2015年11月4日水曜日

JR東日本の中央線に対する自転車の投げ込みについて

中央線の電車が自転車と衝突、一時運転見合わせ:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASHC37TSBHC3UTIL02B.html

2015(平成27)年11月4日23時09分ごろ、JR中央線御茶ノ水―四ツ谷駅間で、快速電車が自転車と衝突したが、自転車は投げ込まれた可能性があるという。本事件は、今年8月の連続不審火と比べて、より刑罰が重い往来危険罪とみなされ得る。私の憶測に過ぎないが、本事件は、犯行声明も見られず、従来型の極左グループによるサボタージュ型の手口でもないように見える。個人が激情に任せた結果※1の犯行なのではないかとも想像してみたりする。

本事件の手口には、東京の社会基盤が江戸時代の社会基盤を食いつぶす形で建設されたという事実が深く関係している。江戸は、水路ともなる濠が、上空から見て時計回りに外側に向かう渦巻き状に配置されている。中央線及び総武線は、現場付近では、江戸城外堀の内側に1894(明治27)年までに建設されている※2。濠の利用は、用地取得が簡単であったためであるが、関東大震災も戦災後も都市改造が計画通りに進まなかったことを思えば、この方法は、一概に責めることはできない。しかし、低い位置に線路があるということは、本事件のような手口を防ぐ上で、大変に困難な事態をもたらす。

また、地方自治体(ここでは特別区)によるごみ収集が、サービス受益者にとってきわめて円滑に運営されていることは、本事件の手口を想起させるような不法投棄の危険性を一般の人たちの意識の外へと追いやることにもなる。私の偏った海外経験では、世界の鉄道全般について議論を進める訳にもいかないが、わが国では、ほかに不法投棄可能な場所が多いためか、少なくとも、線路めがけて運行を妨害するほどのゴミを不法投棄するということにはなっていないようである

先の記事(リンク)などにおいて、さんざん指摘してきたことであるが、鉄道事業者が率先する形で、比較的安価かつ有効に類似事件を防止することは、可能である。もちろん、その結果として、(本来の意味の)確信犯がより困難な手口を実行しようとするという相互亢進が引き起こされる虞は、十分に認められる。しかしながら、司法関係者は、いったん事件が起こされる前であれば、簡単に起こされてしまった事件への対応に追われる前に、より実効的な対策へと労力を向ける余地を有する。一罰百戒、あるいは、検挙を通じた防犯といったスローガンは、素人には一理あるものに聞こえるが、確実に実施されない限り、模倣犯を生まない保証はないのである※3


※1 奇しくも昨日から、飯田橋に支社のある企業エフセキュアの従業員がその不法行為を咎められており、2ちゃんねるでは、事件当時も、祭りの最中(リンク)である。現時点では、Amazon.co.jpにおける製品のレビューにまで影響が波及している(リンク)。本日19時時点で、1つ星評価が多く付けられ、平均1.5程度まで評価が低下している。従業員の非違行為を理由に製品レビューに低評価を付けることは、先走り過ぎであり、偽計業務妨害罪に問われかねない行為である。エフセキュア社もプレス・リリースにおいて同社のサービスには影響しないと明言している(リンク)。事実関係を区別できない市井の声が短期間に大きく反映され、結果として不当な損害が企業に与えられるという事態は、わが国に限らず、危機管理上の難問になっている。

※2 [中央線開業120年]東京の中央を貫く、オレンジ電車の今昔
http://www.token.or.jp/magazine/g200911.html

※3 にもかかわらず、本事件について、犯人が先の私の想像通りだったとすれば、本事件への注力は、結果として報われるものになるだろう。




平成27年11月4日23時06分追記

視聴中のTBSのNews23でも事件が取り上げられた。事件の場所は、外堀の内側に当たる。番組に示された地図からは、以下の地点だと思われる。JR東日本代表取締役社長の冨田哲郎氏は、「今後一層の検討が必要」と発言したようである。千代田区立公園であるようなので、区との協議などを通じ、実効的な対策を進めることが望まれよう。

Google マップ
https://www.google.co.jp/maps/@35.697689,139.741508,17z




平成29年04月15日追記

詳しくは、2016年1月23日付の記事に追記した内容に譲るが、2016年2月4日に犯人が麹町署に逮捕されていることを昨日知った。明記して、後々の反省材料などにしたい。なお、本追記に際し、本文のbrタグをpタグに変更するなど、主として体裁に係る修正を実施した。内容については、エフセキュア社のナカグロと淡赤色部分の修正を除き、手を付けていない。

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