2016年10月15日土曜日

ベラルーシにおける事故時年齢別の甲状腺癌患者の手術数(メモ)

 以下の表は、高村昇氏を筆頭著者とする『ランセット』誌の分科誌である『The Lancet Diabetes & Endocrinology』に掲載された論文中のグラフから読み取った、ベラルーシにおける事故時年齢別の甲状腺癌患者の手術数である。作業にあたっては、『Gimp 2』でコピー&ペーストした画像の画素を参考にした。(#目視で読み取ったようなものである。いい加減、読み取りのための半自動化ソフトウェアとか作ろうかな、とも考えてみる。)

[1] Takamura, N. et al, (2016). Radiation and risk of thyroid cancer: Fukushima and Chernobyl, The Lancet Diabetes & Endocrinology, 4(8), 647.
http://dx.doi.org/10.1016/S2213-8587(16)30112-7
http://www.thelancet.com/pdfs/journals/landia/PIIS2213-8587(16)30112-7.pdf

事故時の年齢1986-89年1990-94年1995-99年2000-03年
0歳0122149
1歳052110109
2歳03810887
3歳3479856
4歳1365539
5歳1434842
6歳0304936
7歳2302544
8歳0313145
9歳1252945
10歳2192529
11歳0152940
12歳1103047
13歳2142737
14歳2134047
15歳0164056

 これらの数字は、菅谷昭氏のグループによる1998年当時の患者数の報告と桁数が合致するので、読み間違いの程度に問題があるとは考えにくい。それに、掲示板『阿修羅』の結果とほとんど変わりない(最大2名のずれ)。ただし、菅谷氏の報告に患者数の定義がなく、高村氏の報告にも複数回の手術のカウント方法の詳細が記載されていないため、この患者数が何を意味するのかは、私には分かりかねる。

  ベラルーシでは、チェルノブイリ原発事故による放射能汚染地域の法的扱いについて」法により、汚染地域は5種のゾーンに区分され、年間(#追加の?)1ミリシーベルトを超える地域では、移住の権利が認められている[4]。ベラルーシの食習慣はヨウ素摂取の機会に乏しく[4]、ベラルーシの患者数自体にもスクリーニング効果が認められるという[2]。このため、福島県県民健康調査における甲状腺検査の結果のうち一巡目については、高村氏の指摘のとおり[1]、スクリーニング効果であるという指摘にも一定の論拠がある。しかし二巡目までをスクリーニング効果により発見されたものと考えることには無理がある。過去18年分の潜在的な患者を一巡目のスクリーニング効果で拾ったことが認められるとすれば、二巡目のスクリーニング効果は、せいぜい4年分しかない。このため、一巡目のすべての患者がスクリーニング効果によるものとしても、二巡目については、ほとんどのモデルによって、スクリーニング効果以外の何物かの要因が認められることになろう。


[2] 菅谷昭,ユーリ・E・デミチク,エフゲニー・P・デミチク, ベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺ガンの現状
(今中哲二[編], (1998). 『チェルノブイリによる放射能災害 国際共同研究報告書』, 東京:技術と人間.所収, NDL-OPAC
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html

 [3] ベラルーシにおける小児甲状腺癌の患者数
(目視による読取り結果が示されている)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/507.html#c8

[4] ウラジーミル・P・マツコ,今中哲二, ベラルーシにおける法的取り組みと影響研究の概要(Mtk95-J)
(今中哲二[編], (1998). 『チェルノブイリによる放射能災害 国際共同研究報告書』, 東京:技術と人間.所収, NDL-OPAChttps://web.archive.org/web/20040906210539/http://www-j.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Mtk95-J.html

#甲状腺癌は、福島第一原発事故の被害を極小化しようとする人物や組織にとっては、いわば天王山であるため、多くの無理な解釈が試みられることと思われる。同時に、検査態勢をわざと杜撰なものとして、実質的には治療を行うという方法論が取られるものと、犯罪予防の観点からは予測される。この枠組こそは、利益の極大化につながるためである。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントありがとうございます。お返事にはお時間いただくかもしれません。気長にお待ちいただけると幸いです。