2017年4月27日木曜日

築地再整備案の再浮上により豊洲市場のカジノ転用説は現実味を増した

豊洲市場移転問題PT(プロジェクトチーム)は、築地市場再整備案も報告書に併記する方針という[1]。知事の小池百合子氏が「立ち止まって考える」と指示したという[2]から、両論併記は、行くも戻るも可能とするための措置として、当然ではある。ただ、再整備案における数百億円という試算額は、これまた過去に本ブログで扱った(2016年9月29日)カジノ転用への見込みを強化する材料である。本ブログは、常人には俄に信じ難いような、しばしば陰謀論と誹謗される説までをも検討するものであるが、本人は至って大真面目のつもりであり、反証できるだけの材料に接したときには、過去の自説を修正することに何の躊躇もない※1。今回の場合は残念ながらというべきか、また一つ、豊洲市場カジノ転用説に肯定的な材料が加わった。

豊洲市場の耐震性能については、報告書[2]を読む限り、都の関係部局(発注者である市場、建築確認担当者である都市整備部の双方)の責任問題へと発展することが忌避されたためか、問題なしとの結論が採用されている。耐震性能については、本来、問題であるとの指摘を提起した委員に再計算業務を委託すれば、一発OKである。しかも、そうしなければ(専門家としては)結論を出しかねるはずである。とりわけ、報告書中の「II 豊洲市場移転案について>>7.豊洲市場の建物の構造安全性>>(4)地震用荷重の設定」(引用部分参照)については、再計算すべきである。しかし、報告書は、再計算の是非を報告書に盛り込むことなく、PT委員の多数派が問題なしとした格好となっている。このような幕引きとなったのは、再計算により耐震性能に問題があるとされた場合、発注者である市場だけでなく、建築確認担当者である都市整備部にも責任が及ぶためであろう。再計算の結果は、都の関係部局の無能力を責める材料となる。地下ピットの設置は、当時の都庁内部の独断によるものであるから、構造上の責任は、すべて都によるものとなり、その責任の所在は、従来の市場関係者系列だけに留まらなくなるのである。

豊洲市場への移転を妨害する最大の要素は、私から見れば、耐震性能であったから、この疑問を誰もが問題なしとできるだけの精査が、PT上で本格的に行われ、再計算結果が問題なしという所見とともに明記されていたとしたならば、私としても自身の誤りを認め(ざるを得なかっ)たであろう。実際、過去に触れた(2016年11月4日)ように、支持杭が存在することと、その効果については、個人としては現物を確認しようもないが、問題視していない※2。しかし、PTとしての結論は、再計算を忌避することにより、耐震性能に係る疑問を一層深めるものとなった。構造計算は、よほど教科書的なものでない限り、実行してみないと結果を明確にできない種類の作業である。ウン千億円のプロジェクトの成否を分ける要素を検証する作業であるから、数百万円でも追加支出して構造計算を厳格に実施してくれる建築事務所に依頼することには、何の問題もなかったはずである。


※1 実のところ、私の判断では採用しにくいために捨象している「陰謀」説も、かなりの多くに上る。本ブログは、場当たり的な検索結果を利用しており、また、アブダクションを多用するとはいえ、一応のところは、一種のフィルター機能を果たしているものと自負している。言い換えれば、本ブログは、正しいか誤りかを併記したキュレーション機能を備えているつもりである。判定が成功しているか否かは、もちろん、読者の判断による。

※2 現に、杭打ちに係るデータが偽造されたために、マンションが傾いたことが2014年11月に発覚した事件が報道されている[3]


[1] 築地、豊洲両論併記へ | ロイター
(共同通信、2017年04月25日05:16 JST)
http://jp.reuters.com/article/idJP2017042401002194

[2] (資料2)委員検討用市場問題プロジェクトチーム報告書素案(案)(PDF:7.7MB)
(2017年04月26日、27日閲覧)
http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/shijoupt08/06_houkokusyosoan.pdf

日建設計は地上に接しているレベルから地震用の積載荷重を計算しているが、これについて、地下の砕石層から計算するべきではないかという疑問が示された。〔p.70〕
〔...略...〕日建設計の考え方は、委託を受けた設計事務所の判断に任されている範囲内であり、建築基準法では、そのような考え方で設計することが許容されていると判断した。また、東京都の建築基準法所管部局は、そのように処理した。
他方、地下の砕石層から計算するべきだという考え方も、そのように考える者が委託を受けた場合にはありうるものであり、誤りであるという根拠はない。ただし、建築基準法の所管部局は、具体的な事例に即して判断するので、仮定のケースについては、判断をしていない。
なお、法律の許容する範囲内で、専門家としてどの方法が妥当かという議論はありうる。〔pp.71-72〕

[3] くい打ちデータ偽造事件 - NAVER まとめ
(makkoimaru、更新2016年02月28日)
https://matome.naver.jp/odai/2144870749519737301

2017年4月26日水曜日

日本の言論状況に最も必要とされるのは自己検証サイクルである(4)

本稿は、第1回(2017年4月18日)、第2回(2017年4月20日)、第3回(2017年4月24日)からの続きである。おおよその着地点は見えているが、もう少し寄り道を続ける必要がある。ここのところ、文章を練り上げる作業をサボり気味なので、主題文(topic sentence)だけを追うなどして、適宜読み飛ばしていただいて結構である。


二大思潮の対立構造そのものは悪とまでは言えない

人間社会に対する理解は、弁証法の下に発展するかのように見えることがある。刑法学における旧派(=犯人は生物学的におかしい)・新派(=犯人の生育環境がおかしい)の掛合いと、そこから新右派(new right)と呼ばれる(環境犯罪学を含む)一派が生じたといったダイナミクスは、その好例であろう※1。『国際秘密力研究』の菊池氏は、TPPとRCEPの両建て構造を批判する際、両条約を対立させるという思考様式に憑依されぬようとも警告する[1]。菊池氏の両建て批判は、思考の対象である両条約だけでなく、思考の様式そのものにも及ぶものであり、読み方によっては、西洋式学問の全般を射程に含めるものである。

しかし、(当然ではあるが、)世の中に見る思想上の二項対立のすべてが「国際秘密力」の意図により準備されたものではない。洋の東西・今昔を問わず、既存の思想や状態が参照され、対置されるという思考過程は、普遍的に見られる。大雑把を承知で記せば、たとえば、老荘思想が既存の哲学である儒教を参照したように、あるいは初期イスラム教が自らをユダヤ教・キリスト教の最終的な後継者であると位置付けたように、あるいは社会統計学において、具体的な統計や指標を検討する際、対比を基本とせざるを得ないようにである。対置・比較という方法は、およそ現代的な知的活動の根幹をなすものである。この思考技術の使用までを完全否定してしまうと、現代の学問的水準には到達できない。何を目的として思考するのかが、健全な状態※2に留まる限り、弁証法や、比較対照という作法は、(その否定が思索者の手足を縛ることになるだけに、具体的な問題が立ち現れるまでは、)許容されても良かろう。

「両建て構造」は、異なる二つの信念体系(私のいう「セット思考」、2016年7月26日)を用意するだけでなく、その二大体系の間に感情的な対立までをもたらし、かつ、話者の人間関係をも不愉快なものに変えることまでを目的に取るものである。「両建て戦術」全体は、間違いなく「悪の技法」ではあるが、異なる二つの信念体系を用意するという「燃料の準備」と、そこに人間関係の対立を持ち込むという「燃料への点火」とは、区別すべきである。ごく抽象的に表現する限りでは、二つの信念体系を公平に客観視し、それらの「止揚」を試みる限り、一人の観察者の内面において、二項対立の罠に陥ることは生じないはずである。『国際秘密力研究』の菊池氏は、「両建て戦術」を克服するためには、日本由来の方法論に依拠する必要があると言うが、これはこれで一つの結論である。他方、(かつてのマルクス主義内部における論争とダブるが、)「敵=国際秘密力集団」の方法論である弁証法を含めた思考方法を習得し、この集団に現在生じている仲間割れ※3につけ込むという方法も、(国民益に適う)一段上の勢力均衡に到達するための一手段である。このように、私自身は考える。

