2018年2月22日木曜日

(一言)TPP11=CPTPPを読みこなせる日本人はどれだけいるのか

TPP11=CPTPPの案文が2018年2月21日に公開されたこと[1]を『スプートニク日本』経由で知った。ニュージーランド政府のウェブサイトを確認したが、確かに公開日が21日である[2]。私は、数週間前に気になり、条文を探しまくってみたことがあるが、徒労だったことになる

CPTPPについては、発効条件自体、長らく秘密にされてきた。発効条件は、従来のマスコミ報道による限りでは、11カ国中6カ国以上の承認を必要とするというもの[3]であった。一応、その条件は、この度公開された英語版[4]の第3条第1項に継承されている。しかしながら、従来の根拠のうち、国民に対して全くのオープンアクセスであったものは、茂木敏充大臣(内閣府特命担当大臣(経済財政政策))の会見資料くらいしか[5]存在しなかった(。国民向け説明会の資料もあるが、やはり、条文そのものを掲載していなかったために、根拠とはいえない)。しかも、茂木氏は、TPP11=CPTPPの条文の「Annex I」の「Article 3」に記されていると明言していた[5]が、今回、ようやく公開された条文と対比する限り、いつの間にか、Annexが一つ消え失せたことになる。およそ、「子供たちのごっこ遊び」と呼べる頻度で、ルールが変更されている。

しかも、CPTPPの英語は、(厳密ではあろうが、)構文上、難読と呼べる程度のものであって、大学入試で出された日には、「ムーミン谷はフィンランドにある」説どころではない阿鼻叫喚状態が生じそうである。しかしながら、一般的な日本人が到達可能な理解がいかなるものになるのかを検証するため、また、個人的な答え合わせを兼ねて、第3条第2項をGoogle翻訳[6]にぶち込んでみたところ、予期せぬ程に内容を理解できるような回答が帰ってきたので、その翻訳結果を引用しておく;

本契約が第1項の下で効力を生じていない本契約の署名者については、本契約は、その署名者が適用される法的手続きの完了を書面で預託者に通知した日の60日後に効力を生ずる。
もっとも、22日08時35分の時点で、なぜ、Google翻訳が正確といえるレベルの答えを返したのかは、謎である。


CPTPPに見る秘密主義・選民主義は、官僚・大企業・学術研究機関に所属する自称エリートたちの平常運転モードであるとはいえ、全くの他人事ながら、心配になるものである。CPTPPの下に展開されるであろう構造的不正は、CPTPPの制定に関与して恩恵を受けてきた人物たちの連帯責任となって、必ずや、応報的に機能するためである。CPTPPは、末代まで祟る(庶民にとっての)不平等条約であり、他民族にも恨まれることにもなる。この時空間上の広がりゆえに、どのようなフィードバックが生じるのかは、誰にも予想できまい。大体、渡されもしないし読めもしない契約書に、誰が判を付くというのであろうか。悪徳商法そのものと同一の構図である。わが国の成人であっても、約款を実際に読むか否かは別として、約款が提示されたこと自体を信頼し、契約を進めていよう。CPTPPに対する国民感情は、お手盛りの世論調査では汲み取れないものであろう(。内容を理解している国民は、CPTPPが一種の「国策」であることをも理解しているであろうから、やんわりと調査拒否するであろう)。その辺をよくよく弁えておかなければ、自称エリートたちは、思わぬ事態を迎えることになるやも知れない。


[1] TPP11の条文が公表される 3月に署名へ - Sputnik 日本
(記名なし、2018年02月21日21:54、更新2018年02月22日00:46)
https://jp.sputniknews.com/business/201802214603609

[2] Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership text | New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade
(2018年02月22日確認)
https://www.mfat.govt.nz/en/trade/free-trade-agreements/free-trade-agreements-concluded-but-not-in-force/cptpp/comprehensive-and-progressive-agreement-for-trans-pacific-partnership-text/

[3] TPP11、6か国承認なら発効…大筋合意
(読売新聞・ダナン=田中宏幸、2017年11月12日)
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/%EF%BD%94%EF%BD%90%EF%BD%90%EF%BC%91%EF%BC%91%E3%80%81%EF%BC%96%E3%81%8B%E5%9B%BD%E6%89%BF%E8%AA%8D%E3%81%AA%E3%82%89%E7%99%BA%E5%8A%B9%E2%80%A6%E5%A4%A7%E7%AD%8B%E5%90%88%E6%84%8F/ar-BBER65Y

〔…略…〕新協定の発効条件は、11か国のうち6か国の国内手続きが完了してから60日後と定めた。

[4] COMPREHENSIVE AND PROGRESSIVE AGREEMENT FOR TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP
(2018年02月20日18:48:41作成、21日11:07:39変更、22日閲覧)
https://www.mfat.govt.nz/assets/CPTPP/Comprehensive-and-Progressive-Agreement-for-Trans-Pacific-Partnership-CPTPP-English.pdf

[5] 茂木大臣による記者会見の概要【PDF:85KB】
(2018年01月25日)
https://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/pdf/tokyo1801/180123_tpp_tokyo_kaiken.pdf

[6] Google 翻訳
(2018年02月22日確認)
https://translate.google.co.jp


#多忙のため、引き続き、ブログ更新をサボりがちとする予定。世界の動きも速すぎて、追随するので精一杯。




2018年02月25日追記

念のため、21日夕刊と22日朝刊の『読売新聞』『朝日新聞』『日本経済新聞』を確認したが、『読売新聞』22日朝刊のみが、CPTPP条文の公開を2面で報じていた。およそ300字程度の小さな扱いである[1]。『Yahoo!トピックス』[2]を見ても、『日本農業新聞』と『ロイター』くらいしか、本件をタイムリーに報じていないようである。23日、トランプ大統領がターンブル豪首相と会談後の記者会見でTPP復帰を示唆した。ひょっとして、トランプ氏が各国国民に対する情報提供を企図したのではないかと思えてしまう程に、主流マスコミは沈黙している。


[1] 記名なし, 「新TPP 発効条件緩和/7条の協定文を公表」, 『読売新聞』2018年2月22日朝刊14版, 2面総合.

[2] 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の関連情報 - フォロー - Yahoo! JAPAN
(2018年02月25日確認)
https://follow.yahoo.co.jp/themes/0f7c5fc9f157e88c2731/

2018年2月17日土曜日

(一言)ホワイトハットは貴重な存在である

事件を担当している警察は、NEM流出事件に協力している彼(女)の身辺警護を直ちに実施すべきである。心当たりがない人物から住所宛てに物品が配送され、当人がそれを無邪気に喜ぶ状態は、わが国の犯罪抑止能力を考慮した場合、きわめて危険である。『餃子の王将』の社長であった大東隆行氏が2013(平成25年)12月19日に射殺された事件は、未解決である。Wikipedia日本語版さんの言を信用すれば、同社の純資産は、438.3億円(2017年3月期)であるから、これよりも大規模の窃盗事件を妨害しようとする人物がいたとしても、何ら不思議ではない。

本ブログの読者に政府筋がいることは明白である。今こそ、国民の明白な利益を確保すべく直ちに行動するよう、希望する(。しているとすれば、当然の処置とはいえ、良い仕事をしていると賞賛すべきであろう)。


(一言・感想文)相似象の語は比喩として適切だと思う

「相似象」とは

「相似象」とは、落合莞爾氏の用語であり、その定義は『天皇と黄金ファンド』(成甲書房, 2016年4月)のpp.22-23のとおりである。本稿では、著作権法違反を恐れるために紹介しない。将来、主従の逆転を主張できない位に材料が蓄積されたら、紹介しない意向がない訳ではない(。本稿も、まあまあの分量であろう)。「相似象」は、テキスト化して共有するだけの価値がある、国際秘密力集団に使い慣わされた概念である。本記事は感想文であるゆえ、印象論を押し進めるが、「変奏曲」「転調」という音楽用語は、「相似象」に代替可能な比喩となろう。このうち前者は、私も以前に使用したことがあるし、使用に耐えるだけの合理的な理由があるとも思う。コード進行が同一であり、メロディ(=構造)を最初に示されると、そのアレンジ(=実例)にも大抵の人が不都合なくついてゆける、などの類似性が存在するからである。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの『きらきら星変奏曲』を想起せよ。オブジェクト指向の用語で言えば、クラスの一種ということになろうか。これもまた、比喩の一つである。

他方、世の中には、自然科学の概念を拝借して失敗した比喩が良く見られる。他者の失敗した比喩を、殊更に批判するつもりはないので、ここで実例を挙げることはしない。それに、いわゆる「ソーカル事件」に対するポストモダン思想の批判の中には、実験的な思考を無下にしたというものが含まれていたはずである。それらの再反論は、中河伸俊氏の『社会問題の社会学 構築主義アプローチの新展開』(世界思想社, 1999年4月)の第1章に整理されていたような記憶がある。何より、比喩について、私自身が大概な失敗を重ね続けているとの主張に対しては、本ブログの読者なら、大いにヘッドバンキングされることであろう。加えて、何の違いが比喩の成否を分けるのかは、残念ながら、自分には言語化できていない。対策を強いて挙げるなら、商業出版における自然科学用語による比喩の誤りに対しては、編集者が介入可能である、とだけは言えようか。大事なのは、素直に呑み込めない種類の比喩を利用し続けるという間違いを早期に改めることである(。これこそは、工学的・バーク流の保守的な精神の発露であろう)。ただ、私には、その誤りを正す機会がない(。というのは、前振りの一つである。カルト宗教の信者は、このような文脈依存型の話に追随できているのであろうか。出来ていないのは、馬鹿の証拠である)。


「相似象」は「両建て構造」を雛型とする

『国際秘密力研究』の「菊池」氏の主唱する「両建て構造」は、「相似象」の雛型として、大変に良く機能している。ただ、この一般理論(general theory)は、現状への適用方法いかんによっては、誇大理論(grand theory)の表出と見做されかねない虞を有する。適用の妙こそがポイントであろう。たとえば、安倍晋三氏の第四次自公政権は、内部に公明党=創価学会という「サブ両建て構造」を抱える一方で、内外にわたる「希望~石破・小泉(・岸田・中曽根)」ラインとも(、表面的には穏やかであるが、)対峙している、と読むこともできよう。

