2016年1月23日土曜日

情けは人のためならず:北朝鮮の核実験を日本国が非難するとブーメランになる

渡部真 on Twitter: "SPEEDIの情報が発表された事に関して、「原発事故の時は隠したくせに、今回は速攻で出してきた」と憤りツイートが散見されるが、皮肉を言いたくなる気持ちはわかる。ところで、その多くは放射線量0を目指すべきという主張者だと思うのだが、そもそも北朝鮮の核実験そのものを批判してるのかな?"
https://twitter.com/craft_box/status/685027272525365248

フリーランス編集者の渡部真(@craft_box)氏が北朝鮮の核実験について上掲リンクのように言及していた※1のを、偶然見かけたが、この点について、含むところがあり、私自身の見解を以下に示すこととした。

私自身の北朝鮮の核実験に対する考え方は、次のようなものである:3.11以前ならば、あるいは、福島第一原発事故後であっても、言葉の上ではなく、現実に事故の影響を封じ込めることに成功していたならば、一人の日本国民として、非難を行うことは可能であった。しかし、事故の封じ込めに実質的に失敗している現時点では、批判することはブーメランとなるために止めておくべきである。他国を批判できるだけの資格を有する状態に自国を保つことが、国民の第一の道義的責任である。よって、北朝鮮に対する個人的な非難は、二の次にならざるを得ない。

また、国際社会の視点から見れば、わが国には、非難を控えざるを得ない事情がある。福島第一原発事故は、ロンドン海洋条約に違背し、アメリカ大陸にまで及ぶ広域な汚染を生じさせている。このために、自らの身を律さない形で北朝鮮を非難することは、対日包囲網に逆用されかねない。現状の「アンダー・コントロール」は、俗に言うブーメランになりかねないのである。北朝鮮は、もちろんわが国にとっての仮想敵であり、拉致被害を生じさせ今も解決しない国である。しかし、彼らは世界の警察を自認するアメリカ合衆国の黄金時代を相手にしながら生き延びてきたわけで、決して、現時点のわが国ほどに愚かではない。むしろ、非難を提起することは、わが国が先に滅亡へと至る一手となるという危険性を持つのではないか。北朝鮮がアメリカの放射線量測定データ、世界規模の放射線データ、世界の風向データの三者を用いれば(そして、これらはすべてオシントである!)、容易に対日非難を提起するための材料を構成することができる。これに対して、調査捕鯨に係るエビデンス論争でさっくり敗北したわが国の官僚チームが対抗できるとは、私には、とても思えない。いずれにしても、福島第一原発から未だに放射性物質がだだ漏れであることは、多くのニュースが明かしているところであり、挙げる必要はないだろう。

ある国において、国民が他国を罰するよう権力者に圧力をかけることは、その国の権力者にとって、手札の枚数を一枚増やす効果がある。ただし、国民がどうこう言うことは、所詮、その程度の効果しか持たないものでもある。よって、現実主義者の日本国民ほど、先の核実験については、本来、沈黙せざるを得ないのである。それに、現在の日朝関係をふまえれば、残念ながら、北朝鮮という国を、日本国が単独で能動的に変革させることは、まず無理である。(北朝鮮が変革することがあれば、それは、北朝鮮が望んでのことであろう。イニシアティブは、向こう側にあると考えるべきである。)もし、それだけのことができると主張する者がいたとするならば、なぜ、昨年(2015(平成27)年)11月4日の中央線に対する自転車投げ込み事件くらい、解決できていないのか?と問うておこう。(あの事件は、ある建物とある建物の近辺である。何なら動線上である。)国交のない国による、日本国内での活動を効果的に抑止できていないのに、どうして、相手国を困らせ、こちらの言い分を飲ませるような交渉ができるのだろうか?これが、「対外関係にまったく影響力を有さない個人である私」の当座の結論である。残念ながら、外交力という点では、北朝鮮の方が一枚以上上手かも知れない、と私は見ている。

本件で以上のように私が述べたことに対して、敵対的な感情を覚える日本人は、核実験後の今こそ、なぜ、金正恩氏が年頭演説で日本国について言及しなかったのかについて、考えてみるべきである。この課題は、時間切れとなったテストへの解答を、先生にヒントを出してもらって解けるように訓練する演習問題に相当するものと考えられる。本来の外交のプロならば、言及しなかったことをもって、核実験を実施することを見抜けていたのかもしれないな、と妄想してみているところである。よって、私自身は、後知恵は出たけれども、プロにはなれないな、と勝手に得心している。では、私の解答を記そう。金正恩氏が年頭演説で日本国について言及しなかったことは、「日本に言及しなかったのは、お前ら日本も俺らに言及するなよ。」というメッセージだったと解釈するのである。プロならば、メッセージなしという状態に対しても、他国同士の外交などにおける前例を通じて、北朝鮮が何かするというシグナルだと解釈できた可能性もあるのであろう。このように考えてみると、北朝鮮の「無視」は、実は、福島第一原発事故に不言及であったという温情であったと解釈することも可能なのである。