社会・人文科学における学術上の二大思潮の対立は、思想の対象となる二つの社会集団への利益分配方法が、議論を尽くしても一通りに収斂すると期待できない場合にも生じる。この表現は、誇大理論的であるが、ブログでもあるし(もう投げ遣り)、これくらいの隙は構わないであろう。それに、私のキャラを理解した読者であれば、私がここでは「批判があれば修正するから、はよ批判してくれや」という「誘い受け」を狙っていることも、また理解できることであろう。三つの思想に優劣があるとして、三すくみの状態にあるとき、二つの思想を使うことができれば負けることがない。この構図は、非常に限定された状況にしか当てはまらないが、ジャンケンで考えれば、理屈自体は問題ないであろう。


フランス大統領選(初回投票)報道に見る悪意の潜ませ方は両建て戦術の一例である

今回のフランス大統領選に係る『朝日新聞』の2017年4月25日朝刊1面記事[2]は、二大思潮が形成されるダイナミズムを説明する材料を与えてくれる内容である。記事は、{社会を開く, 社会を閉じる}という軸と{自由競争(グローバル化), 保護主義(反グローバル化)}という軸との2元配置により、第I象限(右上)より順に(反時計回りで)次のように主要候補を分類する。

  • フィヨン氏(中道右派)=社会を閉じる×自由競争
  • マクロン氏(中道)=社会を開く×自由競争
  • メランション氏(左翼)=社会を開く×保護主義
  • ルペン氏(右翼)=社会を閉じる×保護主義
この二軸による区分自体は、私には良くできたものであると思うので、そのまま採用することにする。

決選投票というフランス大統領選の仕組みにより、二元配置の対立は、セット思考を強いるものとなったが、朝日の記事は、その対立関係に二種類の悪意を潜ませているという点において、両建て戦術そのものを体現している。「社会を開く×自由競争」というネオコンのマクロン氏と、「社会を閉じる×保護主義」というオルト・ライトのルペン氏の対立から、有権者は、二者択一を迫られている。朝日の記事にある一つ目の欺瞞=悪意は、マクロン氏を「中道」であるとするラベリングである。「社会を開く×自由競争」というセット思考は、ネオコンそのものである。にもかかわらず、朝日の記事は、これを「中道」と呼ぶ。本記事には、もう一つ、フランス大統領選に係るマスコミ報道全般との齟齬という欺瞞があり、それを検討することにより、「両建て戦術」を可視化できる。その齟齬とは、このような二軸が立てられるとすれば、決選投票では、思想の組合せが近い候補者に票が移動するはず、というものである。つまり、本来なら、フィヨン氏とメランション氏に投票した有権者には、マクロン氏とルペン氏の両名のいずれかを選択する余地があり、これらの有権者は、決選投票の二名の政策を吟味した上で投票するはずである。ところが、今回に限っては、マクロン氏を応援するとの党関係者の意向(のみ)が、マスコミにより、大々的に報道されている。果たして、そこまでフランスの政党支持者は、盲目的にマクロン氏を支持するのであろうか。負け犬となった党関係者を見限るのではないか。主流マスコミの期待を損なうようで残念ではあるが、オルタナティブ・メディアは、すでに、(私を含めたオルト・メディア支持者が日本国内で例外的であることを承知してはいるが、しかしなお、)全世界に対して影響力を及ぼしている。この結果がいかなるものになるのか。アメリカ国民のうち、トランプ氏の支持者の多くは、さほど他国の情勢を気にするものではないが、有力な話者は、十分に国際的である。

賢明な読者には、本記事自体が、「セット思考」に係る自己検証を兼ねていることは、見抜かれているであろう。二大思潮が形成されたときに生じる「セット思考」の足抜け抑止効果については、以前(2016年7月26日)にも、2012年12月の衆院選前後における自民党のTPPに係る変節を材料に考察した。条件の変化に応じた有権者の意思決定の変化は、不可逆的なものであり(前後関係を入れ替えても成立する訳ではない)、一回性の高いものであるから、事例ごとに検証せざるを得ないものと思われる。しかし、今回も、菊池氏の提唱(再発見?)した「両建て戦術」の正しさは、例証されることになった。


次回(のようなもの)に続く


※1 新左派も当然生まれている。私が時折言及する「統計戦争」は、新左派に含まれる概念と考えても差し支えなかろう。このとき、右派・左派の違いは、統制を行う側の利益を考慮するのか、統制される側の利益を考慮するのか、という対立軸としても理解することができる。

※2 この健全なる用語についても考察が必要だと考えるが、本稿では限定的に扱う方針である。日本国民の多くが「五年殺し」となる放射性物質を摂取・吸入している現在、社会がハードランディングしないように先進国として生き残ることを目的とすることを、当座、「健全であること」と解釈しよう。これに対して、多くの賢明な読者は、わが国で進行中の警察国家化こそ、従来にも増して、わが国が先進国として欠格である証拠と考えるであろう。しかし、私は、この状態を批判するためには、内心の萎縮ではなく、現実の迫害が生じることが必要であると考える。

わが国は、現時点では、多数の戦争屋の走狗をマスコミや行政内部に抱える一方で、戦争屋に勝利しつつある中露の二国とは、潜在的な敵対関係を解消できておらず、しかも、戦争屋と仲違いしているとはいえどもクリーンとは程遠い為政者を戴いている。加えて、「宗主国」である米国は、戦争屋との(情報)総力戦下にある。日本国民は、この展開に乗るしかないが、さりとて、悲惨を免れないという保証もない。この状況下、わが国の警察国家としての能力に、テロ等準備罪が加われば、確かに、従来からの護憲活動や沖縄米軍基地への反対活動を一掃するだけの実力が備わることになる。その上、現政権は、沖縄などにおいて、活動家のみに留まらない程度に反対運動を抑圧している。

ただ、この明らかな警察国家化の現況は、従来懸念されたディストピアに照らして、一点だけが大きく異なる。それは、ジャパン・ハンドラーズを始めとする戦争屋にも、同様に、行動を制限するという効果を生じさせている、という点である。竹中平蔵氏のようなハンドラーズの手下は、現時点でもなお、官邸に出入りできる資格を有しており、私としては、警察国家化の良い効果が目に見える形で生じたとは言えないが、それでもなお、戦争屋の内心に与える効果は、彼らの実績を考慮したとき、間違いなく存在するものと主張することができる。例を挙げよう。2017年3月27日の橋下徹氏のCSIS講演[2]で、マイケル・グリーン氏は、中国が武力に訴えても尖閣諸島を奪取したい旨、主張し、橋下氏にいかに考えるかを問うた。橋下氏の講演や返答は、本稿とは別に考察が必要となる広範な内容であったが、橋下氏の講演と質疑内容が共謀罪に問える内容ではなかったという点は、大きく注目されて良い。翻って、グリーン氏は、アウトとなる発言を提起していた。

大事なことは、グリーン氏のような戦争屋ブレーンが、この時点において、南沙諸島偽旗作戦か、尖閣諸島偽旗作戦を構想していたことを表明するとともに、橋下氏に対して、あえて議論を吹っ掛けたことである。にもかかわらず、なぜか、北朝鮮と米国の「対立」のおかげで、尖閣諸島における日本と中国との対立関係は、後景に退いた。これは、偶然と呼ぶべきか。他方、依然として、沖縄における住民の総意は、辺野古着工に見るように、踏みにじられている。ただ、辺野古着工という強行策そのものは、法匪社会であるわが国では、県単独の意向では抑止しきれない。とすれば、問題は、先の宜野湾市長選挙のように、不可解な開票が行われることにこそ求められる。市民は、この問題こそを主戦場と心得た方が、有益な結果を得ることができる。

