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2015年11月16日月曜日

今さら日本のTPP参加についての米国議会図書館議会調査局文書を読む

William H. Cooper & Mark E. Manyin, (13 Aug. 2013). Japan Joins the Trans-Pacific Partnership: What Are the Implications?, (CRS Report for Congress)
http://www.fas.org/sgp/crs/row/R42676.pdf

 今さら、あるいは改めて、日本のTPP参加による影響を解説したクーパー=マニーン報告(2013)を読んでみると、米国で対日政策を策定することは、専門家冥利に尽きることなのだなあと思わされることしきりである。全19ページの報告書であるが、過不足なく大事なことが整頓されきっている観がある。「大筋合意」に至るまでの経緯をふまえて、日本における主要なプレイヤーが論壇から脱落させられていく経緯を見ると、同報告書の分析が活用されていることがよく分かる。

 いくつかの日本語サイトでは、(その時々の世相の興味に応じた)重要な解説が見つかるし、以下に紹介する「あまのじゅく」ウェブサイトには、和訳もある※1。今さらながら勧めるのは、自身の不勉強を告白することにもなり恥ずかしいことであるが、「(日本側の)失敗(について)の研究(、つまり、米国による対日外交の成功についての研究)」の一環として、原文あるいは訳文に目を通すことをお勧めしたい。

 同報告書には、TPPに日本を巻き込むことにより得られる米国側の利益として、市場の開放※2、ルール重視の枠組と公正な紛争解決による非関税障壁の解決※3、TPPのシェア拡大※4が挙げられている。また、2012年の初期から自動車関連分野や保険分野やそのほかの非関税障壁について、そしてTPPをより高い基準で達成するため、米国が日本と一対一の懇談会を開催してきた、とのマランティス米国通商代表の発言が引用されている※5

 個人的には、15ページ以降の「Japanese Politics and the TPP」という項目が気になった。JAがここ40~50年間の対日通商交渉における主要な論敵となってきたこと、多様な利益団体と連携する中核的存在となってきたこと、主要な提携者として日本医師会があること、などが的確に記されている。この分析が世に問われた後、奇しくも、2013年の秋、2011年の日本医師連盟の収支報告書の不透明さについて、複数のジャーナリストやブロガーらが追及を始めている。この動きは、民主主義社会である以上、基本的に止めることができないものであり、この点、実に良くできている。こうして主要な連携先を失ったJAは、根拠法をも改定され、求心力を失うことになった。

 JAを分断統治するという戦術は、民主主義社会における喧嘩の作法というものを知り尽くした動きである。手先となって働いた日本人に対しては、軽蔑の念しか湧かないのだが、本件に従事した米国人に対しては、それと同じだけの尊敬の念を覚える。また、そのような才能を適切に使いこなすことができる社会に対しても、感心することしきりである。ところで、わが国の研究者・専門家は、そのキャリア形成において、英語圏の存在を無視することができない。わが国は、かつてのインドのように、マハトマ・ガンジー級の偉人を待つほかないのだろうか。



※1 私は共著者のマニーン氏の読み(和文表記)が知りたくて、Google検索したところ、和訳があることを知っただけで、一応、英語で読んだ。(ので誤解があるかも知れない!爆)

2013年5月1日付-米議会調査局レポート-和訳-20130601.pdf(あまのじゅく)
http://amanojuku.com/wp-content/uploads/2013/06/2013%E5%B9%B45%E6%9C%881%E6%97%A5%E4%BB%98-%E7%B1%B3%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E5%B1%80%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88-%E5%92%8C%E8%A8%B3-20130601.pdf

※2 Overall U.S. Objectives > Market Access (p.11)

※3 Overall U.S. Objectives > Rules-based Trade Framework and Impartial Dispute Settlement (p.11)

※4 Overall U.S. Objectives > Enhanced TPP (p.11)

※5 Overall U.S. Objectives (p.10)



