ラベル GIS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル GIS の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年8月31日木曜日

北朝鮮のミサイルの弾道は、やはりハワイを狙いから外している

2017年8月29日の記事において、北朝鮮のミサイルの弾道は、ハワイに直接向けたのではなく、南米に向けたのだと解説したが、その点を文句が出ないように詰めたので、報告する。政府発表(先の記事を参照せよ)と朝日新聞の記事[1]を参考に、平壌市・順安地区の最北端あたりの地点X(北緯39度16時32分85秒、東経125度42時53分39秒、WGS84)から2700kmの円と、襟裳岬(北緯41度55時29分77秒、東経143度14時55分73秒、WGS84)から1180kmの円を描画して、起点をXとする2本の線を引いてみた。2本の線の終点は、目視で二つの円が離れているとPC上で認識できる交点となるように設定した(。起点は、手作業であっても、スナップ機能があるために精度良く設定できるが、終点は、機械的に作成しなければ、精度良く作成できないのである)。

ハワイからの排他的経済水域(EEZ、200海里)に懸かるよう、故意に線を引いたのは、「2ちゃんねる」のスレ[2]の91番による、知ったかぶりの書込みに対する情けである。この書込みに見られる誤りは、デマと呼ばれる程度に深刻である。銃口を味方に向けることよりも深刻さは落ちるかも知れないが、それでも、関係者がこのような書込みをなした場合、少なくとも大目玉ものである。千葉大学だかの学生が、3.11のとき、皇居から福島第一原発の方向にスカイツリーがあり、龍脈でも断ち切ったかのように大騒ぎしていたのであるが、これも、正距方位図法を用いれば、たちどころにデマと分かるレベルの話であった。なお、北朝鮮の朝鮮中央テレビも同じ種類の間違いをやらかしたということは、finalvent氏が指摘している[3]。いずれも、教訓として、後世に語り継ぐべきレベルの知ったかぶりである。


図 平壌・順安地区から2700kmと襟裳岬から1180kmのバッファによるミサイルの航路の推定
図 平壌・順安地区から2700kmと襟裳岬から
1180kmのバッファによるミサイルの航路の推定

[1] 日本・グアムへの攻撃能力を誇示か 北朝鮮ミサイル発射:朝日新聞デジタル
(ソウル=牧野愛博、2017年8月30日00時51分)
http://www.asahi.com/articles/ASK8Y76MRK8YUHBI02K.html

中距離弾道ミサイル「火星(ファソン)12」〔は、...略...〕約2700キロ飛行し、〔...略...〕北朝鮮は日本列島を通過する最短コースを取った可能性がある。さらに北海道・東北地方は首都圏に比べてミサイル防衛能力が十分ではなく、迎撃を避ける狙いがあったとみられる。

[2] 【悲報】ミサイルが落ちた場所、日本とまったく関係がなかったと判明
(2017年08月29日07:36:50~、同日22時15分確認)
http://tomcat.2ch.sc/test/read.cgi/livejupiter/1503959810/

[3] 北朝鮮が最大級の軍事機密を公開した: 極東ブログ
(finalvent、2013年04月01日)
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2013/04/post-ed9c.html

2017年8月29日火曜日

北朝鮮から襟裳岬の東方1000km辺りの先は南米である

すっかり朝寝坊した私は、北朝鮮がミサイルを発射したというマスコミの騒ぎようを全く知らなかったので、心理的な補償のために、またまた適当に地図を作成してみた(。前回は、2017年8月19日)。軌道自体は、適当に作成したが、どのように作業しても、ハワイとミッドウェーとアラスカから200海里以上離れているという結論は変わらないであろう。作業時、アリューシャン列島からも、200海里以上離れていることが明らかに認められたため、アリューシャン列島に係る200海里領域は作成していない。なお、今回も、平壌・金日成広場からの正距方位図法を利用している。

北朝鮮がわが国の領土・領海の上空を超えるようにミサイルを発射したこと自体は、北朝鮮以外の諸国によって、問題視されるだけの余地がある。しかし、その軌道は、アメリカによって非難される謂われはない、と主張するかのような軌道である。


図 北朝鮮から襟裳岬東方1000km地点を望む
図 北朝鮮から襟裳岬東方1000km地点を望む

なお、ロイター日本語版[1]が、三木証券投資情報部投資情報課長の北澤淳氏の談話として、懸念を報じたようには、トランプ大統領[2]は、本件のミサイル発射について、現時点までの間、ツイートしていない。


[1] 北朝鮮がミサイル発射、日本上空通過:識者はこうみる | ロイター
(記名なし、2017年08月29日12:39JST)
http://jp.reuters.com/article/northkorea-japan-finance-idJPKCN1B907D