「両建て構造」と言えば、最近、ハインリヒ・マイアーの『シュミットとシュトラウス』(栗原隆・滝口清栄〔訳〕, 1988=1993, 法政大学出版会)で、レオ・シュトラウスが「二軸の両建て」に言及していた※1ことを偶然に知り、洋の東西を問わず、仮面ライダー的な人物は散在しているものだ、との思いを強くしたものである。なお、私の興味のど真ん中を行く資料が地元の図書館に配架されていることは、どうしても偶然とは思えない。ここで、どなたか?に、勝手に感謝?を申し上げたい。なお、前掲マイアー氏の書籍の題名を直訳すると、

『カール・シュミット、レオ・シュトラウス、そして「政治的なものの概念」――〈その場に居合わせない者たち〉の対話のために』
となるそうであるが、これもまた、意味深である。


おまけ1;近年(2016年・2017年)のヒカルランドのアンソロジーは、講演者の顔触れによって、「あからさまな嘘」を散りばめながら、読者が真実と思うところを選び取ることができるようにするという高等戦術に出ているものと解される。ある話者の内容を否定する人物に対しては、「だって、(空飛ぶ何とかみたいなことを言う)あの人も一緒に講演しているんですよ?当局のお墨付きというやつでは?」と言わんばかりである。「企画者は...、できるな!!」という印象しか出てこない。もちろん、これは、あくまで私の解釈であり、私自身としては、高度な知性の発露だと感心しているつもりである。

おまけ2;最近、元警察官を称する匿名者が『5ちゃんねる』で色々話をした後に、「これはすべて嘘松」として落ちたスレ(ググれば、出てこよう)を見たが、これもまた、ヒカルランド同様に「自己言及のパラドクス」のイチ事例である。使い方は、とてもシンプルではあるが。もっとも、中野学校の伝統は、ニセ情報を濫用しすぎて、自家中毒にしばしば陥るようであるから、これくらいの方が良い。辻田真佐憲氏の『大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争』(幻冬舎新書, 2016.7)は、組織に生じた軋轢が大本営発表をあらぬ方向へと導いたことを指摘しているが、今般の大本営発表も、同様の弊に陥らないのであろうか。

おまけ3;嘘を散りばめると、相似象を発見することは、とたんに困難になる。三角関係である場合、基本的には、6通りの関係性を評価しなくてはならない。1通り以上の関係に嘘が混ぜ込まれているとすれば、分析作業は、$2^6=64$倍が必要になる。基本、嘘は吐かない方が良い所以である。


#以上、記憶に頼り、一種の棚卸しを実施した次第である。出典など、間違っていたら、ごめんなさい。


※1 1932年9月4日付シュミット宛てのシュトラウスの第II書簡である。タイプ原稿で、シュトラウスが手元に置いた複製は、現在、シカゴ大学に収蔵されているという〔マイアー, p.172〕。

〔p.168〕

先生の著作をより詳細に分析しようとするならば、そうした人は、〔…略…〕二つの相入れない、少なくとも異質な思想系列に分かれる、という印象を持つでしょう。左翼と右翼の対立は、(1)国際主義的平和主義と好戦主義的ナショナリズムの対立として、そして、(2)無政府主義的社会と権威主義的社会との対立として現われます。これら二つの対立は互いに一致しない、これにはいかなる証明も要りません。

2018年2月16日金曜日

(一言・メモ)陰謀論に係るベイズの定理

ベイズの定理(Theorem of Bayes)は、次の式で表される。 \begin{equation} Pr(H \mid O) = \dfrac{Pr(O \mid H) Pr(H)}{Pr(O)} \nonumber \end{equation} ただし、
$H$: 仮説(hypothesis)
$O$: 観察(observation)
$Pr(O \mid H)$: $H$の尤度ゆうど(likelyhood)

陰謀論界隈では、しばしば、$Pr(O \mid H)$は高いものの$Pr(H \mid O)$が低くなる種類の説明が取り沙汰される。以前にも引用したが、エリオット・ソーバー『科学と証拠 統計の哲学入門』(名古屋大学出版会, 2008=2012)は、$Pr(O \mid H)$が高く$Pr(H \mid O)$が低い事例として、$H$が「グレムリンが屋根裏でボーリングしている」、$O$が「屋根裏から音がする」というものを挙げている〔p.15〕。グレムリンがボーリング大会に興じていれば、確かに騒々しい物音がするであろう。しかし、グレムリンが屋根裏でボーリングしているとは、わざわざ考えにくいのである。

複数種類の独立した仮説があり、それらの仮説が漏れなく挙げられているときには、下式が示されよう。上式と下式は、分母が一致するとき、同形となる。このことから、複数の仮説が成立しているとき、それらの仮説を出し惜しみせずに列挙することが大事である。これが、重大事件を考察する場合において、陰謀説と誹謗される種類の説にも注意を払うべき理由である。 \begin{equation} Pr(H_i \mid O) = \dfrac{Pr(O \mid H_i) Pr(H_i)}{\sum_{j=1}^k Pr(O \mid H_j) Pr(H_j)} \nonumber \end{equation} ただし、$H_i$: $i$番目の仮説($1 \leq i \leq k$)

陰謀論者(と誹謗される人々)は、この$H_j$の集合から故意に外された(、しかも、分母の項が無視してはいけない大きさとなる種類の)仮説がないかどうかを確認し、あるいは指摘しているのである。9.11を例に挙げると分かりやすい。NISTの、すなわち当時の連邦政府の見解は、WTCツインタワーについて、「衝突(による火災)原因説」だけでなく、「制御解体説」が成立(または並立)し得ることを真面目に検討した様子がない。それどころか、現場は、捜査に必要十分な期間、保全されなかったが、この事情についても、両説ともが適合的である。「衝突原因説」は、$Pr(O \mid H)$が限りなくゼロに近いことが反論として提起されているが、当然、「制御解体説」は、$Pr(O \mid H)$が限りなくイチに近いものとなる(。制御解体の失敗例がどれほどあるのか、私は調べていないが)。$Pr(H)$の大きさも、利権の大きさを考慮すれば、なかなかのものであろう。


2018年2月18日00時10分追記

弘前大学教授夫人殺人事件(1949年8月6日)[1]の公判の際、古畑種基氏は、ベイズ統計を誤用して血液鑑定書を作成しているようである。本件は、元々この話を知り、メモしておきつつMathJax用の数式をテキスト化しておくために用意したものである。既往論文がいくつかあるようなので、本件については、後日、追記するやも知れない。

が、ベイズ統計は、「新たに得られた証拠に基づいて、事前確率を事後確率へと更新する手続きが何度も行える」という環境下で適用されるべき方法である。得られた証拠によって、事後確率が事前確率よりもゼロに近付いたなら、その証拠は、仮説を望み薄にする材料ということになるし、逆に1に近付いたなら、その証拠は、仮説を有望なものとする材料ということになる。9.11には、沢山の論点が存在している。それらを検討すればするほど、子ブッシュの(消極的)関与が認められるという結論に近付くことになろう。トランプ大統領を誕生させた選挙戦と、その後のブッシュ一族の行動は、複数の証拠として利用可能である(から、ますますクロに近くなったということになる)。

これに対して、古畑鑑定は、一件の証拠を扱うのみである。当時の(冤罪であった)被告が犯人となる事後確率は、確かに、血液鑑定の結果、事前確率よりも上昇したことであろう。しかし、無事前情報分布を設定するのであれば、五分五分ではなく、弘前市の人口6万人を考慮して、6万分の1と置く方が正しかったであろうし、事後確率は、約千分の1(0.00111)に上昇はしているが、やはり千分の1としての扱いを受けるべきであったろう。古畑氏が何を目標としていたのか、私には良く分からない。


[1] 弘前大学教授夫人殺人事件 - Wikipedia
(2018年02月17日確認)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%98%E5%89%8D%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%95%99%E6%8E%88%E5%A4%AB%E4%BA%BA%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

2018年2月11日日曜日

(一言)このタイミングで、Amazonの公開「欲しいものリスト」が

他アカウントによって保存されたとき、リスト作成者の本名が他アカウントにバレてしまう可能性があると指摘された[1]ことには、一体、どのような背景があるのか。その理由は、単に偶然で片付けることもできようが、最近のNEM流出騒ぎと関係していると考えることもできる。何かが起きたとき、個人が特定された理由を、この脆弱性にこじつけるための前振りであるかのようである。ともあれ、私個人の非公開の「欲しいものリスト」に恥ずかしい商品が含まれていなかったことに、少しだけ安堵すると同時に、リスト作成時以後、やることが積み上がり続けていることに愕然とした次第である。


[1] 「欲しいものリスト」の仕様が変更され「保存する」をされると本名がバレる - Togetter
(2018年02月05日?)
https://togetter.com/li/1196075

2018年2月8日木曜日

(一言)自衛隊ヘリ墜落事故について

2018年2月5日16時43分頃、陸上自衛隊目達原駐屯地所属の第3対戦車ヘリコプター隊所属[1]の米国製攻撃ヘリAH-64※1が佐賀県神埼市千代田町嘉納[2]で民家に墜落、隊員2名が死亡[3]、3件の住宅に火災を発生させ、住民の児童1名が負傷した[1]事故について、まずは、お見舞い、お悔やみ申し上げる。この事故の真相がいかなるものであれ、本ブログの読者の皆様方で、かつ、市井の方々は、事故の概要と最近の出来事を関連付けて真相を考察することの必要性を痛感されていることであろう(2018年01月29日記事参照)。日本語SNSでは、例によって左右の対立が生じているようであるが、本件事故については、理論上、複数の「真相」を考えることが可能であり、そこに言及しない口論は、不毛である。報道を真に受ければ、弔意を示すだけに留め、松本文明氏のように※2、沈黙を保つことが大切ということになろう。私個人としては、真相が義経伝説と同形のものであって欲しいと思うばかりである※3が、年度内に13名の自衛隊員が殉職されているという事故の解説記事[4]や今回の事故現場(が農業地帯内の集落であり、ドライブレコーダに映像が記録されるほどであったこと)を考慮すれば、この線は、なかなか考えにくい。


※1 製造は、ボーイング[5]。メインローターの部品供給は、Ducommun AeroStructures, Inc.[5]

