2017年5月31日水曜日

平壌を起点とする正距方位図法の地図を作成してみた

自身の不明を述べることになるが、5月21日の記事で、

これはマジで冗談であるが、北朝鮮は、今後、毎週末に「ミサイル発射実験」を繰り返すかも知れないのである。
と予測したところ、まさかの毎週ペースで、朝鮮民主主義人民共和国は、「ミサイル発射実験」を繰り返している。21日の発射映像は、29日のNHKの19時のニュースで見ただけであるので、再現性も(私自身の専門性も)ないが、あたかも対艦ミサイルのような弾道を描いていたように見える。本日(2017年5月30日)23時の『News 23』の映像は、人工衛星であるとはとても言えず、中距離弾道ミサイルのものであると言えよう。北朝鮮は、新しくお披露目された5種類のミサイルのうち、3種類までを発射しており、今後、ICBMを発射するものと見られると『News 23』は報じている。

この北朝鮮の「ミサイル発射実験」のペースは、安倍晋三政権にとっても追い風になるという、奇妙な互恵的関係を生じさせている。マスメディアの特オチを恐れる気持ちは、マスメディアが望む・望まずにかかわらず、北朝鮮情勢を報道せざるを得ない状況を作り出している。北朝鮮に係る報道を殊更にカットすることは、今までの報道姿勢を切り替えることになるし、北朝鮮の脅威を無視するのかとの批判を呼ぶことになりかねない。このため、北朝鮮関連の報道は、分量はともかく、森友学園・加計学園疑惑に係る報道よりも冒頭に報道せざるを得ない。それに、安倍政権が北朝鮮との裏のコネクションを有していることは、外部者が信用しても仕方ないほどの報道が従来から見られる。この先行きがいかなるものになるのかは、私にはまだ確信を持って予測することができない。

ところで、本稿の目的は、平壌・金日成広場を中心点とする正距方位図法を描き、そこに北朝鮮の保有するとされるミサイルの推定到達距離等を書き込んだ地図を掲載することである。北朝鮮の「ミサイル発射実験」ニュースに関連して、北朝鮮からのミサイルの到達距離を示す地図が誤りであるという話が、ツイッター界隈で広まっているようである[1]。これらのツイートライン中で得意げに他者が製作したと思しき地図を転載するユーザ[2]や、コメント[3]に指摘されているフジテレビは、論外である(。ユーザは、転載許可を取ったのであろうか)。他方、本稿は、直接はBBCのニュース記事で見かけた地図[4]から、中東情勢との関係性が必ずしも否定できないことが示されることを私が初めて知ったために、作成してみようと思い立ったものである。色々と手抜きをしているので、その方法は注記にて述べる※1が、とりあえず元の制作者であるGeorge C. Marshall Institute[5]は、CSISに吸収合併される際、ミサイル研究だけが残されたという[6]。このように研究者を使い捨てにして、目先のカネをケチるから、戦争屋は、(私は賢明とは言えないが、クビになった方はおそらく優秀であろうから、)賢明な「敵」を余分に造り出すのである。


金日成広場を中心点とする正距方位図法
図:金日成広場を中心点とする正距方位図法(+ミサイル推定到達距離&9000km以降1000km刻み) 

地図を見ると、北朝鮮にとって、到達距離10000kmが一つの目標になっていることがうかがえる。テポドン2は、中東の主要な地域を(BBCの掲載した地図の限りでは、)カバーすることになる(。ツイッターユーザの掲載した地図については、後日掲載のネタに取っておく)。一帯一路が形成され、ミサイル発射実験を成功裏に終えたとき、北朝鮮は、中東情勢にも影響を与えるプレイヤーとして台頭することになる。北朝鮮のミサイル開発・装備の状態は、10000kmの到達距離を達成し、十分な着弾精度を確保したとき、日本が金政権と仲良くせざるを得ない状態にまで至ったと判断されることになろう。


※1 まず、『Google Earth』によって、金日成広場に示されたタグ(緯度 39.0195947、経度 125.7526304)を取得、これを起点とする投影座標系を『ArcGIS Desktop』上で作成した。ただし、「False Easting」及び「False Northing」の設定は、ともにゼロのままにしておいた。(考慮するにしても、この精度では、おそらく、計算が面倒なだけである。)次に、『ArcGIS』のウェブサイトから取得した国境線のレイヤパック[7]のシェープファイル用に座標系ファイル(.prj)を作成した。これらシェープファイルの一揃いを、『R』に「maptool」パッケージを用いて読み込み、「rgdal」パッケージを用いて投影させた。readShapePoly(filename, proj4string = CRS("+init=epsg:4326"))と設定してやれば、『R』のplotコマンドで、上記の形で表示される。周囲の余白などは、地図をpng形式でエクスポートした後、『Gimp』によって削除した。


[1] あるニュース番組が「メルカトル図法の地図に円形のミサイルの到達範囲」を重ねて放送してプチ炎上 - Togetterまとめ
(あるニュース番組が「メルカトル図法の地図に円形のミサイルの到達範囲」を重ねて放送してプチ炎上 - Togetterまとめ、2017年05月30日23時38分)
https://togetter.com/li/1112524

[2] おにぱんださんのツイート: "やっちまったな!RT ただしくはこちらになります https://t.co/jWNc5ZdC6L"
(おにぱんだ(@onipanda0220)2017年5月21日10:18)
https://twitter.com/onipanda0220/status/866100944479567873
#本当に地図や写真や画像の版権は難しい。

[3]

[4] 北朝鮮、ミサイル発射 3週間で3回目 - BBCニュース
(BBC、2017年05月29日)
http://www.bbc.com/japanese/40081306

[5] George C. Marshall Institute - Wikipedia
(George C. Marshall Institute - Wikipedia、2017年05月30日確認)
https://en.wikipedia.org/wiki/George_C._Marshall_Institute

[6] CSIS Announces Marshall Program on Science and National Security
(2015年10月30日13時16分+0000、2017年05月30日確認)
http://marshall.org/missile-defense/csis-announces-marshall-program-on-science-and-national-security/

[7] World Countries
(ESRI, DeLorme、2017年05月16日)
https://www.arcgis.com/home/item.html?id=3864c63872d84aec91933618e3815dd2




2017(平成29)年6月10日追記

本日付『読売新聞』朝刊12面(くらし 教育)「学ぶ 育む/18歳の1票 今月のテーマ 日本の外交/北朝鮮への包囲網」の地図「北朝鮮のミサイルの射程」は、平壌中心の正距方位図法の一部を切り取ったように見える。スカッドERは射程1000km、ノドンは1300km、ムスダンは2500~4000km。テポドン2改良型は10000kmとある。移動式発射台から発射するケースもあると記事は伝えるが、北朝鮮の領土からの射程という点では、さほど話を変える要素ではない。(ので、『読売新聞』の記事も、私の上掲の地図も、さほど問題なく、長い間、使用に耐えられる内容にはなっているはずである。)

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