2018年1月29日月曜日

(メモ)松本文明氏の「それで何人死んだんだ」という言霊は鎮める必要がある

2018年1月25日、日本共産党の志位和夫氏が最近の米軍ヘリ不時着などに対する国会発言に対して、自由民主党の松本文明氏は、「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばし、昨日(29日)、内閣府副大臣を引責辞任したという。安倍晋三氏も任命責任については口にしていた(29日予算委員会か)。『赤旗』[1]の取材に対して、死者が出なければ良いという考えでは「全然ない」と返答したという点、松本氏の野次が一種の軽口を意図していたものとは理解できる(。『赤旗』は、「開き直った」という表現を用いているが、この表現は、政略上、許容できる範囲の厳しさである)。ただ、わが国において、言霊を恐れない松本氏の姿勢は、およそ日本人らしくない。これから、この言霊が召喚するかも知れない帰結を、松本氏には分からないであろう理路によって、説明しよう。もちろん、この記事は、ここでの懸念が現実のものとならないことを願い、示されるものである。


松本氏の本件発言は、東京7区選出の衆議院議員(今期については、落選し比例復活)のものとしては、選挙区の事情に通じていないことを表す。一体、彼と、その支持者たちは、どれほど防音性能と耐衝突性能が高く耐火性能を有する自宅で夜を過ごしているのであろうか。彼の自宅の所在を調査すること自体が不穏な行為と受け取られるであろうから、そこは調べることのしないまま、揶揄しておく。今後、彼にとって、支持者回りは不可欠であろうが、そこでは、全身を「耳にして」上空の状況をも把握すると同時に、市街地大火に対する想像力を働かせるように努力すべきと思う。

私の住む衆議院小選挙区は、東京7区の南西部に隣接する東京8区であり、羽田空港の新滑走路の運用開始以後、夜間22時台には、なかなか濃密な間隔で、民間のジェット航空機が音を聞き取れるくらいの高度で飛行するようになった。これらの航空機は、国際便(旅客機)であって、着陸待機のために旋回しているようにも思えるのであるが、これまた、調べること自体が不穏な行為と認定されるであろうから調べない。とはいえ、7区の住民も、十分にその音を聞き取れるに違いない。旅客機の旋回半径や高度などを考慮して、北限が私の自宅あたりにあるのかも知れないと想像することもできるが(これも調べない)、7区の上空も通っているものと予測できるかのように、北の方から音源が移動しているように聞こえることもある。(念のため、この判断が当たっていようがいまいが、東京都23区の木造密集地域の上空を民間機が航行していること自体は、確定的な事実である)。

2018年1月現在、東京都の密集市街地上空を航空機が飛行しなければならないのは在日米軍のせいである、とする論調が力を持つ虞は、厳然として存在する。横田空域の存在は、人々により広く知られつつあり、その存在を米国による日本占領状態を示す証拠であるとする論調も、また、有力さを増しつつある。オリンピック反対に係る議論が、観戦客を迎え入れる上で旅客機の容量が一杯であるという話にまで及ぶとき、横田空域のために東京23区・城南地区の上空が混雑しているのである、という意見までは、ほんの一歩であり、この指摘が現に見られない訳ではない(。全体の文脈を把握していないので、具体的に紹介しない)。羽田空港・新滑走路開通に係る騒音上の懸念は、私の地元において、すでに示されている(。厚木基地のひと頃の騒音に比べれば、その大きさは無音に等しいが、大田区の北部では、ひと頃に比べ、はっきりと聞こえる程度に大きくなっているであろう)。新・東京オリンピックについて、その時期だけであれ、横田空域・基地を民間開放すべきではないのかとの議論も、現に見られる(が、私には整理し切れていないから、恣意的になることを避けるため、これまた引用しない)。