※2 先月25日以後、松本文明氏の公式SNSは、更新されていないようである(が、フェイスブックについては、未確認である)。2018年2月8日17時時点、ツイッターについては、事務所スタッフによる2018年1月25日23時23分付(日本時間)のツイートが最新であり[6]、ブログは、1月24日付が最新である[7]。本人のツイッターアカウントは、ほぼ稼働していない。

※3 今回の事故が、仮に、落合莞爾氏の主張に類似したパターン(=相似象)であったとしたら、それは、自衛隊の狡猾さの証であろう※4。落合氏は、西郷隆盛と島津斉彬が周囲の了解と協力を得て西欧に渡り、ウバイド氷河期文明由来の黄金を原資とするわが国由来の金融ファンドの運用という任務をこなしていたと主張する(。『西郷どん』の製作発表に絡む話題であろう)[8]。この主張の真偽を検討することは、調査費用抜きには無理である。しかし、この主張は、調査のリソースを割くに足るだけの面白さと希望を有するものである。

※4国民の一人としては、このような真相であって欲しいと思うところである。しかしながら、たとえ、報道の内容から論理的には多彩なパターンが考えられるとしても、現実は、当然ながら、そのパターンの中の一通りとして、確定された形で存在している。ここでの私の主張を「シュレーディンガーの猫」に譬えるのは、行き過ぎである。というのも、単に、われわれ一般人の観察可能性が大きく制限されているだけであるからである。知ることができる立場にある人は、すでに真相を把握していることであろう。十分な情報がない時に一般人が思索を重ねても、下手の考え何とやらである。私の意見は、反実仮想的に私の希望を述べたに過ぎないものと考えられたい。


[1] 防衛省・自衛隊:防衛大臣記者会見 平成30年2月6日(08時37分~08時44分)
(2018年02月06日11時48分)
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/02/06.html

[2] 陸自ヘリ民家墜落、炎上=隊員1人死亡、住民少女軽傷-定期整備後点検飛行中・佐賀:時事ドットコム
(記名なし、2018年02月06日00:39)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018020500844&g=soc

[3] 佐賀・神埼の陸自ヘリ墜落:回転翼、飛行中落下か 機長の遺体発見 - 毎日新聞
(前谷宏・秋山信一、2018年2月7日、毎日新聞東京朝刊)
https://mainichi.jp/articles/20180207/ddm/001/040/193000c

[4] 自衛隊「ヘリ炎上事故」を経験した記者が分析する「本当の墜落原因」(半田 滋) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
(半田滋、2018年02月08日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54410

[5] Boeing AH-64 Apache - program supplier guide
(2018年02月08日確認)
http://www.airframer.com/aircraft_detail.html?model=AH-64%20Apache

[6] 「松本文明 (事務所スタッフ)」@Matsumoto_7ku、2018年1月25日23:23

[7] 男女共同参画会議有識者議員との懇談会に出席しました。 | 衆議院議員 自民党 松本文明 オフィシャルサイト
(記名なし、2018年01月24日)
http://www.f-matsumoto.net/?p=3607

[8] 落合莞爾, (2016.8). 『ワンワールドと明治日本:西郷は偽装死で渡欧、陸奥は國體参謀総長』(落合秘史 7), 東京:成甲書房.
(リンクはNDL-OPAC)
http://id.ndl.go.jp/bib/027493666




2018(平成30)年02月08日22時37分追記

文言を少々変更した。

2018年2月5日月曜日

(一言)『ジャガーン』は国際秘密力集団の陰謀を乗りこなせそうである

『ビッグコミック・スピリッツ』に連載中の『ジャガーン』(原作・金城宗幸、漫画・にしだけんすけ)は、今のところ、主人公(たち)が国際秘密力集団の両建て構造を乗りこなせそうなセンスを発揮していると思う。今後の展開が読めない(というのが、良い(連載ものの)漫画の条件であろう)が、いち読者としては、伝統的なダークヒーローもののミームをこの漫画が運ぶとすれば、『ビッグコミック・スピリッツ』は、功罪相半ばするというところであろうとは思う。2018年1月25日の拙稿で『風都探偵』を批判しただけであり、これでは同誌に対して不公平であった。また、雑誌本体に言及したついでであるが、『忘却のサチコ』が連載を休んでいる?完結した?ようであるのは、わが国における#MeTooムーブメントと絡んでいるような気がして仕方ない今日この頃である。

2018年2月4日日曜日

仮想通貨流出事件を北朝鮮の仕業で片付けるのは怠慢ではないか

私がサイバー・セキュリティの専門家として働いていたならば、犯人について、色々な可能性を見込みながら考察したであろうが、いかがであろうか。結論を出せた後、これを丸めたり、話相手の能力を見込んで結論の表現内容を変えるのは、次の段階の話である。もっとも、分かりやすく核心を話すという能力は、私の不得手とするところである。その上、本ブログを通じて、それなりに文章能力を鍛えることができていると自負していることもある(。社会的に十分な程度に向上したかは、別の話である。従来であれば、採点結果が25点であったところ、35点になったとしても、依然として赤点である)から、仮に、私がキャリア形成を上手くなしおおせていたにせよ、相手が誤読できないように結論を伝えることができていたとは思えない。なお、この私語りは、当然、後段の前振りである。


サイバー・セキュリティの分野の特徴の一つは、事態と技術の進展が非常に早く、個人や組織の間で技術と認識の差が激しく、ほとんどの個人にとって、今や、独力で有効な対策を講じることが不可能となったことであろう。加えて、この分野を所掌する世界の公的組織が、クラック(彼らに言わせればハック)手法の開発・運用に積極的に従事している(と指摘・非難される)ことも、特徴の一つであろう(。『WikiLeaks』が公開した『Vault 7』を想起せよ)。わが国については、サイバー攻撃・サイバー犯罪に対する「制服組(に相当する上級官僚)」と政治家の理解の進み方が遅く、また、防御・即・攻撃となる虞についての法的問題が解決しておらず、結果として、予算も人も、必要な分量よりも数桁少ない。これらのわが国の現状は、明らかに、わが国のサイバー防衛・犯罪予防能力の成長を阻害する要因である。政府報告書では、どうしても遠慮・忖度が生じるから、そこは、当該分野における関係と利益が切れている外部の人間がこのように指摘しておくべきであろう。また、諸外国の官民連携に対しては、わが国の官民は、贔屓目で見ようとも、太刀打ちできていない。もっとも、この印象は、コップ半分の水を「もう半分しかない」と思うか「まだ半分もある」と思うかの違いの範囲内なのかも知れない(。利益関係が切れているので、私には、本当のところは、分からない)。

サイバー・セキュリティの世界では、一旦、不正に使用されたツールを民間企業が検体として入手できたとすれば、大抵の場合、仮想敵(の影響下にある民間企業)も、同様の検体を入手しているであろう。これは、自然犯に係るセキュリティや、従来の軍事の世界では、なかなか見られなかったような、同時的状況である。この点を考慮すれば、旧ソ連は、驚くほど早期に原爆を開発・実戦配備できたものであるし、それにもまして、北朝鮮の開発速度には目を見張るものがある(。この状態は、科学技術の移転性(ポータビリティ)が発展した結果を反映してもいるが、同時に、政府や軍において、真面目に安全保障やスパイの摘発に取り組んできた人々を尻目に、売国奴たちが暗躍した結果と考えて良い。いや、これらの売国奴は、むしろ無国籍大企業の代理人であるから、もとより国に対する忠誠心を有していないと考えた方が良かろう。原爆の開発競争については、幾重にもこの影響が認められる)。科学技術の移転のスピード感の違いは、犯人の行動範囲を考察する上で、重要と考えられる。


本題に入る前に、材料をもう一つ;私がいち日本国民として懸念するのは、「(勝手に私が)仲間(認定しているだけ)の日本人ハッカーたちは、どうにも、ヲタクを極めている割に、陰謀論と呼ばれる分野のわが国の蓄積を、無視し過ぎではないか」という点である。何だか、ミステリー小説にも類似の警句があったような覚えがあるが、思い出せないので、これまた中国の底力に頼ると、「木に縁りて魚を求む(『孟子』梁惠王上)」となるような発言が多くはないか。商売上のお得意様に配慮したり、業界仲間に潜むガチもんのヤバいヤツらを警戒しての発言かも知れないが、そうであるにしても、パブリシティ管理の甘さが際立つ。ホワイトハッ(善意のハッカー)と呼ばれる人物が、陰謀論を踏まえないでSNSを利用していることは、サイバー・セキュリティに言う「社会工学(social engineering)」が専門分野に被っていたつもりの私からすれば、不用意極まりないことである(。不用意極まりない行為は、大抵、決定論的に次の展開を惹起する。ただ、そのような展開が生じないときには、生じなかったこと自体にも、相手か当人かに何らかの理由があったことを窺わせることになる。便りがないのは良い便り、というやつではある。『カレイドスコープ』のダンディ・ハリマオ氏は、彼女?に冷淡なように見えたが、ともかく、無事を祈るばかりである)。


『日本経済新聞』2018年2月3日朝刊1面トップ記事(14版)「仮想通貨 未熟な「取引所」/巨額流出、利用者保護に遅れ/市場拡大、定着には課題」(関口慶太、鈴木大祐、吉野次郎)の次の記述は、北朝鮮の関与について、正確性が歪められてはいないであろうか。

仮想通貨がサイバー攻撃の格好の標的になっている点も浮かび上がった。韓国では仮想通貨交換業者への攻撃が激化し、国家情報院は北朝鮮が運用するサイバー部隊の仕業と断定。サイバーディフェンス研究所の名和利男上級分析官は「手口が韓国の事件と同じなら、北朝鮮が関与した可能性が極めて高い」とみる。

韓国・国家情報院の判断は、彼ら情報のプロの判断である。その判断に相乗りすることは、記者の自由である。しかし、先に見た名和利男氏の解説は、氏自身の揺るぎない見解であろうか、それとも、記者の曲解であろうか。

本件流出に「The Lazarus Group」と名付けられたサイバー犯罪集団の製作したプログラムか手口が使用されたと見做されていることまでは、社会的に認められた事実のようである。彼らは、2014年11月24日にソニー・ピクチャーズ社をクラックしたことを『Reddit』で公表し、12月、公開予定であった映画『The Interview』の上映を中止するよう要求した。本稿では、この犯罪集団が北朝鮮と深い関連を有すると見做す見解が「先進諸国」で有力であることを理解しておけば、十分であろう(。ほかの国における評判は、分からない。なお、この事件においても、当事者間で、情報戦・心理戦と呼べる内容の多数のコミュニケーションが交わされたようである)。