2015年10月6日火曜日

TPPの効果を検証するために公的統計の多言語化対応と統一が急務である

 今夜は、TPPの締結が進められるか否か、という瀬戸際にあるわけだが、米国通商代表公式アカウントのストリーミングサイト(リンク)は、22時15分現在も、まもなく始まりますという通知だけが流れている。このまま全部流れてしまってもらえると、少なくとも世界のためにはなることなので、と思っていたら、成功裏に締結しました、という米国代表のフロマン氏のアナウンスが22時20分過ぎから始まった。右隣のマレーシア代表の表情が険しいことが印象的である。

#というか、フロマン氏以外の全代表の表情が険しいように見える。ある意味、歴史に残る会見である。

 つい先日、私は、TPPが拙速であり、現状では反対すべき内容であると、遅まきながら旗幟を鮮明にしたばかりであった。締結されたという現在でも、その考えは変わらない。TPPは、日本の没落を早めるだけである。日本人としてTPPの締結に関与した人物たちは、長く記憶・記録されて良い。

 ある時、私は、助言を必要としていたある公的な組織に対して、TPPの締結まで見越し、(公的)統計分野には、英語だけではなく、多言語対応が今後必要となると回答したことがある。これは、佐藤優氏のTPPにおいて日本語が「悪魔の言語」として機能するという議論に触発されたものである(注:本文は2016年1月9日追記)。TPPの加盟国の人口動向をふまえると、英語人口だけでなく、西語人口への対応も必要となる。次いで、マレー語が多いのではないか。いずれにしても、英語と同様の簡便さで、英語以外の他言語ともコミュニケーションが取れるようにならないと、多くの反対の識者が予想したように、日本の国益が図られるということにならない。

 多言語対応を図る時点で、各国の関係者は、必ず、単に言語の壁だけではなく、各国の法制度と(法)文化の多様性に、ひいては参入障壁とは何であるのかという定義に、直面せざるを得ないことになる。異なる制度の下に作成された統計を比較するにあたり、どのように統計を加工し、あるいは今後整備していくかという観点は欠かせない。こうした準備があって初めて、ある制度が参入障壁であるかを計測する準備が整うことになる。交渉担当者の力量をふまえると、数年前から、わが国がTPPに応じざるを得なかったことは、彼我の力関係全体からすれば明らかであったのだから、その頃から対策を練るべきではあったのだが、遅まきながらであっても、関係者は、いわゆるISD条項を盾とした不合理な要求に対応できるような知恵を出していかねばならない。

#この点、典型的な将来を見越して知恵を出しておくことは、官僚の仕事のはずである。この点、私は、防衛省がいろいろなケースを想定していたこと自体については、評価したい。(法案が成立しなかったという場合も、ゼロではなかったのであろうが、その場合は、現状維持になるわけであるから、法案の不成立を前提とした用意は、それほど必要とはされなかったであろう。)

 なお、TPPの効果・弊害をいう場合、従前の国内状況と比較することはもちろん必要であるが、それだけではなく、TPP枠外の諸国とも状況を比較することが必要となる。中国との比較や、EU諸国やロシアを中核とする独立国家共同体(CIS)諸国との比較も欠かせないであろう。数年後にも、メキシコ・ペルー・チリの三か国は、依然として、地理や言語上の制約から、中南米の非加盟国との結びつきの方が強いかもしれない。EU諸国は、EuroStatという統一的な地域統計を用意するに至っており、EuroStatは、国連の発行する地域統計地図にも多用されている。TPPを好意的に受け止めるにせよ、否定的に受け止めるにせよ、比較のためには、EuroStatなどと同様の枠組が必要なのである。

 先日、言及したように、TPPが、銃器・麻薬・風俗(わいせつ物)・賭博という、犯罪情勢に影響を及ぼす制度に不可逆の変化を及ぼすことは、必定である。これらに係る制度変更のうち、とりわけ、賭博については、各種の公営競技等が運営されてきており、多くのファンがいるという現実がある以上、本格的なカジノの建設・運用は、当然の流れであろう。ただ、本来の筋道は、既存の公営競技等について、より慎重で正確な検討が加えられ、後にカジノの是非を検討するというものであるべきだったが、そのような慎重な検討は、今となっては遅いということであろう。