他方、大変に捻れた話になるが、わが国のリベラルが政治に対して健全な影響力を及ぼせるまでの勢力を取り戻すためには、在日米軍の方向性を見極めて、その活動を(裏で握らずとも)支援する必要が存在する。沖縄における一連の事故・ヒヤリハット事例について、在日米軍首脳部の主張(=事故は増えていない)は、日本人なら到底受け入れ難い種類の謝罪・認識※1を示しているが、他方で、この「やり過ぎ」な態度は、彼らが撤退する上で必要とする大義名分である「地元の意向=沖縄の人々の怒り」を醸成しようとしているものとも読むことができる(。トランプ氏のスタイルを想起せよ)。沖縄の人々の怒りは、暴力へと直結する虞が常に否めないが、また、(戦争屋の手先や極左などの)無用な暴力を肯定する連中がそれに常に乗じようとしているが、在日米軍が戦争抜きに撤退するための必要条件でもある在日米軍の撤退は、力の空白をわが国の自衛隊が埋めるように達成されるのであれば、わが国の相対的な独立を意味するのであるから、ネトウヨの皆様が強硬に主張するように、単なる一方的な危険を意味するのではなく、好機にもなる。この動きは、戦争屋にも力を与えうる危険を有するが、健全な国内の防衛産業の発展をも意味しうる(。もっとも、現況では、トランプ氏の辣腕セールスマンぶりに敵うべくもないが)。この一方で、日本のSNS上の「リベラルな」言論は、純情過ぎる人々によるためか、従来型の国際秘密力集団による資金援助を受けた人工芝によるためか、随分と暴力的な表現に流れがちであり、周囲もこれを正当化しがちである。これを排しつつも、世論の主流派の意向を揺るがせにしない形で示さなければ、在日米軍もトランプ氏も、自身の決定を正当化しにくいという事情が存在する。このために、戦争屋には与しないという前提を置きながらも、ある程度までは彼らの横暴に反発してみせる姿勢が、われわれ日本国民には求められているのである(。この姿勢は、沖縄の人々の基地負担を軽減することになれば、結果としてはリベラルと呼べると思うが、いかがであろうか。もちろん、「圧政者」が交替するだけという可能性は、濃厚である)。この反発が成功体験に結び付き、しかも、目に見える形で、ネトウヨなどの撒き散らす「中・韓・北・露の脅威」が立ち現れなかったときには、リベラルに対する日和見派の無党派層は、リベラルの論調を受容するであろう。わが国の大多数派である、日和見派の無党派層は、無知と臆病を動作原理としているので、彼らを惹き付けるには、可視化された実績と「この人たちに付いて行っても大丈夫」という安心感(、ただし、安全であるか否かは問わないし、根拠がなくとも構わない)の二つが重要ということになる。この点は、フィリピン共和国のロドリゴ・ドゥテルテ大統領の方法を参考にすべきであろう。

航空事故に対する認識は、事故時の乗員の行動と、後の報道と言論形成過程によって、(当事者ならびに遺族からの評価ではなく)周辺ならびに後世からの評価が大きく変わることがある。わが国(日本国籍)の航空機の事故については、最近、調布飛行場で近隣住宅に重大な被害を与える民間機の事故(2015年7月26日)[2]があったとはいえ、一般に、飛行回数(トリップ数)・飛行距離の長さを考慮すれば、墜落事故が市街地に対して人身上の被害を及ぼすという事態は、ごくごく稀なものであると思う(。とはいえ、正確な計算や比較をしていない。『Wikipedia』日本語版の「航空事故」に紹介されている指標は、トリップ数あたりの事故率であり、これだけでは客観的な議論とはならない)。日本国内の事故に注目すると、ごく一部の有名な事例を除けば、日本人乗員の優秀さと責任感の強さを印象付けられる。米軍については、戦後からという非常に長いスパンで見れば、本土においても、たとえば、神奈川県においては、大和市内(1964年9月8日)[3]や横浜市内(1977年9月27日)[4]で墜落事故を起こしたことがあり、いずれも日本人の民間人が死亡している(。しかしながら、ここでは事故の規模や損害の大小自体を論じるつもりはない。その経緯によっては、事故が長く・強く記憶される場合があることを指摘できれば十分である)。ほかにも米軍機の墜落事故は存在し、同様の教訓を有するが、これら二件の事故が特徴的であるのは、乗員が墜落前に機体を放棄し、脱出して無事であったことによって、反米感情が少なからず高められる材料を与えたことにある(。米軍機の乗員が機体を放棄するという姿勢は、訓練ならびにプロコトルの一環であり、乗員ら自身には、それらを遵守するほかないことに注意すべきである。遵守しなければ、逆に乗員の責任が問われかねないことになる)。しかし他方で、神奈川県における米軍基地経済は、無視できない程度の規模であり、経済に留まらない共存のために、日米の双方の関係者が尽力し(、与党政治家が潤っ)ていることも事実である。これらの理由の絡まり合いを私に分析する能力と余裕はないが、結果的に、現地の人々が在日米軍を問題と考える程度は、沖縄により大きな負担をかけながらも、沖縄ほどには政治の流れを変えるほどの脅威とはなっていない。しかし同時に、義務教育課程において、先の事故に係る教育がなされ、一定の道徳的観点を成長させてきたことも、また(私の体験的な)事実である。