この一方で、製造者の痕跡を消去したり、偽造したりするという試みは、サイバー戦争の分野においては、実行されている可能性が非常に高い。(強固な証拠ではないが、一応、)自然犯の職業的犯罪者は、犯行を完遂することよりも逮捕を避けるように動くと言われている。サイバー戦争において、身分・組織・国籍を秘匿することは、必須である。国籍バレは、場合によっては、戦争に至ることになるからである。サイバー戦争においては、ゆえに、自分たちが陥れたい相手を念頭に、別のセキュリティ業者なり犯罪集団なり情報機関なりの仕業に見せかけるか、そうでなければ「無色」の存在に近付けるような工夫が取られるであろう。偽装工作の場合には、その事実がバレることもまた、リスクの一つである。このために、他者にツールの製作責任を負わせようとする場合には、より入念に作業が進められるであろう。偽装工作の事実がバレることになるとしても、それが相手の根拠のない誹謗であると主張できるように、二段階の偽装が行われることもあるやも知れない。陥れたい相手国の人物をリクルートして、ツールの製作を依頼するということもあろう。人的・経済的なリソースをどれだけ使用できるかにもよるが、原理的には、組織で行動している人物たちは、以上の基本的考え方を組織的に習得した上で、日々の業務に従事していることであろう。なお、本段落に示した話は、自然犯に係る発見的事実と、国籍バレの帰結に係る一般的認識と、犯罪者および安全保障実務者の合理性という仮定という三点を除けば、すべてが私の想像力によるものである。しかし、逆に言えば、これらは、誰でも・いつの時代でも・市井の人物でも思い付くことができる、つまりは、誰でも到達可能な種類の、サイバー犯罪・戦争の定性的な性質に係る哲学である。民間人の底力というヤツであり、この種の認識を検閲しても、さほど意味がない。

ツールと痕跡を放置せざるを得ない種類のサイバー犯罪の後、それらの証拠が、騙されやすいセキュリティ関係者に回収されたとき、その解析作業は、いかなる結果となるのであろうか。下手をすると、そして真犯人の目論見どおり、現代版のトンキン湾事件が完成する、という訳である。イラク戦争も、同様の構造に基づく疑惑のゴリ押しにより、開始されたのである。なお、ここでは、米国内に当時存在した戦争屋のみを非難している。当時の米国民の大多数や、現在の米国民を誹謗する意図はない。最も分かりやすく、当事者たちが(暗に)認める事例を挙げたに過ぎない。サイバー犯罪のツールは、一旦入手すれば、複製できない訳でもないし、解体(リバースエンジニアリング)して、ソースコードを書き換えて、他国製に見せかけることができない訳でもない。どの版から亜種の検体が枝分かれ(フォーク)したのかを判定する技術もあるが、その手法は、分類学に基づくものであり、統計学にいう因果関係よりも相関関係を見ており、分析者が因果を判定しているものと考えた方が良い(。非常に困難な話ではあろうが、原理的には、最高レベルの技術者が、版を遡り、開発者を偽装した旧版を世の中に紛れ込ませ、偽装された開発者を陥れようとすることも、不可能とまでは言えない)。何より、北朝鮮製のナイフで人を刺すことができるのと同様、北朝鮮製のクラッキングツールは、使用者の国籍を問わない。この点、多くのサイバー犯罪における犯人同定に係る議論には、たびたび、論理の飛躍が見られるのである。

本件について私が怪しんでいる根拠は、当のマスメディアのキュレーション機能の不全状態である。少なくとも、ジャーナリズムの建前を貫徹していない。北朝鮮関係者にも準備して取材し、彼らの矛盾点を突くことが、本来の報道の王道というものではなかったか。北朝鮮とわが国との対立が昂進することにより、利益を得ることになる存在を洗い出し、彼らにも準備の上で取材することも必要であろう。「本件流出について、あらぬ疑いを掛けられて激高した金正恩氏の命令により、東京に核爆弾が落とされる(、無論、真犯人は不明)」などという責任を、名和氏だけに負わせることは、日経の無責任の極みというものであろう。関口氏・鈴木氏・吉野氏は、この無責任を意図した訳でもなかろうが、外形的には、片方の利害関係者の言うことしか聞いていないことには、間違いがない。この偏向報道ぶりは、「マスコミは、大抵の場合、大事なことについて、ウソを吐く」という「法則」を強化している。この「法則」の強固さに、今まさに、一つの事例が加えられたのである。

また、一民間人の口を借りる形で、日本経済新聞が北朝鮮の仕業であると印象操作することは、同紙が推定無罪の原則を軽視する姿勢を良く伝えている。現行の法律体系において、いわゆる推定無罪の原則は、刑事訴訟法第336条に具体的な根拠があり、憲法第31条によっても担保されると理解されている。また、国際人権規約・B規約(いわゆる自由権規約)は、わが国(1978年5月30日)も北朝鮮(1981年9月14日)も批准しているが、同規約第14条2項は、「刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する。」と直接的な文言により、推定無罪の原則を要求している。もっとも、私も、本ブログで同種と見做されうる記述を生産し続けている。しかし、日本経済新聞の記者たちは、三人寄っても文殊の知恵には到達できなかったと見えるのである。もちろん、この民間人だけで構成された日経記事の北朝鮮批判は、根拠に乏しいまま、本ブログに比べて圧倒的に流通することになる。さらに筆誅を進めるとすれば、サイバー防衛の「プロフェッショナル」であるはずの名和氏の安全保障に係るセンスは、大学一年生までの間に学習するであろう種類の話を、易々と無視してしまう程度のものである(というような誤解を、パブリシティ管理の甘さが招いたことになる)。現今のマスメディアは、基本、フリークショーであるから、過剰な演出に対応可能な人物だけが生き残るということでよろしいのであろうが、ここまで周辺分野に係る基本がなっていない人物を重用し続けていると、わが国の人材枯渇が疑われてしまうことにもなりかねないのである。

日本国に所属すると見做される企業や個人たちが「すべて北朝鮮のせいである」とする理屈は、相当に鋭利なブーメランとなりうる。一旦生じた誤解が、取り返しの付かない状態を産むことは、ベトナム戦争を見ても、イラク戦争(第二次湾岸戦争)を見ても、明白な事実である。ベトナム戦争は、米軍とベトコンとの損害比こそ、米軍の圧勝と呼べる内容ではあったが、戦争目的を達成できずに撤退したという点において、米国の明確な(政治上の)敗北であった。イラク戦争において、米国は、戦争目的に照らして勝利はしたが、米国の安全保障を確実なものとするという点においては、これまた、最終的に成功したとも言い難いし、次世代以降に負担を転嫁してもいる。オバマ大統領の誕生、ひいてはトランプ大統領の誕生を促進する上で、の子ブッシュ政権の欺瞞と横暴が必要とされたという見方も成立しうるが、このように評価するには、世界に対して戦争屋が撒き散らした不幸は、巨大であり過ぎる。今後に米朝戦争が生じた場合、これら2つの戦争よりも深刻な影響が世界にもたらされることは、いかなアホでも分かることである。もちろん、わが国は、その被害のかなりの部分を、韓国・北朝鮮・中国・ロシアとともに受けることになりかねない(。後者二国については、わが国などのミサイル防衛網の誤作動が強く懸念される)。にもかかわらず、最近の日本国民の言論が調子に乗せられがちであり、個人が痛い目に遭った後に、初めて動物のようにゴメンナサイすることは、残念ながら、デフォルト状態である。(老眼で)自分が戦うこともできないのに、エラそうなことを言う高齢男性がかなりの割合に上ることは、結構な観察的事実である。

しかしなお、世論が相当にアホであったとしても、北朝鮮のセキュリティ関係者とその他の国のセキュリティ関係者との間で、安全を希求するという前提が共有されていれば、このあらぬ疑いも、掛けた後において、取引材料として機能する。戦争屋の暗躍が一般人である私にも読み取れる以上、真に責任を有している実務者の間では、一応の信頼関係が成立しているものと楽観的でいることはできよう。名和氏の解説も、これを理解した上で慎重になされた可能性もある(が、結果は、先の引用のとおりであり、そこには、北朝鮮とは書かれているが、北朝鮮の偽札作りに積極的に関与したと言われる組織に所属していたと思われる戦争屋の名前は、類推できるようになっていない)。


[1] 市民的及び政治的権利に関する国際規約 - Wikisource
(2018年02月03日閲覧)
https://ja.wikisource.org/wiki/%E5%B8%82%E6%B0%91%E7%9A%84%E5%8F%8A%E3%81%B3%E6%94%BF%E6%B2%BB%E7%9A%84%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E8%A6%8F%E7%B4%84


#面倒になったので、ここで打ち切るが、同じ記事の前半部にある、

仮想通貨取引を扱う会社は売りと買いを付け合わせる証券取引所のような本来の取引所ではない。正式名称は「仮想通貨交換業者(3面きょうのことば)」。注文の付け合わせだけでなく、顧客の反対に立って自己勘定で注文を受けており、それが大きな収益をもたらしている。

「オルトコイン」と呼ぶビットコイン以外の仮想通貨の注文はこの方法でさばく場合が多く、利幅が厚い。コインチェックはその品ぞろえが豊富で、利益率も高かった。

とのくだりは、コインチェック社に対する疑い(2018年2月2日参照)について、「俺らも知ってたんだかんね」とばかりに、予防線を張らんとする動きと読める。ただ、このように記しながら、同一の朝刊の14版5面(総合4)「流出したネム別通貨に交換?/企業の資金調達 応募の形跡」という署名なし記事は、まるで、北朝鮮が盗んだ後のことを考えていなかったかのような書きぶりとなっている。この記事における記述は、(先述した)自然犯のプロフェッショナルの態度とされるものとは、一線を画しているように見える。北朝鮮の工作機関がすっトロいという印象を与えたいのかも知れないが、日経の記者がこのようなことを記しても、一面記事で北朝鮮の仕業を散々示唆した以上、日経の程度がバレるだけである。私は、日経記者のレベルは明らかに見下しているが、そのほかの本記事に登場する組織や人物については、名和氏のパブリシティ管理の拙さを除けば、そのように考えていない。

