2015年11月13日金曜日

平成27年版『犯罪白書』の報道に接して

性犯罪後の講習が効果、再犯率5分の1に…白書 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151113-OYT1T50125.html
特別調査では、08年7月~09年6月、性犯罪で懲役の有罪判決が確定した1791人の再犯状況を調べた。
 このうち実刑となった731人の出所後3年間の性犯罪再犯率を 分析したところ、刑務所と、仮釈放後の保護観察の両方で再犯防止プログラムを受講した120人では5・6%だった。これに対し、受講経験のない満期出所者 は25・5%。仮釈放されたが受講経験のない人は16・8%で、受講者とは大きな差が出た。
2015年11月13日 15時23分

 新プログラムの割り当て方が要点である。私の知る限り、日本のマスメディアのすべての犯罪報道は、このような観点にまで踏み込むことはしていない。官庁付きの仕事は、比較的キャリアの浅い(=わが国では若い)記者の仕事だと思うが、そのとき、文系が出身母体の記者は、よほど大学で研鑽を積んでいないと、実験計画(学)について学習するということはないのではないだろうか。社会学系の学部で社会調査に従事したのであれば別だろうが、法学や経済学に在籍していたのでは、よほどのことがなければ履修することはないだろう。(それでなくとも、それぞれの学問体系は、相当に奥が深いだろうから、とても四年では足りないだろう。)

 新プログラムの効果が本当にあるのかどうかを調べるためには、原則的には、旧来の処遇方法と新規の処遇方法とを受刑者に無作為に割り当てなければいけない。このとき、社会の同意が得られるかどうかと問うてみれば、それは無理だろう。法務省の分析結果をそのまま受け容れるだけでは、外部の研究者の活躍する余地がない(<本音)。読売新聞は、TPPを歓迎しているのだから、米国でこのような研究手法が強力に主張され、現在では揺り戻しがあるという背景にまで踏み込んで、広報して欲しい。

0 件のコメント:

コメントを投稿

コメントありがとうございます。お返事にはお時間いただくかもしれません。気長にお待ちいただけると幸いです。