趣旨は、題名のとおり。業務統計の対象となる統計のうち、手術数(厚生労働省、DPC導入の影響評価に関する調査)、救急搬送件数(総務消防庁、救急救助統計)、刑法犯認知件数(警察庁、犯罪統計)などの業務として計上される件数は、理論上、全職員数に1未満の定数を乗じた値に比例する上限を有するはずである。特に、業務一件当たりの処理に要する時間が長いほど、この上限はあからさまに統計に反映されるはずである。刑法犯認知件数は、ここに挙げた三種の業務の中では、比較的負担が少ないはずであるから、その数値は、職員数に応じた上限に達しにくいものであるはずである。
この指摘は、あくまで原則的なものであり、業務統計を取扱おうとする分析者は、個別具体的な業務内容に即して、考察を進める必要がある。さもなければ、現実において捌ききれないほどの業務量が生じているにもかかわらず、統計に変化が見られないから、業務が安定的であると結論するなど、容易に誤った結論を提示することになるであろう。とりわけ、捌ききれないほどの業務量があったところ、職員一人あたりの生産性が減少したために、それにつれて対処した業務件数が減少するというメカニズムには、注意が必要であろう。先進国において、業務統計の対象となる業務の多くは、市民が各自で処理していた(、または、放置していた)問題が、専門分化によって対処できるようになり、同時に、専門的な対処が可能となったゆえに、統計を計上する必要も認められるようになったと見ることもできよう。
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