#新約聖書のルカ書とヨハネ書の双方に、ラザロの名が見られるが、両者は別人であると見られている。『カレイドスコープ』のダンディ・ハリマオ氏は、その名前の由来の含意を考察していたかも知れない。

#「よーすけ」氏のアノニマス(Anonymous)に係るツイートは、断定的に過ぎるとは思う。このミーム(社会的な遺伝子)またはモチーフは、組織的活動のための匿名プラットフォーム、兼、ローン・ウルフなどの徴募ルートとして、立ち上げられたものと推測できる。立ち上げられた後に、皆が相乗りした結果、結局、使い勝手の良い具合に変質し、手垢が付きすぎたために、結果として軟着陸したものと認められる。宣言自体に、使い勝手の良さを主張している部分があるが、これを逆用した人々がいるものと認められる。仮面は、わが国でも、大量に仕入れて夜店で売れば、足が付かない。3Dプリンタもあるから、自分たちでデザインして作ることも可能。しかも、リアルな3Dデータは、某ゲームにおけるゲーム内報酬でもある(が、私は、現物データを入手できていない)。これらの販路がなかったことは、逆に、単なるマニアが独自に活動する余地を含みにくいことを示唆する(。仮面は、販売されていたが、「足が付く」方法である)。アノニマスを名乗る存在による犯行=反抗については、英語でニュースを探せば、複数の異なる主体を含むであろう、彼ら最近の実績を認めることができよう(が、これは、私の直接の興味の対象ではない)。ともかく、アノニマス自体に、統一的な行動体としての意味を読み込み、その盛衰を論じることは、全体と部分とを取り違えた理解に至ったり、現今の権力闘争を簡単に見誤ってしまうという虞があろう。





2018年02月04日訂正

リンクの張り忘れを修正し、一部の文言を訂正したが、意図は変えていない。

2018年2月3日土曜日

犯罪者たちは「下手な鉄砲も数撃てば当たる」ビジネスモデルを良く理解している

#以下は手習いであり、刑法学などにおける蓄積を考慮・参照していないし、整理されてもいない。しかし、本記事は、本ブログを利用する際の注意点ともなることから、とり急ぎアップした。また、理論に係る新規性が認められないことは承知している(ので、法律家の卵の読者の方々には、大変申し訳ないが、典拠のないまま、既出の議論が展開されていることになり、読むのに苦労するかも知れない)が、切り口が法律家とは異なるであろうから、そのために、面白い観点が含まれているかも知れない。

#私がブログで取り上げる人物たちの中には、必ずしも完全に遵法的な人物たちだけが含まれる訳ではないが、彼らのすべての活動が違法という訳でもない(。それに、日本人は、咎められる機会に乏しいけれども、日常生活において微罪を犯しがちであるから、ネット上の行動が合法であるからと言って、現実社会における生活がいかなるものかまでは、保証の限りではない)。以上の説明と最近の記事を良く読めば、注意深い読者であれば、私が何を言わんとしているのかを、ご理解いただけるものと思う。


詐欺犯罪についても、ルーティン・アクティビティ理論は有用である

わが国における現在の詐欺犯を考察するにあたっても、「日常生活理論(routine activity theory、ルーティン・アクティビティ理論などとも)」は、利用可能である。この理論は、現在、「環境犯罪学(environmental criminology)」の根幹に据えられている。この理論は、犯罪を、①被害を抑止できる能力を持つ保護者がいない状態(the absence of capable guardians)、②被害対象としやすい個人・物品(suitable target)、③犯罪を今まさに行おうとしている犯罪企図者(motivated offenders)の三つの要素が同時に揃ったときに生じる「出来事(event)」であると考える。逆に、揃わないようにすることで、犯罪を防げるものと考える。以後、丸数字は、上記の説明に対応している。この理論は、フェルソンとコーエンにより1979年に提唱され、近年では、これら三要素に対応して責務を担う組織等の所掌(①にはManager、②にはGuardian、③にはHandler)が合わせて示されるようになり、「犯罪の三角形(The crime triangle)」と呼び習わされている[1](。ただし、順序については、スティーブン・ラブ『犯罪予防』に示された一次予防・二次予防・三次予防の考え方を元に変更している)。


一般の詐欺師によるビジネスモデルは、多数者に向けての情報発信・少数者からの搾取という二段構えである

現代的な詐欺のビジネスモデルは、詐欺師たち(③)が情報通信技術(①)を悪用して、大量の人々(②)を相手に情報発信し、情報不足である少数の被害者を獲得したら、重点的にその被害者を狙うというものであり、つまりは、「下手な鉄砲も数撃てば当たる」というスタイルを第一段階とする。現代の特殊詐欺($\supset$振り込め詐欺$\supseteq$オレオレ詐欺)は、この諺を地で行くものであるが、電話という「足の付きやすい」手段ゆえに、これらの犯罪においては、いかに警察の追跡をかわしながら被害者から金品をせしめるのかという点に、工夫が施されている。郵便・小荷物を悪用する方法が効果的に抑止されるようになった後は、直接の手渡しを試みたり、電話の発信拠点を外国に移したり(、インターネット通信を外国経由としたり)などと、通常の生活人が追跡・警戒する手段を超えるだけの(悪しき)努力が重ねられている。情報通信技術の悪用の仕方は、なかなかバラエティに富んでおり、それゆえに、受け手にはリテラシーが求められる。

加害者(③)・被害者(②)双方に備わる情報の非対称性は、詐欺という犯罪を考察する上で、キーポイントである。被害者になりうる人々は、詐欺師たちの手口を、さほど知らないままに生きている。他方、詐欺師たちにとっても、犯罪に手を染め始めた時点では、誰が騙されやすいのかを知らない。そこで、彼ら犯罪集団は、付け入ることのできそうな弱味を抱える人たちの名簿を入手したり、撒き餌を用意して、個人情報を獲得する。被害者候補の名簿と加害の実績は、複数の詐欺師集団に共有され、特定の被害者を重点的に狙うという結果を引き起こす。この方法は、悪徳販売については、次々販売と名付けられている[2]。昨今の仮想通貨ブームは、この点にも注意する必要がある。仮想通貨の顧客に限らず、あらゆる経済活動は、名簿化されている場合、詐欺に悪用される余地を有するとも考えられる(。多くの名簿が組み合わされて悪用されていることは、巷間、指摘されたことである)。

詐欺のビジネスモデルは、被害の対象となり得る人々(②)に注目すれば、次の被害を予防しにくい(①)ものとなっており、また、時には、最初の被害者が加害者となり、連鎖的に被害者を作り出すように設計されていることもある(②、③)。多くの人々は、これらの犯罪に遭遇した時点で、気が付き、巻き込まれないように行動できるが、通報したり、身内の連絡を密にしたり、友人をたしなめたりする以外、効果的に次の犯罪を予防するための行動を取りにくい。情報・通信環境の発展(①)は、犯罪者たちが一度に沢山の人々に対して連絡を取ることを可能としている。詐欺のビジネスモデルにおいては、詐欺師たちの活動の旺盛さに比べれば、ごく少数の人々が被害に遭う。しかし、その被害金額は、犯罪者たちにとって、身バレ・逮捕のリスクを冒しても割の合うものとして理解されているほどに、高額なものとなりがちである(。悪徳商法の被害は、被害者一人につき、数百万円・数千万円にも達する)。それだけでなく、当面の間、被害者たちが被害を受けた状態に満足したり、彼らが新たな被害者を紹介するようにインセンティブが設けられたりすることもある。無限連鎖講(ネズミ講)、無尽講で配当者に仕込みがあるもの、カルト宗教で高額商品の販売を信者に課すものなどは、この典型例である。ネズミ講においては、末端の被害者たちは、自分たちが満足した結果、あるいは、被害を受けたと内心感じているにもかかわらず、その被害を回復できるだけの見込みをシステムの元締め(や高位者)から与えられることによって、次なる被害者を探すように、加害者として動き始めてしまう。いわゆるマルチ商法(のうち、合法とは見做されているもの)も、末端の販売者が外部者の加入を促進しようとするという点において、共通した性質を備えている。無尽講で配当者に仕込みがあるものは、本ブログを隅々まで確認すれば、類似したシステムが現存することに、読者も気が付かれるはずである。また、一時期、統一協会が霊感商法によって大きな社会問題を引き起こしたことは、中年世代や高齢世代であれば、覚えておられることであろう。かなり多くの大学生活をカルト宗教が台無しにしていることは、大学関係者によって、真剣に憂慮されるべきことである(が、当のカルト宗教関係者が大学経営の実権を握る地位にいたりすることは、わが国において、戦争屋系の国際秘密力集団が暗躍していることの、またとない証拠である)。

被害者が新たな加害者になるという特徴を有する詐欺(的)システムは、しばしば、性愛の搾取をもたらす(③)。新たに女性を騙すために、被害者である女性が上位者により使役される(。同性による化粧品やサプリメントの販売は、安心感と共感を相手にもたらす)。被害の末端に位置する女性が、新規の被害者を開拓できないために、自身の性的魅力を利用して男性を誘惑することもあろう。ホストクラブ通いのために風俗産業に勤務する女性は、詐欺に引っ掛かっているとは言えないが、類似の構造に落とし込まれている(が、今のところ、いくら支払われる金額が多額であっても、ボッタクリという店舗の営業システムに係る行為でない限り、有効な規制は存在していない)。


賭博と詐欺との違いは、情報の取扱に対する公正さにもある

通信・広告手段(①)は、歴史的には大きく発展しているが、詐欺師集団、とりわけ、そのトップクラスに位置する国際秘密力集団(③)は、これらの手段を有効に利用する方法を、同時代の他者(②・③)を上回る形で身につけてきた。「情報を制する者が世界を制す」という訳である。「黄金の国・ジパング」というキャッチフレーズが西回り航路について使用された経緯は、当時に立ち返ってみれば、搾取できる大陸と人々を、結果的に「発見」したとはいえ、当初の目標である日本には到達できなかったのであるから、欺瞞的であると評することもできよう。チューリップ・バブルと南海泡沫事件といった古典的事件においても、人々を後から投資に走らせるように、宣伝と誇張が使用されている。故意に創出された市場の乱高下を通じて、たまたま儲かった被害者たち(の一部)は、むしろ、この構造を乗りこなそうと考えるようになり、しばしば、このような混乱を是認する経済制度の信奉者(advocate)ともなる。彼らは、国際秘密力集団の走狗ともなり、その栄光と没落さえもが「(スーパークラスについての)階級間の流動性が高い」(デヴィッド・ロスコフ, (2008=2009).『超・階級』, 光文社. p.163)ことの証拠として悪用されたりもする2018年1月28日