※3 中露の二国は、戦争屋の手口に学び、戦争屋に取り立てられたにもかかわらず、ともに「青は藍より出でて藍より青し(出藍の誉れ)」との諺が似合う状況を経由し、現在に至っている。この話は、過去、『ベルセルク』を喩えに出した(2016年1月8日)。が、ごく最近の『阿修羅』における「ポスト米英時代」氏の漫談[4]を読み、確かに『デビルマン』や『タイガーマスク』や『仮面ライダー』を喩えに出した方がより多くの人々が理解できるものと納得した次第である。もっとも、これに近い見解は、過去にも見られる[5, 6]が、『仮面ライダー』を引き合いに出しながら、この見解に到達しないものも多く見られる[7]一方で、(テレビ・漫画版ともに)『人造人間キカイダー』も『仮面ライダー』と同様の含意を有する物語であるから、主張の正確性・先取権や原典に係る解釈は、私の場合、自身の無知ゆえに、時間を掛けて突き止める必要がある。

アメリカの好戦的に見える現状に対する日本人の理解は、かなり悲観的なものが多いとはいえ、私には、トランプ政権が選挙戦時と同様に道化を演じているものとえる。戦争屋の方法論に通じた上で、戦争屋の手口をいなしているように見えるのである。尤も、このことを理解したとしても、日本人には、迂闊さを装い、色々と怯えてもらうことが、役割上求められているのかも知れない。産業構造を転換し、経済的な抜け穴を防ぐという作業が終了するまでは、アホとまでは呼べない戦争屋を、金融政策という餌をぶら下げてコントロールしなければならない。そのように考えると、ICIJを通じた(パナマ・バハマ等の)文書漏洩事件は、米国の直接の施政下のタックス・ヘイブンへと、国際秘密力集団の金融資産を集約する役割を果たしたようにも見えるのである。これは、米国の司法制度が正常に機能するのであれば、アメリカにとって、戦争屋の罪を暴く上でのハニーポットとなる。


[1] ツイートまとめ テーマ:TPP強行は究極の売国行為 左右両建構造という思考の檻 : 国際秘密力研究
(菊池、2016年10月28日07時35分)
http://kokuhiken.exblog.jp/26097655/

[2] 仏、融和か自国第一か 大統領選、マクロン氏・ルペン氏決選:朝日新聞デジタル
(パリ=青田秀樹、2017年4月25日05時00分、25日朝刊東京14版1面「仏 融和か自国第一か/大統領選 マクロン氏・ルペン氏決選/左右で測れぬ米と似た対立」)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12908357.html

[3] Japan Chair Forum: Toru Hashimoto - YouTube
(2017年03月27日ライブ配信、Center for Strategic & International Studies)
https://www.youtube.com/watch?v=AB52uyrL3Lc

[4] 宇・月末に仏選挙、北の核実験、米の暫定予算切れで米覇権失墜と多極化。題目は全てのテロはCIAで北はCIAである。 ポスト米英時代
(ポスト米英時代、2017年04月22日18:10:47)
http://www.asyura2.com/16/cult17/msg/876.html

〔プーチン大統領は、〕デビルマンやタイガーマスクや仮面ライダーと同じ経歴で、CIAのソビエト版のKGB出身だからこそツボが分かる

[5] フランスでまともな大統領が誕生しそうだが米英仏でおかまネットワークが崩壊し始めたのではないか。 ポスト米英時代
(ポスト米英時代、2012年02月03 日18:41:34)
http://www.asyura2.com/11/cult8/msg/888.html

[6] モーゼの十戒を体現したのがウルトラマンでありセブンであり仮面ライダーである、プーチンも姿三四郎を演じて勝ったのである。 ポスト米英時代
(ポスト米英時代、2013年09月17日23:59:44)
http://www.asyura2.com/13/cult12/msg/183.html

[7] 中田安彦『日本再占領』の検証④ ♪ペリマリ♪
(コメント1のkanegon、2011年10月12日23:49:13)
http://www.asyura2.com/11/cult8/msg/605.html




2018年1月19日・26日訂正

一部の表現と誤記を訂正した。一応の話の続きをリンクした。完成度は限りなく低いが、一応、続きは続きである。

東北で良かったとする今村雅弘氏の失言は二重に愚かである

3.11のとき、読者はどうしておられたであろうか。当時、私は、千代田区内の雑居ビルの2階で勤務中であったが、ビルが座屈しそうな形状であったので、上司を連れて安全そうな隣のマンション・業務・コンビニ複合用途ビルの搬入口の手前で揺れが収まるのを待った。ヤバかったら、当然搬入口に入って落下する窓ガラスを避けるつもりだった。パジャマ姿の外国人カップルが、近くのビジネスホテルから駆け出してきて、丸ノ内線の上部に当たる幹線道路の真ん中で抱き合って震えていたのが不謹慎ながら面白かった。ほかにもまあまあ色々興味深い出来事に遭遇したが、帰宅困難者の靴擦れを除き、人的被害と呼べる場面に直接遭遇せずに済んだことは、幸いであったと言える。

東日本大震災が、首都圏により大きな影響を与えるように生じていたとすれば、私も無事ではなかったと思われるし、本ブログを通じて生き恥を晒すこともなかったかも知れない。P波(先に到達する縦揺れ)を感じたときに、私は、反射的にPCを閉じて安全そうな階段の方に自分だけで一旦逃げた。このケツのまくり方は、私のキャラを色々と説明するであろう。「逃げましょう!」と叫びながら逃げたことだけは、言い訳として付言したい。震度6強であれば、ビルは半壊していたであろうし、震度7であれば、レイアウトからすれば、上司は助からなかった可能性もある。人の不幸を考察する商売に従事してきた割に、重大事件の進行中の現場に遭遇することはなかったから、自分の行動によって自分だけが助かったとすれば、それはそれでトラウマが大きかったであろうと、今になって思うところである。人生、何があるのか、なかなか分からないものである。

もちろん、この「私語り」は、今村雅弘氏の失言を想起してのものであり、同氏の発言が二重に愚かであることを批判したいがために用意したものである。今村氏が発言したこと自体、自身の考えを表明することの帰結を予測できていないという点で愚かであるが、それ以上に、この発言の内容が誤りであることが、愚かさの証拠である。前者については、TPOをわきまえた社会人なら理解できることであるから、これ以上は言及しないが、後者について、以下で説明しておきたい。

福島第一原発事故による健康影響が数千万人単位であり、今後の数百世代に影響しうる話であること、経済的損害が数十京円単位(兆円ではない、念のため。)に上ることを考えれば、東日本大震災は、全体としては、関東直撃よりも最悪のケースが実現した災害である。女川原発も、福島第二原発も、盛大に「お漏らし」しなかったのは、僥倖としか言いようがない。たとえ、当時の地震が首都圏に近いものであったとしても、津波被害が小さく、大平洋沿いの原子力発電所に被害がなかった方が、目に見える死傷者はたとえ多いとしても、これほどまで復興が捻れたものとなり、将来の見通しを立てられなくなるものとはならなかった。いわゆる安全厨であっても、東日本大震災による地震・津波被害だけであれば復興が不可能ではなかったところ、福島第一原発事故が復興を不可能なものとしたことは、薄々ではあっても、理解しているであろう。彼らの感情的な反応は、この事実を自身の責任として受け止めることが困難であることや、この事実が彼らに責任を負わせる動きへと転化することの虞から生じていよう。

もちろん、2011年3月11日の地震が関東を直撃するものであったとしても、将来にわたり、東日本大震災のような地震や津波が原発を襲わない保証はなかったから、遅かれ早かれ、地震が原発を襲うというシナリオは、避けられなかったであろう。仮定の話ではあるが、3.11が首都圏広域地震であった場合にも、原発の安全性が向上していたとは期待できないから、悲劇が先送りされていただけであったろう。ただ、当然、この理屈は、川内・伊方・高浜原発(参考:電気事業連合会[2])にも、また停止中の他の原発にも該当する。首都圏の混乱に乗じて他国が云々という話も考えられたであろうが、原発再稼働後の現時点であるからこそ、これらの三原発には、一層警戒しなければならないのである。この危険を考えた場合、一回の事故で原発ムラが変われなかった以上、一回でも悲劇を先送りにできたのであれば、その分、日本国民のサバイバル期間が伸張していたと言えよう。