旅客機の事故は、当然、乗客・乗員だけでなく地上にも被害をもたらしうるし、思いも寄らない帰結を産むこともある。9.11は、事故とは形容できず、航空機を悪用した犯罪であるが、周知のとおり、世界に不可逆的な変化をもたらした。当時の連邦政府の報告書を真に受ければ、地上に最大の被害者数をもたらした航空事件であると言えよう。また、アムステルダム市内のベルメルミーア地区(Bijlmermeer, Amsterdam, Nederland)※2は、高層住宅街区であったが、自然犯(強窃盗・性犯罪など)の発生ならびに認知を減少させるため、1980年代の半ば以降、段階的にル・コルビュジエ風の高層住宅を改修しつつあった[5]。ところが1992年10月4日、エルアル航空機が墜落、11階建の高層住宅を破壊、乗員3名・乗客1名・住民43名の合計47名が死亡し、住民11名が重傷を負った[6]。一般的な犯罪に対しては従来よりも安全となるよう改修されつつあったモダンな高層住宅も、これだけの惨事となるような事故に対しては、対抗できるだけの耐衝突性能を備えることはできなかったのである(。事後に建物の耐衝突性能を検証する場合には、耐震性・耐風性が準用されうるが、よほど特殊な建物でない限り、わざわざ、物体が衝突することを前提とした構造計算は、行わないはずである。それに、巨大建築物であれば、風圧による方が、衝突によるよりも、建物全体についての変形力大きくる)。この事故は、総合的な再開発・改修を数ヶ月後に構想する契機となった[5]


東京23区の地上部において死者を伴う航空事故が発生したとき、以上の知識を総合すれば、「それで何人も死んだだろ」といった非難が沸き起こり、しかも、それが横田空域と関連付けられないとは、誰にも断定できなかろう。しかも、その帰結は、私には全く予想しにくいものである。現在の言論状況を鑑みれば、この種のフック的表現は、強力に言論統制が加えられることになるものと予想できる。しかし、その統制の実態は、現在における権力闘争の暗部を通じて、必ずや、現政権に不利なようにバラされることになるであろう※3。これに対して、最近の実績として、在日米軍機なり、旅客機なりの飛行機が脱落させた部品は、幸い、地上部重篤な人身被害を生じさせた訳ではないし、沖縄における米軍機の不時着等についても、整備状態の悪さと民間委託の適正さについてはともかく、事故時の乗員たちが最善を尽くしていることは間違いないものと読める。しかし、現在の在日米軍のわが国における社会的評価が混乱した状態に置かれていることも、また間違いなかろう。この混乱に拍車をかけるという点で、また、ここで説明したような含みを踏まえれば、決して出てこないような野次を口に上らせたという時点で、松本氏が自らを処分することは、当然である。また、保守の側からも、ここに示したような批判と懸念とが出ないとすれば、わが国の保守の想像力の乏しさは、必ずや、今後の混乱に拍車をかけることになろうし、私が本稿で示した落着シナリオに至る条件は、彼らが潰したと評価できることにもなろう。

松本氏の失言は、ひたすら謝罪し続けるのが妥当であるし、野党も、頃合いを見て矛を収め、(NHKのミサイル誤報の影に存在した可能性が認められる)重大事故の予防に全力で協力すべきである。この阿吽の呼吸こそが、世界に追随するコツというものであろう。繰返しになるが、両建て構造を乗りこなすのが、現在のトレンドである。今後の謝罪とその経過に係る与野党・両陣営の塩梅は、わが国の政治家の狡猾さと公正さを量る上での水準器として作用するであろう。

最悪のシナリオに対して、密集市街地に居住する国民が可能な対策は、整備されているはずの消火器の設置場所を確認しておくことと、雪かきくらいであろうか。粉末系消火器でないと、油火災を有効に消火することはできない。手元に消火器があったとしても、粉末系消火器ではない場合は、十分に考えられる。自助・共助は、雪かきを除けば、なかなか有効には機能しないであろう。杞憂であることを祈るばかりである。3時半近くにも航空機の音がした、というオチで、本稿を締めることとしよう。