[2] Donald J. Trump (@realDonaldTrump) | Twitter
https://twitter.com/realDonaldTrump




2017年8月29日22時30分追記

首相官邸のウェブサイト[3]に掲載された政府発表[4]には、襟裳岬東方1180kmという表記が見られるが、「ひろゆき」氏の運営する方の『2ちゃんねる』の板[5]では、誤った地点を参照点とした地図が複数掲載され、誤解が広がりつつあるように認められる。1番の書込みも、91番の書込みも、参照点が誤っている。1番は明らかに誤りであるが、91番も一知半解であり、「襟裳岬の東方」を確認しておらず、ハワイそのものに向けて発射したものと誤解している。本件は、地球儀さえあれば、小学生の夏休みの宿題レベル(自由研究)の問題であり、答えは、「ミッドウェー・ハワイ・アリューシャン列島の間を抜けるように軌道を設定した」である。日本語環境では、ゴミ情報がゴミ情報を生んでいる。なお、91番が下敷きにした地図は、おそらくソウル中心の正距方位図法であるが、これは、私の作業と同じく、さほど問題とならないであろう。

[3] 北朝鮮によるミサイル発射事案について | 首相官邸ホームページ
(2017年08月29日、同日22時15分確認)
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/northkorea201708/

[4] 北朝鮮による弾道ミサイル発射事案に係る政府の初動対応について
(官邸対策室、2017年08月29日09時30分、同日22時15分確認)
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/northkorea201708/taisakusitujoho2908290930.pdf

[5] 【悲報】ミサイルが落ちた場所、日本とまったく関係がなかったと判明
(2017年08月29日07:36:50~、同日22時15分確認)
http://tomcat.2ch.sc/test/read.cgi/livejupiter/1503959810/




2017年8月30日追記

順安(スンアン)から発射されたこと、29日から30日にかけての夜に安倍晋三氏が首相官邸に詰めていたこと、の両点を知ったので、メモしておく。

2017年8月19日土曜日

ミサイルの軌道に係る北朝鮮の発表が愛媛県に言及しなかったのは同県を通る必要がなかったからかも知れない

先週辺り、北朝鮮が発表したグアム行「弾道ミサイル」の軌道は、おおよそ、「島根県、広島県、高知県の上空」と翻訳されていたようである。出典の確認や表現に手抜きがある理由は、私(自身とその生活)に起因する怠惰である。ほかには、無料ブログでもあり読者が少ないという油断を除けば、含むところはない。ただし、私は、朝鮮語を話せず、かつ、出典の確認を厳密に行え(、しかも、このような難しい含みのある翻訳をビジネスライクに依頼でき)るだけのリソースを持たないので、いざ原典から内容を正確に確認しようと思うと、途端に困ったことになる。

ところで、『Yahoo!知恵袋』[1]をはじめとするインターネット上では、これら三県のみに言及したのは何故であろうかという真っ当な疑問こそ見られるものの、この疑問にまともに回答した人物は、ぱっと見、いないようである。この疑問は、誰でも(相当に大きく正確な)地球儀さえあれば、夏休みの宿題レベルの作業で、誰もが納得できそうな回答(推測)を得られるものである。ただ、そんな奇特な問題に取り組む『プレジデントファミリー』を愛読されるようなご家庭は存在しないものと思われる。そこで、私が昨夜(2017年8月18日)の『ロンドンハーツ』を観るなどしながら、漫然と、計1時間程度で作業して確認した結果を、回答として呈示する。

お断りしておくと、以下の地図では、この作業が行えるだけの技量を持つ者から見れば、問題のある手抜きを沢山している。たとえば、既稿(2017年5月31日)で採用した金日成広場中心の正距方位図法を利用している。にもかかわらず、数百kmは離れた地域にも発射地点を想定している。このため、地図に示された軌道や200海里水域の正確さには、それなりに難がある。また、現時点では再製可能性(replicability)が失われたデータを利用している。しかしながら、地図データの精度や、現実の諸要素、とりわけミサイルの現実の軌道と姿勢制御能力とを考慮した場合、実用上、この程度の手抜きは問題にはならないものと根拠を詰めることなく確信している。北マリアナ諸島についても、無視しているに等しい(が、これもまた、200海里のバッファを作成する条件を厳しくとれば良いだけである。とはいえ、200海里ものバッファを広範な地域について作成する方法は、なかなかに面倒である。このため、『ArcGIS』に採用されているバッファの生成方法上、投影法が問題とならないであろうグアムのみについて、バッファを作成した)。

