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2016年11月18日金曜日

平成28年7月都知事選の市民出口調査とマスコミ出口調査の比較

本稿では、選択バイアスに着目することにより、今夏の都知事選におけるマスコミの出口調査と「市民調査」(以下、括弧を省略する)との間に明白な齟齬が存在していたことを示す。以前(2016年9月30日)、選挙における情勢調査・出口調査では、選択バイアスを考慮する必要がある旨を述べたが、本稿はその続報である。公表時期が遅いという声が聞こえてきそうであるが、わが国の大マスコミや米国の(選挙予想における)有名人がおしなべて米大統領選の予測を外した現時点であるからこそ、ここでの検討の価値が増すというものである。

なお、選択バイアスとは、理念上の「調査対象集団」と具体的な調査における「母集団」との差から生じる推定値のずれを指す(2016年10月14日2016年10月24日)。本事例では、調査対象集団は都知事選の全投票者であり、母集団は各出口調査の対象となる投票者集団である。母集団の設計によって選択バイアスが生じるという場合の一例を、私が指定されている投票所を例に説明する。その投票所では、マスコミの出口調査のほとんどは、朝一番の1時間のみ行われるようである。この結果、三世代ファミリー層も独身者も多く居住するこの地域において、高齢者の回答者が自然と多くなるという構図である。マスコミの手抜きの結果、年齢層や性別に偏りがないことは、この投票所から引き出される結論においては、保証されないのである。

以前(2016年9月30日)に紹介した「修(@osamu9912)」氏による市民調査(当該ツイート削除)の結果は、鳥越俊太郎氏の支持率が圧倒的であった。これに対しては、「市民団体」に対して(だけ)は嘘を吐く、マスコミの出口調査には過去の蓄積がある、調査の基本が分かっていないといった指摘が『2ちゃんねる』では相次いだ[1]。その大半は、表層的な勉強だけしていたら出てきそうな、数字に対するセンスのない答えである。手を動かすと、全く異なる様相が現れてくるからである。(私もセンスのない方ではあるが、本稿の作成を通じて手を動かしたから、自信を持って指摘できる。)

もっとも、「修」氏の調査に対して辛辣な2ちゃんねらーの意見[1]のうち、コメントの2・19・24などのように、回答者が嘘を吐くというものは、良い所を突いた批判であるかのように見える。リチャード・アーミテージ氏の米大統領選に対するインタビューについて、私は、辛辣な検討結果を提示しており(2016年7月25日)、2ちゃんねらーたちのように、ひねくれた物の見方を有しているといえよう。しかしながら、回答を拒否する代わりに小さな嘘を吐くことのできる人物が小池氏支持者に多く見られるという結論は、小池氏の支持者にとって、収まりの悪いものであるはずである。この結論の不具合に、意見を書き込んだ当の本人らが気付いているか否かは、私の知るところではない。ただ、嘘を吐く者がいるという指摘は、泥縄シミュレーション向きの指摘ではあることだけは、確かである。この点は、本稿では検討せず、次稿以降の課題としておく。本稿では「回答する」か「拒否する」かの二択で考える。

朝日・読売の両新聞の出口調査には、支持政党別(自民・民進・公明・共産)の投票先が示されているが、これらマスコミによる出口調査に示されていた共産党支持者の投票先は、シミュレーションに転用可能である。最も鳥越氏への支持率が高かった共産党支持者しか回答しないと仮定して、いったいどれほどの人たちが回答拒否したのかを推定するのである。この仮定は、野党支持者を揶揄した2ちゃんねらーたちによる複数の書込みを、そのまま利用したものである。コメント42の「アンケートに答えるのはお仲間臭がする人種だけだろうからな」[1]は、その一例である。

マスコミの共産党支持者に対する出口調査から、市民調査を再現できるか否かの検討にあたっては、三点の仮定が必要となった。一つ目は、マスコミの出口調査における共産党支持者の投票先の割合を点推定値で求めたことである。これは、あくまで仮定の置き方の一つであり、マスコミの出口調査の支持率を幅を持たせて求め直して、市民調査の再現に最も都合の良い値を採用するという方法も考えられる。二つ目は、鳥越氏への投票者が市民調査に回答拒否した真の確率を決定しておくことである。これは、分析者の自由裁量に係る部分であるため、50%から95%まで、1%刻みでスライドさせている。三つ目は、主要三候補とその他の候補の四種に投票先を再分類したことである。これは、マスコミの出口調査の枠組を準用したものである。

より具体的なシミュレーションの方法は、下記図1に示した。まず、マスコミの出口調査を利用して、回答者の並びを(データフレームとして)再現した。その並びに対して、市民調査が順番に声をかけ、個人に割り振られた回答率を満足する値を有する回答者だけが回答する、という流れを模してみた。鳥越氏を支持する市民調査への回答者が(市民調査に示された)196人に達したところで回答者の並びを(データフレームのサブセットとして)切り出した。このデータの中には、個人毎に、①誰に投票したか、②市民調査に回答したか、の別が保存されている。このデータを集計すると、各候補者別に、市民調査への回答率を計算することができる。より具体的な作業過程は、朝日新聞の記事を例に取ったものをRファイル(「w20160909_市民調査を再現_朝日_upload.R」)としてアップロードした。シミュレーション上の回答者は、100万人分を作成したので、回答率を求める作業の回数は、各回答率につき、1000回以上になる。本稿以上の作業の詳細は、前掲ファイルを参照されたい。なお、本作業過程のうち、ggplot2パッケージによる密度推定には、一部のデータが利用されていないが、グラフ描画上の大きな問題にはならないものと考え、作業を強行している。

結果は、アニメーションgifに直して、図2と図3に示した。この結果は、マスコミ出口調査における共産党支持者集団と市民調査への回答者集団とが明らかに異なるものであることを示すものである。市民調査に対する回答率は、どの候補についてであれ、鳥越氏の真値の周りにばらつくはずであるが、そうはなっていない。鳥越氏については、適切な形で再現されている。しかし、増田氏・その他の候補については、一貫して回答率が鳥越氏よりも高く出ており、しばしば、1を上回るものともなっている(ただし、シミュレーションの方法上、あり得ないことではない)。その一方で、小池氏支持者の回答率は、一貫して低く出ており、共産党支持者のデータを元にしているにもかかわらず、半分程度となっている。

