2016年10月1日土曜日

豊洲市場カジノ転用説に係る落ち穂拾い(メモ)

 庶民・社会から見たカジノの構造的な脆弱性とは、このビジネスが賭け金・勝ち金の上限なしに認可されることである。カジノの基本的な儲けは寺銭によるものであり、賭けられた金額が高額になればなるほど、カジノの取り分(の期待値)も増大する。それゆえ、気風良くも細かく賭け続けてくれる資産家のプレイヤーはカジノにとって有難い存在である。この上客から「大きく負ける代わりに他の客を勝たせてやってくれ」という八百長の申入れがあったとき、この申入れに抗うことは、カジノにとって構造的に難しい。不心得者のディーラーを巻き込む形であろうが、ディーラーの上司に当たる者を籠絡する形であろうが、この不正が発覚しない限り、八百長の当事者とカジノにとって、この不正は「三方良し」の「被害者のいない犯罪」となるためである。このとき、カジノは資金の流れを不明瞭にしたまま金銭の授受を実現するという、贈収賄の装置として機能することになる。この構造的な脆弱性は、賭け金・勝ち金の上限が撤廃されることで決定的なものとなる。

 社会構造上の脆弱性が定性的に指摘されていることは、カジノという業態の開拓を企図する先駆者にとって、クリーンなビジネスを展開することを主張するチャンスともなる。新規に法体系に手を入れるからには、カジノという新規業態が厳しい査定に遭うことは当然である。しかし他方で、ほかのギャンブルにおける構造的な脆弱性は、根強く囁かれてきた。主催者を巻き込めば巨額の贈収賄が簡単に実現できるという構造は、ギャンブルビジネスの最大の弱点である。これらの脆弱性がないシステムを考案し、既存のギャンブルとの比較を行い、既存のビジネスよりも公正な運営を実現するシステムを用意できるのであれば、カジノに対する庶民の拒否感はむしろ後押しに変わるであろう。

焦点:日本カジノに米サンズが100億ドルの賭け、巨大市場にらみ先陣争い | ロイター
2014年02月28日18:20 JST
http://jp.reuters.com/article/l3n0lv3rw-analysis-casino-idJPTYEA1R08O20140228
アデルソン氏は、〔2013年11月、〕超党派議員で構成するカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟=IR議連)の細田博之会長(自民党幹事長代行)に、熱のこもったプレゼンテーションを行う。関係筋によると、アデルソン氏は、東京の台場エリアの複合リゾート施設構想の模型を披露しながら、スライドを1枚1枚使って説明した。ただ、政財界には、日本の国内企業がカジノ解禁で重要な役割を果たすよう望む声が少なくない。アデルソン氏の積極戦略とは一定の距離を置いている様子もある。
 アデルソン氏の熱心なPRに対し、細田氏はシンガポールのIR施設と全く同じようなものを東京お台場に作っても成功すると限らないと話している。そして、東京には歌舞伎座などさまざまな文化があり、それらを有効的に活用した方がいいではないか、とのアドバイスをしたという。



 カジノの運営におけるクリーンさを確保する上で、人工知能研究は、かなりの貢献が見込める分野である。顔画像認識への人工知能による支援は、すでに実用化されているが、各ゲームの手番と勝ち負けを詳細に記録するためにも利用できることが見込まれる。カジノの利用者が四方八方からカメラで撮影されていることを否定する者は、もはやいないであろうし、それを嫌うがためにカジノの利用を見合わせる客もいる訳ではなかろう。問題は、手番ごとの取引の一部始終を正確に記録することが人間では難しいという状況にある。理論上、すべての手番を正確に記録することができれば、誰が実力の割に大勝しているのかを把握することが可能となる。

 もちろん、それとは別に、カジノでしか対戦できない高度なAIディーラーは、一つの集客力のあるコンテンツとなり得る。IBMのDeep Blue(チェス)やDeepMindのAlpha Go(囲碁)の成功は有名であるが、ディープマインド社は、コンピュータゲームを自律的に習得して高得点を出すAI「DQN(Deep-Q-Network)」も開発している。十分に強力で人間のような動きをするeスポーツの相手がいるのであれば、私もノコノコ出かけてしまうかも知れない。

DQN (コンピュータ) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/DQN_(%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF)



 築地市場では、三輪のターレット式構内運搬自動車(turret truck)※1が荷物の運搬に利用されている。この自動車は、ハンドル・ハンドル型アクセル・機関部・駆動前輪等からなる前方の円筒形の部分が回転式砲塔(turret)に似ているために、ターレー等とも呼ばれる。運転者が機関部の後ろに立ち、機関部上部のハンドル、ハンドル型のアクセル、フットブレーキ、ハンドブレーキを用いて運転する。ターレーを製造してきた国内企業には、株式会社朝霞製作所、富士重工業株式会社、ニチユ三菱フォークリフト株式会社、株式会社関東機械センターがあったが、平成28年9月時点で、ターレーの性能をウェブ上で公表している企業は、ニチユ三菱フォークリフトと関東機械センターの2社のみである※2

 豊洲市場では、複数階を荷物を搭載したターレーが移動することになるため、ターレーの仕様と実際の用いられ方は、通常の設計プロセスにおいて、考慮されるべき要素となる※3。関東機械センターとニチユ三菱フォークリフトの水産市場仕様のターレーは、カタログによれば、いずれも3輪で、積載時の重量の合計が2トン近くになる。関東機械センターの電動型上位機種の「MightyCar BN-5」は、車両重量940kg、最大積載量1000kg、1000kg搭載時の最大登坂力が9度である。他方、ニチユ三菱フォークリフト株式会社のHT10F-70は、標準積載量1000kgで登坂能力の負荷は1/8であり、ラインナップ中の最大重量車種(HT10F-70-191・HT10F-70-182)の車両重量は、750kgである。

※1 築地市場で用いられている車両は、道路運送車両法施行規則(昭和26年8月16日運輸省令第74号)にいう「ターレット式構内運搬自動車」のうち、長さ4.70m×幅1.70m×高さ2.80m以下かつ最高時速15km以下の、小型特殊自動車のようである。

※2 現在では、ウェブの公開情報だけによっては、朝霞製作所の破産(2012年)に係る事実を確認できない。富士重工業のエコテクノロジーカンパニー(事業部門)の終了(2013年3月31日)は、第82期(2013年3月期)有価証券報告書及び内部統制報告書によって確認できるが、同社のブランドである「モートラック」シリーズの生産については、明記されていない。

※3 少なくとも、ターレーの実際の使われ方を検討せずに、基本設計と構造設計を行うことは、考えにくいことである。

※4 ターレーのタイヤについてのウェブ情報は、ニチユ三菱フォークリフトのカタログのみであり、「ノーパンク4.00-8」が3個である。


道路運送車両法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26F03901000074.html

株式会社関東機械センター
(MightyCar BN-5の製品案内)
http://www.kantokikai.co.jp/products/b2.html

バッテリー式構内搬送車 エレトラックHTシリーズ カタログ(…G…„…g…›…b…N_3.3.qxd - catlg_13.pdf)
(2015年03月18日)
http://www.nmf.co.jp/product/img/catlg_13.pdf

ターレットトラック - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF

富士重工業株式会社 有価証券報告書及び内部統制報告書(第82期、2012年4月1日~2013年3月31日)
(富士重工業株式会社 - ms_82.pdf)
http://www.fhi.co.jp/ir/report/pdf/ms/ms_82.pdf

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