この地図を提示する目的の一つは、日本語空間に無責任な言論が蔓延しており、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」状態が続いているという事実(のみ)を批判することである。本稿では、ネット上の日本語空間という環境を無責任に汚染し(て、私の言論が検索システムによって発見される余地を狭め)た人物たちと、戦争屋以外の何者をも、批判するつもりはない。私が批判しているものと誤解を与えそうな要素を注記しておくと、この地図に例示した軌道では、鬱陵島(ウルルン島)のほとんど上空、領海内を飛翔することになるが、鬱陵島に係る話については、立ち入るつもりはないのである。鬱陵島ならびにその周囲12海里は、制約条件に過ぎない。韓国の領土・領海への「侵犯」を、北朝鮮が避けようとするのであれば、一度、日本の三県を名指ししてしまった以上、航路とならないように避ける工夫が求められるということであろう。見送られたとはいえ、ミサイルをグアムに向けて発射するのであれば、韓国の排他的経済水域に進入すること自体は、避けられないであろう。このため、鬱陵島を避けたとしても、依然として、ミサイル発射を問題視することは、韓国人にも可能である。むろん、韓国の領土・領海の上空を避けないという選択肢も存在しているが、この結果がどのような結末を生むものか、私には予測し難い。

本稿に示した作業は、一国の安全を預かる部門では、とっくのとうに、しかも私よりも迅速に行われたことであろう。この上で、情報部門の担当者は、この地図と可能性のある軌道を検討しながら、三県のみが言及された意図を推量する作業に従事できたことであろう。もちろん、本段落に示した「ことであろう」の中身は、推測でもあり、期待でもある。よりあからさまに言えば、本稿の作業は、この程度の作業がシロウトにも短時間で行えるという事実を例示するためにも、実施されたものである。私の作業は、ネットのゴミ掃除のようなものであるが、日本国政府は、はたして、そのリソースを十全に活用しているのであろうか。


図1 島根・広島・高知三県上空を通り、愛媛県を通らない、ほぼ一直線の航路の例(全体)
図1 島根・広島・高知三県上空を通り、愛媛県を通らない、ほぼ一直線の航路の例(全体)

図2 島根・広島・高知三県上空を通り、愛媛県を通らない、ほぼ一直線の航路の例(拡大図:鬱陵島)
図2 島根・広島・高知三県上空を通り、愛媛県を通らない、ほぼ一直線の航路の例(拡大図:鬱陵島)

図3 島根・広島・高知三県上空を通り、愛媛県を通らない、ほぼ一直線の航路の例(拡大図:日本)
図3 島根・広島・高知三県上空を通り、愛媛県を通らない、ほぼ一直線の航路の例(拡大図:日本)

[1] 北朝鮮のミサイルですが、島根、広島、高知上空を通過すると報道されてい... - Yahoo!知恵袋
(ID非公開、2017年08月12日07:32:31)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11177901556




おまけ

六カ国協議の当事国の指導者層は、現時点では、いずれも、明確な被害を受けたという理由を抜きにして、確実に大きな報復が待ち受けていることが分かっている戦争を開始したり、宣戦布告の口実を相手方に与えてしまうようなことはしないであろう。いずれの国の指導者についても、戦争屋の箍は、戦争を避けられる程度には、緩んでいるようである。このような中、米国と北朝鮮との戦争を無理であると指摘したスティーブ・バノン氏が解任されたことは、不安材料の一つではある。良くも悪くも、アメリカの国内事情こそは、極東有事の可能性を左右する最大の要素である。しかしなお、戦争屋の走狗であるマスコミが煽るようには、極東有事は生起しないであろう。もはや、戦争に対する嫌悪と、戦争屋による両建構造自体は、アメリカ国内でもそれなりに知れ渡ってしまっている。

なお、グアムといえば、ミサイル騒ぎに前後して、『USA Today』が一面で取り扱っていたが、カソリック聖職者の非行は、日本語では全く話題に上らなかったようである。この点についても、日本語マスコミは、マスコミとしての義務を十分に果たしていない。




2017(平成29)年8月20日追記・訂正

文意を変えないよう、題名を訂正した。

現時点の指導者たちの顔触れで事態が推移する場合、『tocana.jp』に出てくる「情報筋」が煽る[2]ようには、有事は起こらないであろう。ただし、本文ならびにおまけでは明記していなかった(ので、ここで追記した)のだが、緊張状態を煽ることは、当然のように行われるであろう。現時点のいくつかの国の指導者は、真に戦争を避けようとしていても、国内の軍事関係企業の従業員など、事情を十分に知らない末端の国民の支持を得る必要がある。ゆえに、これらの指導者たちは、事情を知らない庶民を間に挟んだ形で、戦争屋と「情報戦争」を、綱引きのように繰り広げる必要もあろう。この「情報戦争」は、同キャラ対決であり、実際に戦端を開くという「崖」までの「チキンレース」でもあるので、双方から繰り出された「技(情報)」が何を意味しているのかを理解するためには、その都度、解釈が必要である(。この解釈という作業は、出身畑によっては、分析と表現されるが、一応、私個人としては、科学的とみなされる用法に固執したいので、あえて解釈という側面を強調した表現としている)。

