「大学入試共通テスト」の平成30年度試行調査(2018年11月10日・11日実施)の採点結果が4月4日に公表されたが、国語第1問目の問題文に採用されている文章2点は、いずれもパラグラフ・ライティングされている。鈴木光太郎『ヒトの心はどう進化したのか――狩猟採集生活が生んだもの』(ちくま新書1018, 2013.6)と正高信男『子どもはことばをからだで覚える メロディから意味の世界へ』(中公新書1583, 2001.4)である。もっとも、同年度調査の第2問目(著作権法の解説文)、平成29年度の第1問目(壁新聞)、第2問目の出典である宇杉和夫ほか『まち路地再生のデザイン――路地に学ぶ生活空間の再生術』(彰国社, 2010.1)の文章群は、段落書きの何たるかを理解しているとは認められないから、集団としての問題作成チームには、段落書きの作法ならびに効用が理解されていないのかも知れない。実際、出題内容は、段落書きされた文章を段落読みするだけで、直ちに答えられるものでもない。大学入試は、多数の日本語話者に対して、効率的かつ正確な情報伝達のための文章作法を訓練する好機であるから、ぜひとも、その問題文は、段落書きされた文章のみを使用して欲しいものである。
[1] 大学入学共通テストの導入に向けた平成30年度(2018年度)試行調査(プレテスト)の結果報告及び地理歴史A科目の参考問題例について
(2019年04月04日)
https://www.dnc.ac.jp/sp/news/20190404-03.html
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