 なお、公営カジノについては、開設・運営までは避けられないであろうが、わが国では前例がない「無作為統制実験」という方法によって、その影響を計測することは可能である。カジノ設立に立候補した複数の都市でくじ引きを行い、当選したところから期間を置いて順次運営を始めることにより、真に地元で犯罪が増加したか否かを検証するのである。これは、アメリカ本国で流行りの方法なので、実行は妨げられないはずである。むしろ、この手法よりも不正確な方法によって計測が実施された場合、犯罪分析等に係るシンクタンク等は、不正確な方法の実行によって参入を妨害しているという訴えを起こすこともできるはずである。

#無作為統制実験については、正確に内容を把握している研究者もいることは確かであるが、わが国の犯罪学関係の研究者の中では、まだ誤解が残るように見受ける。

 蛇足であるが、TPPについての議論を精査したわけではないが、成功者を素直に賞賛できる態度の欠如は、特にわが国において、今後の治安情勢に多大な影響を及ぼすことになろう。米国には、アメリカンドリームという哲学があり、結果としての二極化は、近年のオキュパイ運動などの例外もあろうが、一定程度許容されてきたと思う。マレーシアとの関係を抜きには考察できないが、シンガポール国民は、アメリカンドリームという考え方が国策ともリンクしており、格差を許容しているようにも見える。TPP締結国では、治安情勢は、同程度のものに収斂することが予測され、厳格な治安管理(シンガポールやアメリカの高級住宅地等)や成功者の努力を賞賛するという思潮(アメリカ)が、最悪のレベルにまで治安状態を低下させることを食い止めているように見える。他方、成功者を賞賛するという態度を醸成しなければ、わが国の治安情勢は、アメリカやシンガポールよりも遙かに悪いものとなることも十分にありうる。それは、第二次世界大戦前の数十年間を思い起こせば良い。

#今まで、私の話を聞いたことのある関係者は、私の考えが那辺にあったのかを訝しんできたであろうが、以上で、その真意を理解できたはずである。私が公的な場で話してきた内容は、基本的に撤退戦・緩やかな衰退を前提としたものであり、その衰退をハードランディングにはしない、という目的を持ったものである。

平成28(2016)年1月9日追記

別記事(リンク)の執筆中、多言語化対応についての着想が佐藤優氏の議論にあることを明記していなかったことに気が付いたので、ここに記して、お詫びします。(言い訳を記すと、後で出典を調べようと思い、そのまま忘れて公開してしまっていた。現在でも、紙媒体であるはずなので、探しきれていないが、いずれにしても、佐藤氏の議論によることは、間違いなく事実である。)

平成28(2016)年9月8日追記

カジノが犯罪を助長するか否かを検討する上で、無作為統制実験が有用であることを本文中で述べたが、企業犯罪という点に着目すると、カジノは、従来からの賭け事を取扱う施設とは、大きく異なる存在となりうる。従来の施設と同等の社会的機能のみを持たせるには、一晩で勝つことのできる・負けることの金額の双方に、たとえば20万円などの上限を設けることに加え、客を同定することが必要となろう。特に、勝ち負けに係る金額に上限を設けることで、随分と様相は異なることになる。立法者がこの点を考慮したか否か、専門家がこの点に言及したか否かは、大きな分かれ目にはなろう。(#昨年と今年では、私の立場は異なる。)

2015年9月25日金曜日

TPPが及ぼしうる可能性について(感想文)

TPPが成立すると、わが国の刑法分野には、次の4分野で検討すべき事態が生じる。
There are four criminological issues in Japan that would change the society when Trans-Pacific Partnership was in effect.
  1. 賭博 Gambling
  2. 麻薬(特に大麻) Drugs (especially cannabis)
  3. わいせつ物 Pornography
  4. 銃火器 Firearms
これらは、いずれも解禁された場合にわが国の(法)文化を変革する威力を有するものである。

これら四分野のビジネスの現況から推測すると、TPPは、暴力団の資金源の主要部分に不可逆の影響を及ぼしうる。酒類・たばこ類や証券取引についても、もちろん影響が生じることは間違いないし、各種の興行に対する規制も、加盟国で最も緩いところのものに合わせることになるであろう。この予想の根拠は、ISD条項の存在である。TPPにおいては、各国の規制が尊重されるとはいうものの、その規制には合理性がなければならない。上記四分野については、現に各国における規制の足並みはそろっておらず、わが国においてさえ、これら分野についての規制の合理性は、議論の対象になっているのである。

