2016年2月25日木曜日

全国の人口動態統計による千葉県市原市における年間死者数の予測

図 千葉県市原市における年間死者数(実数)と
平成22年中の全国死者数に基づく同市の
年間死者数予測の推移

 上図は、平成22年中の全国の五歳年齢階級別の死亡率により、千葉県市原市における死者数の推移を予測したものである。黒色の実線は、同市のウェブサイトに掲載されている実数値である※2。予測にあたっては、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測のうち、死者数の予測において利用されている方法を参照して※1、ブートストラップ法(パーセンタイル法)を用いた。赤色の点線は、95%区間を示す。平成22年中の全国の五歳年齢階級別の死亡率は、平成21年12月の推計人口と、平成22年の人口動態統計から年間死亡者数により、求めた。人口移動(死亡)数については、12ヶ月分の統計の算術平均を利用した。

 本図の作成の契機は、『ずくなしの冷や水』という反原発の方のブログに、千葉県の北部において、死者が増加しているという記述があったことによる。上図を見る限り、死亡者数は増加傾向にある。しかし、同市の人口構成は、高齢化が進みつつあるだけでなく、東日本大震災後の社会移動も大きい。このため、記述統計だけで死亡率の増加を論じる訳にはいかないのである。上図によると、市原市の死者数は、しばらく、2010年中の死亡率に基づく死者数の予測を大幅に下回るものであった。東日本大震災後、しばらくの間は、予測を超えて長寿傾向が継続していたのである。これが95%区間に再び戻ったのは、2014年9月~2015年8月の平均以降である。今後、大きな社会移動や、平均寿命に変化がない限り、死亡率は、しばらくの間、予想される死亡率よりも高くなった後、95%区間の代表値まで戻るという挙動を取るものと予測できる。ここで予想した傾向から外れるような挙動が生じたときこそ、『ずくなしの冷や水』氏の言うとおり、人口動態が変化しつつあると言うことができよう。



※1 Population Projection for Japan
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/con3.html

※2 人口移動 市原市
https://www.city.ichihara.chiba.jp/joho/toukei/jinkou-top/jinko_ido.html

※3 市原市の人口動態急速に悪化 原因は?: ずくなしの冷や水
http://inventsolitude.sblo.jp/article/163650045.html

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