図2・図3に示された結果は、「修」氏の提示した結果を信用したとき、小池氏支持者の回答拒否率だけが異様に高く、また、増田氏・その他の候補の支持者の回答率もおかしいという事実を突きつけるものである。この結果は、マスコミの出口調査に対する重大な疑義を突きつけるものになる。幸い、現在は、2016年米大統領選後である。マスコミの正しさに対する社会上の制約は存在しないから、自由な心証を元に、マスコミ報道の事実に関する正確性に対して、疑問を呈しても問題ないであろう。実のところ、マスコミの出口調査の正しさは、「修」氏の提示する結果と同程度にしか、追跡可能ではない。つまり、記事として書かれたことくらいしか、検討の材料がないのである。今時の政治学研究者の全員が社会調査の手続を熟知している訳でもないし、カネと名誉に転ばない訳でもないから、出口調査の過程と結果に対して誰もがアクセス可能ではない限り、マスコミの出口調査が捏造ではないと信じることは、およそナイーブに過ぎる。しかも、今夏の都知事選の結果は、事前の読売新聞による情勢調査を参照する限り、偶然、小池氏の勝利を確実なものとする上での最大見込み票数であった(2016年8月21日)。これに対して懐疑の目が向けられないとすれば、その社会はおよそ健全とは呼べないものであろう。

本稿のシミュレーションは、「修」氏が全く関知しない形で行われたものであるが、彼(女)の提示した市民調査が、マスコミの出口調査の怪しさを指摘する力を十分に有することを示すものである。「修」氏は、マスコミの出口調査の結果が揃わない時点で、市民調査の結果を提示している。このため、答えを調整している可能性がゼロではないが、100パーセントでもない。また、市民調査が支持政党を聞いている訳でもなさそうであるから、ここで示したようなヒネた検証方法を想定してもいないであろう。ただ、提示された情報には大きな力があっただけに、元のツイートが削除されていて、そのままであるという経緯の不明さは、懸念を抱かせるものとなっている。エスタブリッシュメントの外にいる存在が出口調査を行うことに対しては、権力側が色々な難癖を付けられる余地があるから、具体的な危険を感じて取り下げたということも考えられる。まとめサイト経由で個人攻撃が激しくなったという場合も考えられよう。


図1 シミュレーションの方法
図1 シミュレーションの方法

図2 朝日新聞出口調査に基づく「市民調査」への回答率の推定シミュレーション結果
図2 朝日新聞出口調査に基づく「市民調査」への回答率の推定シミュレーション結果
(説明は図1と本文を参照)

図3 読売新聞出口調査に基づく「市民調査」への回答率の推定シミュレーション結果
図3 読売新聞出口調査に基づく「市民調査」への回答率の推定シミュレーション結果
(説明は図1と本文を参照)

[1] 【不正選挙】鳥越俊太郎支持者「出口調査だと70%で圧勝だった 不正選挙ではないか?」 実は…… [無断転載禁止]©2ch.net
(2016年11月13日閲覧、2016年8月2日開始のスレッド)
http://hayabusa8.2ch.net/test/read.cgi/news/1470129099/




2021(令和3)年7月28日修正

グーグル・ドライブのファイルにセキュリティアップデートとやらが適用され、リンクにアクセス不能となる可能性があるとの通知を受け、当該リンクを修正した。内容は変更していない。

2016年10月24日月曜日

続・不正選挙に係る落ち穂拾い

調査設計の重要性と選択バイアス

サンプリングの不味さから生じる選択バイアスは、予測を大きく外すことになる主要な原因である。選挙予測に係る選択バイアスの有名な事例は、リテラリー・ダイジェスト社による、1936年アメリカ大統領選挙の予測が挙げられる。この失敗とは対照的に、ルーズヴェルト大統領の当選予測により、ギャラップ社は躍進した※1(と日本語では見做されている)。この教訓が世に知られているはずの今でも、多くの選挙予測(めいたもの)が選択バイアスを軽視していることは、前稿(2016年9月30日)で触れたとおりである。

 調査に先立ち問題の構造化が大切であるという理解は、決定的に重要である。別記事で紹介した(2016年10月14日)林知己夫氏の『調査の科学 社会調査の考え方と方法』(1984年)や『計量行動学序説』(1993年)、丹後俊郎氏の『統計学のセンス』(1998年)は、この作業の大切さを指摘している。イアン・ハッキング氏は、統計学的手法を利用する場面の全体を、「モデリング」とこれに引き続く「データ分析」に二分して、前者の重要性を指摘している。ハッキング氏の理解は、林知己夫氏による非標本誤差の説明を加味することにより
  1. モデリングの段階では、非標本誤差をデータ分析に乗る状態に留めること
  2. 後のデータ分析の過程では、非標本誤差は前提条件となるので、これをふまえた考察を行うこと
と理解できるようになる※2

 非標本誤差の存在は、統計学を多少は理解しつつも、主題とする専門分野に詳しい研究者の必要性を明らかにする。同時に、統計学者もまた、それらの専門分野に存在するはずの非標本誤差を良く理解して、専門的な見地から非統計学者の統計学の誤用を気兼ねなく検討すべきである。つまり、自由に物を言える環境が必要である。このとき、非統計学者が統計学的手法を誤るにしても、古典的な方法を使い続けているなどの統計学上の誤りを犯す方が、非標本誤差を無視することに比べれば、統計学者から見れば、許容されるべき誤りかも知れない。その反面、非標本誤差の見落としは、その専門領域に即してとらえなければならない分※3、厄介であろう。

選挙関連調査に係る非標本誤差と選挙報道の責任

選挙の事前に行われる情勢調査は、読者の投票行動を通じて、選挙結果にも影響するため、その結果を分析するにあたっては、この影響まで見据えた慎重な表現が必要とされる。本番前の選挙予測に対しては、多くの現象が発見・命名されており、選挙報道に対する批判にも、それら研究由来の概念が利用されている。この成果を利用すれば、悪事すら企図できよう。例えば、勝ちそうな候補に便乗するというバンドワゴン効果は、勝たせたい候補が多く含まれるように調査を行うことにより、勝たせたい候補に有利な結果を示すという形で利用できる(2016年9月30日)。もちろん、調査方法まで確認する慎重な読者ならば、調査主体による誤魔化しを一目で見抜くことができるが、ここまで調べるマスメディアの読者は、それほど多くはない。これは、選択バイアス、つまり、調査設計に不備があるために生じた系統誤差(非標本誤差の一種)を悪用した方法である。

 出口調査は、当該の選挙に対して何らかの動きを与える訳ではないが、それでも、注意深く分析される必要がある。選挙予測と同様、調査方法をふまえて解釈されない限り、次回や将来に向けての禍根を残す結論を導く虞がある(2016年7月11日)ためである。また、ある政党の支持候補がその政党の支持者によって指示されなかったと報じることは、その政党内部に対立をもたらし得る。2016年8月1日の読売新聞の出口調査は、共産党や公明党といった「熱心な」政党の支持者までもが小池氏に投票したことを伝えたが、この報道は、「犯人探し」をこれらの組織票を抱える政党に対してけしかけるものである。これらの理由から、出口調査もまた、非標本誤差やその他の影響について、注意深い検討を加えられる必要がある。

 そもそも、マスメディアの読者は、当該分野を十分に知る多数のプロフェッショナルによって、的確に要約された情報を期待して、マスメディア情報を購買していると考えられる。これに対して、非標本誤差を考慮せずにマスメディアが選挙報道を垂れ流すことは、ほとんど企業犯罪・権力犯罪である。例としては、CNNの杜撰な調査を日本語マスコミが出典を省略して引用したことが挙げられる(2016年9月30日)。読者は、原典に当たらなければ、クリントン氏が大優勢と誤認したであろう。

