2017年9月15日金曜日

(メモ)2017年9月15日の北朝鮮のミサイル発射の報道に際しても、三大紙は、宇宙空間に言及しなかった

本日(2017年9月15日)夕刊の読売・朝日・日経の三紙は、いずれも、1面記事において、今朝の北朝鮮が発射した弾道ミサイルの軌道の最高高度が約800kmであったと明記しながらも、この高度が宇宙空間と呼べるものであることに何ら触れていない。『読売新聞』は、防衛省などの話として高度を明記する[1]。『朝日新聞』は、情報源を明記しない[2]。『日本経済新聞』は、官房長官の菅義偉氏の談話を引用する[3]

唯一、『朝日新聞』は、社会面記事[4]において、インタビュイーの言葉を借りて、高度に係るタブーが存在することを示唆している。引用のとおり、回答者は、不安・安心の別を述べているに過ぎない。公務員の言明としては、優秀である。細部の取扱を間違えると、責任問題になりかねないがために、朝日新聞も、必要十分な情報を掲載したものと認められる(。また、このために、私も、必要十分と認められる部分を引用した)。

今回の軌道の最高高度も、事実関係に係る政府関係者の言明だけに注目すれば、本来であれば、「日本の上空」と言うよりも「宇宙空間」と言うべきである。高度に応じた空間の区分に従えば、北朝鮮への批判は、本来、「宇宙空間を軍事的に利用した」とするのが正しい。この点に言及せずに、政府関係者が「日本の上空」というフィクションに拘泥する理由には、対立関係を強調するという意図があるものと言えようが、マスコミ関係者がこのフィクションに付き合う必要性はない。日本語の大マスコミは、平和を愛好する人々の正確な理解を妨げるという点で、平和主義者の敵であると言うべきであろう。

読売新聞は、今回も大張り切りの感がある。安倍首相の声明全文をはじめ、大本営発表の細かい経緯を知りたいのであれば、参照するに値しよう。自ら号外を配布したとも言う[5]ほどである。号外を発行する決定を下した同社の幹部は、確実に騒ぎを大きく見せたい意思を有していたものと断定できよう。


[1] 『読売新聞』2017年9月15日夕刊4版1面「北ミサイルまた日本通過/襟裳岬東2200㌔に落下/「グアム射程内」誇示か」(記名なし)

防衛省などによると、ミサイルは約19分間、約3700㌔・㍍非行史、最高高度は約800㌔・㍍だった。〔...略...〕

[2] 『朝日新聞』2017年9月15日夕刊4版1面「ミサイル再び日本通過/飛距離最長 3700㌔/北朝鮮 グアム射程実証か」(ソウル=武田肇、牧野愛博)

最大高度は約800㌔、飛行距離は過去最長の3700㌔に達したとみられる。小野寺五典防衛相は「米領グアムに十分届く飛距離」とし、〔...略...〕

[3] 『日本経済新聞』2017年9月15日夕刊4版1面「ミサイル再び日本通過/飛距離3700㌔/北太平洋へ グアムも射程に」(記名なし)

菅氏は記者会見で、最高高度は約800㌔㍍と推定されると表明。「(発射高度を通常より高くする)ロフテッド軌道ではなかった」と述べた。大陸間弾道ミサイル(ICBM)かどうかについては「必ずしもそうではない」と指摘した。

[4] 『朝日新聞』2017年9月15日夕刊4版17面「発射「またか」早朝当惑/運転見合わせ、広範囲で」(記名なし)

各地の自治体は早朝から対応に追われた。〔...略...〕落下位置を示す起点として前回同様、名指しされた北海道えりも町では企画課の荒井すぐるさん(30)が午前7時10分ごろに庁舎に到着。〔...略...〕「はるか上空を飛んでいるようなので怖さは感じないが、もうやめてほしい」

[5] 『読売新聞』2017年9月15日夕刊4版13面「本紙が号外発行」

〔...略...〕号外約1万8000部を発行し、全国の主要駅などで配布した。

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