要点は2点、(1)担当捜査機関の部局名、(2)今後のサイバー攻撃対処の要となる政府機関の人員規模、です。本格的に各社の論調を検証するのであれば、トピックごとに記述の有無を確認するという作業を行うべきかもしれません。
- 担当捜査機関の部局名
- 日経:警視庁(1面)「年金情報125万件流出...」
- 朝日:警視庁公安部(1面)「年金情報125万件流出か...」
- 読売:警視庁公安部(1面)「年金情報125万件流出...」
- 今後必要が見込まれる政府の人員規模
- 日経:足りない(他国は10倍以上、5面記事「サイバー対策見直し必至 年金情報125万件流出 政府、人材難が課題 マイナンバーに逆風も」)
- 朝日:記述なし
- 読売:記述なし
他方、今後必要が見込まれる政府の人員規模について、日経だけが、明らかに不足していることを行間から読み取らせるような記事を掲載しています。この指摘自体は、むしろ遅きに失しているかもしれませんが、正当なものです。明らかに業務上の必要を満たす上で、コンピュータセキュリティ関係者は、わが国では不足しています。ただ、私の個人的感想としては、本件に限定してみれば、サイバー犯罪防止の一環としても、証券取引等監視委員会の機能を10倍増は必要だと思います。
新聞を読み比べることは、メディアリテラシーを培う上で大変重要だとされています。一般家庭でこれを実行するのは大変ですが、冒頭に紹介した「あらたにす」はもちろん、Yahoo!などのサイトを併用すれば、かなりの程度まで、似た作業が行えるものと思います。五大新聞社の中では、三紙の論調は、多くの場合、そこまで大差なかったりもします。しかし逆に、三社の報道に細かな違いが見られるケースの背後には、何かあると考えることもできるわけです。特に、政治報道に対してスタンスが大きく異なるかのように一般に思われている朝日と読売の報道スタイルが、今回のような国際・政治・経済に大きく影響しかねない事件でおおむね一致したということは、面白いことだと思います。
#今回、新聞各社は、略称で記載しました。紹介順は、「あらたにす」に記載された三社の順で記載しました。今回は、ですます調で記述してみました。本稿における表現が先月までのスタイルと異なることには、特段の意図を含めていません。本件は、ネットのまとめを拝見すると、相当機微に富んだ事件かと思われます。別途、考察したいと思います。
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