 マスコミが非標本誤差を悪用して生じさせた誤解を詳しく分析することは、統計学を利用する個別の研究分野である犯罪学の知見に、一つの事例を積み上げることになろう。新古典派の犯罪学の根幹をなす日常行動理論(routine activity theory)から見ると、犯罪企図者であるマスメディアによる虚報や誤報は、潜在的な被害の対象となる読者・視聴者のリテラシーや、そのリテラシーを左右する学識経験者等により、軽減可能である。学識経験者等、マスコミに関わりの薄い人物の解説は、日常行動理論にいう「有能な保護者(capable guardians)」となり得る。この最後の要因は、読者からの信頼を必要とするものであり、これらの人物による介入は、総じて、新聞やテレビという虚報を流す当のメディアには掲載されないか、されたとしても陰謀論として根拠なしにラベルを張られるという構造が認められる。このため、マスコミによる誤報の被害の予防には、被害者たり得る読者・視聴者のリテラシーが第一に重要となる。日常行動理論の構図こそ当てはまるものの、その予防・抑止は、わが国のように、マスコミが寡占状態にある中では、なかなか難しいというのが実情である。

選挙結果そのものの公正性への疑問


 選挙結果そのものに対しても、選挙開票・読取機器を通じた不正の虞を見出すことが可能である。本点は、犯罪の予防という観点から見ると、一民間企業が外部の検証を入れずに旧来の技術を利用し続けており、ほかの方法による副次的な検証も見られないことから、十分に疑惑を持たれる状態にある。また、立会人の映像撮影が不許可であったり、開票所の一般人の立会い場所からの映像が結果全体と明らかに異なる傾向を示すという実例もある。複数の調査と投票結果との不整合は、本ブログで示してきたとおりである。

 公職選挙は、効率性ではなく、公正性を追求すべき公務である。投票箱の南京錠の交換費や人件費を含め、公職選挙に係る資機材に対しては、より正当な費用が支弁されるべきである。また、選挙開票・読取機器を抜き打ち検査する第三者機関が存在して然るべきであるし、開票作業に係るトランザクションは、すべて後世の検証に耐えられるように整備されていて当然である。しかし、これらの規範的観点に基づく技術上の指摘は、さしたる理由によらずに陰謀論と誹謗されることさえある。

 不正選挙という概念は、2016年アメリカ大統領選においても大きな話題となっているが、この話題に対するとらえ方は様々である。先に紹介した選挙予測の老舗となったギャラップ社は、近年の選挙に対する18歳以上のアメリカ居住者に対する電話調査を実施しており、およそ6割が開票結果を信頼していると回答したことを報告している[1]。選挙の内実はどうあれ、脆弱性がある限り犯罪の虞があると考えることは、犯罪予防政策の基本である。それゆえ、この脆弱性が悪用される可能性を追求し、既存の選挙に対してもその危険性をゼロではないと認めることは、民主主義の根幹を保護するために必要な作業である。

 ところで、本記事の執筆にあたり、賛否両論ある話題について資料を収集し提示する『ProCon.org』において、電子投票機器に対する賛否がまとめられている[2]ことに、遅まきながら気が付いた。相当な人数の論者の論点がまとめられている。私も述べたが「プロプライエタリな機器を信頼することはナンセンス」という話は、(私自身は新規性を主張していなかったとはいえ)Nathaniel Polish博士の言(『Forbes』2012年11月6日号)として紹介されている※4。なお、同サイトにおいて、私の意見は、星一つで評価されることになると申し添えておく。

 実は、本ブログでは、『WikiLeaks』ならびにそこに示される流出書類は、扱いきれないものと考え、このサイトにはメタにしか言及してこなかった。公開の方法・時期に、手続き上のリソースや労力を超える程度の作為が認められると判断したためである。分かりやすい最近の事例でいえば、最初がパナマで、次は英連邦の一員であるバハマというところに、あまり感心できないものを感じてきた。現在のシリアにおける戦争やアメリカにおける政争はやるかやられるかという状態にあり、戦争屋が相当のルール違反をしていることも周知の事実である。ヒラリー・クリントン氏の陣営に対抗する側が合目的的に振る舞うことは、許容されて然るべきであろう。ただ、このとき、『WikiLeaks』に公開された米国公電を大々的に利用して、日本人である私が何らかの知識を日本語で産出することは、善と呼べることであろうか、という問題意識からどうしても脱却できないのである。

 『thegatewaypundit.com』というサイトに掲載された記事[4]は、『WikiLeaks』に掲載されていた元の公電[5]を都合良く解釈するものであり、誤報と呼べるレベルのものであるが、この一方で、公電は良く整理されていて、この件についての知識の宝庫と呼べる。しかし、この電子投票機器に係る総合的な知識は、元々、人類の共有財産と呼べるものであろうか。無法な戦争屋が相手といえども、この知識の利用は、2031年まで待つべきではなかったか、と思えて仕方がないのである。他面、JFK暗殺の事実が通常のルールを超えて2030年にしか開示されないことに、私は大いに疑義を呈する。オバマ大統領がこの経緯や9.11に係る経緯を全面的に開示するのであれば、最後の大仕事となろう。もし実現されるとすれば、賛辞を送りたい。とにかく、『WikiLeaks』については、当面、メタにしか触れないようにしたいと考えている。


※1 この事例自体については、別記事において述べた悪意ある構図(2016年08月19日)とまでは言えないが、留意すべき事項が存在する。

※2 過去に、この部分に係る批評で、ハッキング氏の分類に対しての異議申立てを読んだ記憶がある。『偶然を飼いならす』以後のハッキング氏の訳書についての書評であると思うが、それ以上の材料が残っていない。

※3 「犯罪の件数」を論じる際に最も注意すべき非標本誤差は、犯罪認知件数が警察の認知した件数を指し、暗数を含まないこと、というものである。この理解を無視した研究は、いくら上等な手法を用いていても、大目に見ることができないものである。

※4 同サイトにおいて利用されている理論的専門性ランキング(Theoretical Expertise Rankings、星1~5つによる評価)[3]は、8割合っていれば良いという観点で作成されたシステムであるとのことだが、単に論者をいくつかのカテゴリに分類すれば良かったのではないかとも考える。(カテゴライズする利便性は認められても、序数化する必然性がない。)電子投票機器に対する同一の非検証性は、Voters UniteやVerified Voting Foundationといった団体(advocates)によっても指摘されているが、『ProCon.org』は、これらの団体に星一つを付している。同サイトの運営法人もNPOである以上、星一つなのではという疑問もあるが、それは措こう。有用なサイトであることは間違いなさそうであるためである。