本稿に限らず、最近の国際情勢を理解する上で、私が利用している思考の補助線のうち、最大のものは、「ドナルド・J・トランプ氏、金正恩氏の双方が(、それぞれが統率する組織のバックアップもあれども、大多数の人々よりも圧倒的に)、合理的かつ合目的的である」という仮定である。また、トランプ氏の命令に基づくシリアの空軍基地へのミサイル攻撃という事実ならびにその経過も、その実例の一つとして、相当に参照している。この事例と、この事例を報じたときのマスコミの変節振りをふまえれば、(マスコミという)敵も自ずから見えてくるというものである。北朝鮮の指導者、とりわけ金正恩氏とその周辺の行動の合理性に対する多くの時事解説は、日本語コミュニティにおいては、飯山一郎氏の功績である。この合理性・合目的性をトランプ氏と米軍にも敷衍すれば、米朝関係は理解しやすくなる。


[2] 【緊急警告】「8月15日~9月7日に米朝戦争勃発の可能性大」政治関係者が衝撃暴露! 日本に難民が3千万人以上押し寄せる!
(2017年08月04日、記名なし)
http://tocana.jp/2017/08/post_14055_entry.html

2017年5月31日水曜日

平壌を起点とする正距方位図法の地図を作成してみた

自身の不明を述べることになるが、5月21日の記事で、

これはマジで冗談であるが、北朝鮮は、今後、毎週末に「ミサイル発射実験」を繰り返すかも知れないのである。
と予測したところ、まさかの毎週ペースで、朝鮮民主主義人民共和国は、「ミサイル発射実験」を繰り返している。21日の発射映像は、29日のNHKの19時のニュースで見ただけであるので、再現性も(私自身の専門性も)ないが、あたかも対艦ミサイルのような弾道を描いていたように見える。本日(2017年5月30日)23時の『News 23』の映像は、人工衛星であるとはとても言えず、中距離弾道ミサイルのものであると言えよう。北朝鮮は、新しくお披露目された5種類のミサイルのうち、3種類までを発射しており、今後、ICBMを発射するものと見られると『News 23』は報じている。

この北朝鮮の「ミサイル発射実験」のペースは、安倍晋三政権にとっても追い風になるという、奇妙な互恵的関係を生じさせている。マスメディアの特オチを恐れる気持ちは、マスメディアが望む・望まずにかかわらず、北朝鮮情勢を報道せざるを得ない状況を作り出している。北朝鮮に係る報道を殊更にカットすることは、今までの報道姿勢を切り替えることになるし、北朝鮮の脅威を無視するのかとの批判を呼ぶことになりかねない。このため、北朝鮮関連の報道は、分量はともかく、森友学園・加計学園疑惑に係る報道よりも冒頭に報道せざるを得ない。それに、安倍政権が北朝鮮との裏のコネクションを有していることは、外部者が信用しても仕方ないほどの報道が従来から見られる。この先行きがいかなるものになるのかは、私にはまだ確信を持って予測することができない。

ところで、本稿の目的は、平壌・金日成広場を中心点とする正距方位図法を描き、そこに北朝鮮の保有するとされるミサイルの推定到達距離等を書き込んだ地図を掲載することである。北朝鮮の「ミサイル発射実験」ニュースに関連して、北朝鮮からのミサイルの到達距離を示す地図が誤りであるという話が、ツイッター界隈で広まっているようである[1]。これらのツイートライン中で得意げに他者が製作したと思しき地図を転載するユーザ[2]や、コメント[3]に指摘されているフジテレビは、論外である(。ユーザは、転載許可を取ったのであろうか)。他方、本稿は、直接はBBCのニュース記事で見かけた地図[4]から、中東情勢との関係性が必ずしも否定できないことが示されることを私が初めて知ったために、作成してみようと思い立ったものである。色々と手抜きをしているので、その方法は注記にて述べる※1が、とりあえず元の制作者であるGeorge C. Marshall Institute[5]は、CSISに吸収合併される際、ミサイル研究だけが残されたという[6]。このように研究者を使い捨てにして、目先のカネをケチるから、戦争屋は、(私は賢明とは言えないが、クビになった方はおそらく優秀であろうから、)賢明な「敵」を余分に造り出すのである。


