#どうしても、犯罪などという行為を考察の対象に据える生活が無駄に長いと、物事を悪く考えがちになります。突然、ハイブローな話になるのですが、今日のような良い天気の日にも湿度が気になってしまいます。そこで、
飯山一郎氏のブログ(5月3日分を参照)などの指摘のとおり、最近の相対湿度が高いのか、調べてみたくなりました。飯山氏のブログには、一部にビックリするような記述もありますが、確認してみる価値のある話も多く含むと考えます。少なくとも、東日本大震災後のわが国政府の動きは、ともすれば現実よりも情報に変更を加えることにより、社会的混乱を防ごうとするものが多いようにも見えてしまいます。計量犯罪学においてはともかく、危機管理までを視野に含めるのであれば、相当に突飛な話であっても、担当者は、調べるべきは調べ、正すべきは正すことが必要だとも思うのです。
下のグラフは、小名浜気象台の2010年4月1日から5月13日までの時間帯別相対湿度(
加工済みデータはこちら、
作業に用いたスクリプトはこちら)と、2015年の同時期のものを比較するために作成したものである。このグラフは、箱ひげ図といい、
ジョン・テューキーにより考案されたものである。箱の上下の辺は、25%分位点と75%分位点を表し、中央の最もくぼんだ部分の高さは、50%点(中央値)を表す。くびれの幅は、正規分布を利用した信頼区間を表し、2010年のくびれと2015年のくびれが重ならない場合、中央値が異なると考えて差し支えない。作業は、統計ソフトウェアの
R 3.1.2で行い、
ggplot2パッケージを利用した。
|
図: 小名浜気象台の相対湿度: 2010年4月1日~5月13日と2015年同期間の比較 |
グラフを見る限りでは、2010年と2015年で相対湿度の中央値が異なるとまでは言えない。しかし、他方で、相対湿度の最大値は、2010年中には100%を記録したことが一度もない。(ひげ部分からも外れるような「外れ値」は、夜間の最小値のように、点で示される。)また、18時以降23時までの夜間に注目すると、今年の相対湿度は、総じて高めに収束していることが読み取れる。これは、2009年以前のデータを2010年のものに加え、また最近のデータをたとえば4月7日以降に限定するなどすれば、中央値に差が見られるという結論に至る可能性を見せる結果でもある。
高い相対湿度が夜間に生じる気象学上のメカニズムを検討せずに、2010年と2015年の最大値を比較することは、問題を引き起こすと思われる。また、私の手に余る話でもある。以上は、あまりに簡単な作業であるが、ここでの作業によって、飯山氏の仮説は否定されない。また、図からは、データが蓄積されるにつれ、飯山氏の仮説が補強される傾向も読み取れる。であるなら、その仮説をより入念に検証すべきというのが、危機管理の「大きく構えて小さく収める」という考え方であろう。
#以上、グラフ一つだけでも、かなりのことが分かるように思える事例、でもありました。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントありがとうございます。お返事にはお時間いただくかもしれません。気長にお待ちいただけると幸いです。