※1 2018年1月21日放送のTBS系『サンデー・ジャポン』は、小室哲哉氏の記者会見について、週刊文春記者にモザイクを入れ匿名でその意見を述べさせていたが、(映像では男性に見える)彼は、英語では自身ならびに組織からの謝罪と受け取ることのできる日本語表現を、一度たりとも使用しなかった。およそ、彼の態度は、日本人のステレオタイプらしからぬものであり、本件記事に係る米軍側の主張に類似したものである。参考まで、『デイリースポーツ』が本件を報じていた[7]。ここで、『週刊文春』記者を批判する理由は、小室氏のスキャンダルを報じたことによって、『週刊文春』が多くの日本人を悲しませることをしでかしながら、悪びれもせずに自身の主張を通そうとするからであり、また、このインタビューにおける態度自体が日米友好に毒を盛る種類の行為となるからであるが、それ以上の他意はない。つまり、ほかの人物・組織を批判する意図はない。

※2 「ベイルメルメール」と表記されることが多く、Googleマップ(の当地)のカタカナ表記もこのようになっているが、発音を提供するサイトの音声を聞き[8]、従来から「ベルメルミーア」と表記されてきたことをふまえ、これを採用した。カタカナ語表記するなら、「ベイルメルミーア」のように聞こえた。

※3 近年、類例のない寒波が首都圏に大雪を降らせたが、世界的に寒波が到来しており、米・中・露の三か国にも到来している。しかも、一か国だけにおいて、その威力が奇妙なほどに急激に低減したなどという報道もない。今回の大雪によって、戦争屋というカルト集団が好ましいと思うほどに多くの人々の命が失われたとの話もない。気象兵器は、他国に対して使用した場合、戦争行為(宣戦布告抜き、不意打ち)ともなる。大雪は、サービス業をエンジンとする諸国の経済全体に対しては、ボディブローのようなダメージを与えるから、よほどの仕込みができていなければ、現政権にとっても、ない方が良い。米露は、エネルギー輸出国であるから、その面では潤うかもしれない。以上の錯綜した状況は、わが国についても、安倍政権と旧・戦争屋が手を握ったと考えるよりは、安倍政権とこれを支える武官組織が旧・戦争屋とは対立状態に近いことを窺わせるものである。日米中露の4か国の中では、冬期の寒波攻撃に対して、ロシアが最も耐性を有しているようにも思えるが、プーチン大統領が正教の水垢離?をしなければならないときの寒波は、結構なリスクであるように思う。また、平昌に雪が足りなかったから大寒波を到来させた勢力があるとすれば、「ちょっとちょっと!」といった感じである。このとき、平昌からロシアが排除されたことにも、注意すべきである。寒波攻撃が実在のものであるとすれば、韓国とエネルギー企業以外は、直接に潤わない。韓国政府が関与していたと考えることも、まあ無理筋である。人工降雪機に比較して、気象操作は、明らかに「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」(『論語(陽貨)』)であり、韓国は儒教文化圏である。雪かきをしなければならない国が増えたという理由は、なかなか本命に近そうである。リアルタイム(に近いタイミング)で上空から地上を眺めることができる人物たちは、この予想の当否を分かっているのであろう。


[1] 副大臣「何人死んだ」/米軍事故 志位質問に暴言ヤジ
(記名なし、2018年01月26日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-01-26/2018012602_02_1.html

[2] 調布市PA-46墜落事故 - Wikipedia
(2018年01月30日閲覧)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%BF%E5%B8%83%E5%B8%82PA-46%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85

[3] 大和米軍機墜落事故 - Wikipedia
(2018年01月30日閲覧)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%92%8C%E7%B1%B3%E8%BB%8D%E6%A9%9F%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85

[4] 横浜米軍機墜落事件 - Wikipedia
(2018年01月30日閲覧)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E7%B1%B3%E8%BB%8D%E6%A9%9F%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E4%BB%B6

[5] ポール・ヴァン=ソメレン, (1995).「都市計画家の夢と悪夢と目覚め オランダにおける都市計画・建築・安全・防犯の交点」『JUSRIリポート』別冊5(国際防犯フォーラム・IFCP95 安全な街づくり・住まいづくり), 都市防犯研究センター, pp.39-50.

[6] 事故No,19921004a
(外山智士、2018年1月30日閲覧)
http://www004.upp.so-net.ne.jp/civil_aviation/cadb/wadr/accident/19921004a.htm

[7] 文春記者、小室の引退に「本意ではない結果」 サンジャポ取材に語る/芸能/デイリースポーツ online
(記名なし、2018年01月21日)
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/01/21/0010915873.shtml

[8] Bijlmermeer pronunciation: How to pronounce Bijlmermeer in Dutch
(2018年1月30日確認)
https://forvo.com/word/bijlmermeer/#nl




2018年1月30日15時追記

文を追加し、文言を修正した。文末の修正部分を除けば、文章の意図を増やしたり修正したものではない。

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