他方で、仮想的な首都圏広域地震は(、東海村という考察に厄介な存在があるにせよ)、高齢多死社会と原発事故の健康影響の影響を同時に生じさせなかったという点で、現実に進行しつつあるハードクラッシュシナリオを書き換える余地があり得た。3.11当時においても東京への一極集中は進行していたから、首都圏広域地震は、官僚集団に本格的な首都機能移転を実施させる契機を生じさせ得た。あくまで、仮定の話であるが、霞ヶ関関係者の多数の自宅が半壊・全壊してこそ、首都機能移転は、本格化し得たであろう。(東日本大震災は、東北にルーツを持つ首都圏の人々に大きな動機を与えているが、その広がりは、相対的に見て限定的である。)現状、首都圏の郊外住宅地は、外周部ほど、打つべき手がないまま、東京オリンピックバブルの崩壊を待つばかりのようにも思える。首都圏広域地震こそは、鉄道路線を中心としたコンパクトシティ化なり、郊外住宅地の田園郊外化なりを実現する機会であり得たかも知れないのである。官僚という権力集団が、目に見える被害だけしか認めずに、結果として組織的に無能力・受動的であり続けてきた状態は、東日本大震災という未曾有の被害を経た現在も、基本的に変化していない。この結果的な怠慢を目の前にしたとき、現実の3.11以上に、霞ヶ関や永田町(だけ)において目に見えるだけの大きな被害が生じていたことに期待することは、果たして不健全なことと断定できるのであろうか(。東京都区部の死者が千代田区内で生じたという事実に注意せよ。為政者が目配りできていれば、物事は動くものである)。

#ここでの私の考察が不健全と考える読者に向けて、念のため申し添えておくが、私は、木造密集市街地の中でも、震災による危険度が非常に高いとされる地区に居住している。

最後に、ハードクラッシュシナリオとは何かを、(最近までに蓄えた情報を元に、)改めて明示しておいた方が良いであろう。それは、団塊の世代が多死を迎える時期が、福島第一原発事故後の「食べて応援」キャンペーンを通じた内部被曝による発病時期・死亡時期と重なる状態である。放射性物質は、高齢者の健康にも影響を与える。このため、各世代の死亡率は、もうそろそろ、厳しい登り坂を登り始めているところであろう。80代以上の死亡率は増加傾向にあるが、それだけでは済んでいないことが明らかになったとき(、現実のわれわれは、仮にそのような事態が進行していたとしても、なかなか公式のルートからの情報だけでこの事態を把握することは叶わないが)、ようやく、原発事故の影響を軽視してきた「有識者」たちの一部が騒ぎ出すかも知れない。しかし、そのときには、既に、日本国民の多くが、知合いなり親戚なりの訃報や大病を通じて、状況を体験的に理解しているのであろう。


[1] 震災巡り失言、今村復興相を更迭…後任に吉野氏 (読売新聞) - Yahoo!ニュース
(記名なし、2017年04月25日20時25分)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170425-00050092-yom-pol

今村氏は25日夜、東京都内のホテルで開かれた自民党二階派のパーティーで講演し、東日本大震災について「(発生が)まだ東北の方だったから、よかったが、首都圏に近かったら甚大な被害があった」などと述べた。

[2] 国内の原子力発電所の再稼動に向けた対応状況 | 電気事業連合会
(電気事業連合会、2017年4月26日閲覧)
http://www.fepc.or.jp/theme/re-operation/




2017(平成29)年4月26日23時追記

今村氏の発言は、現政権が福島第一原発事故の解決に当たり、不適切な人材を登用していたことを示す。福島第一原発事故の解決こそが政権の試金石となると述べてきた私にとって、今村氏の更迭は、遅きに失した対応であると指摘せざるを得ない。これが、私が現政権を信用し損ねている理由である。飯山一郎氏が本件(更迭)をネオコンの仕込みであると述べる理由は、何であろうか。安倍氏が今村氏を修正させる格好になったことは確かではあるが、今回のケースは、ネオコン(というと、範囲が広すぎるので、戦争屋としておこう)の仕掛けがあるとまでは考えにくい。強いて言うなら、戦争屋との政争中に、誰もが許すことのできない発言を不用意になした今村氏の自業自得である。私には、擁護する論理を思いつけない。

[1] ★ 掲示板:『放知技(ほうちぎ)』 ★彡
(飯山一郎、2017年04月26日16時09分)
http://grnba.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16090538

とにかく,今村復興相を辞任に追い込んだ陣営は,ネオコンです!
だから…
今回の今村復興相辞任は,ネオコンに負けた!という政治事件なのです.




2017(平成29)年5月17日追記

小田嶋隆氏(@tako_ashi)の下記ツイートがあることをKatabiragawa Atsushi氏(@katabiragawaC)のリツイート経由で今更知った。小田嶋氏のツイートに示された見方は、前提となる被災像については疑問を抱かないという典型的な事例である。小田嶋氏のツイートを引用したのは、たまたま目に付いただけ、というものである。小田嶋氏の誤解がわが国の知識人に標準的なものである、と例示する以外の意図はない。福島第一原発事故は、土壌の回復にとてつもなく長い期間を要するという点、リスク計算が直感によっては把握しにくい事例である。(とは言っても、単に24万年とか掛ければ良いだけであるから、その一手間を惜しまなければ、事故の影響を推し量ることは、さほど難しくないはずである。)

2017年4月24日月曜日

日本の言論状況に最も必要とされるのは自己検証サイクルである(3)

本稿は、第1回(2017年4月18日)、第2回(2017年4月20日)からの続きである。今回の話題は、従来から大きく脱線するが、次回以降の前振りのつもりではある。


『週刊少年マガジン』の新連載にみる数理センスの欠如

ところで、講談社は、(学術文庫のように、)文理の別を問わず、学術的に優れた出版物を刊行する企業であるというイメージもあるものと思うが、こと最近に限れば、そのブランドイメージを失墜させるだけの杜撰なコンテンツを見かける。同社の稼ぎ頭でもあろう『週刊少年マガジン』で2017年10号から連載されている『ランカーズ・ハイ』(中島諒氏)という漫画は、国会議事堂が夜な夜な地下闘技場になるという設定のバトルものである。主人公はランク10位から、1位の因縁ある相手を目指して闘い抜くことを決意する。しかし、この漫画は、指摘されれば小学生でも理解出来るだけの欠陥を抱えたランキングシステムを土台にしている。敗者は、生きていたとしても、ランクを剥奪され、実質上死ぬまで殴られ続けるという設定になっているが、この設定が矛盾を来す原因となっている。これでは、主人公が必ず一方の相手となる「死合」しか組まれない、という前提を追加的に必要としてしまうのである。どういうことか。10人のランカーが2人1組となり、5試合が行われたと仮定すると、10位のランカーは、1回の死合を生き抜けば、上位5名が死ぬ(うち1名を殺すことになる)ために、直ちに5位に昇格するのである。ランカーを補充しない限り、計9回の死闘によって、10人のランカーは、1人だけが生き残ることになるのである。ほかのランカーたちの試合が組まれ、かつ、低位ランカーが補充されないという条件の下では、10位からキャリアを始めた主人公であっても、1位との試合を含め、都合4回だけ戦えば良いことになる。先週号までの間に、2回目の試合を生き抜いた主人公であるから、同ペースで他のランカーも試合するものだと仮定すれば、3位に付けていなければおかしいのである。1回目に9位と対戦して勝利すれば10位から5位へ、2回目に4位と対戦して勝利すれば5位から3位へ、という具合である。

