2015年5月11日月曜日

市民から見た首相官邸ドローン着陸事件の教訓

首相官邸にドローンが不時着し、付属の容器から放射性物質が検出された事件(以後、本事件)が示唆する教訓について、公開情報のみを元にした私見を述べる。詳細やリンクの追加、防犯カメラ等との関連についての考察は、後日進めることとしたい。

本事件は歴とした犯罪であるが、その実行を予防することは困難である。政府等の対応は、無線法をはじめとした国内法の整備という実効性に欠けるものに留まるが、実効的な対策の多く※1は既存の法体系との整合性が課題となるため、やむを得ないことである。すると、今後、同種の事件あるいは事案を少なくとも頻発させないためには、企図者の動機付けを減少させる必要がある。今後、同種の事案は、外国報道機関の撮影事例※2などをふまえれば、福島第一原発事故に関して生じるであろうことが容易に認められる。事故後の関係組織の対応や情報を信頼していない者、換言すれば潜在的に動機を有する者は、わが国・関係各国を問わずに多く認められる。このため、事件の予防は、基本的に困難であり、同時に、事件化できない迷惑な事案も生じ続けるであろう。しかしながら、福島第一原発事故に関連する重要施設等の上空を無許可のドローンが飛行するという事件は、事故対応についての情報公開を促進し、国際的協調関係を構築することにより、減少させることが可能である。

※1 たとえば、操縦に利用する波長帯の妨害電波を施設周辺で放射するといった手法。
※2 2015年4月16日、ロシア系の報道機関Ruptlyにより、中間貯蔵施設の空撮映像が公表された。

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