TPPが成立したときに犯罪学の分野で何が生じるのか、私は常々気になっていたのだが、調べてみても、研究として公にされたものとしては、一番近いところでは、ジェーン・ケルシーほか, (2011).『異常な契約―TPPの仮面を剥ぐ』, 農山漁村文化協会.の、ポール・G・ブキャナン(Paul G. Buchanan)氏の第5章「TPPと安全保障」が見られるだけである。ブキャナン氏の論文も、基本的には、各国の犯罪事情にいかなる影響が生じうるのか、という疑問に回答を与えてくれるものではない。交渉国が拡大する以前においても、治安に対していかなる影響がありうるかという検討が追究された様子はない。防犯設備産業に関連する規格が各国で異なる上、警備業も相当程度異なりうるにもかかわらず、である。もっとも、セキュリティ産業と規格に対するTPPの影響については、自分が不勉強であるだけという場合も、強く疑われる。万が一にではあるが、中立的な観点から詳しい検討が加えられたことがあるやもしれない。

なお、TPPに対する私の現在の考えは、一般の研究者に対して案文が公開されておらず、また契約締結までに十分な時間がない以上、検証しようがないものであるため、(法に代表される社会環境も環境だとみなして、)予防措置原則に基づき、締結すべきでない、というものである。政府の公式のウェブサイト等において、上掲の四分野に対する影響が十分に検討された形跡は、まったく見られない。また、リークされた案文にもとづき批判がなされるという現状は、健全な状態からはほど遠い。

#私の学問上の信条からすると、予防措置原則は、万能ではない研究者(科学者)が一つきりしかない地球環境に手を加える以上、守っておいた方が無難であるという点で、すぐれた方針である。学問上の信条という語法は、矛盾するかのようであるが、私の中では、現在の科学が時間を逆行できるだけの技術をもたらしていない以上、一応納得済みの語法である。

2015年10月16日10時45分追記

ISDS条項が正確な表記であるとする日本語文献はいくつか見られるが、実は、わざとISD条項と表記してあることに注意されたい。私の検索が不徹底なのかもしれないが(棒)、正確な用語を確認しようがないからである。条約であるならば、下記リンクから1リンク以内に条約の案文(の経過)を掲載して欲しかった。

TPP政府対策本部
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/

2015年9月18日金曜日

救急搬送者数(メモ代わり)

#以下、メモ代わりなので、整頓されていません。あしからずご了承ください。ただし、出典がすべて分かるように、リンクだけは用意してあります。英訳は、私訳であって定訳を確認していません。
# This article is just a note.  English translation is by the author: it is just a casual one and further confirmation is being required.

  1. 平成27年3月31日 総務省消防庁 報道資料『「平成26年の救急出動件数等(速報)」の公表
    Fire and Disaster Management Agency, 2015 Mar 31th, press release "Number of ambulance dispatch in 2014 etc. (bulletin)"

表2:救急出動件数及び前年比増減率の推移
Table 2: Number of ambulance dispatched and (percent) change from the previous year
年間件数
numbers dispatched in the year
前年比
change from the previous year
増減率
percent change from the previous year
平成15年 2003 4830813 274932 6.0%
平成16年 2004 5029108 198295 4.1%
平成17年 2005 5277936 248828 4.9%
平成18年 2006 5237716 -40220 -0.8%
平成19年 2007 5290236 52520 1.0%
平成20年 2008 5097094 -193142 -3.7%
平成21年 2009 5122226 25132 0.5%
平成22年 2010 5463682 341456 6.7%
平成23年 2011 5707655 243973 4.5%
平成24年 2012 5802455 94800 1.7%
平成25年 2013 5911281 108826 1.9%
平成26年(速報値) 2014 (value for this bulletin) 5982849 71568 1.2%





