2017年4月23日日曜日

(メモ・感想)日米豪印戦略対話とTPP11の非整合性

#TPP11と日米豪印戦略対話との関係性を考察するのに必要な材料をメモするが、材料なしの推測が多く含まれる。海洋政策(というより安全保障)自体は、私の直接の興味から外れるから、事実の調査を推測・予想で補うという手抜きをする(◆マークで示す)。これらは、大メディアから供給される日本語情報だけでは、理解を組み立てられない。Google様のご神託なら一発のことが多いが、手抜きするのが私のクオリティというものでもある。手習いでもあるので、本記事の構成がバランスの取れたものだとは考えない方が良い。

今月の首相動静からすれば、日米豪印戦略対話(QSD; Quadrilateral Security Dialogue、セキュリティ・ダイヤモンド構想)が現在も潜在的に機能していることは事実であろう。QSDは、対中軍事同盟という側面を有するものでもある。◆この点、田中氏の所論である日豪亜同盟は、部分的に正しいが、この動き(QSD)を認知したものではないか、あるいは、あえて自説にこだわる理由があるということか。

TPP11は、QSDの同盟格上げ(または日豪亜同盟)を成立させる助けとはならない。対話が同盟に格上げされたとしても、TPP11が鬼っ子として同盟を阻害する虞が高い。防衛装備を対象には取らないとは言うが、TPP11があると、むしろ、(域内の自由貿易を促進するという建前のTPP11が)同盟における軍事物資の調達の妨げになる。何より米国製の軍事製品を阻害する。加えて、国際的無国籍企業の非制御性が戦乱の火種となる。TPP11の非対称国であるインドの地勢は、インドにとって同盟成立の際の良い交渉材料となる。この非整合性は、TPP11とQSDとを両立させない。インドは、中国にとっても海路の要衝に位置するが、一帯一路構想は、インドを南北側から迂回するルートも含む。インドを直接縦貫するものも含む。◆中国にとって、ルート選定は今後も柔軟に、ということだろう。

◆TPP11にマレーシア・ブルネイが後ろ向きな理由は、中国の海洋政策ともリンクしているだろう。◆というのも、両国は、中国の海洋進出(正確には、シーレーンの安全確保であろう)の影響をフィリピンの次に受けることになるから。◆中国は、フィリピンとの交渉を大方完了させたのだろう。◆中国からすれば、ベトナム・タイ・ミャンマーと仲良くしておけば、海路の確保は十分なようにも思える。が、クラ運河構想は、まだ構想のままということだろうか。マラッカ海峡の利用(と安全)は、シンガポールにとっての死活問題。クラ運河(中文Wikipediaは、繁体字)構想は、構想を示されるだけでも脅威として機能。全関係国が使用可能という話は、シンガポールの核心的利益を侵害する。ブルネイは、クラ運河によってさほど影響を受けない(スリランカ南部まで4000km台)。ベトナムは同じくらいのノード数だと、900kmくらい短縮か(Google Earthでホーチミン港あたりから適当に計測、3000kmくらいに短縮)。

◆TPP11が各国民に支持される余地があるとすれば、先進国としての生活を充足させる見込みが確実な場合にのみ。中国の富裕層は、名目所得でも?実質所得でも?日本国民全員より人数が多いかもという状態にある。中国経済は、自転車操業と言われる土地本位制経済を始めてかなり経過しているが、日本国内の対中強硬派の見込みに比べれば、今のところ遙かに安定的に推移。◆他国への中華系移民は、基本的に日本人の生活を支える3K階層ではないが、日本人の先入観は従来通り。◆国民の割合では何とも言えないが、人数だけでいえば、中国経済は日豪に代表されるアジア先進国に比較して遙かに成功したと主張されても仕方ない。◆TPP11はこの生活水準を逆転させるか、させないだろう。




2017(平成29)年4月23日13時追記

田中宇氏は、有料記事の中で、以下のように述べている[1]。加盟国だけで言えば、TPP11[2]よりもRCEP[3]の方が、日豪亜同盟体制に整合的である。しかし、安全保障体制構築の必要条件とは、依然として矛盾する。この矛盾はいかにして「止揚」されるのであろうか。やはりいずれも無理、というオチで終わりそうではある。

[1] トランプの東アジア新秩序と日本
(田中宇、2017年04月18日)
http://tanakanews.com/170418china.php

米中協調体制は、アジアの多極化を加速する。日本や豪州が何もしなければ、中国は、日豪亜の予定海域をすべて併呑し、米国圏と中国圏が隣接する世界構造にする。その場合、日本や豪州は国際的に窒息させられ、今よりさらに影響力が低下し、今よりもっと台頭する中国に、好き勝手にしてやられるようになる。対米従属一本槍は、日本や豪州にとって、自滅的、売国奴的な戦略になっている。中国と敵対するのでなく、こちら側も海洋アジア諸国で結束したうえで、中国と仲良くするのがよい。

[2] TPP政府対策本部
(2017年04月20日)
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/index.html
#どんどんリンクを変えるのはいかがなものか。行き当たりばったり感満載であるし、(前例を踏襲するが)過去の教訓を学習することのないわが国の行政のあり方を良く反映している。

[3] 東アジア地域包括的経済連携(RCEP) | 外務省
(2017年02月24日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j-eacepia/

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