金日成広場を中心点とする正距方位図法
図:金日成広場を中心点とする正距方位図法(+ミサイル推定到達距離&9000km以降1000km刻み) 

地図を見ると、北朝鮮にとって、到達距離10000kmが一つの目標になっていることがうかがえる。テポドン2は、中東の主要な地域を(BBCの掲載した地図の限りでは、)カバーすることになる(。ツイッターユーザの掲載した地図については、後日掲載のネタに取っておく)。一帯一路が形成され、ミサイル発射実験を成功裏に終えたとき、北朝鮮は、中東情勢にも影響を与えるプレイヤーとして台頭することになる。北朝鮮のミサイル開発・装備の状態は、10000kmの到達距離を達成し、十分な着弾精度を確保したとき、日本が金政権と仲良くせざるを得ない状態にまで至ったと判断されることになろう。


※1 まず、『Google Earth』によって、金日成広場に示されたタグ(緯度 39.0195947、経度 125.7526304)を取得、これを起点とする投影座標系を『ArcGIS Desktop』上で作成した。ただし、「False Easting」及び「False Northing」の設定は、ともにゼロのままにしておいた。(考慮するにしても、この精度では、おそらく、計算が面倒なだけである。)次に、『ArcGIS』のウェブサイトから取得した国境線のレイヤパック[7]のシェープファイル用に座標系ファイル(.prj)を作成した。これらシェープファイルの一揃いを、『R』に「maptool」パッケージを用いて読み込み、「rgdal」パッケージを用いて投影させた。readShapePoly(filename, proj4string = CRS("+init=epsg:4326"))と設定してやれば、『R』のplotコマンドで、上記の形で表示される。周囲の余白などは、地図をpng形式でエクスポートした後、『Gimp』によって削除した。


[1] あるニュース番組が「メルカトル図法の地図に円形のミサイルの到達範囲」を重ねて放送してプチ炎上 - Togetterまとめ
(あるニュース番組が「メルカトル図法の地図に円形のミサイルの到達範囲」を重ねて放送してプチ炎上 - Togetterまとめ、2017年05月30日23時38分)
https://togetter.com/li/1112524

[2] おにぱんださんのツイート: "やっちまったな!RT ただしくはこちらになります https://t.co/jWNc5ZdC6L"
(おにぱんだ(@onipanda0220)2017年5月21日10:18)
https://twitter.com/onipanda0220/status/866100944479567873
#本当に地図や写真や画像の版権は難しい。

[3]

[4] 北朝鮮、ミサイル発射 3週間で3回目 - BBCニュース
(BBC、2017年05月29日)
http://www.bbc.com/japanese/40081306

[5] George C. Marshall Institute - Wikipedia
(George C. Marshall Institute - Wikipedia、2017年05月30日確認)
https://en.wikipedia.org/wiki/George_C._Marshall_Institute

[6] CSIS Announces Marshall Program on Science and National Security
(2015年10月30日13時16分+0000、2017年05月30日確認)
http://marshall.org/missile-defense/csis-announces-marshall-program-on-science-and-national-security/

[7] World Countries
(ESRI, DeLorme、2017年05月16日)
https://www.arcgis.com/home/item.html?id=3864c63872d84aec91933618e3815dd2




2017(平成29)年6月10日追記

本日付『読売新聞』朝刊12面(くらし 教育)「学ぶ 育む/18歳の1票 今月のテーマ 日本の外交/北朝鮮への包囲網」の地図「北朝鮮のミサイルの射程」は、平壌中心の正距方位図法の一部を切り取ったように見える。スカッドERは射程1000km、ノドンは1300km、ムスダンは2500~4000km。テポドン2改良型は10000kmとある。移動式発射台から発射するケースもあると記事は伝えるが、北朝鮮の領土からの射程という点では、さほど話を変える要素ではない。(ので、『読売新聞』の記事も、私の上掲の地図も、さほど問題なく、長い間、使用に耐えられる内容にはなっているはずである。)

2016年7月31日日曜日

ポケモンGOから地図情報が作成されるという主張には疑問がある

 ポケモンGOについて、『サイゾー』系列の陰謀論担当サイト『トカナ』※1が本年7月20日の時点で、海外の陰謀論サイトの記事※2を引用する形で、プライバシーに係るデータを収集する虞があるという記事を掲載している。記者は、仲田しんじ氏である。この指摘の根拠は、プライバシーポリシーが寛大に過ぎること、制作企業のルーツが国家の情報機関と関連していること、であるという。元記事に分かりやすい形の日付はないが、2016年7月13日の発行のようである。