  1. 平成22年度 救急業務高度化推進検討会 報告書
    Preliminary Committee Report on promotion of development of ambulance tasks in FY 2010 
  2. 同上 第8章 救急搬送の将来推計 (消防救急業務高度化.indd - 8.pdf)
    Ibid., chapter 8, estimates of ambulance transpotation (消防救急業務高度化.indd - 8.pdf)

上記報告書の第8章170ページの図8-7の補足には、
人口総数の推測値は「日本の市区町村別将来推計人口(平成20年12月、社会保障・人口問題研究所)」を使用した。なお、2015年以降の将来推計は、救急搬送率と推計人口を用いて算出したものであり、今後の搬送率(救急車の利用率)の変化や社会情勢の変化等は考慮していない。
とある。




  1. 平成27年1月22日 東京消防庁 報道発表資料『平成26年中の救急出場件数が過去最多を更新~救急車の適正利用にご協力を!~』
    Tokyo Fire Department, 2015 Jan 22th, press release "Number dispatched in 2015 hit the max: we need your cooperation!"
  2. 統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103
    Portal Site of Official Statistics of Japan GL08020103
  3. 日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)|国立社会保障・人口問題研究所
    Estimate Population by Areas in Japan (Works in 2013 March), National Institute of Population and Social Security Research.
  4. 上掲推計人口より「男女・年齢(5歳)階級別の推計結果(都道府県)」
    Ibid., Result of estimation by gender and five-year cohorts (by prefectures)


以上の出典をまとめた表が以下。
The table below is excerption from sources [2] to [7].
全国人口(2010) total population in Census 2010, Japan(2010) 12719万人 127.19 million
全国出動件数(2010) total number of dispatched ambulance, Japan(2010) 5463682件
全国推計人口(2015) estimated total population by National Institute of Population and Social Security Research in 2013 Oct., Japan(2015) 12545万人 125.45 million
全国出動件数推定(2010年度に2015年次を推定) estimated total number of dispatched ambulance by a council at Fire and Disaster Management Agency in 2011 Mar., Japan(2015) 560.3万件 5.603 million
東京都推計人口(2010年国勢調査を元に2015年次を推定) estimated population in Tokyo by National Institute of Population and Social Security Research in 2013 Oct.(2015) 13349453人
東京都国勢調査人口(2010) total population in Census 2010, in Tokyo Prefecture(2010) 1315.9万人 13.159 million
東京都出動件数(2014) number of ambulance dispatched in Tokyo(2014) 757609
東京都出動件数(2013) number of ambulance dispatched in Tokyo(2013) 749032
東京都出動件数(2012) number of ambulance dispatched in Tokyo(2012) 741702
東京都出動件数(2011) number of ambulance dispatched in Tokyo(2011) 724436
東京都出動件数(2010) number of ambulance dispatched in Tokyo(2010) 700981
東京都出動件数(2009) number of ambulance dispatched in Tokyo(2009) 655631
東京都出動件数(2008) number of ambulance dispatched in Tokyo(2008) 653260





以上から、簡単に考えたことをとりとめなく記す。なお、報告書本体を性根を入れて読んでいないので、推計モデル等については(、研究者としてあるまじきことと承知しつつ)、何ら勉強していない。