先週号(2017年20号)から始まったサバイバル漫画『おはようサバイブ』(前原タケル氏)も、一見、読者にとって、不合理には思えない状況が描かれるが、そこには、説明がもう一手間求められるものと考えられる。この漫画は、致死率99%のウィルスが2020年にパンデミック(大規模感染)を起こし、社会機能が崩壊した、というプロローグから始まる。主人公の少年と、少年が好意を寄せる少女は、2022年、平和だが大麻にハマった埼玉県内のコロニーが嫌いになり、出奔する。自動車で山手線まで移動し、一組の男女に出会う。ここまでが初回である。説明を要する点は、致死率99%という設定と、埼玉・東京間を移動してカップルに会うまでの間、誰にも出会わないという設定との整合性である。人類全体での致死率が99%という設定であれば、極寒の地域に生存者が集中しているであろうから、誰にも出会わなくとも問題ないであろう。他方、全人類が大体満遍なく罹患し、99%が死亡したという前提であれば、社会機能が緩やかに停止したという大前提を必要とするが、東京都内には、社会崩壊直後、13万人が生存していたことになる。このとき、生存者が東京都全体におおよそ均一分布しているものと仮定すると、まず間違いなく、新荒川大橋・戸田橋・笹目橋などの重要交通結節点において、主人公らは、モヒカンレイダーたちか、正義のサバイバーたちに発見され、遭遇していたであろう。これらの交通結節点は、明らかに、ゲーム理論などにいう「フォーカル・ポイント(参照点、見せ場)」である。ある集団が他人との接触を欲しており、相手ならいかに考えるかを想像する力があるとき、人が通りやすい場所を見張るという考え方は、自然なものであろう※2。この非整合性について、『おはようサバイブ』がいかに説明を与えるのか、今後に期待したいところである。

これら新連載に見る数理センスの欠如の背景には、わが国における出版業関係者(ここでは編集者)の学問的背景に偏りがあるという可能性が認められる。『ランカーズ・ハイ』に見られる設定の基本的なミスは、具体的には、放送大学の課程でいえば、『数理システム科学』分野の知識が欠落しているために生じたものである。社会全体における、この状態の克服に必要な改善策は、今後、大学の学部学生が教養課程の勉強に身を入れる、というもので十分かと思われる。ただ、社会には、それではいかんともし難いほどに、(私を含め、)学習の機会を無駄にした(不良)大卒者が掃いて捨てるほどいる。社会システムの方に何らかの補助的な経路を組み込まなければ、ここに見るような、おバカな情報が圧倒的な流通機会を得るという状態を改善することは、なかなか見込みにくいであろう。(講談社に限定すれば、『ブルーバックス』編集部から、校閲者を借り受けるなどはしていないのであろうか。)

漫画など、面白ければそれで良いという話もあるが、暴力と性暴力をミックスさせるシーンが初回?にあったので、『ランカーズ・ハイ』自体を相対化する機会を見逃す訳にはいかない。その設定がアホ過ぎることを指摘し、その内容が非現実的であると相対化しておく作業は、少年漫画の読者層が中年化しているにせよ、社会防衛主義的観点に立てば、必要である※1


※1 実際、同誌で長期連載されていた『カメレオン』を真似した犯罪が生じたことは、知られている。過激表現が性犯罪に与える影響は、従来から、表現の自由との関係で、議論の対象となってきた。表現の自由は保護されるべきであるが、過激表現については、読者への影響を配慮しなければならない。本稿では、意図こそ社会的な影響を見込むものの、私があくまで漫画批評に留まる範囲の手法を用いて『ランカーズ・ハイ』を批判していることに注意して欲しい。

※2 ここら辺の話は、私が『ウォーキング・デッド』シーズン6で登場した集団「救世主」の生態があり得ないと考える理由にもつながるので、別途、考察する予定である。


情報機関にはデータマイニングを囓った人材ではなく数理システム的思考に通じた人材が必要である

漫画のことと笑うことなかれというのが、当然、次に予想できる展開であろう。本稿の趣旨は、小題のとおりであって、ここまでの文脈について心当たりのある人物が自省し、本稿や本ブログなどを適宜引用・参照して、自説を修正し、自らの血肉とすれば良いだけのことである。ただし、日本の政府機能がハードクラッシュしない限り、そうはならないであろうというのが、私の予想である。その背景には、伝統的な日本の学問分野における文理の区別と、役所における「法学部にあらずんば人にあらず」くらいの法学部重用主義に起因する、社会における文理の差別と、日本語論壇における情報爆発が存在する。

この差別は、わが国の情報機関にも該当する。よほどの変革がわが国の政体に生じない限り、「中の人」は、決して、自己改善作用を高めないであろう。というのも、わが国の情報機関の文化は、耳に逆らう忠言を発した外部の(真に)有識者(と呼べる人物)を、メンツゆえに受容できず、社会から見て無視してしまう形式を取るという悪弊を有するからである。(ひそかにコンタクトしているかも知れないが、それが彼らの外形的な行動に表れているとは見えない。)もちろん、私は、有識者などとは呼べる「資格」を有しはしない。しかし、小室直樹氏ほどの碩学をして無視する形の文章をアップし続けて数年経つのであるから、況んや遙かに卑小な私をや、というのが本連載記事の趣旨の一つなのである。

(次回(2017年4月26日)に続く)




2017(平成29)年4月26日追記

『おはようサバイブ』は、今週(2017年22号)で「都民の生き残りと地方からの流入で/今…おそらく50万人は東京にいる/そして…その50万人が…皆…飢えてる/つまり!/現在の東京は食料と物資の奪い合い/弱肉強食の野生の世界ってわけ」〔pp.158-159〕という設定を登場人物に喋らせるが、大規模感染後2年の日本という設定は、逆に、地方への定住化を促進していたであろう。NHKの朝ドラ『ごちそうさん』や『火垂るの墓』などに描かれたように、第二次世界大戦中・後のような、地方の農家が頼られるという形での社会移動が生じたものと考えられる。人間は、経験や従前の知識に意思決定を左右される存在であるから、広く知られた歴史上の経験が参照されるであろう。誰を頼るかという点であるが、WW2同様、血縁が頼られたり集団疎開が行われたものと考えられる。しかし、パンデミック後の世界が混沌としたものとなっていた場合においては、この種類の移動が生じるとともに、無縁者である犯罪集団によって、かなりの抗争が生じたであろう。武装農作物強盗との戦闘が最大のリスクであろう。私なら、東京の湾岸地域をスカベンジすることをまず考えるが、同じ事を考える人間は、食料の流通・管理に関与した人物に限定されがちであろうから、初期であるなら、倉庫においてそれほど大きな抗争が起きることは考えにくいであろう。問題は、搬送中であろう。『おはようサバイブ』の言うとおり、東京都内に50万人がいると仮定し、彼らが弱肉強食状態であったとすれば、主人公たちは、荒川に架かる橋の上か、その袂で悲惨な最期を迎えていたことであろう。(警察車両が展開されたまま放置されているであろうし、それらの車両や装備が悪用されていたであろう。)




2017(平成29)年5月16日追記

『おはようサバイブ』の設定のおかしさは、4月26日追記分で十分に示せたとは思うが、23号でも違和感のある連中が登場する。主人公カップルと高田馬場で遭遇した集団は、東京駅を本拠としており、自警団・強盗団の双方の性格を持つ日和見的な集団として描かれる。山手線の反対側に位置する高田馬場(Google様によれば、首都高速経由で8.5km)まで遠征可能なだけの武力を有する集団が、制服を着た集団と何らかの相互作用を経ていない訳がない。100人に1人が生き残るのであれば、警察にしても自衛隊にしても、数万人が生存していたことになる。彼ら制服組がいかなる経緯を辿るのかは、そのリーダー格の行動に依存するが、彼らが移動・採集するときには、制服を活用していたであろう。皇居と目と鼻の先にある東京駅に闇市を開くだけの規模の無法者集団が形成されているという設定や、彼ら無法者集団が主人公らの出奔元のコロニーとリアルタイムに連絡が取れるだけの体制を有しているという設定が通用するのであれば、彼らは、これだけの怪しげな秩序を構築する前に、制服組に何らかの形で取り込まれていたであろう。また、主人公たちの出奔元のコロニーにも、彼ら制服組の影響は及んでいたであろう。