 専門性が犠牲にされても私益が優先される社会においては、専門性は意見の評価に役に立たない。また、意見の部分的な引用は、コンテクスト全体の見通しを悪くする(これは上掲サイトに評価方法の瑕疵として取り上げられていた)。発言状況は、多少補足されているが、各人の専門分野・利害関係が併せて提示されていない。提示された意見を評価するには、同サイトを入口として、本人の言動をもう少し把握する必要があると言えよう。


[1] About Six in 10 Confident in Accuracy of U.S. Vote Count | Gallup
(Justin McCarthy、2016年9月9日)
(http://www.gallup.com/poll/195371/six-confident-accuracy-vote-count.aspx)

[2] Do Electronic Voting Machines Improve the Voting Process? - Voting Machines - ProCon.org
(2013年2月8日11:24 PST)

http://votingmachines.procon.org/view.answers.php?questionID=1290

[3] Theoretical Expertise - Voting Machines - ProCon.org
http://votingmachines.procon.org/credibility-ranking.php


[4] Wikileaks: Soros-Linked Voting Machines Now Used in 16 States Rigged 2004 Venezuela Elections
(Jim Hoft、2016年10月22日08:43)
http://www.thegatewaypundit.com/2016/10/wikileaks-soros-linked-voting-machines-now-used-16-states-rigged-2004-venezuela-elections/

[5] Cable: 06CARACAS2063_a
(2006年07月10日)
https://wikileaks.org/plusd/cables/06CARACAS2063_a.html

以下、リンクはいずれもNDL-OPACへのもの。
 林知己夫, (1984). 『調査の科学 社会調査の考え方と方法』(講談社ブルーバックス), 東京:講談社.
 林知己夫, (1993). 『行動計量学序説』(行動計量学シリーズ1), 東京:朝倉書店.
 丹後俊郎, (1998).『統計学のセンス デザインする視点・データを見る目』, 東京:朝倉書店.

イアン・ハッキング氏の論文は、次のもの。
Haking, I., (1984). Historical Models for Justice: What is Probably the Best Jury System?, Epistemologia VII,  pp.191-212.

2016年8月8日月曜日

平成28年7月31日執行東京都知事選挙と読売新聞出口調査・情勢調査(1)

 読売新聞(記名なし)2016年8月1日朝刊2面14版「無党派層に広く浸透/出口調査/小池氏 自民支持層も55%」「投票率13・59ポイント増」の各記事から、主要な調査結果に係る数値を抜き出すと、次のようになる。240か所の投票所で、10669人から回答を得た。投票率は2014年2月の46.14%から59.73%に。主な支持政党別の投票先は、次表のとおり。

表1:読売新聞2016年8月1日公開の東京都知事選挙出口調査における支持率
候補者名→
支持政党↓
小池氏 増田氏 鳥越氏 その他 (回答)なし
自民 0.55 0.36 0.04 0.04 0.01
民進 0.32 0.09 0.55 0.03 0.01
無党派 0.49 0.19 0.18 0.11 0.03
公明党 0.26 0.65 0.03 0.03 0.03
共産党 0.24 0.05 0.60 0.05 0.05

 淡青色の数値は、記事に記載がなかったために、それぞれを3分の1と仮定した。この数値については、別の仮定であっても良いが、各党の支持者の投票先からすれば、元の数値は比較的小さい。このため、別の仮定を措いたとしても、大勢には影響しなかったであろう。それに、ここでの仮定は、事前情報無しと考えた場合に、否定されるものではない。

 ところで、読売新聞は、選挙の一週間前に情勢調査を公表している。こちらは、誰にでも公開されている形で、ネットでも拾える形であるが、グラフだけであって、正確な数値を提示していない。しかし、グラフのピクセル数を読み取って数値として利用しても、事前情報がゼロであるよりも、よほどの意味がある。そこで、ピクセル数を表2のように読み取ったが、同表に示した数値は、累積ピクセル数であることに注意されたい。これを投票先として回答した割合に直すと、次表3のとおりとなる。表2及び表3は、本記事の続報で取り扱うことになる。予定。

表2:読売新聞2016年7月24日公開の東京都知事選挙
情勢調査画像におけるグラフ境界線のピクセル位置
候補者名→
支持政党↓
小池氏増田氏鳥越氏その他(回答)なし
自民75157166169228
民進2736155156228
無党派446998110228

表3:読売新聞2016年7月24日公開の東京都知事選挙情勢調査による支持率の再現結果
候補者名→
支持政党↓
小池氏増田氏鳥越氏その他(回答)なし
自民 0.329 0.360 0.039 0.013 0.259
民進 0.118 0.039 0.522 0.004 0.316
無党派 0.193 0.110 0.127 0.053 0.518


 表4は、先月10日の参議院選挙比例代表、東京都の開票結果の一部である。政党名・個人名の合計から、自民・民進・公明・共産の各党への投票数を抜き出した。数値はPDFから切り出したものであるため、多少のチェックは実行したが、正確性を保証するものとはなっていない。(というより、読み取りの難しい形でPDFを公表すること自体、すでに、情報公開の理念を逸脱した状態であるし、後手に回る形でExcel形式のファイルを公表することにも問題がある。機械可読性という点からも、評価の低い状態である。)

 表5は、先月31日の都知事選挙の全投票者数、先月10日時点の参議院選挙の東京都選出の期日前投票者数、先月30日時点の都知事選挙の期日前投票者数を、それぞれ列ごとに示したものである。詳細な定義は、それぞれの出典に当たられたい。私がここで説明するには及ばないであろう。期日前投票者数は、「(結果として)出したくないもの(に一般の目線からは見えてしまう種類のデータ)である場合」の例によって、紙のPDFであるので、OCR作業の正確性は問題になり得るが、多少のチェックは実施したので、保証はしないが、問題を生じるような桁誤りがある可能性については、ないものと考える。本記事では、これらのすべてを用いるわけではないが、次回以降に取り扱うことになる。

 表6の初めの4列には、東京都知事選挙時の読売新聞による出口調査から求めたトップ3候補の推定得票数を示した。推定は、表1に示された政党別の候補者別投票率の値を、表4の各党得票数に乗じて得たもので、無党派については、都知事選挙の全投票者数から、表4の地域別の4党の得票数の合計を減じたものを、「無党派層の投票者数」と置いた。つまり、ここでは、期日前投票における各候補への投票行動は、当日の投票者と変わらないものと仮定している。

 また、表6には、推定得票数と実際の開票結果との差を並記した。鳥越氏に対しては、ほとんど常に出口調査結果が過大推計となっており、特に、区部での推定結果の偏りが大きい。他方、小池氏に顕著に認められるように、島部と本島部とで、推計の偏りが逆転している。偏りが大きいこと=確度が悪いこと自体は、以前の宜野湾市に係る調査に先立ち、先行研究を紹介したとおり、特に咎められるべきことではないのであろう。この程度が出口調査を実施する担当者に常に把握され、正確な予測に反映できることが求められていると言えるのであろう。