  1. 全国の出動件数は、30万件以上、推定値よりも増加。
    • この点は、小学校二年生以上の日本人ならば、誰でも理解できるはずのことである。なので、この点に依拠して、救急患者が激増しているという結論に一足飛びに至る者が多いというのは、ありうることである。しかし、問題は、出動件数は、将来の人口にも、ひいては将来の出動件数にも影響を与える統計であるということである。
  2. 出動件数が増加することにより、次年度以降 、人口に正負いずれの方向の影響を与えるのかは、一概に決定することができない。「予想を超えて救急搬送数が増加しているという命題を検証するためには、病院で亡くなった患者数を把握した方が良い」というのが当座の結論。
    • 出動と患者の状態とは、関係があるはずではあるが、二元表を作成して検討すべき内容である。
    • 「出動したので救命できた事例」が増加すれば、将来の人口減少には歯止めをかけるはずであり、この効果が最も顕著なもののように思われる。
    • 「出動する前に急に亡くなる事例」は、明らかに将来の人口と搬送数の両方に負の影響を与える。
    • 出動件数の予想以上の増加が人口に負の影響を及ぼすと仮定することは、正の影響を及ぼすと仮定することに比べれば自然である。この仮定が正しければ、一時的な出動件数の増加は、後の出動件数を減少させるはずである。
    • しかしなお、出動件数の予想以上の増加が人口減少に歯止めをかけると考えることは、自然なことである。
  3. おそらく、報告書のモデルは、詳しく読んでいないのでどう推計したのか把握してないが、次の要素から成るはずである。これに対して知りたい命題は、近年の救急搬送者数が予想されたよりもヤバイことになっている、というものである。
      1. 年代別人口
      2. 2010年時点の、年代別救急搬送者数
      3. 2015年の年代別推計人口
  4. あるいは、ここで下手に難しいモデルを考えたことを捨てて、分析したい年までの間、たとえば、2014年を分析したいとして、2013年までは、「人口がすでに予想されたよりも減っている、あるいは異なった人口構成になっている」ことだけを検証した後、2014年については、2010年時点の搬送率と、2014年に推計された推計人口確定数(総務省統計局によるものを利用し、社人研のものは利用しない)によって推計するというのは、まあまあ良い考え方を提供できるかもしれない。社人研の人口予測よりも推計人口自体が減少していること、それにもかかわらず2010年の搬送率により推定される出動件数よりも大きな実数値を得ていることが示されれば、何かしらの問題が生じているものと指摘してかまわないように思われる。この点、定住人口の減少した福島県で救急搬送数が増加したという福島民報?の報道は、重く見るべきである。

2015年5月30日土曜日

RからGoogle Trendsを呼び出す方法(日本国内)

#『R 3.2.0』からGoogle Trendsを呼び出すには、RGoogleTrendsを使えば良い、という記述がRjpWikiにありますが、平成27年5月現在、日本国内では動作しません。タイムアウトしてしまいます。そこで、Christoph Riedl氏のウェブサイトに掲載されているスクリプトにひと工夫加えるのが、現状では、最善の方法だと思います。許諾を取っていませんので、変更箇所のみ示します。

  1. 日本国内のGoogle TrendsのURLは、"http://www.google.co.jp/trends/"です。このため、合計2カ所、変更すべき箇所があります。
    1. gLogin関数内のpostForm関数中の引数を"http://www.google.co.jp/trends/"とする。
    2. 最後のgetForm関数中の引数を"http://www.google.co.jp/trends/trendsReport?"とする。
  2. 最後のgetForm関数に渡す検索語の文字コードは、UTF-8でないといけません。現時点ではWindows版でしか確認していませんが、次のスニペットのように変換すると、うまく動きます。getForm関数の引数urlは、上で指摘したように変更済みです。

searchWords <- c("冷やし中華", "担々麺")
searchWords <- enc2utf8(paste(searchWords, collapse=","))
res <- getForm("http://www.google.co.jp/trends/trendsReport?",
               curl = ch,
               .params = c(q = searchWords,
                           hl = "ja",
                           cmpt = "q",
                           content = 1,
                           export = 1))
これらを用いて、別の記事では、Google Trendsにおける検索語の推移を見てみることにします。

2015年5月14日木曜日

How to get an appId at e-stat.go.jp

Disclaimer

I do not guarantee the correctness or completeness of material on this article though I took some reasonable steps when translating legal information in Japanese into English.