私が知りたいのは、南東北・関東圏がいかなる衰退を辿るのかという道筋である。そのために、作家の紡ぐ想像の世界を参考にしている。国民の圧倒的多数が白旗を揚げる時期を考察する上で、彼らの作品が読者の心性に与える影響を推量しておくことも必要である。漫画雑誌の読者数は、書籍の読者数よりも二桁程度は上になるし、物語という形で読者を理解させるから、その影響力は、質・量ともに国勢を左右するものである。この点、当初は、『おはようサバイブ』が読者に良い影響を与えることを期待したが、数的感覚に乏しい設定が続々登場する状態をふまえれば、今後、良い影響を与えると見込むことは難しいであろう。

今後は、『おはようサバイブ』におかしいと思う設定があっても見逃すことにするが、面白い展開になれば、言及しない訳でもない。なお、そもそも、致死率99%のウィルスのパンデミック後、原子力発電所や核ミサイル施設が地球環境の決定的破壊をもたらさないという保証は、まったくない。この点、エボラなどの悪用を通じて人口削減を図る連中がいたとすれば、彼らは、数的感覚を決定的に欠いている。70億人を5億人まで削減しようとして、数千人も生き残らないというオチは、十分に考えられそうである。

北朝鮮の攻撃能力に係る『Newsweek』英語版の記事はほとんど誤報である

『スプートニク日本』は、21日付の記名なし(=編集部の責任)の記事において、北朝鮮側の話として、北朝鮮を対象とする「化学・生物兵器による」「アメリカの」偽旗作戦『ジュピター計画(Plan Jupiter)』に言及する[1]が、他方で、『スプートニク』英語版(International)には、これに相当する記事がない(もっとも、「木星探査」の話題に紛れた記事を、私が見逃しているだけかも知れない)。この違いは、当然、情報巧者であるロシアならではの工夫であろう。本稿では、その違いが日本人にとって意味するところを考察したい。なお、同計画は、昨年8月、『The Daily Star』でも報道されている[2]。記事は、超訳すれば、「来年実施される計画であり、米国が工兵(engineer)と材料を輸送した、完成の暁には、朝鮮半島において炭疽菌とボツリヌスのような生物兵器を使用し、第二次世界大戦においてユダヤの人々に対して行われたようなホロコーストにより、北朝鮮を一掃する」という内容を伝えるものである。

"Plan Jupiter"でググると、『Newsweek』英語版のトム・オコーナー(Tom O'Connor)氏の記事[3]がトップ辺りに来るが、この記事には、わが国の情報能力に係る誤解を流布しかねない表現が見られる。その誤りを先に示しておくと、この記事の「intelligence reports from Japan」[3]は、実のところ、本日(2017年4月23日)のTBS系『サンデージャポン』にも報じられていた『38 North』の報告書※1であり、この団体の報告書を採り上げた『CNN』の記事[4]を、オコーナー氏が誤読したものである。この誤りがいかに生じたのかを、以下、確認しよう。

オコーナー氏は、おおよそ、以下のように記す;北朝鮮側は、『ジュピター計画』を、金正恩政権を打破するために朝鮮半島を「化学生物兵器により攻撃する(biochemical attack)」という米国の策略であると主張する[3]。米国は、これに公式には反応していないが、北朝鮮側からも証拠が示されていない[3]。また、オコーナー氏は、CNNの記事[5]を参照し、北朝鮮がサリンを弾道ミサイルに搭載する能力を保有しているという安倍晋三氏の答弁に触れ、この答弁が北朝鮮の化学兵器運用能力に係る最新のコメントであると形容している[3]。しかし、オコーナー氏の記述は、英文読解のルール上は正しい読み方であるが、『CNN』の記事[5]が参照する別の記事[4]を誤読している。人称代名詞(He)が指示する人物が安倍氏ではないことを見逃しているのである。このため、オコーナー氏は、まるで、日本国が独自に情報分析して「北朝鮮がサリンをミサイルに搭載する能力がある」と結論したかのような解釈を提示している。

ただし、北朝鮮のミサイルがサリンを搭載できるとの理解は、確かに、安倍氏によって示されている[6]。その背景に何らかの情報が存在していることも、間違いないことであろう。しかし、オコーナー氏の引用する『CNN』の記事[5]には、安倍氏の答弁において根拠が示されなかったことが明記されている。参議院のインターネット中継における、安倍氏による浅田均氏(日本維新の会)への答弁(13日の防衛外交委員会)においても、形跡を確認できない[6]。なお、安倍・浅田両氏の答弁は、産経新聞が要旨を伝えている[7]

オコーナー氏による『Newsweek』の記事[3]は、日本がまるで独自のインテリジェンス能力を有し、報告書を軸とした、確かな国会論議が繰り広げられているかのように読めるものであるが、現実がそこまで上等なものとは言えないものであることは、われわれ日本人なら良く知る事実である※2。仮に、オコーナー氏の指摘通りであったとしたら、野党側の追及は、一層中身のある厳しい内容となっていたであろう。オコーナー氏が広めたわが国の国会に係る誤解は、この緊張状態下において、英語圏にいかに流通するのであろうか。北朝鮮情勢に係る基本的な構図が見えていれば、つまり、適度な緊張状態そのものは関係諸国の政権にとって望ましいとの理解があれば、本件についての展開も読めるであろう。つまり、読者に見逃されるだけで済む、というものである。私の北朝鮮情勢に係る見立ては推測に過ぎないが、日本の行政能力については、部分的に理解しているつもりではあり、その方面の知識に照らして、オコーナー氏がプロとしては恥ずかしい誤りを流布したことまでは断言できる。

オコーナー氏の誤報は、日本政府が報告書を作成・報告し、北朝鮮のサリン搭載ミサイルを認めて裏書きしたかのような印象を造り出している。このとき、上記に見たような一年前に報じられた『ジュピター計画』との微妙な差異は、「日本政府の報告書」なる幻想によって、読者の注意から消え去ってしまう。とはいえ、本日(2017年4月23日)の『サンデージャポン』に出演した黒井文太郎氏の解説により、視聴者の頭の中は、「北朝鮮が戦争終期に最後っ屁で東京とソウルに核爆弾を落とす」という内容で占められてしまったであろうから、これくらいの誤りは、些細なものと言うべきなのかも知れない。日本語界隈には、バイオテロとケミカルテロの違いが語感のせいで無視されるという事例も見られる[8]。「全部北朝鮮のせい」という先入観を持つことは、日本国民自身にとって、不幸な結果を呼び起こすことになる。

オコーナー氏の誤報の最大の問題は、まるで日本国政府が報告書を作成して北朝鮮のサリンによる攻撃能力を確定したかのような印象を与えることである。実際のところ、安倍氏の失言大魔王ぶりは全国民に共有されていつつも、政治闘争の過程において、官僚集団からは、わざと見逃されているところがあるものと考えられる。安倍氏に与する者がその失言の数々を無視する一方で、安倍氏を批判する者は、この逐一を採り上げる。本来、北朝鮮の攻撃能力を見極め、国政の方向性を論議する際には、オコーナー氏の誤解にあるように、政府の事務方が報告書を用意して、与野党がガチンコで(インカメラ審理が望ましいのであろうが)検討を加えるべきであった。官僚集団は、安倍氏の答弁の根拠となった情報については、出所を含め、わざと公表を控えたのであろう。この曖昧さは、軍事衝突後の責任逃れのため、安倍氏だけを切り捨てるときにも有用であるが、軍事的緊張を回避する際にも有用である。良い意味で、今回の安倍氏の北朝鮮に係る発言は、従来型の官僚のノラリクラリとした感じが出たものになり得る。イラク戦争時の大量破壊兵器に係る米国内の論議は、回復しようのない悲惨の原因を残すものとなった。この前例を踏まえ、官僚集団は、良い塩梅に緊張の高まりを予防するため、わざと曖昧な感じで、地下鉄サリン事件という記憶を持つ日本国民に訴える材料を安倍氏に提供したのであろう。この日本国民にとって意味ある官僚のサボタージュを、オコーナー氏の誤報は、全世界的に転覆しようとするものとなっているのである。