 さらなる考察は、次回に取っておくことにしよう。次回までに、さらに材料を用意しておく必要があるためである。

表4:平成28年7月参議院選挙東京都比例代表 政党別得票数(合計・抜粋)
比例区公明党日本共産党自由民主党民進党
★都計 710528.036882538.8762134931.1121227608.172
☆区部計 472993.316596150.9281486334.626787157.999
千代田区 1453.155325412983.4185085
中央区 4594.52779928751.33411971.94
港区 6982.92411310.540424.54318859.233
新宿区 15199.32621578.20849842.28127175.133
文京区 7133.72817357.6739114.60121584
台東区 8238.93112062.10332510.8715636.46
墨田区 15330.23416039.50444300.03519844.837
江東区 28018.03932181.42282947.25441786.835
品川区 17684.29625087.21364701.02734074.933
目黒区 9714.80116646.00345680.10825734.417
大田区 41304.37345778.72116420.04260122.935
世田谷区 32790.88754749.611149684.0691078.765
渋谷区 744513968.01736458.12520571.603
中野区 14904.51422864.47850050.55631455.663
杉並区 19705.79840188.77496023.79156072.541
豊島区 12780.65818400.05643750.45223105.991
北区 23700.01927921.76252570.86927061.577
荒川区 12616.3814635.80232236.52815172.885
板橋区 32697.17439497.34184650.69246059.001
練馬区 37497.05448020.277115013.468227.194
足立区 48404.38842358.36196586.42946183.294
葛飾区 29380.72428945.48570821.67133152.765
江戸川区 45416.39335506.621100812.5447140.997
☆市部計 231311.39281813.782633583.219432765.378
八王子市 41646.97535049.6579424.1354648.79
立川市 10943.67412021.01627055.43417490.64
武蔵野市 4566.3169765.99924711.73618942.987
三鷹市 7814.52913263.50729353.44920601.394
青梅市 8304.6318164.37121573.1913082.013
府中市 12523.9215718.51839736.64226656.853
昭島市 7704.6336872.00516998.64411214.231
調布市 9956.78215588.18936494.58523716.353
町田市 22064.20227388.01367811.2443994.68
小金井市 4301.0678151.43919116.90614366.491
小平市 11892.69113103.04128208.22420750.997
日野市 8601.18813245.10728862.29520659.435
東村山市 9805.92111813.2522492.00914894.454
国分寺市 54719019.0620169.61514412.959
国立市 3473.2056080.01912073.0338451
福生市 4019.3753144.0748630.414775.299
狛江市 3603.8326356.00312484.0958202.579
東大和市 6682.6126248.99912257.1288513.567
清瀬市 45086866.03111000.9997444.697
東久留米市 7217.1569655.22717329.53811609.17
武蔵村山市 6135.0294515.4329117.1835489.329
多摩市 7494.25611913.08222628.48216686.41
稲城市 4279.2885717.99914125.719137.45
羽村市 3459.0313472.9998407.8265709
あきる野市 4879.666498912267.2328539.687
西東京市 9962.41113691.75231253.48422774.913
☆西多摩郡計 4081.0463010.1669609.5545526.795
瑞穂町 2361.04615605008.1272696.581
日の出町 11291034.1663037.4281733.215
檜原村 20880411576.999
奥多摩町 3833361152.999520
☆島部計 2142.28415645403.7132158
大島支庁小計 9618632917966
大島町 6436901550535
利島村 241612914
新島村 120115756283
神津島村 17442482134
三宅支庁小計 187183617259
三宅村 176155540219
御蔵島村 11287740
八丈支庁小計 882.2843641455.713757
八丈町 871.2843571412.713744
青ヶ島村 1174313
小笠原支庁小計 112154414176
小笠原村 112154414176

表5:平成28年7月31日執行東京都知事選挙投票者数(計)及び期日前投票者数(最終)、
及び平成28年7月10日執行参議院選挙選挙期日前投票者数(最終)
市区町村等H280731都知事選
全投票者数
H280731都知事選
期日前投票者数
H280710参院選
期日前投票者数
★都計662040717081951560477
☆区部計450894311466281032427
千代田区3079281867302
中央区752431808815445
港区1107382784022566
新宿区1523734058937627
文京区1151453187827433
台東区960502514922315
墨田区1296272786925848
江東区2491195712051327
品川区1909074808342915
目黒区1370443254828170
大田区3466439916089569
世田谷区455597120597105070
渋谷区1078292535822713
中野区1594674134937492
杉並区2874448191871922
豊島区1357913524429421
北区1742933801636450
荒川区991212485423321
板橋区2690197689069696
練馬区36452510551294535
足立区3067866951467185
葛飾区2120945104548197
江戸川区3032965982155908
☆市部計2068100547767515634
八王子市2708808672485789
立川市865141785918313
武蔵野市771401747216459
三鷹市950472091919023
青梅市670932040619140
府中市1264642986628077
昭島市541671177412045
調布市1162632327720949
町田市2131565895853070
小金井市613571399812789
小平市951632586025266
日野市925112245920664
東村山市761752324822393
国分寺市638891569214594
国立市400821131710614
福生市2704073846787
狛江市42441110909209
東大和市426561168411688
清瀬市37949103769816
東久留米市598461614814791
武蔵村山市3137685209009
多摩市786192561722168
稲城市443211220410660
羽村市2639869246957
あきる野市396331350712809
西東京市1019202448422555
☆西多摩郡計2864185788130
瑞穂町1514139053677
日の出町897330132902
檜原村1414588595
奥多摩町31131072956
☆島部計1472352224286
大島支庁7474NANA
大島町460617931417
利島村2088769
新島村1666730573
神津島村994487464
三宅支庁1675NANA
三宅村1474302223
御蔵島村2013529
八丈支庁4282NANA
八丈町417014441308
青ヶ島村1124431
小笠原支庁1292NANA
小笠原村1292300172
注:NAは該当データの表記なし(だが、計算は可能であろう。)