詐欺における被害者(②)・加害者(③)の関係性を考慮すれば、現代の市場経済システム(①)は、被害者・加害者双方の共認的な構造の上に成立している壮大な詐欺(的)システムである。現代の市場経済システムが現状を維持し続けていられるのは、加害者だけでなく、被害者である99%も、マスメディア報道と義務教育課程を通じて、その仕組みを認めたことになっているからである。被害者の大多数が、御用経済学者の言うことを理解せずに拝聴し、この社会システムが詐欺ではないと考え、日本経済新聞の一面記事の多くに見られる恣意性を見逃しているからこそ、この社会システムは、成立していられるのである(。大事なことであるので、ついつい、重複した内容を3回パラフレーズしてしまった)。

現代の資本主義システム(①)は、被害者たちの黙認・誤認(②)という不安定な思弁の上に成立している。このシステムへの信認は、リーマン・ショック以前の数々の大恐慌や、最近の仮想通貨に対する信認の乱高下に見るように、容易かつ決定的に変化する(。なお、現状の仮想通貨は、理論的には、同一主体が多数の口座を通じて多数の取引を実行することによって、値を動かし始めることができるようにも見える)。この不安定さゆえに、ジャーナリズムと高等教育(のうちの経済学)は、最も優秀な詐欺師集団である国際秘密力集団によって、積極的な操作の対象とされ続けてきている。この点、文字通りの国営放送は、国益を最大化するという目的によって駆動されている限り、詐欺師たちを明るみに出し、国民の利益をも増進する上で、計り知れない潜在力を有している。現在では、一国の利益が国際秘密力集団の利益と衝突しがちであるから、この潜在力は、従来以上に増大している。マスメディアに接する人々が彼らの内心を逐一疑うことは、この詐欺における主要な舞台装置を打破することにつながる(から、推奨されることである)。不買運動は、もちろん、一つの方法である。ただ、痩せた土地に生まれるあらたな言論統制環境が人々のためになるものか否かは、私の手に余る考察となるが、甚だ疑わしい。現在のシステムを利用して、流され続けている言論の内容を変質させる方が、よほど効果的かつ効率的であろう。

なお、ギャンブル(賭博)は、情報の特性を余すところなく活用した、一種のサンドボックス的システム(①)である;参加者(②・③)がいなければ成立しないが、そのシステムは、社会一般に比べて透明性が高く(①)、参加前の誰(②・③)にでも理解できる内容であり(①)、参加を検討する人物(②・③)が勝てる見込みを持てるように、寺銭が設定されている(①・③)。この仕組みは、イカサマ・チートさえなければという前提があるにせよ、契約を重んじる現代社会の特性から見れば、倫理的に何ら問題のないものである(「買わなければ、当たらない」)。現行の賭博が詐欺と究極的に異なる点は、競争の仕組みが合法であると社会に認められており、常に勝つことになる主催者が公的主体であるか否かにあるが、そこから派生して、競争の仕組みが比較的分かりやすく単純にできているという点にも、ギャンブルという経済活動の特徴があろう。違法とされている種類の賭博行為が摘発・処罰されることは、ままあることではあるが、参画する顧客たちからすれば、それらの違法なギャンブルも、公正な仕組みによって運営されているものと受け取られていよう。野球賭博について想起せよ。ハンデ師は、非合法な存在ではあるが、賭けを面白くする上で、なくてはならない職人的な存在であったと言われているではないか(。ぱちんこは、グレー扱いであるが、釘師も、同様の職人である)。違法・グレーなギャンブルにおける開帳者・参加者の間の了解は、合意の有無という点では、先に言及したマルチ商法における中間販売者に近いものがある(。違法なギャンブルは、罰の重さこそ違えど、開催者・参加者の双方を罰するのであるが)。

詐欺という一連の出来事を考察するときには、具体的な対人関係の発生時点における被害者・加害者の情報の非対称性と、両者の立場を逆転させたときの不公平感を考慮する必要がある。先に考察したが、公営ギャンブルについては、システムが法律により規定され、その仕組みが万人に向けて、必要十分な程度に開示されている(という建前である)。この担保ゆえに、公営賭博で身を持ち崩す個人(②)は、今でこそ治療の対象として見做されるようになったものの、従来であれば、自己責任と片付けられていた(③)。この自己責任という建前は、現在、金融取引のみならず、経済行為全般について、敷衍されている。他方で、論理をはしょるが、詐欺犯を非難すべき理由は、平たく言えば、「法律で許されている範囲を超えて騙しているから」である。法律で許されている方法に則っているのであれば、あるいは、法律の規制の対象となっていなければ、被害者は、たとえば、いくら多額の金融商品が暴落しようが、いくら土地のバブルが弾けようが、売主を詐欺師として責めることができない。特に、合法とされるシステムについては、「騙す」側に知恵も経験も技術も集中しているという非対称性は、法律において、相当に軽視されがちである。


脱線;需要者=黒幕は「下手な鉄砲も数撃てば当たる」システムから決定論的に一人以上の走狗を得ることができる

なお、参加費用が分かりにくく個人の人生を大きく左右しうる(②・③)点を除けば、知的なスポーツ(①、囲碁・将棋・チェス)も、参加者の同意が存在するという点、同一の枠に入れることもできる。最近、海外では、eスポーツも該当しよう※1。ただし、これを敷衍していくと、事前の合意の有無こそが問題となることにもなり、決闘や肉体的なスポーツ、あらゆる競争にも話が及んでしまうことになる。どこかで歯止めを掛けた考察が必要となろう。

ただ、合意に基づく参加者が存在するという点に注目しておくことは、詐欺(的)な「下手な鉄砲も数撃てば当たる」システムの「犯罪性」を考察する上で、重要である。わが身(=人生における時間という点では、労働と同価)を供給する参加者がいる限り、需要者である芸能界は、人材に事欠かない。同じ事は、走狗の人選にも言える。成功を夢見る・何でもする若者は、彼(女)の人生と良心を供給しており、この供物に対して、番頭としての権力とカネが支払われるのである。人材(走狗)供給システムが存在し、潤沢な買付資金があり、貧乏が広く存在する限り、黒幕=主人は、イヌに事欠くことがない。

「下手な鉄砲も数撃てば当たる」式の走狗供給システムは、人材供給だけに留まらない機能を有している。多数の走狗候補者は、互いに成功を求めて争うから、成功が「努力しても叶うものとは限らない」という「冷徹な現実」を提示し、その提示された事実を通じて、人々を余計に努力に駆り立てるという機能を発揮する。しかし他方で、このシステムを用意した黒幕たちは、決定論的に、言い換えれば努力抜きに、一名以上の走狗を得ることができる。さらに、この選考過程そのものからも、黒幕たちは、利益を絞り出すことができる。大企業のピラミッド型形状がある程度高いと、中間管理職がムダに思えるかも知れないが、走狗としての性向を強く有する(奴隷根性の)人物の割合が高い場合には、この階梯は、彼らの向上心を呼び起こすことになる。なお、走狗供給システムにおける非対称性は、(供給側に多数の労働者がおり、需要側に黒幕集団がいるという)供給過多の労働市場から生まれるものであるこの状態を脱する上で、大事なことは、このようなシステムを用意する人物たちが余程のバカでなければ、供給過多を続けようと努力することに、使われる側の圧倒的大多数が、気が付くことである(。いわゆる「マトリックス」の存在に、気が付くことである)

これらの機能を考慮したとき、現在の経済システムへと「望んで参加した訳ではない」多数の参加者に対する現在の経済システムの詐欺師ぶりは、詐欺における加害者・被害者の非対称性と非常に近い様相を見せるものとなる。現代型の詐欺は、突然、被害者に対して、不意打ち的に仕掛けられる。しかも、その際、不意打ちを仕掛ける側の方が、被害者よりも、状況に対する経験と対応力を有している。状況を制御する力に乏しく、相手の方が上手になりがちであるという点で、現今の資本主義システムと詐欺師は、類似した力関係を、相手に対して振るっているのである(。この点、ナンパも、藤沢数希氏が小説で「モテ=ヒットレシオ×試行回数」[3]と語り、宮台真司氏も同種の話を方々で語っているが、経験と実績を表す「モテ」が試行回数に比例するというモデルに基づくようである。つまり、(彼らの主張が正しければ、)ナンパにも、非対称的システムの側面がある)。

このとき、ベーシック・インカム(収入保証制度)は、イヌ候補である個人の内面において、同一貨幣単位の限界効用を低減させるという効果を有するものとして機能する。他人も等しく、しかも気楽に生活できる様子を見せつけられていたら、よほどの餌で釣らないと、あるいはよほどの嗜虐趣味の人物でなければ、非道を嬉々として実行しなくなるというものである。このように考えると、ベーシック・インカムを提唱していたエーリッヒ・フロム氏が、ナチス・ドイツの心性をサド・マゾ関係で説明していたことは、偶然とは思えないのである(。このように書かれていた訳ではないが、貧乏を防ぐことが平和を達成する上で役に立つことは、指摘していたような。いずれにしても、この効果まで見越した上で、ベーシック・インカムを提言していたのではないかとも思えてしまう)。


現代社会における知識の増大は、詐欺全般の機会を増大させている

詐欺のビジネスモデルの全体(event)と詐欺師の機転(③)は、それこそ、15世紀から大きく変化していないが、この一方で、日常生活を維持する科学・技術の発展が著しく、法律や行政制度が大量でありながらも詐欺の予防に全力を傾けていないために、被害者になりうる人々の一般的な知識が追いついておらず(①)、人々の騙される機会が増加している。この構図に係る説明は、極論である。しかし、極論である方が、程度問題という詐欺の本質を理解する上で分かりやすいので、極論を続けよう。仮に、全てのマスコミが、つまらないニュースと娯楽番組(記事)を、全て、詐欺の類型と予防に係る広報に振り向けていたとすれば、いかな視聴者(読者)と言えども、相当の耐性を身につけることとなっていたであろう。同時に、この結果、たとえば、日本経済新聞の一面記事は、現行で掲載されているような記事の多くが掲載の余地を失うこととなっていたであろうし、読者は、その結果に接し、同紙に対して常に警戒を以て接するようになったであろう(。現代社会においては、記事の発表のタイミングが1日ずれれば、インサイダーの危険が常に生じる)。究極的には、あらゆるメディア=情報の流通業者は、詐欺の片棒を担ぎかねない危険を抱えながら、日々の業務を続けている(。むろん、本ブログもその危険を免れてはいない)。

