2017年5月10日水曜日

羽田空港モニタリングポスト計測値を降雨量とともに図示してみた

原子力規制委員会が公表している都内のモニタリングポスト(MP)計測値のうち、羽田空港※1の分(上段)を、降雨量10分値(下段)とともにグラフ化してみた。詳しくは、画像ファイル(png形式、11,476,901バイト、Googleドライブ、「w20170510_MP_羽田空港.png」)を参照されたい。水色の垂直線は、参考のため、降雨があるときに限り引いてみたものである。情報の種類としては、下段のアメダス10分値と被ることになる上、1ピクセル分ずれることがあり、正確さにも欠けるが、学術研究でもないから、その辺は見逃して欲しい。ファイルサイズが大きすぎるし、サムネイルを載せても意味がないような絵になるので、サムネイルは掲載しない。作成時のスクリプトは無理矢理なものなので、これも掲載しない。ただし、同じグラフを再現すること自体は、可能なはずである。なお、作成には『R』と『ggplot2』『XML』『RCurl』パッケージを利用した。

ガイガーカウンターの類い※2を所持している都民なら、降雨と関係なく、北風等※3によって(空間線量等の)計測値が上昇するという経験は、かなり馴染みの深いものであろうが、羽田空港のMPの計測値は、上昇の際、ほぼすべてが降雨を伴い、数時間程度で元に戻るというパターンを繰り返している。MPと手元の計測値は、明らかに連動していない。そもそも、MPの計測値からは、バックグラウンドとされる0.055マイクロシーベルト/時(新宿の場合か)ほどが減じられているが、この点は、ダウンロードサイトにおいても、適切に解説されていない。この点だけでも、原子力規制委員会の公表のあり方は、改善されるに値する。

しかも、降雨に伴い、Rn-222(ラドン)ならびにその娘・孫核種により空間線量が上昇するという指摘がある[1], [2]とはいえ、MPの変動は、ラドンだけでは、説明が難しそうである。ラドンによるとの説明は、御用学者らが好んで採用するものであるが、正確を期せば、MPの計測値の変動は、別種の機器を利用しなければ、ラドンによるものと確定することはできない。羽田空港周辺を移動する大気中のラドンの濃度に係る時空間統計が存在すれば、ラドンの濃度分布の時空間上の変化だけでMPの計測値の変動を説明することが可能かとは思われるが、これは、もちろん、ないものねだりというものである。原因がラドンであってフクイチ由来の放射性物質ではないことを断定するためには、ラドンの発生・上昇・蓄積の過程、MPの上空を通過する大気中のラドンの濃度分布、雨による降下のメカニズム、降雨量との対応、のそれぞれについての説明が必要であり、MPの計測値の変動の100%がカバーされる必要がある。簡単な事例を挙げれば、グラフにおける変動のうち、2015年11月以降について、説明のしにくそうな変動を、下記リストに示してみたが、このうち、2017年5月1日の変動と4月11日・18日の変動は、降雨量と以前の雨の日からの間隔だけでは説明できないほどの差がある。この変動の差を十分に説明できるだけのモデルなりを提示して、東京都区部において、実際にそれだけの変動がラドンによって生じることを、ある程度の説得力を以て示す必要が、(エア)御用学者には求められているのである。

  • 2015年11月18~19日
  • 2015年11月25~26日
  • 2016年1月18日
  • 2016年3月7日
  • 2016年3月17日
  • 2016年10月28日
  • 2016年12月27日
  • 2017年2月10日
  • 2017年3月28日
  • 2017年4月11日
  • 2017年4月18日
  • 2017年5月1日

私から見れば、帰還困難区域の山林が燃焼した以上、樹木に固着された放射性物質が大気中に拡散するため、その煤煙が関東地方まで流れてくるとき、当該地域で空間線量が上昇するのは、当然の帰結である。なぜ、そこまで事故の影響を「なかったこと」にしたいのか。放射能汚染の問題は、そもそもが、程度問題である。事故やその後の影響を、まるで「なかったこと」にするという態度は、あまりにも科学的とは言い難い。(私よりも、余程、)科学的であることに拘泥し、そのように表明する者が取る態度としては、相応しくないものである。私が「原発ムラと仲間たち」の中で、声の大きな学術関係者らを軽蔑するのは、科学に対して、時々の都合に応じて彼らが態度を変えるからでもある。


※1 羽田空港は、私の自宅からみて南西方面の最寄りのMPである。距離を計測していないが、新宿が最近隣とは思われる。ただし、新宿のMPの場合、気象台などとの対応関係を考察するのが面倒であったので、同一地点とみなすことを主張しやすい羽田空港を選択した次第である。MPとAMeDAS観測所の双方の所在地を確認しておらず、羽田空港も広いから、案外問題になるほどの距離が生じているかもしれないが、その追究は、本文中で後ほど述べるラドンの問題を解決できる見込みが立ってからである。

※2 説明やその後の表現が面倒になるので、表現を丸めた適当なものとしておく。

※3 北半球では、台風による風の向きも同一の形状を取るが、全球規模のスケールでの「巻いた風」も、『Meteocentrale スイス』の風向き予測[3]では、それなりに良く見るものである。


[1] 坑内の放射線 (04-03-02-01) - ATOMICA -
(一般財団法人高度情報科学技術研究機構(RIST)、1998年05月)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=04-03-02-01

[2] ラドン-222 (222Rn) | 原子力資料情報室(CNIC)
(原子力資料情報室、作成日不明)
http://www.cnic.jp/knowledge/2601

[3] Weather-Extra Japan zoom
http://www.meteocentrale.ch/index.php?id=2379&L=10




2021(令和3)年7月28日修正

グーグル・ドライブのファイルにセキュリティアップデートとやらが適用され、リンクにアクセス不能となる可能性があるとの通知を受け、当該リンクを修正した。内容は変更していない。

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