2015年11月15日日曜日

パリ同時テロ事件についての私の疑問

 現時点では、分からないことが多い。備忘録として記す。
  1. なぜ、これらの場所が狙われたのか。
    • 北東や東南東方面の移民率が高い(マリ=クロード・ブラン=シャレアール, 西岡芳彦[訳], 「パリの外国人空間、過去と現在」, 中野隆生[編], (2006). 『都市空間と民衆 日本とフランス』, 山川出版社. p.205の図3)。
      • 犯人の一部は自動車で移動したということなので、渋滞はともかく、移動の困難は小さい。
      • 自爆という手段で犯人の多くが死亡した以上、逃走を考慮する必要がない。
    • なぜ、日本人が観光で多く訪れるような地区が狙われなかったのか。
      • エジプト・ルクソール(1997年)のような事件と性質が異なるのか。
      • ナイトライフの繁華街はオベルカンフ(Oberkampf)のほかにもシャンゼリゼ通り(Avenue des Champs-Élysées)があるようだ(参考)。銀座でなく新宿というノリか。
  2. 犯行に使用された銃器や爆発物はどのように用意されたのか。
    • 日工組社会安全財団の報告書(リンク)にはフランスについても説明がある(リンク)。
    • 旧共産圏諸国からの武器が流入し、非合法取引がかなり盛んであることは、ブライアン・フリーマントル, (1998). 『ユーロマフィア』, 新潮文庫.に詳しい。
      • (平成27年11月17日追記) AK47が使用されたというテレビ報道が昨日あった。シリアで計画されベルギーで準備されたという話もある。まとめサイト(リンク)に使用されたとされる装備の写真あり。
    • フランスは食糧輸出国であり、化学肥料の入手経路が複雑そうだ。
  3. 劇場の被害が非常に大きいが、スタッフやバンドが安全であったのは、どういう理由によるのか。
    • もっとも分からないことのひとつ。立地は、東京にあえて例えるなら池袋か渋谷か。
    • バンド付きのSPが活躍したのか。国際的な警備保障サービスは、ショック・ドクトリンを推進する側のビジネスである。
    • フランスの公共安全関係者は、国際的な通信傍受ネットワークを管理する国々の関係者から、事前に警告を受けなかったのか。受けることができなかった理由は、わが国の報道では明らかにされていない。

 なお、G20の当初の議題を変更することが犯行グループの本当の狙いであったとも考えることは、可能である。現在のわが国の政府は、警察国家化することによりテロ対策を推進しようとしている。この方向性は、江戸時代以来のわが国のデフォルトではあるが、先進国として胸を張ることのできるものではない。今回のテロ事件は、EU各国の警察国家化を推進するために仕組まれたものであると考えることも無理筋ではない。

 マスコミ報道には、数ある可能性や現在のテロ対策の欠陥を不当に無視することのないように望む。マスコミ報道を一色に染め上げ、問題の構造を報道させないことは、テロ行為を利用する者たちの狙いの一つである。9.11については、今では、ブッシュ政権に相当の不備があったことが判明しており、ブッシュ政権の要人たちとビンラディン家との金銭上の関係も衆知のものとなっている。しかしながら、このような構造的問題の明示は、現在のマスコミの利益と真っ向から対立する。よって、本事件についてのマスコミ報道も、通り一遍のものとなる可能性が高い。しかし、そのような通り一遍の解釈は、わが国の国民の利益には決してならない。

平成27(2015)年11月16日01時追記

パリで、更なる偽旗攻撃?: マスコミに載らない海外記事
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-833e.html

 Paul Craig Roberts氏の記事の邦訳であるが、ブログ主の記述も興味深いので、翻訳記事の方を掲載した。ポール・クレイグ・ロバーツ氏は、本事件がフランス政府自身(正確に引用すると「フランス支配層」)による偽旗作戦であるという可能性を指摘しているが、本事件についての同氏の説明は、前例となる事件を挙げるに留まり、本事件がフランス政府による偽旗作戦であることを十分に示すものではない。本事件が広く報道されているように既遂である※1とすれば(、また私も既遂であると考えるが)、フランス政府がその予防を果たせなかったことにより失ったものは、かなり大きい。パリは、観光で食べている町でもあるので、先に示した疑問1のように、いわゆるお上りさん系の観光客が行く場所が狙われた訳ではないものの、大きな経済的打撃を受けるであろうことは間違いない。犯罪の企図者は、このような副次的な被害も事前に想定することができる存在である。仮に、フランス政府に所属する複数の人物が、直接的な被害だけでなく波及的な被害を見越してでもこのような悲劇を起こしたとすれば、その理由は、それを上回るだけの利益を彼らが得ることが見込まれたからであろう。私には、本事件によって、何らかの利益がフランス社会の中で生活する者にもたらされると考えることができない。逆に、何らかの利益が得られる構図を整合的に説明できるのであれば、本事件が偽旗作戦であると考えることもできよう。

 私は、他国民(あるいは無国籍的な存在)ならば、本事件から利益を得る余地があると考える。それゆえ、あえて真相を予想するならば、本事件は他国民により計画が主導されたものであり、仏国民の不心得者を実行犯として利用したと見るのが妥当であろう。この予想は、本事件について、オランド大統領が「仏国外で組織・計画された」(平成27年11月15日、日本経済新聞1面)と強調したことを踏まえたものである。また、たとえ黒幕が仏国民であったとしても、その者は、祖国への愛着を有さず、いざとなれば他国で生活することが容易であるという特徴を有するのではないか。

 ただ、政府が自国民を守らないことは、わが国において現時点で大々的に見られる現象ではある。しかしながら、他国がその事例に該当するかどうかは、慎重な検討が必要となるのである。

※1 Crisis Actorと呼ばれる職業があると言われる。惨事を演出するための役者であると言う。パリ同時テロ事件においても、そのような役者が報道に取り上げられていると指摘されている(リンク)。



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