※1 「ポケモンGO」は“全人類奴隷化”に向けての監視装置である可能性が浮上! すべての情報はCIAに送られている!?
http://tocana.jp/2016/07/post_10388_entry.html

※2 Don't Play Pokémon Go! It Is The Latest Government Surveillance Psyop
http://www.disclose.tv/news/dont_play_pokmon_go_it_is_the_latest_government_surveillance_psyop/133115

 結論から言えば、仲田氏が主張する形によっては、データが送られるという虞はないであろう。その理由は、私が以前の記事で示唆しているので、そちらを参照されたい。この主張が誤ったものとなった理由として考えられるものは、単に元記事に忠実であるだけ、というものであろう。仲田氏の記事には、地図情報についても正確ではない理解が見られる。実のところ、本記事は、この不正確さを難に思うので、作成したものである。
またすでにGoogleマップとストリートビューは超大な情報量を誇っているが、例えばこの『ポケモンGO』のプレイヤーからは場合によっては私有地や建物の中の画像情報も自動的に集まってくることになる。“ビッグブラザー”側は放っておいてもこれまでにない詳細な地図情報が刻々と集積されていくことになるのだ。
この段落には、「放っておいても」「これまでにない詳細な」「地図情報」という3点の不正確な記述が含まれている。第一に、「放っておいても」地図制作に必要なデータがすべて収集される訳ではなかろう。第二に、スマホカメラの映像撮影時の性能が完全に満足できるものではないために、「これまでにない精度」とまではいえない余地があろう。第三に、集積されるのは、映像であって地図情報ではない。

  第一点目の誤解であるが、ある空間に集まっているポケモンGOユーザの映像をすべて取得したとしても、特定の時空間についての映像がモザイク状に得られることが期待できるだけであろう。特に、空間の使用方法が限定されている場合には、ユーザの移動範囲が限定されることになるために、そこから走査可能な空間のみが得られるという結果に偏るであろう。ユーザからの予想される反発というリスクを冒してまで、しかもネットワークやスマホに多大な負荷をかけてまで、すべての映像データを収集するよりは、軍艦島を撮影したときに用いられたようなリュックサック式撮影装置※3を用いた方が、よほど正確な空間画像を取得できるであろうし、良い意味での話題作りにも利用できるであろう。何なら、この機械が近くにいるときだけ、特別なイベントを発生させても良いのである。正確な空間画像が取得できることは、地図製作の一歩となる。精度が低いと、加工作業だけでも大変になる。目的が映像そのものではなく、地図情報である限り、仲田氏により予想された方法は、スマートさとは程遠い。

※3 Google Japan Blog: "軍艦島”をストリートビューで歩いてみよう
https://japan.googleblog.com/2013/06/blog-post_28.html

 第二点目の「これまでにない詳細」さについては、時空間上、時間軸については、そのとおりであろう。しかし、空間上、つまり、画像の解像度を評価の指標とした場合には、まず間違いなく、そうではないと言えよう。スマホカメラでは、何らかのフィルタを用いたり、魚眼レンズ風写真のためのオプションを用いるなどしない限り、ストリートビューのように、ある地点から見た場合の天球を再現できるほどの使いやすい画像が得られる訳ではない。また、映像として取得している時点で、ブレやら何やらについても、処理が必要となる。スマホ側に処理をさせて映像データを送るという作業もは、過大な負荷を強いるように見える。

 第三点目であるが、単なる映像と地図情報とでは、位置情報に係る精度を保証するという点において、大きな違いがある。完全に映像が得られたとしても、これらの映像は、再現しようとする時空間に対して、(美術品にいう)モザイクを制作するときのように、精度を保ちながら当てはめていくという作業が必要である。この作業においては、人工知能が限定的に活躍する余地がある。このために、この作業は、ある程度までは自動化可能であると予測できる。しかしそれでも、「放っておいても」「地図情報」が自ずから形成される訳ではない。そこには、GISエンジニアの人知れぬ苦労が横たわっているはずである。

 物事に陰謀論を見出すことは可能であるが、その陰謀論が批判となりうる場合、一部についてであっても、根拠が児戯に等しいレベルであることは、主張の全体について、信頼を失うことになる。ただ、陰謀論に係る言論の世界では、一部の議論の質をわざと落とす、という作業が施されることがある、ということにも注意しなければならない。その理由として考えられるものには、たとえば、論法が敵味方を弁別するための手がかりであったり、あるいは、重要な内容を伝えるためのバーター材料であったり、というものがあり得よう。翻って、元記事は、また、『トカナ』の記事は、いかなる理由で、質の低い議論を行うに至ったのであろうか。興味が尽きないところである。


