http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160109-00099929-toyo-soci
恋愛・結婚コンサルタント/ライターである木村隆志氏は、クライシス・コミュニケーション(危機的状況=手持ちの資源だけでは捌ききれない状況下における、被害最小化のための対人活動)の要点として、「迅速かつ適切な情報開示」が求められ、「経緯、事実関係、今後の対応などを誠実に話す」のが後の「V字回復に向けた再スタート」のための基本姿勢であると述べる。その上で、木村氏は、ベッキー氏の記者会見における謝罪と対話がスポンサー企業や広告代理店、レギュラー番組のスタッフ等にのみ向けられていたと指摘する。また、聴衆の知りたいことを開示しなかったために、かえってイメージを損ねたとも指摘する。
上掲記事の文末で、木村氏は、次のように本件について言及する人に対しても助言を加えている。
最後にもう1つ、クライシス・コミュニケーションにおける“二次災害”についても書いておきましょう。今回の騒動をワイドショーの各番組が取り上げる中で、多くのコメンテーターが、「ブログやFAXではなく会見を開いて頑張った」「ベッキーも普通の女の子だった」などとフォローしていました。これは「ベッキーの人柄を知っているからフォローしてあげたい」という温情かもしれませんが、クライシス・コミュニケーションにおけるコメントとしては間違っています。本件では言及する話題が既婚者との不倫となるため、ベッキー氏を擁護する人は、「あなたも不倫する人を擁護するのか?」という巻き添え被害に遭う可能性がある、と木村氏は述べていると理解できる。木村氏の指摘は、コンパクトにまとまっていて、私にとって勉強になった。
問題はベッキーさんの人柄ではなく、ベッキーさんの採った行動。もし行動が悪かったのなら、それをフォローした人も、当事者のイメージダウンに巻き込まれてしまいかねません。みなさんが公私において責任のある立場にいるのなら、公の場はもちろんSNSなどにも、温情に任せたコメントを発信しないことがリスク管理になるのです。
ところで、ほかでもない、この記事を参照したのは、前の記事(リンク)で中川淳一郎氏がCM企業を擁護するかのように発言したことにも応用できるためである。「頑張っているんだ」という表現から、地獄のミサワ氏の有名な漫画の台詞「寝てないっスよ~」に連想をつなげれば、この点は一層明らかになるだろう。マスコミによって「私だって寝ていないんだ」との社長の言が大きく報道された雪印乳業株式会社による集団食中毒事件である(平成14年、2002年)。事件直後に社長に就任した西紘平氏の講演を、山本敏晴氏がブログにまとめている。山本氏は、西氏の出身高校の同窓の後輩である。当時の経緯を当事者に近い地位から見たものとして、読み応えのある内容である。
山本敏晴のブログ : 雪印集団食中毒事件、その対処をした男の物語 6742字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65450486.html
これ以上は、私のくどい説明は不要だろうが、まとめておこう。中川氏は、不要な発言により、CM企業が「痛くもない腹を探られる」危険を生じさせてしまったのである。これに対して、木村氏の記事は、そのような予断を生じさせない、隙のないものである。危機においては、中川氏の失敗を他山の石として、木村氏の記事を参考にすると良い、と思う。
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