e-Stat API available since last October

When you are working with Japanese statistics in English, you will confront with some readability problems. You may be at a loss with Excel format files or CSV files with lots of descriptions beside the data. They are definitely necessary, but it is a tiresome work to remove those headers, or set extents to be readable by scripts. They may become causes of errorous analyses when you treat them with a tabular software.
It was a great news that the Statistics Bureau of Japan (SBJ) has released the API at October 31st 2014. (API top page here.)  Unfortunately, they are only in Japanese language at the moment. You have to register to acquire Application ID, in Japanese. Since they have released a 'News Bulletin' at July 30th 2013 in English, I assume some people have been looking forward to the use of the API.
I guess anyone can use the API at the moment now, as long as I read the terms of service in Japanese. The terms of service is also in Japanese. It means you must read in Japanese and decide to take it on your own. Just for your convenience, here are what I think as important in the terms of service:
  • The User must not lend the API key to the third person. (article 3.2)
  • The User must notify the statement here (in Japanese) to the public if you make your API open to the public. (article 7) Here is my translation (please use it for your understanding only):
    • This service uses the API at e-Stat, the Portal Site of Official Statistics of Japan, though the contents of the service is not guaranteed by the Government.
  • The Government disclaims all liability or responsibility. (article 10)
  • The Government does not compensate any losses. (article 11)
  • Applicable laws is Japanese. Court of Jurisdiction is Tokyo. (article 14)
  • The User shall be deemed to take registration procedure and contact in Japanese. (article 15)

How to get the Application ID (appId)

There are five steps to go.  You have to (1) register your e-mail address, (2) get subscription e-mail, (3) register, (4) log-in, and (5) issue AppIDs (up to three IDs).

(1) Filling the interim registration form

You can register your e-mail address in the interim registeration page. The interim registration page is like below:
Fig.1. Screenshot at https://www.e-stat.go.jp/api/apiuser/provisional/.

(2) Receiving interim registration e-mail

Soon you will get an e-mail titled "政府統計の総合窓口(e-Stat)-API機能 利用登録(本登録)のご案内" in Japanese from "no-reply" account. You will see "(e-Stat)-API" in the title. There must be a URL with https header, like "https://www.e-stat.go.jp/api...". The expire time of the e-mail is one day.

(3) Filling the registration form

Following the link leads to the registration page. You have to fill most of the form to register. I have not made an contact on how to fill them if you live abroad, but I assume you can fill it with the state(, region, or province) and nation you live in. I have modified workplace and department(or branch) to "two-byte blank character" after registration, but it seems OK.
Fig. 2. Screenshot at the registration page.

The form is in the order:
  • e-mail address
  • password: 32 letters or less, in grep style: [0-9a-zA-Z\-\.@_]
  • password confirmation
  • name: 50 letters or less
  • workplace(or school): 100 letters or less
  • division(or faculty): 100 letters or less
  • purpose of use: (from the top) business, researches, use at public institutions, personal, others
  • address(prefecture)
  • age
If you agree to the terms of service(link) and still want to register, push the orange button to go.

(4) Logging in

If you took the step above, then you should be logged in when you push the orange button "利用規約に同意して登録する(agree and register)". Next time, you can use the log-in page (link), or choose "ログイン(log in)" menu from the top page (link) .
Fig.3. Screenshot at e-Stat API top page.

(5) Issuing appId

After logging-in, the browser should show the registration/appid page.
(https://www.e-stat.go.jp/api/apiuser/appid_regist/)
The tab "アプリケーションIDの取得(Taking out appId)" is where can issue appId.
Fig. 4. Screenshot and description for issuing appId.
 The step here is:
  1. Choose "アプリケーションIDの取得(Taking out appId)" tab.
  2. Input the name that appId is going to be implemented.
  3. Set URL of the application. If you are not going to make it open, you can input "http://localhost".
  4. Write some descriptions.
  5. Push "発行(Issue)" button.
  6. Copy the appId in the inputbox. (In Fig. 4, it is masked.)
  7. Log out.
Now you have the appId in your hand.  There are some great blogs/webpages on how to use it. However, they are in Japanese.  I am going to write other articles on this topic myself, in some days.

R function to get a catalog XML/JSON file from e-stat.go.jp


Here is the link for a .R file to get a catalog file from Japanese government's statistics portal site, e-Stat.


setwd("downloaded folder")
source("R_estat_functions.R", encoding = "UTF-8")
xml.out <- GetDataCatalog(appId = "your appId: you have to register",
                          type = "xml",
                          ver = "2.0",
                          lang = "J",
                          statsCode = "00450011",  # vital statistics
                          startPosition = "1",
                          verbose = FALSE)
# you will get catalog no.1-100 on Vital Statistics.
# there are only 70 tables if you change 'lang' option to "E".