2016年2月6日土曜日

なぜFOXテレビは1982年のB級映画を今時放映するのか、推測してみた

 物語の形で真実が伝えられているという主張は、陰謀論において根強い人気を誇るコンテンツである。ここ最近、FOX MOVIE PREMIUMは、1982年の『メガフォース』というB級映画をなぜかヘビーローテで放映している。ほかに『X-ファイル』シリーズ特集や複数のロシア映画など、意味深なラインナップで攻めてくるので、ついついチェックしてしまう。ここまでFOXに挑発されているので、いち陰謀論者として、『メガフォース』を眺めてみることにしよう。

 『メガフォース』に登場するSCUFFという通信傍受システムは、世界中の重要人物のプロファイルと考え方などを把握しているという。1982年の上映時には、この話が御伽噺に見えたかも知れないが、2016年の現在、このシステムの存在を嘘と断じる者はいないであろう。劇中には、レーザータレットや電子レンジ兵器なども登場する。主人公たちは当時の流行の全身タイツ(笑)であるが、兵器分野についての考証センスは、B級映画といえども侮れるものではなく、むしろ本格的であると言える。タレットつまり据え置き型自動射撃ロボットは、すでに実戦配備されているし、電子レンジ兵器は、暴徒鎮圧用の電波発信装置として実用化されているのである。

 主人公のハンター司令官(Barry Bostwick)が輸送機に搭乗しようとしたときに登場する、機内にいた部下の肩にある旗は、ハンガリーの国旗のようである。この映画が1982年に上映され、同年にハンガリーのIMF加盟がなされたことは、偶然の一致なのであろうか。南軍旗を肩に付けた者までいる。『メガフォース』のハンター司令官の部下として、バイクに乗って現れた2名は、メキシコと日本の国旗をそれぞれ肩に縫い付けている。日本人のSuki役は、Evan Kim氏が演じている。ハンター司令官もそうであるが、ほかの隊員が全員アメリカ合衆国の国旗を肩に縫い付けていることを踏まえると、ハンガリー、メキシコ、日本の三か国については、何らかの意味が持たされていたのかも知れないとも勘ぐることは可能である。民主化運動が進展したハンガリーやメキシコ※1と併せて考えると、Kim氏の着けていた日本の国旗は、中曽根政権の登場とプラザ合意を示唆していたということであろうか。なお、ジョージ・ソロス氏は、ハンガリー出身らしいが、ここ最近、中国と日本についても積極的に発言している(=仕込んでいる)。

 『メガフォース』は、一見、どこまでも1980年代のハリウッドB級映画ではあるが、2016年の現時点で再放映される理由は、クレジットの後に、主人公のハンター司令官の台詞が繰り返される辺りにあるものとも推測できる。その台詞とは、「正義が必ず勝つ 80年代でもな。」※2である。1980年代においても、現在においても、大勢の日本国民は、この台詞を「正義は日本国にあり」と読み替えていることであろう。しかしながら、『メガフォース』の冒頭のテロップは、次のようなものである。
  Despite official denials by leaders of the free world, sources now
confirm the existence of Megaforce, a phantom army of super elite fighting men
whose weapons are the most powerful science can devise.
  Their mission .... to preserve freedom and justice battling the
forces of tyranny and evil in every corner of the globe. 
"自由諸国の首脳陣は否定しますが"
"メガフォースの存在が確認されました。"
"エリート戦士の幻の軍隊"
"ハイテクの秘密兵器を駆使して"
"世界の自由と正義を守るため"
"地球の至る所で"
"暴虐非道の集団と戦う"※3

 現在のわが国は、明らかに全体主義的傾向を強めている。とすれば、わが国は、むしろ「自由諸国」の一員ではなく、『メガフォース』の敵であるということになる。ただし、愛国者法以後のアメリカも、アメリカ国民にとって、必ずしも「自由諸国」であるとは言えないであろう。そうすると、いったい、日本国で『メガフォース』がヘビーローテとなっているのは、なぜであろうか。一応の舞台は、ガンビア共和国であり、同国大統領がイスラム教を国教化したことを宣言した(businessnewsline)ことと関係があるのか。ガンビア共和国を持ち出されても、イスラム教の国教化が「"イスラム国"化」と誤訳されたらしい(Buzz+)ことを除けば、大抵の日本人にはピンとは来ない。この映画は、わが国が自由諸国から敵と見なされつつあることに対する警告であると解釈した方が、陰謀論者にふさわしい見方であるように思われる。



 『ナイト・ライダー』のデヴォン役のEdward Mulhare氏が将軍(Byrne White)で出演していたのには、感慨深いものを覚えた。劇中の「ナイト財団」は、ベトナム戦争の悲惨さを同時代的に知らないロスジェネ世代の一人である私にとって、善悪の区別が簡単であるかに見える世界における、善の側の組織であるように受け止めることができた。当時、小学生の私には、日本国政府が悪の側にいるなどとは思いもよらなかったが、ウン十年経過した今では、現在の日本国政府は、明らかに、世界の側から見て悪として位置付けられかねない存在であるように見える。福島第一原発を水棺や石棺によって終息させていさえすれば、まだ、日本国政府のこのほかの行いは、帝国主義としての伝統的方法を取り続けているのだと強弁することもできていたであろう。しかし、事故をなかったかのように日々を無為に過ごし続けていることは、日本国民と世界各国とを危険に晒し、日本国民を結果的に加害者の側に立たせる準備を進めていることにつながっているのである。「黒田バズーカ」の効果がたった一週間で切れたかに見えることは、日本国民にとって悲惨な結末が近付いていることの傍証であるようにも思われるのである。


※1 心当たりが多いのだが、ここでは、ロケ地の雰囲気などから、ブッシュファミリーによる、コロンビア~メキシコ~米国テキサス州というコカイン配送ルートの開拓であると推測しておこう。

※2 "the good guys always win, even in the eighties."

※3 訳は日本語字幕から転載した。文節の順序の入れ替えがあるが、正しい訳であろう。

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