現在のマスメディア(③)、SNSまたはインターネット(①・②・③)、双方の環境において、詐欺師と呼ばれている人物の異同を比較すると、面白い結果が得られる。ネットにおいて詐欺師と指摘されたことのある人物が、マスメディアにおける露出の機会を有しており、または、職務上の継続的な関係をマスコミ関係者と結んでいるために、結果としては、マスメディアから排除されていないという事例を、相当に見かけることができる。詐欺と呼べるだけの実績を(裁判官ではなく)一般人から見た場合に認めることができる人物たちであってもである。この異同は、現時点では、マスコミ関係者に気が付かれていないようにも見える。ただ、元・受刑者であっても、従来名が売れていた芸能人であれば、非・芸能人枠でマスコミに露出する機会の職業に比べて、マスコミへの復帰が比較的容易であるようにも見える点は、この辺の機微を反映しているようにも見える(。元・受刑者の発信する情報の種類が、演技であったり、演芸であったり、音楽であったりすれば、言論に比べ、不問に付されやすいという構造があろう)。言論を本業とする人物が詐欺師と認定された場合とは、扱いが異なるのは当然ではあろう(。言論人が嘘を吐くと、自己言及のパラドクスが生じてしまう)。しかし、そこに例外が見られるとすれば、それは、いかなる理由に基づくものであろうか。芸能事務所の存在は、要因として認められるであろう(が、今回、これに立ち入る暇は、ほとんどない)。

現代の詐欺師たちは、被害に引っ掛かることのない多数の人たちに犯行を重ねていることを気付かれ、指摘を受けながらも、逃げおおせることができる手段と理屈を用意した上で、ごく少数の騙されがちな人たちから、多量の金品(や性愛上のリソース)をせしめることを目的に、日々、積極的に活動している。新手の手口であっても、早晩、警察や消費生活センターに認知され、警告が始まることになる。騙されやすい人々の数も限定されているから、彼らをとことん搾取するにせよ、未開拓の顧客を絶えず獲得する必要がある。このために、詐欺という犯罪は、「よほど確立された状態」にシステムを持って行かなければ、結果としては、自転車操業的な業態、焼き畑農業的な業態に陥りやすいものとなる。マルチ商法という業態は、「よほど確立された状態」に至る過程までの道半ばにあると言えようし、一部のカルト宗教は、「よほど確立された状態」を確立している。多くの国に係る中央銀行制度は、「よほど確立された状態」の究極形にある。私には、仮想通貨もこの究極状態を維持・強化するためのツールの一つとして、アングラ界から引き上げられたものである、と見えてしまっている(。一般の社会からすれば、私の見方がおかしいことは、重々承知している)。


詐欺への有効な対策は、言論と経済活動との関係を追究することから始まる

詐欺に対する焼き畑農業という比喩は、詐欺の究極的な予防について、一つの示唆を与える;つまり、全員が詐欺師の手法に通暁していれば、詐欺を働くことは難しい(。読者諸賢からは、どうすれば良いのかを早く教えろ、とツッコまれそうであるが、例によって、「知は力なり」を繰り返すほか、私には有効な策がない)。市場原理がネット言論およびネット広告に浸透していなければ、「質問に答えてくれるスピーカー」が参照するデータベースを整備しておくという手が考えられる。「この人誰?」と聞いたときの答えを用意しておくのである(。「御用学者の一覧」は、同様の効果を有するが、原子力ムラが総力を挙げて潰してしまった)。しかしながら、警察や消費生活センターが注意喚起する種類の詐欺については、対象となりやすい人々の多くが、メディアリテラシーも経済的余裕もとっさの判断力も、持ち合わせていないであろうから、これについては、事後的に契約を無効とするような昨今の方策しか、有効には機能しないであろう。中央銀行制度に基本を置く現在の詐欺的資本主義システムをマシな方向に持って行くためには、トマ・ピケティ氏の指摘を、小学生のときから徹底的に教え込むしかなかろう(。ただし、だからといって、金融教育を拡充する従来の方向性は、基本的に間違いである。全生徒に数学IIおよび数学B修得させることが先であり、これらの科目が分かれば、金融屋の狡さが基本的に分かることになろう)。

唐突であるが、コインチェック社の顧客口座の運用形態に係る外野の指摘について、これが六本木・青山という繁華街で遊んでいる種類の人々の口から出てきたことは、覚えておくべきかも知れない(。この話は、一応、本項に係る話の前振りである)。仮想通貨に対する信用毀損の程度を軽減しようという目的があるやも知れず、そこには、外部者との協力関係が存在する可能性も認められる(。ジャーナリストは、取材源を秘匿できるが、取材源が存在するときには、本来、その存在自体は公表しなければならない)。仮に、指摘した人物らが仮想通貨の取引に従事していたとすれば、それは、金融関係の法律には違反していなくとも、相場に何らかの影響を与える行為である(。この点、金融関係の法律が、そもそも、カネの論理に押しまくられている)。彼らが研究者を名乗り、研究として指摘をするにしても、その行為は、立派な利益相反行為である。まあ、せせこましい世の中であると言えば、それまでであるが、カネも(言論を通じた)名誉も欲しいという欲張りな姿勢自体が、贅沢である、というのが、私の基本的な意見である。言論活動と経済活動との間に明解な一線を引くことが、現在の経済界には求められていると思うのである。

言論活動と経済活動との間に一線を引くという考え方は、実行されれば、有効に機能する。構造的でない詐欺を防ぐ上で、情報を流通させる条件・主体に制限を設けることは、マッチポンプを抑制することになるから、有効な歯止めを作ることにつながる。広告業においては、いわゆるステルス・マーケティング(ステマ)は、一切禁止され、刑事罰の対象とされるべきであろう。文筆家については、具体的な金銭の授受を伴う利益相反関係があることが証明され、平均的な国民所得を明らかに上回る効率のものであったときには、数倍返しというのも考えられよう。ウェブ広告収入に係る最高金額の規定は、アフィリエイトなどの個人の広告収入にダメージを与えないために必要であろうし、同時に、まとめサイトなどの中で問題のあるものを効果的に制限する役割も果たすことができよう。広告収入アップを狙うあまりに敢行される反社会的行為も、有効に抑止されるであろう。表現の自由は、この制限によって、全然、損なわれる訳ではない。反社会的行為をテコとする広告収入が激減するだけであり、(収入減によるため申立されるであろう)生存権も、ここでは当たらない。SNSは、マスメディアに対する登竜門として機能させれば良いし、同時に、マスメディアを現在のあり方から大きく変えれば良い(。フェイク・ニュースは、Aチーム用であれ、Bチーム用であれ、大きく変える必要がある)。

#色々とアイデアはあるものの、基本的な考え方は、広告・宣伝のスタイルを各メディア黎明期の原則的なものに戻す、というものである。これに対しては、大きな反発が予想されよう。


※1 一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が2月1日に発足したという。ゲームを対象とするプロライセンスを発効する[4]とのことであるが、そのメインイベントであると認められる『闘会議』[5]の大会種目では、非日本ネィティブのゲームは、『レインボーシックス シージ』くらいであり、ライセンス対象の中では、『コール オブ デューティ ワールドウォーII』だけであると見受けられる。もっとも、ほかのタイトルの海外における展開は、目覚ましいものがあるので、それで良いのであろうと思うのであるが、同団体は、他団体のライセンスの代理業務などを実施したり、ライセンス対象を拡充したりするのであろうか。囲碁・将棋・チェス・麻雀・MtGなどの対戦型カードゲームと比較すると興味深いように思うが、彼らプロeゲーマーがどうやって老眼を克服するのかは、考慮すべき要素であろう。勝手な意見であるが、できるだけシンプルで、プレイヤーの地位の対称性が高く、技量によって序列を明確にできる手番を有しており、偶然性が排除されていることが(、後者2点は重複気味であるが)、良いプロを育てるゲームプラットフォームの条件であるように思う。PCワードであることを祈るが、「インディアンポーカー」などのより単純な複数人によるカードゲームは、凝縮された心理戦を展開できるので、面白いのではないかと思ったりもする。


[1] A Theory of Crime Problems
(2018年02月02日閲覧)
http://www.popcenter.org/learning/pam/help/theory.cfm

[2] 高齢者への次々販売(各種相談の件数や傾向)_国民生活センター
(2018年02月02日閲覧)
http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/old.html

[3] 藤沢数希, (2015.6). 『ぼくは愛を証明しようと思う』, 幻冬舎, p.52.(リンクはNDL-OPAC)
http://id.ndl.go.jp/bib/026449984

[4] ライセンス制度 | 一般社団法人日本eスポーツ連合オフィシャルサイト
(2018年02月03日閲覧)
https://jesu.or.jp/contents/license_system/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB

[5] 闘会議 ~ゲームファンとゲーム大会の祭典~
(2018年02月03日閲覧)
http://tokaigi.jp/




おまけ;人々を駆動する原理に係る適当な見解

カネと酒と異性は、人々を(時と場合によっては違法に)籠絡するための手段と良く言われる。ただ、カネで酒を合法的に買うことができる時空間は多いから、カネと異性を目的としているというべきかも知れない。あるいは、現代社会においては、違法薬物・薬物乱用が、酒の代わりというべきかも知れない。この話は、戦争屋などによって悪用されていることが明白である以上、少なくとも、彼ら犯罪傾向の高い人物たちに成り代わり、車輪を二度以上発明していることを意味するが、例によって、怠惰に基づき、指摘するに留め、調査は行わないでおく。もちろん、この原理を指摘したことによって、国際秘密力集団(の少なくとも一部)は、おかんむりかも知れない(が、同時に、痛痒を感じることも少なかろう)。なお、以上の誘因は、いわゆる両建て構造においては、Aチームに対して用意されるものであろう。