2016年2月1日月曜日

地理空間情報は分析しないとジオイントにはならない

 Google+1において、地理情報システムに係る前日の読売新聞記事(2016年1月31日朝刊1面)を紹介した(私は、デジタルでなく紙面で読んだ)が、地理情報システム(GIS)ソフトウェアの選定において、ヒューマンウェアの重要性、プロプライエタリ/オープンソースという二つの観点が抜け落ちている可能性があることを、追加して指摘しておきたい。この欠落は、記者の理解に起因することも十分に考えられる。

 現在、消費者市場に流通する主要な地理情報システムは、ほとんどが海外発祥のものである。米陸軍の『GRASS』のように、きわめて充実した機能で先行する実例が見られるとき、前例主義のわが国の行政人が同様に地理情報システムを整備する道を辿ろうとするのは、理解できないことではない。

 最初に、関係者を責めるつもりは決してないことを断っておくが、客観的にみて、わが国が単独で邦人救出を行えるようになるとは、私にはとても思えない。アメリカやロシアのような外交・軍事大国であれば、単独で情報を保全・整備して、外国の領土において秘密裏に作戦を実施することも可能であろうが、わが国はそのような能力を有さないし、有する方向に向かうべきではないであろう。この方向性は、非効率の極みである。それよりも現在のソフトパワーを有効に生かすことがわが国には求められよう。わが国は「長い耳の兎」で行くほかないという伊藤寛氏の指摘(『サイバー・インテリジェンス』, 2015, 祥伝社新書.)には、同意する。

 とすれば、邦人事件への対応に利用される地理情報システムでは、種々雑多な情報を効率的に収集して整理できる性能を重視すべきであろう。ベースとなる衛星情報にしても、わが国は、稼働中の人工衛星数で見れば、米499、中165、露147に次いで69基を擁する(CelesTrak、2016年1月31日)が、これらが世界各国で生じうる邦人誘拐事件等に利用できるだけ十分に密に配置されたものであるとまでは言えない。アジア各国の事情を観察する上で使える衛星は多いかも知れないが、南米までを単独でカバーすることは、とてもではないが非効率的である。すると、この種の場面で利用されるGISソフトウェアは、外国政府や民間から提供される情報をいかに簡便に加工し整理できるか、という性能を基本に選定されることになろう。10分で(あるいは逐次的に)あらゆるデータを取り込めなくてはならないのである。2016年2月3日追記:海外の情報提供者が簡単に情報を追加できるという条件を想定すると、現状で普及しているGUIは、かなり有力な選択肢となることであろう。

 規範的な価値、実証的な価値からの是非は置いておくが、アメリカの情報機関の優れたところは、戦略的かつ系統的にSNS情報を入手する手立てを総合的な観点から構築しており、その整備に官民挙げて取り組んできたことである。データやソフトウェア、それを動かすためのハードだけでなく、分析する人材も重要である。分析者・意志決定者が情報の波に溺れたという批判が一部にあるものの、情報を統合的に入手する手段がなければ、情報に溺れることすら適わないのである。実際、前年1月の自称イスラム国による邦人人質事件では、わが国の情報担当者が情報を得られない様子がありありと映像に反映されていた。幸い、GISデータを自前運用できるだけの基礎的な要件には、ビッグデータの取扱に係る技術が自前で用意できる、というものがあるが、この点については、わが国の研究業界は、対応できている。しかし、そのほかの工程において、どのような情報を入手していかなる情報を産出するのか、に係るヒューマンウェアについての構想は、決定的に不足しているように見受けられる。

 雑多な情報を的確に解釈するには、高校教育課程まで、つまり中等教育を通じて学力を完全に身に付けた、エンリッチメント教育の申し子が分析担当機関に数百名規模で必要である。大学教養課程までの学力をバランス良く身に付けたという人は、わが国では、個人に対する報酬が望める業界(や海外)に進んでしまうので、むしろ、海外からの情報提供者として有用かもしれないが、今後のわが国において、情報を分析するという黒子的な役割とはミスマッチを生じる可能性があろう。このような人的体制を構築するには、早くとも四半世紀を要する。日本国の資源を無駄に利用してしまってきている不惑の私が偉そうに言うことではないが、読者が本ブログを読み、学術的と呼べる考え方の一つでも知らなかったと認めることがあれば、20代前半までの間に、これらを含むより広範な知識体系を効率よく吸収でき、かつ、愛国心を涵養できるだけの教育システムというものの実現の困難さを、読者は認めざるを得ない状況に直面したことになる。私のブログの内容の正否(間違いが含まれうることは、まったく否定しない)を根拠をもって判定できるだけの学識を備えた者、何なら私の誤りを手を動かして実証的に指摘できる能力を有する者こそが、責任をもって国民の生命と安全と財産を保護できるだけのジオインテリジェンスを産出することができよう。(たとえば)他者の日本語ブログを眺める限りでは、素晴らしい見識を有する日本語話者は多く存在するが、そういう人材が散在しているだけでは、インテリジェンスが日本語コミュニティに蓄積されているとは言えない。少なくとも、彼らの知恵を自由かつ随時かつ迅速に拝借できる態勢が整えられていることが重要なのである。また、優秀な分析者を若年層から調達できるか、その人材を適切に処遇できるか、その状況を維持し続けられるか、というところに、ヒューマンウェア養成システムなるものを作り上げ維持することの困難さが認められるのである。

