って使い捨てを通じて信頼を得るか、という、一種のギャンブルに身を投じることになる。日本女性の方が男性より一般的に適応能力が高いものと思われるが、それでも、中国などからの女性に対して日本に居住する心ない連中が現時点で強いているように、偽装結婚から売買春へという経路を強いられるという可能性も存在しうる。
ここに挙げたような搾取の生じない方法は、ある程度の強制力を有する日本国政府が他国と国際的な約束を結ぶことによるほか、あり得ない。そして、中露とこの種の約束を結ぶくらいなら、ハードランディングの道を選ぶというメンタリティを有する者がわが国の政府に多いことは、十分に知られたことである(参考:書評)。
しかしながら、ここに私が挙げた方策は、私の考えつく限りのロスカットの方法としては、最善のものである。問題は、様々な制約条件の下、この構想に日本人自身が率先して取り組めるかということにある。私は、主な経路として、マスメディアが変われば可能である、と楽観的に考えている。マスメディアが変わり、責任をもって日本人を善導するよう官僚、政治家やその背後にいる利益追求者を追い詰めるのであれば、事態が変わると考えている。海外のマスメディアは、すでに風向きが変わったことを捉えている。日本のマスメディアは、その風に乗れば良いだけの話である。そうすれば、先に挙げた責任者への処罰は、免れ得るものとなろう。(翻心したことも記されるべきであるが、菊池寛『恩讐の彼方に』を思い出すべきである。日本人も、改心を賞賛する心性を有している。)しかしながら、その責任から逃げるのであれば、いかなる海外にあれども、日本国政府の庇護を失った日本人の安全を担保するものは、もはや存在しなくなる、という状況に陥るのである。警察官(僚)や自衛隊関係者も、海外に逃亡したからとて安全ではない。同業者に対する身内意識がこれらの業界に存在することは事実であるが、福島第一原発事故の解決に背を向けて海外に逃亡した武官は、国民の生命や健康、財産を守らなかったという軽蔑とともに受け入れられることになるであろう。繰り返すが、各人が職能の本義に立ち戻らない限り、これらの職業に就いていた日本人は、海外に逃れ住むことに成功したとしても、同業者と後世の嘲りの対象にしかならないのである。
2019(令和元)年11月2日
HTMLタグのみを訂正した。(具体的には、olタグの記法の誤りを訂正し、段落をpタグに変更した。)
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