2016年11月13日日曜日

(感想文)ドワンゴが人工知能でゾンビ的な人体の動きを再現

本日(2016年11月13日)21:00~21:49の『NHKスペシャル』は「終わらない人 宮﨑駿」[1]であり、宮崎駿氏がCGを利用したアニメーションに初めて取り組む700日を密着取材していたが、そこで題名の件を知った次第である。再放送はNHK総合で11月16日(水)午前0:10。取材中(番組終盤)、株式会社ドワンゴ取締役会長の川上量生氏が、人工知能を利用したアニメーションについてプレゼンするために、開発チームとともに訪れる。そこで宮崎氏に提示されたのは、人体の重量・可動域と、おそらく筋肉量まで計算に含めて人工知能に計算させた、地面を這う人体の移動アニメーションだった。痛みを感じないために、(頭と胴体を尺取り虫のように利用して)這い回る格好になったのだと解説されていた。宮崎氏の反応は、次の@rienda0211氏のツイートに要約される通りであった。

人間が痛みを感じず、脳機能を最低限しか用いず、筋力をなるべく節約して移動するとすれば、確かに、ドワンゴのチームがプレゼンしたような形で、人間は移動するかもしれない。逆説的ではあるが、この動画から、人間や高度な動物の多くが痛みを感じることができることの不思議さと重要さを汲み取れよう。人間も、また動物の多くも、ほかの生物が少なくとも目の前で痛がられている場面に居合わせれば、(捕食であれ、保護であれ)その様子に反応できる存在である。以前、人工知能は良き教師あってこそと述べた(2016年1月7日)が、ここでも同じ提言を繰り返すと同時に、生物が同種に対して、ときには異種に対してさえ、痛みを感じることのできる存在であることを教える必要があると感じた次第である。

ヒトが何によってゾンビと分かたれる存在であるのかを探求する上では、ドワンゴのチームによるプレゼンは、何事かを提示したのではないかと評価できる。ただ、そのような学究的な興味は、人類の文化的活動の最高の成果を追求して止まない宮崎氏の方向性とは、明らかに別方向を向くものである。基礎研究に留まる内容を、いきなり実務の最前線の先頭を切って走り続けようとする人に投げ掛けても、戸惑われるだけであろう。不幸な巡り合わせではあったが、この会合がなぜ不幸なものとなったのかを問い続けることなしには、人工知能の現在の開発者は、後世に恨まれる仕打ちをしでかすことになろう。人工知能の進化の過程は、必ずしも、「超人工生命LIS」[2] のように、現在の地球における生態系の原理(=貪食しない)を後追いするものとはならないであろう。現在の生態系と明らかに違う原理で作動する人工知能が支配するとき、何が起こるのか。予想するほかないが、多くの場合において、人間は絶滅させられるか、完全に屈服させられることになろう。

[1] NHKスペシャル | 終わらない人 宮﨑駿
(2016年11月13日21:00~21:49)
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161113

[2] ドワンゴで産まれた超人工生命LIS、ハッカソンでカンブリア紀に突入! - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
(Ryo Shimizu、2016年04月12日)
https://wirelesswire.jp/2016/04/52114/


2016(平成28)年11月18日08時追記

痛みに着目するというツイートは、「たられば(@tarareba722)」氏のものに、すでに見ることができる。今朝、『Togetter』経由で確認した。素直に痛みに着目するという点で、共通する感想が同時多発的に生まれていたとすれば、私の上記見解は、ヒトの直感として、ずれていなかったことになる。

【終わらない人 宮崎駿】痛みを知らない人工知能によるCGの動きを「生命への侮辱」と一喝 (2ページ目) - Togetterまとめ
(2016年11月18日08時11分)
http://togetter.com/li/1048151?page=2

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