極東における軍事的緊張(の昂進)は、ロシアにとって得にはならないから、この誤りが及ぼす危険性は、できるだけ穏当に伝えられる必要があったであろう。これが、冒頭に挙げた『スプートニク』の英語記事の不存在の理由ではないか。日露の経済的な協力関係が進展しつつある現在、その重要性は増しつつある。このとき、『スプートニク』は、日本語だけで偽旗攻撃の危険性を注意喚起しながら、米国との全面的な衝突を避けるために、英語では言及しなかったのであろう※3。偽旗作戦に対する北朝鮮側の理解、従来の『ジュピター計画』に係る理解、日本政府の見解における北朝鮮の攻撃能力、それぞれの違いにも含みがあると考えられる。ただ、その検討は、この「危機」が去った後で良い※4


※1 衛星写真の解析は、ジオイント(GEO-INT, geo-intelligence)の典型的な一分野であるが、人工衛星の能力と画像処理の手法に負うところが大であるから、テキント(TECH-INT)と見做した方が捗ることがあるやも知れない。土木・建築系の知識は必須であろうが、GISの勉強そのものよりも、画像処理の勉強を修めた者の方が、衛星写真の解析に直ちに対応できるであろう。

※2 忘れてはいけないのは、わが国のインテリジェンス機関が福島第一原発の連続的な爆発を阻止できなかったことである。往時からのインテリジェンス・危機管理能力は、その程度であり、国民も、プロも、力不足であったと反省すべきである。

※3 実際、日本の高官が事態を冷静に注視すべきであるとの『Japan Times』の記事を、『Sputnik International』は引用している[9]

※4 黒井文太郎氏の言動を検証する際の話である。私としては、(母語で)この程度の読み間違いをする上、必要な知識を有さない記者が、影響力を有する世界的メディアで誤報を垂れ流していることを明らかにできれば、それで良い。日本国民の絶対的多数にとっては、このような話は、どうでも良いことでもあろうし。


[1] 米国は北に対し生物・化学兵器を用いる可能性=北朝鮮
(『スプートニク日本』、2017年04月21日20時45分)
https://jp.sputniknews.com/politics/201704213561340/

[2] World War 3 threat: US secret plot to crush Kim Jong Un with chemical weapons | Daily Star
(Joshua Nevett、2016年08月14日)
http://www.dailystar.co.uk/news/latest-news/537784/america-secret-plot-crush-north-korea-chemical-weapons

The apparent doomsday project, allegedly codenamed "Jupiter plan", is due to start next year, with materials and US engineers to build the weapons shipped in from November.
Once completed, the US will use the biological weapons – such as anthrax and botulinus – to wipe out North Koreas in a holocaust akin to the abhorrent mass murder of Jewish people during World War Two.

[3] North Korea: U.S. Will Use Chemical Weapons to Take Out Kim Jong Un and Control the World
(Tom O'Connor 2017年4月21日15時45分(タイムゾーン未確認))
http://www.newsweek.com/node/587766

The latest commentary came in response to earlier intelligence reports from Japan, a regional U.S. ally, claiming that North Korea had produced weaponized sarin gas. In response to these reports, Japanese President Prime Minister Shinzo Abe told his parliament last week〔...略、CNNによるものとして紹介〕

[4] North Korean nuclear site 'primed and ready': analysts - CNN.com
(James Griffiths, CNN、2017年04月13日16:31 GMT)
http://www.cnn.com/2017/04/13/asia/north-korea-nuclear-site-punggye-ri/index.html

"The activity during the past six weeks is suggestive of the final preparations for a test," 38 North analyst Joseph Bermudez told CNN.
Their prediction comes as Japanese Prime Minister Shinzo Abe said Thursday that North Korea may have the capability to deliver missiles equipped with sarin nerve gas.
He and other analysts pore over commercial satellite imagery of the testing site, looking for signs of activity similar to that prior to other tests.
#以上から、"He and other analysts"は、Joseph Bermudez氏と『38 North』の分析者であることが分かる。注意して一文を読めば、「安倍氏と他の分析者」という組合せが生じないことも、理解できよう。

[5] Sarin warning: North Korea may be able to deliver chemical weapons by missile - CNN.com
(Yoko Wakatsuki, James Griffiths、2017年4月13日10:17 GMT)
http://www.cnn.com/2017/04/13/asia/north-korea-missiles-japan/index.html

[6] 参議院インターネット審議中継
(2017年04月13日第193回参議院外交防衛委員会第12回)
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
#リンクはトップページ。1:17:50あたりから浅田氏の質疑開始。

[7] 【参院外交防衛委員会】安倍晋三首相「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力を保有している可能性がある」 主なやり取り(3/3ページ) - 産経ニュース
(記名なし、2017年04月13日23時06分)
http://www.sankei.com/politics/news/170413/plt1704130043-n3.html

[8] 陽月秘話: 地下鉄サリン事件、医療現場での奮闘と奇跡
(花園祐、2010年3月25日)
http://imogayu.blogspot.com/2010/03/blog-post_25.html
#これは、わが国の言論者が容易に誤りを訂正しない事例でもある。ほかには良いことも言っているのに、これほどの些細な誤りを訂正しないのは、残念である。私は、間違えたことよりも、むしろ、訂正しないことこそを残念に思う。

[9] South Koreans, Japanese Remain Calm as US, North Korea Posture
(記名なし、2017年04月16日01:00(updated 2017年04月16日04:13)
https://sputniknews.com/politics/201704161052678993-koreans-calm-as-US-threatens/




2017(平成29)年4月24日追記

淡赤色部分を正確さのために追記した。

2017年4月23日日曜日

(メモ・感想)日米豪印戦略対話とTPP11の非整合性

#TPP11と日米豪印戦略対話との関係性を考察するのに必要な材料をメモするが、材料なしの推測が多く含まれる。海洋政策(というより安全保障)自体は、私の直接の興味から外れるから、事実の調査を推測・予想で補うという手抜きをする(◆マークで示す)。これらは、大メディアから供給される日本語情報だけでは、理解を組み立てられない。Google様のご神託なら一発のことが多いが、手抜きするのが私のクオリティというものでもある。手習いでもあるので、本記事の構成がバランスの取れたものだとは考えない方が良い。

今月の首相動静からすれば、日米豪印戦略対話(QSD; Quadrilateral Security Dialogue、セキュリティ・ダイヤモンド構想)が現在も潜在的に機能していることは事実であろう。QSDは、対中軍事同盟という側面を有するものでもある。◆この点、田中氏の所論である日豪亜同盟は、部分的に正しいが、この動き(QSD)を認知したものではないか、あるいは、あえて自説にこだわる理由があるということか。

TPP11は、QSDの同盟格上げ(または日豪亜同盟)を成立させる助けとはならない。対話が同盟に格上げされたとしても、TPP11が鬼っ子として同盟を阻害する虞が高い。防衛装備を対象には取らないとは言うが、TPP11があると、むしろ、(域内の自由貿易を促進するという建前のTPP11が)同盟における軍事物資の調達の妨げになる。何より米国製の軍事製品を阻害する。加えて、国際的無国籍企業の非制御性が戦乱の火種となる。TPP11の非対称国であるインドの地勢は、インドにとって同盟成立の際の良い交渉材料となる。この非整合性は、TPP11とQSDとを両立させない。インドは、中国にとっても海路の要衝に位置するが、一帯一路構想は、インドを南北側から迂回するルートも含む。インドを直接縦貫するものも含む。◆中国にとって、ルート選定は今後も柔軟に、ということだろう。