表6:平成28年7月31日執行東京都知事選挙時の読売新聞による
出口調査から求めた推定得票数、ならびに推定得票数と開票結果との差
  読売出口調査による推定値 小池氏 読売出口調査による推定値 増田氏 読売出口調査による推定値 鳥越氏 開票結果との差 小池氏 開票結果との差 増田氏 開票結果との差 鳥越氏
★都計 2779346 1704284 1611085 2.0% 1.3% -4.0%
☆区部計 1906919 1166763 1074206 2.9% 0.7% -4.5%
千代田区 13855 7773 6755 2.8% 1.4% -5.9%
中央区 33552 19034 16535 5.5% 0.1% -7.1%
港区 49047 27693 24954 4.3% 0.8% -5.7%
新宿区 64143 38749 37287 3.1% 0.1% -5.0%
文京区 49118 27278 29456 2.7% 1.5% -5.3%
台東区 41446 24354 22353 2.5% 0.1% -4.3%
墨田区 55266 35035 28911 3.6% 0.6% -5.3%
江東区 105452 65745 58003 3.4% 1.1% -5.3%
品川区 81295 48570 45797 3.0% 1.0% -5.4%
目黒区 59122 33424 33329 1.9% 1.6% -4.6%
大田区 145675 92385 81374 2.0% 1.5% -4.4%
世田谷区 195511 110503 112827 1.1% 1.7% -4.1%
渋谷区 46322 26144 26666 2.4% 0.0% -4.3%
中野区 66650 39393 40703 1.5% 0.8% -4.3%
杉並区 122497 68903 72967 0.0% 1.5% -3.4%
豊島区 57695 34292 32677 9.9% -4.5% -5.8%
北区 71526 46433 42198 1.8% 0.3% -2.7%
荒川区 41363 26599 23197 3.1% 0.7% -4.6%
板橋区 111674 70541 65298 2.8% 0.6% -4.0%
練馬区 153290 92675 89301 4.9% -0.6% -4.6%
足立区 126547 86568 69317 3.6% 0.4% -3.9%
葛飾区 88545 58582 48278 2.6% 1.1% -4.2%
江戸川区 127327 86089 66022 3.4% 1.1% -5.0%
☆市部計 854159 525260 527345 0.2% 2.7% -2.9%
八王子市 109865 73872 66333 0.2% 2.5% -2.2%
立川市 35519 22679 21664 0.0% 3.5% -3.6%
武蔵野市 32569 17729 20851 0.2% 2.6% -3.6%
三鷹市 39719 22771 25020 -0.1% 2.0% -2.9%
青梅市 27995 17811 16080 1.3% 2.8% -3.6%
府中市 53010 31731 31787 0.1% 3.2% -3.8%
昭島市 22165 14665 13250 0.7% 2.8% -3.2%
調布市 48940 28372 29647 0.9% 2.0% -4.0%
町田市 89114 54035 53346 0.9% 2.5% -2.9%
小金井市 25743 14336 16462 -1.0% 3.0% -2.2%
小平市 38784 24481 24577 -0.5% 3.1% -3.0%
日野市 38260 22564 24528 -0.7% 3.5% -3.2%
東村山市 30935 19704 19564 -0.6% 2.6% -2.0%
国分寺市 26552 15411 16976 -1.2% 3.5% -3.1%
国立市 16609 9590 10684 -2.3% 3.1% -1.2%
福生市 11245 7546 6143 1.0% 2.2% -3.3%
狛江市 17733 10155 11056 0.2% 3.3% -3.7%
東大和市 17090 11557 10734 1.0% 2.1% -2.3%
清瀬市 15236 9471 10253 -0.6% 2.0% -0.5%
東久留米市 24317 15156 15614 -0.9% 3.1% -1.3%
武蔵村山市 12448 9167 7379 1.2% 2.4% -2.6%
多摩市 32342 18935 21037 0.1% 2.1% -1.9%
稲城市 18598 11096 11141 2.2% 2.6% -4.7%
羽村市 10805 6991 6627 2.1% 3.0% -5.1%
あきる野市 16335 10325 9940 0.3% 4.1% -3.4%
西東京市 42230 25112 26653 0.5% 2.1% -2.9%
☆西多摩郡計 11980 7989 6507 0.9% 4.5% -4.2%
瑞穂町 6328 4331 3323 3.1% 3.0% -4.8%
日の出町 3766 2426 2096 -1.3% 5.0% -2.2%
檜原村 552 366 413 -2.0% 14.4% -12.5%
奥多摩町 1334 866 675 -1.8% 5.9% -3.1%
☆島部計 6288 4272 3028 -6.4% 5.6% 0.7%
大島支庁小計 3236 2143 1513 -10.6% 8.7% 2.0%
大島町 1939 1287 1003 -11.4% 8.1% 3.1%
利島村 98 69 28 -18.6% 15.9% 0.6%
新島村 757 456 329 -8.9% 12.0% -0.8%
神津島村 443 332 153 -8.4% 4.8% 1.5%
三宅支庁小計 725 458 360 -8.5% 10.0% -0.7%
三宅村 638 410 309 -7.8% 10.4% -0.6%
御蔵島村 87 49 50 -13.8% 7.2% -1.1%
八丈支庁小計 1763 1341 868 2.0% -0.3% -0.7%
八丈町 1712 1310 847 2.2% -0.4% -0.7%
青ヶ島村 51 31 20 -6.2% 5.0% -0.2%
小笠原支庁小計 564 329 288 -6.4% 1.6% -0.4%
小笠原村 564 329 288 -6.4% 1.6% -0.4%
注:[開票結果との差]=[実際の開票結果]-[読売新聞出口調査の投票率による推定値]であり、出口調査から投票率を再現する際には、都知事選に係る全投票者数を利用した。また、自民・公明・民進・共産の先月10日の参議院選挙比例代表への投票者数を各党支持者数として利用し、4党以外の政党への投票者は、今回の推定に当たっては、無党派に組み入れた。



 なお、7月24日情勢調査のグラフであるが、全体で200ピクセル以上あるので、おおむね、1%程度の誤差に収まるように支持率を読み取れることになる。このことは、境界線を3ピクセル以上誤って計測することがまずないことをふまえれば、簡単に求めることができる。このような画像が用意された理由は、偶然であるとも考えられるが、同画像を用意した人物は、同記事の調査がおおむね1000名から回答を得たことをふまえて画像を用意したとすれば(得られた回答が現実に(層化)無作為(多段)抽出によると言えるか否かは別の話なので、ここでは検討を省略する)、事実の伝達を正確に行うという、職務に忠実に仕事をしたことになる。逆に、この指示を出した記事の責任者が、この精度感を理解しつつ、グラフに数値を入れなかったとすれば、これもまた、驚くべきことである。

出典リンク

小池・増田氏競り合い、鳥越氏が追う…都知事選 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20160723-OYT1T50117.html

参議院議員選挙(平成28年7月10日執行) 投開票結果 (東京都選挙管理委員会ウェブサイト)
開票>比例代表>政党等別得票総数開票区別一覧(PDF形式:389KB)
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/uploads/h28san_hirei_kaihyo_seitoubetu.pdf

新着情報一覧 | 東京都選挙管理委員会
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/news-topics/

平成28年7月10日報道発表>【参議院議員選挙】 期日前投票状況(最終)>詳細はこちら(PDF形式:81KB)
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/uploads/49e4867899a1260bf65a28433b2c8a8f-2.pdf

平成28年7月31日報道発表>【東京都知事選挙】 期日前投票状況(最終結果)>詳細はこちら(PDF形式:78KB)
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/uploads/d879d7340d81865405c24a456e0d403f.pdf



平成28(2016)年9月9日追記

表1の一番右の列「(回答)なし」が意味するものは、表の制作者による作り込み方が甘い、ということである。端数の処理が合計100%になるように作業した結果でないことはもちろんである。端数処理が『Excel』など標準的な表計算ソフトウェアのデフォルトの表示方法であるはずの四捨五入ではなかったという可能性が認められる。特に、無党派層に係る「(回答)なし」の0.03という数値は、あり得るはずがない。なぜ、この数値があり得ないものであるのかについては、高校生なら順序立てて説明できるはずである。