 ジオイントの産出に携わる人材には、技術上の勘所を押さえているという能力が求められるかもしれないが、超高度な専門技術というものが彼らに求められる場面は、さほどないであろう。むしろ、事情に応じて、あるデータを加工できるだけの企業等に超特急で業務を発注できるといった意味合いでの指揮能力、即応性が求められるであろう。日本社会がそのような企業を多数内包する状態を維持できることは、日本社会の安全性を担保する上で、重要な側面である。この点、行政担当者の発注能力のお粗末さの原因と構造の分析は、(責任追及のためではなく、)今後の改善のために、より真摯に追究されるべきことである。(たとえば、昨年10月に逮捕された、厚生労働省の課長補佐の収賄事件は、官僚の専門的能力の不足が悪い方に表れた事例と見ることができる。)

 ところで、「インテリジェンスに友人なし」と、この方面の識者が異口同音に指摘しているとき、GISソフトウェアを導入する担当者は、情報の保全という要件をどのように解決するのであろうか。ここまでに指摘してきた、「情報は単独調達できない」、「他国との協力が不可欠である」という要件は、プロプライエタリソフトウェアとは非整合的なものとなりうる。一朝事あるときに、内密に機能を拡充するというサンドボックス的な作業を阻害するからである。ただし、プロプライエタリソフトウェアを提供する企業に弱みを握られながらも国民の安全と財産とを保護可能であるというのであれば、それはそれでひとつの政治的判断であろう。私の知る限り、プロプライエタリソフトウェアを提供する企業に全面的に依拠しながら、国民の生命一人分とて失わしめなかったという実績を有する主権国家は、一つもないようではあるが。官民の協働は、前提条件である。しかし、この協働という前提条件と、利潤の獲得をレーゾンデートルとするプロプライエタリソフトウェアの提供企業に全てを委ねるという決定との間には、大きな途絶がある。金銭的な有限責任だけを負うことにより発展を可能とした現代の企業は、組織の成員の無限責任から成立するはずの国家とは、役割により、明確に分かたれる(べき)存在なのである。

 しかし他方で、柔軟性を求めるためにオープンソースソフトウェア(OSS)を採用するという選択肢を取るとしても、その場合には、考慮すべき特有の事情があることも事実である。OSS-GISの大半は、経験的に、わが国で流通してきた文字コードであるshift-jis形式と相性の悪い状況を引き起こしがちである。このために、仮にOSSを採用するのであれば、ソースコードを見ながら、スクラッチでソフトウェアを構築するという作業が必要になるかも知れない。系統的かつ統一的な作業が行える環境においては、文字コード変換に伴う問題は生じにくいが、多数の情報提供者が多数のソースからゴミ情報を含めて情報を寄せるとき、それらの情報を整備して理解しやすくするためには、なかなかややこしい工程を経る必要が生じる。自称イスラム国がエッチな映像に命令を潜ませて流通させているとされるというニュースは、ほぼすべての情報機関や「悪の組織」に認知されたものとなっているが、このように非言語情報から文字や音声等の言語情報を取り出すという作業においても、文字コードの問題は、些末であるが、うんざりするような問題を引き起こす。ユーザから見て、「地理情報」取扱上の問題は、大抵、「地理」にあるのではなく、「情報」の部分にあるのである。もちろん、座標系の問題は、地理情報につきものであるが、座標系を付されていない地理情報であっても、たとえば、人質の所在地をある国の奥地から探るという具体的な問題に即して考えるとき、問題の深刻さはそれほど大きなものではなくなる。平面座標系で原点がずれているとかいう困りもののパターンも生じそうではあるが、可能な組合せ数は少なく、問題となることは少ない。

 今回はここまで。参考になりそうな以前の記事を、いずれリンクする予定である。