他方で、性愛関係のない、あらゆる好意・執着・愛着は、現代社会において、経済上の誘因・リソースとなり得るが、それらに対する規制は存在せず、むしろ、現代社会を成立させる上では、不可侵の情念と見做されている。知への愛(=哲学)、「人気商売」における人気、ある宗教における至高の存在に対する崇拝などは、ほとんどが一方向の愛着と言えようが、一組の男女における愛情と同様、「自由・平等・博愛」という理念に基づき形成された社会を望ましいとする態度などは、循環的・相補的な関係を生じさせ、当人の対象への愛着を強化する機能を有している。この関係性に伴う執着心は、違法なもの(たとえば不倫関係)などであればもちろん、そうでないものも、国際秘密力集団によって使役される弱味になり得る。性(交渉を通じた)愛(情)はもちろん、好意・友情・民主主義的信念などといった、通常は好ましいと見做される心の動きも、場合によっては、悪用されることになる。以上の誘因は、いわゆる両建て構造においては、(Aチームよりは見劣りするカネとともに、)Bチームに用意されるものであろう。


#以上の見解は、『国際秘密力研究』の菊池氏の考察の存在にも気が付きながら、自身の知識に基づいて記してみたものである。他者の意見をほとんど直接参照せず、自分の考え方を記してみたものであるから、劣化コピーであるかも知れないが、パラフレーズされた知識としては、役に立つものであろう。AチームとBチームを駆動させるものの違いは、氏も触れていたが、こんな感じではなかったような。とにかく、建前のきれいさがBチームを成立させるために必要とされることは、特筆されて良かろう。




2018(平成30)年02月03日22時10分訂正・追記

本文の分かりにくく思われる記述を訂正した。一般社団法人日本eスポーツ連合の発足について、追記した。




2018(平成30)年02月04日追記

一部、拙稿へのリンクを追記した。

創価学会は、今でこそAチームと見做される現政権の第一の補完勢力として機能しているが、昭和中期、信者を多数獲得するに至った求心力は、Bチーム向けの駆動力によるものであった。1980年代までの公明党は、明らかにBチーム型であった。連立政権内における公明党の役割は、常にBチーム向けである。この役割は、連立政権内におけるキャスティングボードを握るという目的を内包しており、55年体制時の自民党内の多様性の代替的機能を果たしてもいる(。分割統治の一類型でもある)。

公明党および創価学会に係る以上の考察からは、国なり民族集団なりの生存のためには、おおよそ、世代に合わせた地域・文化考察が必要とされるという教訓が得られるように思う。橋下徹氏の三世代論も想起せよ(2017年6月10日)。言い換えると、この種の考察は、四半世紀ごとにはアップデートされていなければ、具体的な事例が現実に即したものとならないことを意味する。考察に使用する方法論は、現代においても、国際秘密力集団の方法論がモダンなものではないから、モダンやポストモダンではなく、近代的なものでも構わないように思われる。

(一言)物凄い大ニュースが続いている

のに、わが国のフェイク・メディアは、独自性に乏しく、よほどの大ニュースを報道していない。「#ReleaseTheMemo」のツイッターのハッシュタグは、文字通りの大ニュースである。茂木俊充氏が秘書の物品配布を承知していた話(2月2日朝日夕刊)は、国内で問題になるというよりも、TPPを所掌する大臣が賄賂に関与していたという形式で、海外において報道されることのインパクトが大きくなるものと予測される(。無論、その意図で、本件報道に関与した良心あるジャーナリストがいるということであろう。ただ、彼(女)たちの究極的な目的が単に現政権の打倒にあるものか、あるいは、真に国民益の増進を目指しているものかは、分かりかねる。まあ、途中まで道が同じであるから、呉越同舟で良いのであろう)。

山本太郎氏の籠池夫妻に係る国会発言もまた、一部のネット上のみで話題となっている。真に国民を思う政権であれば、国益とのバランスを考えて、勾留せざるを得なかった(という理屈自体もおかしいが、)籠池夫妻の居住環境は、他者を大幅に超える厚遇としているはずである(が、このような話は、一応のところ、考えにくいし、この考えにくい話がたとえ成立しているとしても、箝口令が厳重に引かれることになろう)。暖房なしの室内で上着を着て執筆しながら、以上のように、私は考えたところである。




2018年02月03日06時15分修正

修正中にアクセスがあったようであるが、今回の修正結果が、当座の結論である。




2018年02月03日07時45分追記

茂木氏の話は、本文だけでは誤解を招くので、追記したい;違法性を国内で認められようが認められまいが、茂木氏の秘書の事件は、国際的に利用される方向にある;この報道をなした記者は、TPP11を潰そうという意図の有無に限定すれば、潰そうという意図を有しているし、その点では、人間としての良心を有している。もちろん、それ以上の意図は、私には分からない(し、ここに示した彼(女・たち)の意図は、私が勝手に推測したものである)。

2018年2月2日金曜日

(一言)コインチェック社の補償が日本円によるのは

約26万人分の顧客口座を使用せず、社の自己勘定口座によって、約26万人分の顧客口座に係る取引を実行していたからではないかとの疑いが、山本一郎氏[1]や苫米地英人氏[2]によって指摘されているが、この疑惑自体は、十分に信憑性のあることとは思う。ただ、両名の記事の論点の正確性は、皆が興味を持っている内にという時間制限を設けるとすれば、事情が刻々と判明するという制限もあり、私には確認しきれないことである。両名の記事の正確性については、読者各位に判断を委ねたい。


#以下、ほとんど雑文であり、整理できていないが、読者の利便のために、公開することとした。


山本一郎氏については、氏の言動を判断するための材料として、いくつかを指摘しておきたい。山本氏による原野商法への比喩※1は、取り立てて指摘する必要もない誤りである。NEM財団の公式ブログ[3]が山本氏の記事を取り上げたことは、山本氏を国際的なコミュニティにおいて持ち上げることになるから、将来の災いの種となるような気がして仕方がない。本ブログでは、山本氏の言動について意味のない人格攻撃を行う上、事実認識に誤りがあると言及したことがある(2016年10月19日)。また、氏の表現が当時の公的身分上のルールに抵触していた虞についても確認している(12月25日)。これらの拙稿は、先の懸念を裏付ける材料である。

また、苫米地英人氏についても、人々が知っておくべきことが(山本氏に比べて)いくつもある。先に紹介した記事[2]の趣旨を勝手に解読※2すると「26万の顧客口座が実働していたとすれば、盗まれるのに要した時間が短すぎるのではないか」という論旨は、大体、合っているように思う。ただし、二つの段落「これは、私自身がNakamoto2009…」と「ところで、この問題を解決する技術は私自身は開発済みであり…」のうち、特に後者は、私には真偽を判定しかねるものである。氏のこの記述[2]は、コンサル商売の糸口とするための撒き餌でもあると解釈できよう。苫米地氏の28日記事[4]において示された「顧客のNEM口座に流出前と同数のXEMを返還せよ」という指摘は、正しいと思う。前稿(2018年1月29日)の追記・修正は、苫米地氏のこの指摘に基づくものである。確かに、国税庁[5]は、仮想通貨の売却時に差額が所得金額として確定され、原則として雑所得となるという見解を示している。苫米地氏のビジネスは、『サイゾー』やその下部サイト『リテラ』『トカナ』など、広範にわたるものであるから、税務にも敏感ということなのであろう。また、氏は、色々な称号を保持しているが、それらは、氏のブログを参照された上で、各自で氏の主張を判定する材料とされたい(。JavaScriptがオフだと表示されない)。

苫米地氏について、特に、読者が押さえるべきことは、『やや日刊カルト新聞』において、氏についての記事がいくつか見られることであろう。代表的なものを挙げておく[6]。これらの指摘が本当であるとすれば、氏が自身で度々言及してきた「ロックフェラーの茶飲み友達」の怪人ぶりは、一層際立つものとして感じられよう。なお、山本氏は、苫米地氏に自由報道協会会長就任についてインタビューしており、両氏は以前からの知合いでもある[7]


#これくらいで十分であろう。以後、私は、両名について言及し、彼らの意見が正しいと裏書きすることを、従来以上に避けることとしたい。


※1 原野商法と呼ばれる種類の詐欺には、原野に係る権利を不当な高値で売り付けるマシなケースと、権利を持たない原野を紹介して顧客から資金を騙し取る悪質なケースがあり、山本氏の譬えに基づくと、コインチェック社のケースは、後者に該当することになる。

※2 私自身が不勉強であることもあり、二つ目の段落の記述にある$\log N$という関数は単調の中でも望ましい性質を持つ種類のものではないん?と思ったりもしたし、$\log_2 N$でもないん?とも思ったりもしたり、そもそも、このような式の記述の仕方で証明になるん?とか思ったりもしたが、私は、持ち前の自分自身の適当さに基づき、スルーすることとした。厳密にNEMの仕組みに則っても、結論は、大して変わらなそうであるとも判断した。


[1] コインチェック社「持ってないコインを消費者に売る」商法と顛末(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
(2018年01月30日00:37)
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20180130-00081027/

[2] ドクター苫米地ブログ - Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : ブロックチェーン技術による一送金あたり計算量の複雑性からコインチェックがホンモノか判断。また仮想通貨業界全体への改善提案 - ライブドアブログ
(2018年01月31日09:39)
http://www.tomabechi.jp/archives/51560563.html

[3] Coincheck Hack: "The Biggest Theft in the History of the World" - NEM News Website
(Julian、2018年01月28日)
https://nemflash.io/coincheck-hackthe-biggest-theft-history-world/

[4] ドクター苫米地ブログ - Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : コインチェックの460億円返済は、憲法違反のレベルの誤りである - ライブドアブログ
(2018年01月28日09:40)
http://www.tomabechi.jp/archives/51560371.html

正しくは、コインチェックが自ら保有するXEMもしくは市場から購入してXEMを保有数正確に戻すことだ。これ以外あってはいけない。

[5] 国税庁個人課税課, (2017年12月01日). 「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」『個人課税課情報』, 第4号.
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf

[6] やや日刊カルト新聞: エロかアートか? “傳法大阿闍梨”のSM動画
(藤倉善郎、2010年11月15日)
http://dailycult.blogspot.jp/2010/11/sm.html

[7] 上杉隆に乞われ、自由報道協会「会長」に就任した苫米地英人さんに事実関係を伺ってきたでござるの巻(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
(2015年08月11日06:30)
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20150811-00048365/