2016年7月11日月曜日

読売、日経、朝日、産経による平成28年7月10日の参院選出口調査の解釈上の不備について

 今朝(平成28年7月11日)の読売、日経、朝日、産経の各新聞朝刊は、前日投開票の参議院選挙の出口調査について、次のように報じているが、その内容を見る限り、朝日新聞と日本経済新聞だけが、社会調査として最低限必要とされる情報の一部を提供している。産経新聞は、日本経済新聞と同様、共同通信社の出口調査を受けて報道している。日本経済新聞が掲載した内容を併せ見れば、産経新聞社側で基礎的な情報の掲載を省略したものと推認することができる。

 各紙とも、10歳階級別(10代は18・19歳)に投票先を分析した内容を掲載しているが、各階級の回答者数を掲載してはいない。通常の社会調査の報告書では、年齢階級別の回答者数を掲載しないことは、許容されない杜撰さと見なされる。従来の新聞記事の一部であっても、出口調査について、年代別の分析を行うとともに、回答者数を掲載するものがあったように記憶している。このため、各紙の出口調査についての報道の水準は、低下したものととらえて構わないことになる。なお、この事実を確認する作業は、社会調査の基礎的な要件から各社の出口調査結果が逸脱していることを指摘するという私の論旨からすれば、ブログという媒体では、利の小さな作業に過ぎない。気が向いたら調べてみたい。

 各紙に記載された情報だけで判断する限り、出口調査を利用して偏りなく年代別の分析を行うことは、無理である。第一に、出口調査を依頼したものの拒否した人物の年代は、不明である。そもそも、年代別の拒否者数以前に、出口調査を要請した人数(拒否者もここから計算可能である)自体、より基本的な情報であるにもかかわらず、従来の出口調査報道には記載されてこなかった。政党別支持率等の割合を推定する際、調査拒否が系統誤差の要因となることが既知であるにもかかわらず、である。出口調査時の調査拒否率の非掲載は、従来から出口調査の問題点として指摘されてきており、本ブログでも、この点を指摘する先行研究を一部紹介している(リンクは後日)。

 さらに、年代別に分析するとなれば、出口調査の対象となる人たちのうち、年代と調査拒否との間に交絡が疑われる。「マスゴミ」という用語の流通状況を考慮すれば、若年層ほど調査拒否となりやすい、という状況が考えられる。この交絡は、仮定する方が自然である。社会調査としての水準を満たす年代別の分析を実施するためには、あらかじめ年代別に調査対象者を決定しておき、当日の投票後に回答を得るという枠組みを取る必要があった。本段落の指摘は、理念的な観点から行ったものである。現在の形の調査は、実務上の便利さのために許容されて良いこととは考えるが、報道各社による推論の誤りが引き起こす結果が重大であることを後段で指摘するために、あえて紹介した次第である。

 報道各社が若年層を与党支持者であると推定することは、読者に対して自己予言成就的作用を有する。権威主義的なわが国社会において、大企業による報道は、与党を積極的に支持してこなかった若年層自身に対して同調圧力となる。この結果、若年層の一部を消極的な与党支持者に転換するという機能を果たす。この再帰的な機能は、報道各社が誤報を流すこと、誤りを訂正しないことに対する危機感を減少させる。「どうせ騙されやすい読者は、(非読者もそうなるであろうが、)記事を信じ込む。だから、誤りだろうが何だろうが、書き飛ばしてしまえば、現実も後からついてくる」というわけである。

 ところで、18・19歳の現業系の公務員が出口調査回答者の多くを占めていた、与党の若い党員等に対して出口調査に協力すべしとの組織的な働きかけがあった、現業系の公務員が多く居住していたり、与党の強い地盤で重点的に出口調査が行われた、等々の背景が存在していたとすれば、報道各社の年代別支持率の推定値は、偶然誤差の程度を1桁上回る系統誤差を含むものとなる。偶然誤差は、せいぜいが数パーセントの単位に収まるが、この系統誤差は、数十パーセントに達することになるのである。支持率は、全体が100パーセントにしかならない。このような系統誤差を排除せずに得られた支持率は、ほとんど意味がないどころか、先に示した自己予言成就的な機能からすれば、社会に誤解を広めるという弊害の方が目立つものである。

 具体的な数値を設定してみれば、各紙の「分析」が知的に危うい内容のものであることがよく分かる。若年層の投票率が25%であると仮定して、与党支持者の出口調査協力率を100%、非与党支持者の出口調査協力率を50%とすると、「50%が与党支持者である」という表現は、最大、40%強の支持率を誤解に基づき上積みしたものとなる。出口調査の偶然性に係る部分を除けば(、また、この偶然誤差は、ここでのモデル化では無視して良い程度の大きさにしかならないが)、ここでの私の指摘は、中学生には見慣れた内容ではないものの、なお中学生の範囲の数学の問題として解くことのできる内容である。わが国の義務教育を優秀な成績で修めたであろうはずの報道各社のデスク・記者の面々は、誤解を与える記事を執筆したことに対して、教育課程の不在へと責任を転嫁することができない状態にある。

 真の与党支持率を$x$、非与党支持者の調査回答受諾率を$p$とすると、半数が与党支持者であるという表現は、与党支持者の出口調査協力率を100%と仮定すると、
\[\dfrac{x}{x + (1 - x) p} = 0.5\] という条件で成立していることになる。よって、 \[x = \dfrac{p}{1 + p}\] $p = \dfrac{1}{2}$の場合には$x = \dfrac{1}{3}$である。非投票者が全員非与党支持者であれば、真の与党支持率は$\dfrac{1}{12}$ということになり、最大で$\dfrac{5}{12} \simeq 0.417$という差があることになる。くだけた言い方をすれば、これらのパラメータ設定の場合には、「与党支持率は、5倍盛っている」ことになるのである。

 内実はともかく、外形的には、報道4社の出口調査の記事に関与した記者・デスク・これらの上司は、バイアスが明らかに許容される調査方法に基づき、「若者の与党支持率が半数である」かのごとき重大な誤解を迂闊にも流通させたことになる。この結論と「若者の半数が与党を支持したのであるから、若者の半数が死地に向かうことを自ら選択した」という解釈との差は、それほど隔たったものではない。「10人に1人くらい、知恵が足りなかったり、戦争を肯定する若者がいる」状態は、誰しも納得できるレベルの愚かさの表れではあり、民主主義社会においては、むしろ自然で健全な状態であろう。しかしながら、「半数の若者が戦争を許容している」という表現は、表現者の側に責任が生じる程度に深刻な意味を持つものである。現在の「民主主義社会」が過半数を前提として機能する(という欠陥を有するものが多い)以上、「半数」は、絶対的な閾値の一つである。(今後、カール・シュミットがこの陥穽にハマった一人であることについて、多少の考察を追加してみたい。)