以上に記したような、日本国民として沈黙した方が益があるという意見は、公開情報のみを元にして、私が達した結論である。しかし、この結論は、他国との関係を解釈したときにのみ必然的に得られるものでもある。このような難しさを、国際関係は有している。しかしながら、今現在、わが国の民度は、著しく低下しており、「北朝鮮を批判しない者は非国民である」くらいの勢いまで、一部の愚者たちの意見が達しようとしている。それゆえに、外交関係に影響力がなく、当該国の知己もおらず、非力な一個人であるという身分を生かして、日本国民(一部上級国民の利益を除く)の利益になるよう、解釈を試みた次第である。

最後に強調しておきたいのは、わが国は、風下となる多くの国に迷惑をかけている状態にあることである。日本人だけが滅亡するのであれば、日本人としては、自業自得、諸行無常である、と言いうる余地はあろう。しかしながら、他国民への不当な暴力は、国際関係に生きる現代の帝国主義者である一個人ならば、断固拒否すべきである。なぜならば、現代の国際関係は、他国への暴力を看過するほどに間抜けなものではないためである。そのような暴力は、相応の対応策がなければ、必ずや、自らへと熨斗を付けて返礼されることになる。これは、単に、現代が帝国主義の時代であるという命題を受け入れれば、演繹的に導出できる定理である。私が個人の考察を公にしたのは、惰性で公開情報から中国共産党や北朝鮮や韓国やロシアや日本共産党や各種極左やオウム真理教の動向(だけ)を解説することだけが国民の安全を保護するための仕事ではない、ということを強調するためである。わが国(厳密には東京電力)は、偏西風の助けを借りて、北からカナダ、アメリカ、メキシコの三か国に放射性物質を散布したことになる。この点をゆめゆめ忘れることがあってはならない。私の義母がメキシコ産やカリフォルニア州産のブルーベリーを購入してくることに対して、私は困っている。誰かの表現を借りると、「まさにブーメラン」、因果応報なのである。

※1 ページタイトルに全文が含まれるのは、わが国の著作権法における引用との整合性に苦慮する。




参考

本記事は、(正式名称すら未確認だが)公開情報の分析センターの発足にインスピレーションを受けて記したものでもある。はっきり言ってお笑い草なのだが、私の記事を確認いただいたことのある国は、ロシアとアメリカのほかには、ないように見える。この状態のどこが、「公開情報の分析に力を入れる」なのであろうか。これは直感に過ぎないが、日本国の「オシントセンター」は、NSAに40周くらいの周回遅れの「テキントセンター」になりそうな気配が濃厚である。オシントの基本は、正統な知識である、と私は信じる。この点、たびたび取り上げるが、佐藤優氏のMCMC理解は、この点を十分に心配させるに足る傍証である。彼が鳩山氏の解説に際して自信満々であるほどには、私の側に材料が十分とは言えないので、この点は、準備が必要だが、私の鶏頭が機能している間に取り上げてみたい話である。某掲示板における某スレッドにおけるやり取りを見る限り、ロシアとの関係を騙る日本語話者の詐欺師たちを一掃するための試金石ともなりそうだからである。

なお、アメリカは、本記事を収集しても、インデックス化しただけかも知れないという点、残念に思っている。ロシアの意図は、私には分からない。RTの記事を紹介した日本人ということで、もれなくご確認いただいているのだろうか。日本人の知的水準を量る目的があるとすれば、日本人は、ニートまっしぐらレベルの者で、この程度の文章をものしている、と胸を張ってみせるとともに、ご覧いただいたことに感謝を申し上げたい。決して、私は、日本国が敵とみなしている存在に塩を送っているわけではない。なぜなら、これらの文章は、すべて日本語で記しているからである。翻訳と解釈という、二段階の作業がロシア側には求められるのである。ただ、本ブログが日本語で記されているのは、私がロシア語を学ぶときにキリル文字がまず頭に入らないことによるためかもしれない。ロシア語の学習をそこから始めなければならないのが、大多数の日本人の状態であろうが、私もその中の一人に過ぎないのである。

話ついでに記しておこう。すでに同様の考え方に到達した先人も多そうに思われるのだが、仮に、アポロ11号の報道なかりせば、キリル文字は、より多数の日本人に学習されていたかも知れない。この点は、科学・技術・社会論(STS)においてより深く探求されて然るべき課題であると、私自身は考えている。ただし、同時に、本件は、あまりにもセンシティブな話題であるために、もう少し時間をおいて、正確な事実を確認しようとしても○されない状況が醸成されてからの後であっても良いかも知れない、とも考えている。昨年末のスタンリー・キューブリック氏のインタビュー映画は、このような状況を作り出したのである。リトビネンコ氏暗殺の話と関連していたら、これまたややこしそうな話である。

