2016年9月6日火曜日

国際的なゲームのルールは変わりつつある(感想)

 ここ一週間ほどの日本国内の報道を見る限り、国際関係が奇妙なほどに平常運転であるように見える。原発再稼働は、子飼いであるはずのNHKから牽制が出され※1、にもかかわらず、G20の経済協調の成果※2を含め、国際関係が平穏そのもののように報道される。佐藤優氏は、「二島先行論」になりつつあることを匂わせつつ※3、安倍晋三氏を「歴史に残る」とラジオで評している※4。北朝鮮のミサイル発射は、わが国の排他的経済水域に着弾したにもかかわらず、ニュースの扱いは非常に冷静な印象を受ける※5

 ということは、わが国の指導者層に係るゲームのルールは、変わりつつあるのかも知れない。ここのところのわが国の報道のモードは、かなりマンネリ気味である。要所要所で、変わりましたよ~という気配をしれっと見せつつ、従来ならば重大であるとしてヘビロテに乗せられていた種類の脅威が、メディアごとに一回限りかのように、控えめに報道されている。大きな被害を生じない形で、わが国に対する権力の移行がなされることは、日本国民にとって、当然に望ましいことである。縦割り組織の中で、神輿だけは軽くしておきながら、候補者の中では最も優秀と見なされるであろう人たちが、次世代において重要な役割を担うため、脅威に対応する経験を積んでいる最中であるというのであれば、国民に対してこのことを知らしめておらず、拠らしめている点、完全に公平であったと後世において評することまではできないであろうが、次善の状態を取ったと評される余地はあると言えよう。

 現時点の指導者層は、同等に扱われている訳ではなく、明らかに、報道によって選別される存在である。ということは、便りがないのは良い便り、という場合が多かろう。

 それにしても、現在は、「ニュースが完全に報道されないモード」になりつつあるのであろうか。私のポンコツ知能では、ネットやテレビだけで9月に入ってからのわが国の動きを読むことは、ほとんどできていない。分かることは、「何だか良く分からなくなってきた」ということだけである。悔し紛れであるが、後世にこの状況を検証する手段が残されていることは、ゲームのルールが先進国並であったことを示す要件となろう、と指摘して本稿を締めておく。

#私の現時点の個人的な愉悦は、状況を理解できること、推測したことが当たったことを確認できることであるが、両方とも、なかなか果たされていない感覚がある。


※1 NHK『解説スタジアム』「どこに向かう 日本の原子力政策」(平成28年8月26日午後11時55分~午前0時49分、リンクは番組サイトトップ)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu/stadium/index.html

※2 保護主義に反対、課税逃れ防止…G20首脳宣言 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
(2016年09月05日 22時57分)
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160905-OYT1T50084.html
 【杭州(中国・浙江省)=山内竜介】中国・杭州で開かれていた主要20か国・地域(G20)首脳会議は5日、貿易と投資を巡るあらゆる保護主義に反対することや、課税逃れを防ぐ税制の構築、構造改革の推進などを盛り込んだ首脳宣言を採択し、閉幕した。
※3 北方領土に本気で取り組み—安倍首相 | nippon.com
http://www.nippon.com/ja/currents/d00241/
日本側からすれば、平和条約が締結されれば歯舞群島、色丹島の2島は日本に返還されるのだから、

※4 文化放送『くにまるジャパン』2016年9月2日放送分

※5 北ミサイル3発、ほぼ同地点に落下…能力向上か : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
(2016年09月05日 20時32分)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160905-OYT1T50053.html

同日(2016年9月6日)11時22分追記

テレビ朝日『ワイド!スクランブル』に出演していた辺真一氏は、大変興奮しているかのような口調であった。スタジオの聞き手が引いている様子がありありと映し出されていた。辺氏の緊張を煽るかの言動は、彼にとっては国際関係の緊張こそが食い扶持になるという事実を示すものであることが分かる。対立から利益を得る者がいる、という事実は、現在の日本においては、黄金則に近いものがある。

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