 太平洋戦争末期にも通じるが、わが国の情報流通・産出に係る悪癖・慣習として、都合が悪い(と忖度される)数字は、指摘される度に隠されるようになる、というものがある。出口調査に係る基本的な情報が今回の出口調査で新たに隠されたことは、逆説的ではあるが、都合が悪い事実の存在を照射する材料のひとつである。「従来から紙面で公表されてこなかった出口調査に係る事実に加え、従来ならば公表されてきた事実さえ記載されなくなったこと」は、「若者の半数が与党支持者であるという解釈が記事執筆者の無知に由来して立論されたものである」ことをも浮き彫りにしている。若年層に対してわざわざ何かを言い含めるがために、各紙に共通する分析上の結論が用意された可能性があることも示唆されるのである。同時に、これらの記事に係る執筆者たちの解釈は、本稿で示したとおり、社会調査に対する高等教育の欠如ゆえになされたものとはいえず、義務教育課程の知識で演繹可能な「知恵」が彼らに欠如しているがゆえに生じたものであると指摘することが可能である。

 各紙の記事に関与した報道関係者は、この帰結から生じ得る将来の被害に対して、職業人としての責任をそれと知らずに引き受けたことになる。極端ではあるが、若者の投票行動についての分析結果から予想される社会の帰結を想像してみよう。それほど飛躍した内容ではないはずである。今回の出口調査は、現政権により、「若者の半数が賛成した」という大義名分に利用される。現政権は、紛争に介入したり戦争を開始する場合に、この大義名分を活用する。戦闘やテロ行為による犠牲者が従来のペースを遙かに上回り増加したとき、「若者が賛成した」という解釈は、犠牲者の増加に対する責任回避の理由としても、改憲の理由としても、徴兵制の採用の理由としても、活用できる根拠となる。アホな「学識経験者」が各紙の論調に同調すれば、この「根拠」は、強化される。(←この一文は、同調した迂闊な「学識経験者」に対するあらかじめの警告として機能する。)


 最後に、それでは、記事担当者が(彼ら自身が責任を一身に引き受けることを回避するために)何をすれば良かったのかをつらつら指摘して、本記事を締めることにしよう。一つには、18・19歳であることが分かっている者が一定数含まれることが明らかである組織、つまり学校や現業系の公務員の所属する組織を対象にした調査を実施するという方法が考えられる。現政権による圧力下では、とりわけ、現業系の公務員である若者の意向を把握し報道することは、もちろん歪んだ形にならざるを得ない。しかし、将来の「東京裁判」を仮想すると、現時点で事実を正確に報道しておくことは、将来の断罪の場において、新聞記者の身の潔白を示す証拠となる。今日の朝刊の記事では、圧力の有無にかかわらず、記事執筆関係者が責任を免れることはできない。せいぜいが社内で責任をなすり付け合うことになる。この点、日経の記事執筆関係者が調査方法について最低限の情報を示したことは、結果としての解釈の拙劣さこそ産経と同等であるものの、記者の罪一等を減じる材料となり得るものである。もう一つの方法として、スケープゴートとなる「学識経験者」を用意して分析させるというものが考えられる。これは、現在の新聞においても、責任回避策の定番であるが、昨今の選挙のように、「寿司友」を通じて現政権中枢の一部との密な連携を必要とするような場では、時間の構成上、調整のつかない方法なのであろう。残る案としては、回答拒否者のうち20代以下の若者と見なされる投票者の数を計上しておき、18・19歳の調査拒否率の推定に利用するという方法があり得た。これは、あらかじめ入力規則さえ定めておけば、現場で対応可能な内容であるから、最も現実的で安上がりな案であると言えよう。

 以上の指摘を、まるっとまとめ直しておこう。いかようにでも努力する方法があったにもかかわらず、無知やそのほかの理由に由来してか、今回の出口調査について、大手紙に良質な解釈を行おうとの努力の跡が見られなかったことは、各社の将来に向けての危機管理上、残念なことであった。



読売新聞「1人区「共闘」温度差/民進支持者、共産に抵抗感/出口調査」7面17版
読売新聞社と日本テレビ系列各局が10日に共同実施した参院選の出口調査で
引用部分はリード文の冒頭で一部。



日本経済新聞「18・19歳、自民に傾く/無党派、自民・民進競る」2面16版
▽出口調査の方法 共同通信社が実施。47都道府県の1856の投票所で、投票を終えた有権者に、選挙区で投票した候補者、比例代表で投票した政党、候補者、支持政党などを回答してもらった。回答者数は男性3万7702人、女性3万7602人の計7万5304人
引用部分は枠囲みの全体。




朝日新聞「18・19歳の半数 自公に投票/重視した政策「景気・雇用」28%/社会保障15% 憲法14% 子育て13%/民進19% 自民19% 共産13% お維新11%/無党派層の票は分散/本社出口調査 比例区」5面15版
出口調査の方法 全国3660の投票所で、投票を終えた有権者に、投票した候補者や政党、ふだんの支持政党などをタブレット端末を用いて回答してもらった。有効回答は18万2646人。
引用部分は枠囲みの一部。



産経新聞「18、19歳投票 自民首位/若い世代 安倍政権を評価/出口調査/1人区に共闘効果/無党派層の票 民進がトップ」6面15版
共同通信社が実施した10日投開票の参院選の出口調査によると、
 引用部分はリード文の冒頭で一部。


平成28(2016)年7月14日追記

朝日新聞は以前から東京大学の谷口研究室と共同で選挙分析を実施してきたと記憶しているが、今回、読売新聞(13日朝刊)も、議員の政策についての分析を大学等と共同して実施するようになった。ただ、本稿で示唆するように、読売新聞では、出口調査、情勢調査については、色々な差し障りが出る可能性が認められるためか、データの提供を行ったり、後世の分析のためにデータアーカイブへと寄託するといった作業は、実施していないようである。朝日新聞については、別途調べる必要がある。もちろん、良くあるパターンとして、出口調査の内容は、内密に提供されているのかもしれない。が、提供を受けた学識経験者が不正選挙を疑う内容に至る可能性を想定すれば、容易には提供されないであろうし、提供するにしても、「転びやすい」か「愚かな」、つまり「利用することができる」学識経験者を選ぶということになろう。



平成28(2016)年7月18日追記

記憶だけでメモし続けるのも難があるが、読売新聞と早稲田大学の共同分析は、前回の国政選挙にも見られたような気がしている。ただし、本稿で指摘し続けたことの主題の是非には関連しないので、面倒であることも手伝い、調べることはしない。本稿の主題・主張は、「報道各社の出口調査において、系統誤差の存在により生じる精度・確度の管理が行われているとは、それら各社の記事から読み取ることができず、また、社会調査として最小限必要であるとみなされているデータが開示されていない以上、合わせて示された分析結果に係る責任は、各新聞社の関係者に直接負わせることができる」というものである。