◆TPP11にマレーシア・ブルネイが後ろ向きな理由は、中国の海洋政策ともリンクしているだろう。◆というのも、両国は、中国の海洋進出(正確には、シーレーンの安全確保であろう)の影響をフィリピンの次に受けることになるから。◆中国は、フィリピンとの交渉を大方完了させたのだろう。◆中国からすれば、ベトナム・タイ・ミャンマーと仲良くしておけば、海路の確保は十分なようにも思える。が、クラ運河構想は、まだ構想のままということだろうか。マラッカ海峡の利用(と安全)は、シンガポールにとっての死活問題。クラ運河(中文Wikipediaは、繁体字)構想は、構想を示されるだけでも脅威として機能。全関係国が使用可能という話は、シンガポールの核心的利益を侵害する。ブルネイは、クラ運河によってさほど影響を受けない(スリランカ南部まで4000km台)。ベトナムは同じくらいのノード数だと、900kmくらい短縮か(Google Earthでホーチミン港あたりから適当に計測、3000kmくらいに短縮)。

◆TPP11が各国民に支持される余地があるとすれば、先進国としての生活を充足させる見込みが確実な場合にのみ。中国の富裕層は、名目所得でも?実質所得でも?日本国民全員より人数が多いかもという状態にある。中国経済は、自転車操業と言われる土地本位制経済を始めてかなり経過しているが、日本国内の対中強硬派の見込みに比べれば、今のところ遙かに安定的に推移。◆他国への中華系移民は、基本的に日本人の生活を支える3K階層ではないが、日本人の先入観は従来通り。◆国民の割合では何とも言えないが、人数だけでいえば、中国経済は日豪に代表されるアジア先進国に比較して遙かに成功したと主張されても仕方ない。◆TPP11はこの生活水準を逆転させるか、させないだろう。




2017(平成29)年4月23日13時追記

田中宇氏は、有料記事の中で、以下のように述べている[1]。加盟国だけで言えば、TPP11[2]よりもRCEP[3]の方が、日豪亜同盟体制に整合的である。しかし、安全保障体制構築の必要条件とは、依然として矛盾する。この矛盾はいかにして「止揚」されるのであろうか。やはりいずれも無理、というオチで終わりそうではある。

[1] トランプの東アジア新秩序と日本
(田中宇、2017年04月18日)
http://tanakanews.com/170418china.php

米中協調体制は、アジアの多極化を加速する。日本や豪州が何もしなければ、中国は、日豪亜の予定海域をすべて併呑し、米国圏と中国圏が隣接する世界構造にする。その場合、日本や豪州は国際的に窒息させられ、今よりさらに影響力が低下し、今よりもっと台頭する中国に、好き勝手にしてやられるようになる。対米従属一本槍は、日本や豪州にとって、自滅的、売国奴的な戦略になっている。中国と敵対するのでなく、こちら側も海洋アジア諸国で結束したうえで、中国と仲良くするのがよい。

[2] TPP政府対策本部
(2017年04月20日)
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/index.html
#どんどんリンクを変えるのはいかがなものか。行き当たりばったり感満載であるし、(前例を踏襲するが)過去の教訓を学習することのないわが国の行政のあり方を良く反映している。

[3] 東アジア地域包括的経済連携(RCEP) | 外務省
(2017年02月24日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j-eacepia/

2017年4月22日土曜日

『Time』のインスタグラムの誤りが二週間訂正されない状態

は、私に言わせれば、わが国の「政体」のロビー能力が関係国に比較して相対的に弱小であることを示す。それだけでなく、わが国の情報発信制度が、系統的・網羅的なものではなく、オシントを十全に乗りこなしているものとは言い難いことを示す証拠でもある。言い換えると、本件から、情報機関の実力が国民の期待に見合うものではないことが分かる。好意的に解釈すれば、わが国の情報機関の現状は、大半が北朝鮮を巡る緊張関係を分析するために振り向けられているのかも知れない。しかし、短期的な危機だけでなく、長期的な危機にも十分に手当を施しておくことは、大事である。一体、『Time』によるジャパン・ディスカウント行動への対策は、わが国によって講じられているのであろうか。そもそも気が付いていないのではないか。

本件『Time』の誤報を訂正させるという業務は、本来、ネット情報を常時監視・検閲・操作するという任を与えられた組織にとって、契約の範囲内のはずである。それとも、従業員が英語情報を訂正しかねる程度のものなのであろうか。そうであることは周知の事実であるが、随分とお粗末なことである。いずれにしても、人様に堂々と言えない種類の業務を現政権と契約している広告宣伝企業にとって、海外のデマに対する申入れ(の支援)は、一種のビジネスチャンスである。「煉瓦」のもう一つや二つでも求めてでも、率先して業務拡張すべき対象である。その状態に至っていないということは、世論のコントロールという大目的に照らして、検閲装置に、何らかの不具合が生じていることになる。

ただ、『Time』の側にも、何らかの深い意図がある可能性も見て取れる。Asian dressとでも表現すれば、何も問題が生じなかったところ、わざとKimonoと表記して、訂正もしないのであるから、(トランプ政権と仲の良い)日本政府を引っ掛けようと、何らかの落度を誘っているものとも解釈できる。(3月27日は、橋下徹氏が戦争屋の牙城ともいうべきCSISで講演した日でもある。)実際のところ、英語情報を探るとき、ネトウヨならずとも、日本に対する誤解を誘うような宣伝工作の形跡に驚く機会は多く存在するから、この可能性は、追求しておいても損はない。

仮に、日本が情報大国であったとするならば、日本の社会は、『Time』に対して、複数の手段を執り得た。最も善良で、かつ、有無を言わせぬ方法は、日米両国において文化面から尊敬されている人物で、かつ、和装にも詳しいと聞き手が納得できる人物の口を借りる、というものであった。あれは着物ではありませんよ、という形で、やんわりと注意を入れてもらえば良かったのである。しかし、わが国は、そのような人物を注意深く育成したり、選定するという行為を怠ってきた。その結果が、ディヴィッド・アトキンソン氏の提言を曲解した山本幸三氏の「学芸員はガン」発言[2]である。

興味深いことは、本件への批判が、米国メディアに対する「偽ニュース」批判の形式を取らないことである。書き込まれた批判には、多少のバリエーションが見られるものの、米国に本拠を置かないユーザの批判は、「It is not Kimono.」というような、語彙力・思考力が不足したものである。批判したこと自体は褒められるべきことであろうが、なぜ、相手が嫌がり、米国内に連帯を広げる(<ここは皮肉のつもりである)文言を利用しないのか。マスコミに連なる業界に宣伝工作を請負わせることには、自ずから限界があるということである。

オチ。『Civilization V』の勝利条件の中では、文化的勝利(か、文化的優勢に基づく外交的勝利)が簡単だし、楽である。自分たちが良い仕事をしていれば、勝手に相手が惚れ込んでくれるのだから、こんな楽なことはない。


[1] TIME on Instagram: “Women in kimonos take photos under the cherry blossoms along the Tidal Basin on a misty morning in Washington on March 27…”
(Photograph by Kevin Lamarque、2017年03月27日)
https://www.instagram.com/p/BSYjQtiBn-2/
#2017年05月07日リンクを直リンクに修正

[2] 「学芸員はがん」発言に学芸員から批判の声相次ぐ | NHKニュース
(記名なし、2017年04月17日18時40分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170417/k10010951591000.html

外国人旅行者に対する文化財の観光案内が不十分だという説明の中で、「いちばんのがんは学芸員という人たちだ。この連中を一掃しなければならない」などとした山本地方創生担当大臣の16日の発言。学芸員の間では批判や反発の声が上がっています。
全国およそ1200の博物館が加盟する日本博物館協会の専務理事で、みずからも学芸員の資格を持つ半田昌之さんは「学芸員をがんに例えた言葉の使い方を含めショッキングなコメントだった。〔...略...〕学芸員は繊細な文化財を保存して後世に伝えていくという責務を果たす一方で、一般社会にいかにわかりやすく伝えるかという重要な使命を担っている。学芸員も文化財の保存と活用というはざまのなかで日々、努力している」と反論しました。