2017年5月6日土曜日

都内の202cpmという計測結果は機器の不調による

『阿修羅』の「原発板47」では、福島県浪江町の帰還困難区域内の十万山近辺における山火事と、それに伴う放射性物質の飛散が、話題の中心となっている。たとえば、駒沢公園近くの私人による計測結果が202cpmとなったという「@N0NUKES」氏のツイート[1]が大きく取り上げられている[2]。202cpmという計測値は、セシウム換算でおよそ2マイクロシーベルト/時に相当し、特別区南西部の通常よりも一桁高い外れ値である。しかし、後段で示すように、本件は、計測機器の不調を誤解したものと認められる。火災により、樹木に吸着されていた放射性物質の一部なりとも飛散することは確実であり、北風が吹くと東京における空間線量が上昇することも事実ではある。今回の山火事によって放射性物質が飛散することを否定するのであれば、黄砂やpm2.5が風によって飛散するという事実をも否定しなければならない。それゆえ、福島県がモニタリングポストの結果を引用しながら周辺での目立った上昇が見られないと断定したことは、一部の聞き手に誤解を生み、彼らの不安を殊更に喚起する一つの要因となったものと認められる。

今回の「202cpm」騒ぎは、「@N0NUKES」氏が参照していた地図を誤読したために生じたものである。今回のように、一つのモニタリングポストだけで飛び外れて高い値が検出された場合、技術者マインドを有する通常人であれば、まず最初に、計器の故障を疑うものである。「@N0NUKES」氏が参照する2種類のサーバ[3], [4]は、いずれも、マッシュアップ(種々のソースを統合して表示する形式の)サーバである。このため、これらの地図に表示された、ある地点の計測結果は、そこでの計測(機器の性能ならびに運用)に依存する。しかし、今回、近辺のサーバのいずれも異常値を検出していないことを、このツイート主は無視したのである。実際、計測地点のサーバ運営者は、5月3日時点でサーバを交換している[5]

しかし他方で、わが国では、真に中立的な立場からモニタリングを継続する組織や個人が十分な密度で存在することを期待することが困難であり、それゆえに、この種の誤解が流布することを避けられない。中学生でも利用可能なクラッキングツールを公的機関が開発して他国に提供する現在、善管注意義務を果たして個人がサーバを運営することは、相当の難事である。(自分が行っていないことを他人に求めるのも難があることも承知している。)わが国において、この手のツールを利用しうる組織が原発推進から天下り上の利益を享受してきたことは、広く知られている。たとえ、わが国の官僚組織が、全体として、この種のクラッキングツールを国民に対して悪用することを建前として禁じていたとしても、たとえば「sengoku38」のような「身内」の人物の「犯罪」を抑止できなかったという実績が官僚組織の側に見られる以上、心ある人物がサーバ運営に踏み切ることは、まともな先進国における以上に、ハードルがあることになる。このとき、「@N0NUKES」氏のような誤解しやすい人物が「モニタリングポストは改竄されていて信用ならない」と主張するとき、誰がこの誤解を真っ向から否定できようか。本来は、このような個人の計測値の異常を比較対照できるような、同等の材料がなければならなかったのである。

モニタリングポストは、現今の官僚組織が一般人に無用な威嚇を行っていると受け止められている状況をも勘案すれば、より事実に即した形で(東京都内においては、道路上・地上1mで)運用されるべきであった。原発ムラに与しようがしまいが、官僚たちは、数値自体は正しく計測し、適時に公開し、その上で、解釈についての論争に耐えられるだけの理論構築を行うべきであった。もちろん、私個人は、そのような理論構築など無理であるものと考える。ただ、その理論構築を恐れるあまり、数字を改竄し出すようになると、悪を企図する官僚自身が、参照点を失うのである。


[1] #2017年05月05日確認

[2] ど、どうしちまったんだ? 渋谷で今!  赤かぶ
(赤かぶ、2017年05月03日14:46:15)
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/855.html

[3] Black Cat Systems Online Geiger Counter Nuclear Radiation Detector Map
(Black Cat Systems、2017年05月05日確認)
http://www.blackcatsystems.com/RadMap/map.html

Readings are in uR/hr (microRem per Hour) for Cs137/Co60 (Cesium-137 / Cobalt-60)
Note that these are generally run by individuals, and not all readings may be accurate. Do not panic because you see a high reading. Someone could be getting invalid readings.

[4] Nuclear Emergency Tracking Center
(Nuclear Emergency Tracking Center、2017年05月05日確認)
http://netc.com/

[5] Result of Geiger-Muller counter. by Illuminum
(記名なし、2017年05月05日確認)
http://www.illuminum-led.com/GM10/geiger-gm10.html

お知らせ:2017.5.3(水)--この3ケ月ほど、放射線量が異常表示したりPCフリーズによるカウンター停止などが続いたため、接続しているPCを自作PC(CUP=Core2 Quad Q6600)から市販のDELLディスクトップPC(CUP=Core i5-7400)に交換しました。
#適宜半角スペースを削除済み。

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