(耕論)非情、対テロ情報戦 吉村郁也さん、エフライム・ハレビさん
2016年1月22日05時00分
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12171305.html




2016年2月15日追記

今更、知ったことは、明らかに踊らされていたことにもなるので、少しばかり癪ではあるのであるが、以下の記事を読んだ。米露の両国ともにおいて、知性ある人々が専門分野を違えつつ組織的に活動していると、わが国との違いが際立つということが、よく分かる内容であった。わが国には、科学を酸いも甘いもかみ分けて理解できるという情報組織関係者は、いるのであろうか。わが国の情報組織に関係を有する理系関係者は、専らが情報系の研究者であり、ある種のスキーマ(ここでは先入観とも言い換えられよう)から自由でないように見受けられる。情報系の研究者は、その道の専門家ではあろうが、STSについてのセンスが決定的に欠落している人が大半であるようである。某集団なんて、色々含んだ上で反論している人たちの集まりではなく、むしろ、根が純真で、その分、外国の利益のために都合良く利用されている人たちの集まりではないか、と疑いを入れてしまうのである。

Moon Landing Hoax? Russian Official Wants Apollo Mission Investigation In Wake Of US FIFA Corruption Arrests
http://www.ibtimes.com/pulse/moon-landing-hoax-russian-official-wants-apollo-mission-investigation-wake-us-fifa-1973640




2017年4月14日追記

#この追記とともに、文意が通りやすいように語句を修正し、HTMLのBRタグをPタグに変更するなどしてレイアウトを調整した。

今更であるが、2015(平成27)年11月4日の中央線への自転車投入れ事件の犯人である法政大学2年生の学生(20)が翌年2月4日に麹町署に逮捕されていたことを、14日中に知った。上記の追記は、逮捕直後と言って良い時期であるが、知らずに記したものである。私が本稿を通じてマヌケさを晒した様子は、本追記により後世に分かりやすい形で残されるであろうが、それは自業自得というものであるし、修正したことを明記する方が私のポリシーに合うから、やむを得ない。明記して残しておく。

ただし、本記事において念頭にあったのは、2015年11月時点で同時進行していた「ぱよちん事件」であり、北朝鮮に対するわが国の公共安全リソースが優秀であるとされることに対する疑問であった。「ぱよちん事件」に係るネトウヨ界隈の憶測が仮に正しく、わが国の公共安全関係者が御用筋や身内から指摘されるように優秀であるとするならば、朝鮮総連のお膝元と呼べる場所で生じたテロ紛いの事件を、スピード解決できない訳がない。これが、本記事(の本文)の意図であった。そのように読める文面となっていることを期待する。

私自身が通常のオシントの定義にあるような継続的な定期刊行物の収集作業を怠ったことは確かであるが、私の職責は、政府の行政職員や技術職員のようなルーティンワークを漫然と無償で行うことではない。正当で役に立つ知識を形成し、あるいは取り揃えることである。それに、私が自信を持って物事を指摘するとき、その重点は、(あるいは、仮に、私に期待されていることがあるとすれば、それは、)人命の保護を目的とする研究分野に必要とされる知識体系を、日本語で公開することにある。踏み込んで表現すれば、本ブログの社会的使命は、行政職員や技術職員や学識経験者の知的怠慢を追い込み、その職務に緊張感を持たせることにある。公務員に対する健全な批評は、競争原理の作用しにくいこれらの職業人にとって、より良い状態を目指してもらうために不可欠な力である。

防犯環境設計をかじった者から見れば、中央線の自転車投入れ事件が発生したこと自体は、わが国の都市計画と警備警察の敗北そのものである。また、逮捕にこぎ着けたこと自体は、刑事警察?(ネットに散在する報道のコピペを漁る限りでは、警視庁麹町署とのみ表記がある。同署は、土地柄、公安警察の重要な拠点である。)の実力として評価されるべきことと思われる。が、これは単なる部外者の感想である。ただ、仮に本件が国際的に懸念されているようなテロ事件であったとするならば、3カ月という期間は、外国に拠点のある犯人を逃し、犯行の証拠を隠滅されてしまう上で十分な長さであろう。この期間の長さは、容疑者の所属していたとされる芸能事務所ゆえか、はたまた、私による見込み違いと同様、北朝鮮やぱよちん事件に関連した事件であると誤解したためか、私には確認しようのないことである。

法政大学の学生、JR中央線へ自転車を投げ込んだ疑いで逮捕 : J-CASTニュース
(記名なし、2016年02月04日)
http://www.j-cast.com/2016/02/04257546.html




2017年9月7日訂正

2017年4月14日追記分における記述を訂正した。当時、私に取り得た方法は、(1)何も言わずに訂正する、(2)修正せず放置する、(3)明記して訂正する、の3通りであった。このうちの、(3)明記して訂正するという方法を採用した、ということである。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントありがとうございます。お返事にはお時間いただくかもしれません。気長にお待ちいただけると幸いです。